女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後   作:XX(旧山川海のすけ)

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他人に聞かれたくない話をいかに伝えるか?


第39話 ホテル行きましょう

「勿論知ってます。あの事件の後、破防法適用された宗教団体・翔門会の幹部の女性ですよね?」

 

 確か今はトクシュウに指定されて、東京拘置所の特別監獄に収監されているんでしたっけ……

 

 トクシュウとは、特別死刑囚の略。

 法務大臣の死刑執行命令はすでに降りていて、あとは現場の判断でいつでもその命が絶てる死刑囚なのでそういう呼び方をするんだ。

 

 俺はライドウさんの返答に頷いて。

 こう続けた。

 

「実はその九頭竜天音に呼び出されて、神託と称する警告を受けたんです」

 

 本題を切り出す。

 声は抑えた。

 

 まだ大丈夫だとは思うけど、盗み聞きしてる誰かがいるなら、聞かれないに越したことは無いし。

 

 さて、どう続けよう……?

 

 ここから先は、誰が聞いても分かる言い方したらよく無いよな。

 考えて喋らないと。

 

 ……俺はライドウさんに視線を向ける。

 

 彼女は、俺を真っ直ぐに見つめていた。

 

 よし……

 

「聖上に」

 

 俺は言葉を選んで、そう発する。

 

「聖上に、意味は分かりますか?」

 

 正常に意味は分かりますか?

 音だけ拾えばそう聞こえる。

 

 聖上は、天子を指す言葉のひとつ。

 音が正常と被るから、これをチョイス。

 

 ……どうかな?

 

 すると

 

「……ノーマルな言い方はされてませんよね」

 

「ええ」

 

 ライドウさんは突如、微妙に繋がらないことを言い出した俺に対して。

 そこに意味があると思ってくれたみたいだ。

 

 ノーマルっていうのは、正常って意味じゃないんだろう、そういうことだな。

 

 そして彼女はしばらく考えて

 

「クリスマス……聖夜のことでしょうか?」

 

 そんなことを俺を見つめて言ってきた。

 

 聖夜……

 

 ライドウさんの表情は、聖夜の予定を話す女性のものじゃない。

 だからまあ、これはクリスマスの話じゃないんだ。

 

 聖、という言葉を言いたいからそう言ったんだと思う。

 

 なので

 

「ええ、そうですね」

 

 俺は認めて

 

「このままじゃ、俺たちのクリスマスが危ないって話をされました」

 

 そういうと。

 ライドウさんの目が鋭くなった。

 

 俺は確信する。

 

 あ……伝わった。

 

 情報として聞き流して良い話じゃないしな。

 

 そして自分の確信が間違っていないことは、その後の彼女の言葉で間違いないとさらに思う結果になったんだ。

 

 ……それは

 

「木原さん、今日はここでコーヒーを飲んだ後、イタリアンの店に行って、映画に行った後」

 

 デートの予定を話すライドウさん。

 にこやかな笑顔を作っていた。

 

 で、こんなことを言われた。

 

「ホテル……行って貰えませんか? 私、貴方を逃したく無いです……」

 

 その一言を発するとき。

 ライドウさんの声に震えを感じたのは気のせいだったのだろうか……?




男女がゼロ距離で会話するなら布団の中が一番良いからね
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