女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
耳障りな叫び声を上げ、2匹の悍ましい飛行蛇が襲い掛かって来る。
俺とライドウさん、それぞれに。
「オモイカネ! 衝撃魔法だ!」
「分かった」
俺は向かってくる飛行蛇に、オモイカネからの衝撃魔法を浴びせる。
だけど。
飛行蛇の突進は止まらない。
そして
クワッ!
その歪な形をした口腔を開き、そこから火炎を吐き出した。
ファイアブレスだ。
そこに。
ずい、とオモイカネが進み出て。
襲ってくる火炎の吐息をその身に吸収してしまった。
「衝撃魔法は効果が無いようだぞ。アツロウ」
オモイカネの一言に、俺は思案する。
そうすると、この飛行蛇にはオモイカネは攻撃手段を持たないことになる。
加えて、オモイカネは肉弾戦には向いていない悪魔だ。
とすると……
入れ替え。
ではなく
「サンダーバード!」
俺は羽ばたき飛翔しているもう1体の仲魔に指示を出した。
「こいつは炎の息を吐きだした! 氷の吐息で攻撃しろ!」
……出来ない指示を。
その瞬間だ。
須藤が俺に向かって突っ込んで来た。
「中々頭の切れそうな若者だ! 私の形作る新世界に是非欲しいが仕方あるまい!」
そして草薙の剣での斬撃を仕掛けてくる。
俺の回避技術なんて、付け焼刃だ。
そしてこの須藤という男、何らかの剣術の心得があるみたいで。
かなり様になってる。
ぶっちゃけ、ちょうどいいくらいにこっちに余裕がない。
華麗に躱して反撃、というわけにはいかないな。
(まあ、反撃の意味は無いんだけど)
……あの飛行蛇、おそらく氷結属性が弱点だ。
悪魔は自分の得意とする分野の反対の属性が弱点になる場合が多いから、勘だったんだけど。
なので揺さぶりを掛ける意味で、出来ない指示を飛ばした。
こういうことを言えば、召喚士を倒そうと襲ってくることを見込んだんだが……
「なあ」
結構みっともなく須藤の草薙の剣を使った斬撃を避けながら
「アンタ、その剣を盗ませる相手に、剣の恐ろしさを教えなかったのか!?」
気になっていたことを訊いた。
こいつは、剣の有用性は知っていた。
ならば、危険性も知っていた可能性は十分にあるだろ。
すると
「危険性を教えると、剣を確認せずに盗み出そうとする可能性がある!」
……外道極まりない答えが返って来た。
こいつ、見たら死ぬかもしれないことを知っていて、教えなかったのか。
やっぱり、という思いと。
許せない、という思いが同時に沸き上がる。
俺も社会人になってまだ日は浅いけど、人に仕事を頼む際に、最低限の仁義として。
嘘を教えて、味方をハメることは絶対にしてはいけない。
それぐらいは分かってる。
だから……
「最低だなアンタ……! 支配者の資格、ねぇよ」
自然にこの言葉が、出た。
だけど
「大事の前の小事であるし、それが真実の伝承である確証も無かったことだ!」
俺の言葉に全く動じず、斬撃を繰り返す須藤。
「剣の確保に出向いた部下たちが、心臓麻痺を起こして倒れて行ったとき! 私は剣の霊力が本物であると確信した! 尊い礎だ!」
本気でそう思っているんだろう。
動揺というものが一切ない須藤の言葉。
そこに俺は
「オモイカネ! 俺に物理反射呪法を早く!」
そう、一瞬視線を須藤から外しつつ叫んだんだ。
「させぬ!」
そこに須藤の斬撃。
俺の肩口を狙った必殺の斬撃。
袈裟だ。
呪法を使われる前に俺を倒そうっていうつもりなんだろう。
剣は俺の右の肩口に食い込む。
……俺は
それを待っていた!
全力を用い、俺は剣の刃を握り、身体全体で抱え込んだんだ。
……物理反射呪法が効いているうちに。
「な……!」
須藤は驚いていた。
通常なら起きる斬撃の反射は、須藤に対しては起こらない。
斬撃を反射されての敗北も、自滅とはいえ敗北にカウントされんだな。やっぱり。
でもさ……
物理反射があるうちは、草薙の剣の斬撃だって効かないわけだから。
こういう使い方はできるよな……!
「クッ!離せ!」
須藤は憎々し気な表情で俺から剣を外そうとする。
だが、俺も全力で抱え込み、梃子でも離さない勢いだ。
で、俺の方も力で剣を奪おうとするんだけど……
何故か奪えない。
ひょっとしたら、剣は握られている間は奪われないのかもしれない。
……膠着状態だ。
「クッ!
焦るが、やがて須藤は何かに気づき、嗤う。
嗤って、言った。
「……キミに掛かっている魔法が切れたときが、キミの最期だ。覚悟するのだな……」
物理反射呪法には制限時間があるはずだ。
そこに気づいたか。
……まあ、それぐらい気づくよな。
優秀なんだし。
だけどさ……
俺は須藤の言葉を無視して、言ったんだ。
「……見てみな……この部屋の天井付近に居る……ヤタガラスを」
俺たちは俺たちで……
考えているんだよ。
俺の言葉を受けて。
ヤタガラスに視線を投げた須藤は
驚愕に、目を見開いていた。
果たして主人公たちの立てた策とは?