女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後   作:XX(旧山川海のすけ)

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トールマンの私室を前にして


第47話 雷神

 俺はグレムリンから、オモイカネとサンダーバードに仲魔を入れ替える。

 

 そしてオモイカネの衝撃魔法でドアを吹き飛ばそうとした。

 

 ……これからやることを考えると、忍び込むことに意味があると思えないから。

 

 だけども

 

「アツロウさん、私に任せて下さい」

 

 その前に、ライドウさんが前に出た。

 自分の仲魔を連れて。

 

 彼女が呼び出した仲魔は

 

 霊鳥ヤタガラス。

 そしてもう1体……

 

 それは人型の男性悪魔で、

 

 赤い甲冑を身に纏っている武士の姿をしていた。

 頭には烏帽子のようなものを被っており、武器として太刀と脇差を装備している。

 

 そんな格好の美青年。

 

 これは……

 

「ヨシツネ、この扉を切り刻んで下さい」

 

「承知した」

 

 英雄ヨシツネ。

 超有名な鎌倉武士・源義経が、死後悪魔化した存在だ。

 

 ヨシツネは二刀抜き放ち、それを構え、身を沈め。

 そして……

 

 次の瞬間、彼の姿は目の前の扉を細かい木片に変え、部屋の中に突っ込んで停止していた。

 

 その際、ほとんど音が鳴らなかった。

 

 ……結構高そうな、黒い木製の扉だったのに。

 見る影も無いな。

 

 そう、ちょっと思ったけど。

 

 俺たちは部屋の中に踏み込んだ。

 明かりのついた部屋の中に。

 

 そこには。

 

 22時という時間にも関わらず、スーツを着込んで執務机の椅子に掛けている白人の老人が1人、居るだけ。

 老人は特に驚いた表情を浮かべておらず。

 面長気味の顔に、厳しい表情を浮かべていた。

 

 そして

 

「キミタチハ ナニモノデス?」

 

 ……老人からのたどたどしい日本語。

 白々しいな。

 

 だから

 

「アンタ、アメリカの新任大使トールマンだろ? 数日前にアンタが飛ばし携帯に流暢な日本語で電話しているのを聞いたんだけど」

 

 そう言ってやった。

 

 こいつが黒なら、言い逃れして取り繕うことには意味がない。

 こんな方式で乗り込んで来た相手に、言い逃れをしようとしても無駄だから。

 何故って、否定しても襲ってくるもの。

 

 だから俺は敢えて言ったんだ。

 とぼけても無駄だぞ、って。

 

 すると、コイツは察したらしい。

 穏やかに、こう返して来たんだ。

 

「……そう言えば、この穢れた国には全ての通信を傍受する法律があるのだったな。迂闊だった」

 

 言葉と共に椅子から立ち上がり、部屋の絨毯の中央に移動しながら。

 とても流暢な日本語で、そう返して来た。

 

 それと同時に。

 

 パキッ、パキッ

 

 ……ラップ音?

 

 超常存在が出現する際に鳴る、特徴的な音がしたんだ。

 

 やっぱりコイツ……

 間違いない……

 

 俺の確信に応じるように。

 

 白人の老人の姿が変わっていく。

 

 光を放ちながら……

 

 立派な2つの角が生えた、顔面を隠すフルフェイスの兜。

 この部屋の天井に迫るくらい大きくて、屈強な身体

 そして純白の甲冑と、マント。

 ……武器として携える大金槌。

 

 そんな悪魔の巨大な姿。

 圧倒させられそうだった。

 

 だけどそんな心を叱咤し、俺たちは踏み止まる。

 

 だが、この悪魔はそれを見透かしたように

 

「……よくぞこのトールの正体に気づき、刺客を差し向けたな」

 

 褒めて遣わす。

 

 そんな勢いで、俺たちに強者の言葉を向けたんだ。

 

 トール……北欧神話に登場する、雷神の名前……!

 

「かかって来るがいい! 返り討ちにしてくれるわ!」




魔神トール。
真1だと序盤のゴミボスなんだよね。
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