女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
そして40分の2人乗りの果て。
俺たちは日本橋・でんでんタウンに辿り着く。
時間は5時20分。
予定通り。
もうちょっとで日の出なので。
空が白み始めている。
「……綺麗ですね」
こんなときだけど。
後部座席、もとい荷台にいるライドウさんがそんな感想を口にした。
……日の出の美しさを愛でる余裕は無いはずなんだけどな。
マジで。
「なぁ契約者殿よ。我はどこまで走れば良いのだ?」
40分くらい自転車に走ってついてきていたサルガタナスが、流石に文句を言い始める。
まだ仮契約だから召喚に対する報酬が発生していないので、召喚される側としては気になるんだろうか。
俺は
「もう大丈夫。到着したから」
そう答え、自転車を停めた。
そして道の脇に駐輪し、向き直る。
……目の前には、パソコンショップがあった。
でんでんタウンは大阪の秋葉原だ。
前身は電化製品の部品や、機械いじりの道具類を購入できる電気街。
そこから、同人誌や各種オタグッズを販売するオタクの街に変わったんだ。
だけど。
その中には。
この店のような、パソコンや電化製品の部品を販売する店も、少数ながら存在してて。
俺はそこに用があったんだ。
……何のために?
決まってる。
ここで、新しい悪魔召喚可能なコンピューターを作るんだよ!
……結界外から持ち込んだ精密機械は壊れるけど、最初から結界内に存在した同様のモノは全く壊れていないんだから。
そのための準備は外で整えて来た。
通信自体は遮断されていないから、中で道具と部品とネット環境を確保できれば、1時間くらいで仕上げられる自信はある。
悪魔召喚を可能なのがライドウさん1人だとあまりにもキツイ。
助力は要るから、これは決定事項だ。
周囲を見る。
……人の気配は無い。
まだ朝が早いから、ここに閉じ込められている人々は漫喫にでも引っ込んでるのかね?
店の正面はシャッターが下りている。
……侵入するなら裏口か。
平時でやれば言い逃れの出来ない不法侵入だけど。
これもまた、大事の前の小事。
あとで費用の請求を国にしてもらうための準備も整えている。
(さて、やるか)
……何だかドキドキするわ。
必要に迫られてだけど、これは本来違法行為だものな。
最初はドアを首狩りスプーンで破壊して侵入するつもりだったけど、幸い今の俺たちにはサルガタナスが居る。
「サルガタナス、ドアの鍵を開けてくれ」
「御意だ」
俺の指示に従い、サルガタナスが指先でパソコンショップの裏口のドアノブに触れる。
カチリ、という音がした。
ノブを回すと問題なく回り、開く。
チェーンも掛かってない。
よし
「サンキュ」
俺は仮契約中の仲魔であるサルガタナスに礼を言い、パソコンショップ内に不法侵入した。
裏口の向こうはスタッフオンリーのエリアで。
多分修理依頼を受けているパソコンや、そのための部品類が整理されて山と置かれている。
広さは10畳くらいで。
狭苦しい感覚は無かった。
よし。やるか。
誰か居たらどうしようと思ってはいたが、幸い居ないみたい……
「誰だ!?」
……そう、思っていたら。
店舗スペースの方から人の声がして、誰かが駆け込んでくる足音がした。
やっぱり誰か居たのか!?
誰なんだッ!?
肝が冷える。
俺とライドウさんの間に緊張が走った。
相手が誰か分からないから出合い頭に攻撃は出来ないねぇ