女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
「逆に考えるんだ。キミが逃げ出せたから、こうして俺たちに接触できたんだよ」
アイリがどんどん罪悪感の沼に沈もうとしているから、俺はそう言ったんだけど。
アイリには特に救いにはなってないみたいだ。
どうしよう……?
大切な相棒を放置して逃げたなんて、辛いに決まってる。
可哀想だ……だけど
彼女には今、その言葉は逆効果……だよな。
そう思い、俺が思案していると。
ケイスケが
「僕らは国家悪魔召喚士なんだよね」
いきなり俺らの身分について語って聞かせた。
国家悪魔召喚士は、悪魔関係の案件のプロだ。
今の状況の専門家。
その上で
「悪いがキミを安全な場所に連れ帰っている時間は無い。そんな話を聞いてしまったらね」
ちょっと訊くと勝手に1人で帰れと言ってるように思えるだろう。
それは通常あり得ないかもしれない。
何の戦う力も無い女の子を、悪魔が発生する異界から1人で帰れなんて……!
だけど
「キミの相棒を救出する現場について来てもらう」
そう、ケイスケは言い切った。
……ケイスケのそんな気遣い。
ケイスケは決して他人に厳しいだけの人間じゃないからな。
戦闘員でもない彼女に、悪魔から意識の無い相棒を連れて逃げろなんて、無理がある。
だから彼女が悪いとは思ってはいないけど。
何かしらここで彼女が行動を起こさないと、彼女らの関係の維持に問題が出るだろ。
そういう気遣いも出来るんだよ。
本当は優しい奴だから。
ケイスケのそんな提案を
「分かりました……」
アイリは拒否しなかった。
少し、震えていたけれど。
「確か、この角を曲がった気がする」
うろ覚えながら。
アイリが逃亡した経路を逆に辿り、俺らは進んだ。
防御に特化した悪魔の魔神オモイカネを仲魔にしている俺がアイリのガードで。
攻撃力が高いヤマとアヌビスを仲魔にしているケイスケが警戒。
その構成で、油断なく進む。
「ヒナコ……」
その名を呟くアイリの顔は血の気が引いている。
確か、このふたりの仲は……アイリの地元の名古屋にヒナコが遠征でダンスをしに行った際、ストリートピアノでたまたま演奏していたアイリの楽曲に感激して。
それに合わせてダンスを披露したのが切欠、だったか?
結構運命的だよな。
たまたまアイリがストリートピアノを演奏していたところに、たまたま実力派ダンサーのヒナコが現れて。
そのときたまたまテンション高くて演奏に合わせて踊ってしまったら、意気投合してしまった、とか。
これが運命でなくてどうなんだ? と思う。
「ヒナコとは何年だっけ?」
俺の問いに
「2年かな」
答えを返してくれた。
「芸能界に入ったときからずっと一緒なんだよ……」
その声には相棒への強い思いが伺えた。
絶対に取り戻してやらないと……
そう思い、決意したとき。
……闇の奥から
俺たちの目の前に。
青い軽装鎧に身を包み。
槍で武装した美青年が姿を現したんだ……
敵、現る