女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後   作:XX(旧山川海のすけ)

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彼の運命を知って


第56話 草間少年の過去

「あのさ、辛かったら喋らなくて良いんだけどさ」

 

 俺はシロノワールを一定ペースでパクついている草間少年に、なるべく平静を保った声で訊ねた。

 

 少年は俺に目を向けてくる。

 俺は

 

「キミがどういう人生を送って来たのかを教えてもらえるかな? 俺たち、キミのことを知りたいんだ……」

 

 そう、じっと目を見て言った。

 

 この少年の人生を、俺の記憶の中に刻みたい気持ち。

 それに従っての行動だ。

 

 少年はシロノワールを飲み込んで

 

 話してくれたんだ。

 

 

 

「僕が生まれて、まず両親が離婚したんだ」

 

 水を飲みながらの告白。

 

 少年の話をまとめると、こうだ。

 

 

 彼が生まれたとき、顔があまりにも父親に似ていないことが問題になった。

 顔が安定してくると、それがハッキリしてきて

 

 彼の父親が「病院で取り違えをしたのではないか?」そう思い。

 念のため、DNA鑑定をしたらしい。

 

 すると……

 

 親子関係限りなくゼロ。

 

 そういう調査結果が出た。

 

 そしてこれは取り違えがあったに違いないと病院に記録の開示を要求し、彼の父親の妻……つまり彼の母親が入院していた産婦人科で、同時期に出産した夫婦の記録を調べ……

 

 分かったんだ。

 

 同時に入院していた夫婦に、取り違えが疑われる事例が1件も無いことに。

 

 だとしたら……

 

「このアバズレ! 浮気しやがったな!? しかもナマでやらせるとか、旦那に対する最低限の仁義もねぇのか!」

 

「そんな! 知らない! 絶対にそんなはずは! 虎太郎はあなたの子供よ!」

 

 ……当然のことながら、托卵を疑われ。

 あっけなく夫婦の絆が断ち切られた。

 

 真実発覚から1カ月持たず離婚。

 そして母親と2人になったらしい。

 

 ……だけど

 

 母親の方も、自分と彼の親子関係をDNA鑑定をして

 

 さらに壊れた。

 

 ……母親も、彼との親子関係の可能性が限りなくゼロだったんだ。

 

 一体、彼は誰の子供なんだ……?

 父親の子でもなく、母親の子供でも無い。

 

 虚空から生まれて来た子供……

 

「私は化け物を産んでしまったと言うの……?」

 

 母親は毎日そんな独り言を言い、やがて心を病み。

 

 最終的に包丁を持ち出して、彼を殺そうとした。

 そのことを、近隣住民が発見。

 

 そして母親は山奥の重度の精神病患者が収容される病院に叩き込まれ。

 彼は児童養護施設に入れられて。

 

 ……今に至るらしい。

 

 酷い話だ……

 彼のせいではないのにな。

 

「……そっか。辛かったな」

 

 俺は思わず、そう溢した。

 その俺の言葉を聞き、草間少年は

 

「僕が生まれて来なければ、きっと皆幸せだったんだろうね……」

 

 そう、ポツリと洩らした。

 

 俺の胸が締め付けられる。

 でも俺は、この子に何もすることが出来ない……。

 助けられないんだ。

 

 力が無いから……

 

 そのとき、ライドウさんの証明COMPにメールが届く。

 

 ライドウさんはそれを確認し

 

 証明COMPを閉じて

 

「草間さん。外にお迎えが来たようです」

 

 どこか事務的な口調で彼に告げたんだ。




迎えが来た
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