女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
メシア教徒。
アメリカ大使トールマンの背後に居たかもしれないもの。
その名前がまた、須藤の口から出て来た。
「……なるほど。それは重要な情報ですね」
ライドウさんは疑っていないみたいだ。
まぁ、俺も同感だけど。
コイツは自分の理想が実現不能になった以上、現状維持を全力で支える必要がある。
何故ならコイツの主張が
全体のことを考えられない人間ばかりのこの国が問題であり、だから自分が指導者になる。
だったからだ。
そう豪語した以上、望みが叶わないからと死なば諸共は無い。
何故って死なば諸共は腹いせであり、腹いせは全体のことを考えた人間が取る行動じゃ無いからだ。
だから奇妙に思えるけど、この場合の須藤の証言の信憑性は相当高いんだよ。
建前であっても、理想を語った人間が背負う枷だな。
「どうします?」
メシア教徒が神器を盗ませた。
重大な問題だ。
発覚すれば一撃アウトの重大案件。
だけど
「……公安に伝えて、対策を打って貰うしかないですね」
……だよな。
須藤が信憑性のある証言をしたからと言って、それを根拠としてメシア教団に解散命令を出すことは無理。
それが許されるなら、政府に都合の悪い集団は、適当な犯罪者が「自白した」という証言を捏造することにより、自由に解散命令を出すことが出来るということになってしまうから。
だからまあ、かなり確度が高い情報だけど、これを根拠にメシア教徒を潰すことはできないんだ。
「メシア教徒は何を企んでいるんだ?」
しょうがないから、情報の掘り下げをする。
須藤は
「知らん……神器を盗み出す手助けをしてやる、無事盗み出せたら、メシア教徒が国家転覆を成功させた際、初代の総理大臣に取り立ててやると言われた」
答えはしたが。
その声には含むものを感じた。
「……何で神器を盗もうとした?」
一応、訊く。
三種の神器は、帝の即位の条件。
所持していないと帝の資格は天から降ってこない。
だけど。
所持することがそれ即ち帝の条件じゃ無いんだ。
あくまでも必要条件であって、十分条件じゃないんだよ。
そして須藤は皇統の人間では無いから、神器を求めても帝にはなれない。
さっきは興奮して調子に乗り、新しい帝になるとかほざいてたけど。
それは文字通り「新しい帝」
現行のものとは別物だ。
だからコイツが神器を求めた理由は知っておきたい。
須藤は俺の質問に
「……知らん」
ハァ?
「知らんってアンタ、どういうことだよ?」
ここにきて煙に巻く気か?
そう思って訊き返すと
「本当に知らんのだ! メシア教団が神器を盗むこと自体に価値を感じていたとしか思えない! しつこく確認すれば、総理の話がフイになる危険性があったから、確認を敢えて取らなかったのだ!」
必死の弁明。
よほど死なば諸共の自己中人間と思われるのが嫌のようだ。
……しかし……!
「ライドウさん」
俺は上司の意見を求めた。
何か心当たりはありますか?
そう問う感覚で。
だけど
「……ライドウさん?」
ライドウさんが、硬直していた。
自分の証明COMPを開き、その画面を見つめながら。
第4章はここで終了です。
次回から第5章。
読んでいただき感謝です。
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(反響を実感できるのは書き手の喜びです)