女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
名古屋市の高級住宅地。
タクシーでそこまで駆け付けて。
目的の家までの途中で降車し、徒歩で向かった。
白壁の清潔さと凛々しさを感じさせる造り。
玄関部分に楓の木や竹が植えてあり、高額所得者の雰囲気を放っている。
ライドウさん曰く、この須藤竜蔵の自宅に数多くの救急車が1時間前くらいに呼びつけられたらしい。
その数、5台。
……多過ぎるわな。
限りなく黒だけど、だからといって正面から堂々と乗り込むのは……
証拠が足りない。
「どうしますか?」
俺は隣に立つ彼女に訊く。
彼女は
証明COMPを操作し、仲魔の召喚を行っていた。
足元に描かれる魔法陣。
そこから呼び出したのは……霊鳥ヤタガラス。
俺は一瞬焦る。
誰かに見られないかと。
だけど
「……ヤタガラスが導ける範囲内に、草薙の剣があるそうです。強引に行きましょう」
ライドウさんの言葉。
この言葉で、半ば強行突入が決定した。
俺たちは仲魔のチカラを使い、2階から須藤邸に侵入した。
グレムリンの能力で、警備システムを沈黙させながら、ヤタガラスの導きに従い、突き進む。
……どういうわけか知らないが、使用人の類が全くいなかった。
これだけの規模の屋敷なら、居そうなもんなのに。
高級絨毯が敷かれた金の掛かった家。
無人の。
監視カメラの類を黙らせる意味があるのかと少し考えたけど、一応、やっておく。
そして。
豪邸とはいえ、個人宅。
ほどなくして、見るからに大部屋の扉の前に立つ。
……地下室なんだけどな。
「ライドウさん、ここですか?」
俺の言葉に。
「ええ」
そう答え。ライドウさんは追加で英雄ヨシツネの召喚準備に入る。
証明COMPの操作で、床に描かれる魔法陣。
そして数瞬後、朱色の甲冑に身を包んだ美形の鎌倉武士が出現した。
俺の方も、グレムリンを引っ込めて、魔神オモイカネと霊鳥サンダーバードを召喚。
……この部屋の中に草薙の剣がある。
そして剣は、定命の人間が目視すると死んでしまう。
……一つの例外を除いて。
ここに来るまでに、ライドウさんに教わったことを反芻する。
俺は覚悟を決めて。
「行きましょう」
ライドウさんにGOサインを出した。
ライドウさんは頷く。
頷き、ヨシツネに命じた。
「ヨシツネ、扉を破壊してください」
「承知だ」
ライドウさんの命令で、
大使館のときと同じように二刀を抜いて身構え
あのときのように、扉を木っ端微塵に切り刻んで部屋に突入する。
中は石の部屋で、部屋の四隅にキャンプに使うような電気ランタンを設置して、それを明かりにしていた。
広さは10メートル以上の幅を持ち、奥の壁に祭壇があった。
ちょっとした社のような、注連縄をした祭壇。
その前にいる1人の老人。
白髪の老人。
イメージは猛禽類。
意思の強さ、勝って来た男の余裕。
そしてその存在感。
背筋は伸び、ガッシリしており、老いがあまり感じられない。
そんな男が白基調のスーツに、灰色のネクタイを締めた姿で、真っ直ぐにこちらを見ている。
……全く、怯えの無い顔で。
そんな男に
「外務大臣の須藤竜蔵ですね」
ライドウさんの厳しい声。
絶対に許さないという糾弾の意志を込めた言葉だ。
そんな彼女の言葉に、その男……須藤竜蔵は
「……来おったな。穢れた国に仕えし悪魔使いどもめが」
応えずに、ただ怨嗟の声を返して来た。
彼は何を思って国を裏切ったのか?