女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後   作:XX(旧山川海のすけ)

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逆臣になった男を前にして


第62話 ほざくな下郎!

「陛下に大臣の任を与えられておきながらこの所業……恥を知りなさい」

 

 須藤の言葉を無視し、ライドウさんは厳しい視線と言葉を投げ掛ける。

 だが須藤は

 

「恥知らずだと……? 恥を知るべきは、この世の中よ! 今、この国に渦巻くものは何か、言うてみよ!!」

 

 一切動じずに、そう返して来た。

 ライドウさんは答えない。

 

 そして須藤はそれを待たずに

 

「強欲、他責、無関心、そして数々の矛盾……自分の欲ばかり追い求め、誰一人として全体のことを考えようともせん!! だから一度破壊しやり直すのだ!!」

 

 そう言い放ち、右手の剣を掲げた。

 切っ先をこちらに向けるように。

 

 ……古代の直剣を。

 

 それは1メートルあるか無いかの長さで。

 白い金属で出来ていた。

 

 剣としてのデザインは、鍔らしい鍔が無い。

 握りの上にすぐ刀身がある。

 

 そう。

 古墳から出て来そうなデザインの剣だ。

 

 ……それが何なのか、俺は予想はついていた。

 

「それが草薙の剣ですか」

 

 ライドウさんの言葉。

 そう。

 

 あれこそが「三種の神器・草薙の剣」なんだ。

 

 

 

「ほぉ、知っているのだな」

 

 ライドウさんの言葉に、片眉を上げて感心を示す須藤。

 それを受けてライドウさんは

 

「当然でしょう」

 

 そう返すが。

 須藤はこう続ける。

 

「……見たら死ぬ。それは知らぬのか?」

 

 嘲笑うような笑みで。

 

 だけど。

 

 当然だけど、ライドウさんは動揺しない。

 俺もだけど。

 

 それは……

 

「ヤマトタケルは草薙の剣を振るいながら東征を行ったとあります。そうなると、例外があると見るべきです」

 

 そう。

 

 草薙の剣は、武器として所持されているときに限り、目視した人間を死なせる神力が働かなくなる。

 そうでないとおかしいんだ。

 

 そして、その代わりに……

 

「サンダーバード! 電撃だ!」

 

 俺の言葉に即座に反応し、サンダーバードがその嘴を大きく開き、雷を吐き出す。

 須藤に向けて。

 

 迸る雷が須藤を直撃する。

 

 通常なら、人間は生きていられない一撃。

 

 けれども……

 

 雷の奔流が過ぎ去った後、そこに残ったのは須藤の死体……

 

 では、無かった。

 

 須藤は立っていた。

 平然と。

 

 ……やっぱり。

 

 草薙の剣をヤマトタケルが与えられたとき。

 ヤマトヒメはこう言ったという。

 

「この剣を所持している間は、誰にも決して敗北しない」

 

 その答えが、これなんだ。

 

 武器として振るっている間は、一切の攻撃が通じない。

 

 ……とんでもない能力だ。

 

 それを実感したせいか

 

 須藤は笑った。

 哄笑だ。

 

「……素晴らしい! この力で残りの神器も手に入れて、この私が新しき真の指導者に!」

 

 その浮かべている笑みは欲に塗れている気がしなかった。

 ただ……狂気を感じた。

 

 この男……理想がある。

 

 その理想のために行動を起こし、こんな真似をしでかしたのか。

 

 だがその言葉は、ライドウさんの逆鱗に触れたらしい。

 

「神器の所有者は決められている! ほざくな下郎!」

 

 その声には紛れもない怒りが込められていた。

 

 だが須藤は、凄みのある冷笑を浮かべて

 

 懐から左手でスマホのようなものを取り出し、操作。

 

 俺たちが見ている前で、悪魔を2体呼び出した。

 

 それは歪なデザインの蛇で。

 身体の色は赤と黒。

 1枚だけの翼があって、それで変な羽ばたき方をしてぐるぐる回りながら宙を舞っている。

 大きさは2メートル近い。

 鱗の代わりに棘があり、毒々しい紫色の舌先に、鉤爪の手のようなものがついている。

 

 そして酷く不快に感じる、表現しがたい鳴き声で鳴いていた。

 

 ……全く知らない悪魔だった。

 だが、侮っていい相手じゃない。

 

 身構える俺たちを前にして。

 須藤は冷笑を浮かべたまま、大音量で吠えた。

 

「来るがいい旧支配者のイヌどもが! この新しき帝たる私が、打ち滅ぼしてくれるわ!」




次回、本格戦闘
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