女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
俺が声を掛けると、悪魔はこちらに視線を向けて。
「我は忙しい。よってこの男に我を怒らせよと言われたまで」
……はぁ?
俺は悪魔の言ってることが理解できない。
意味不明。
この男って……
この黒髪ショートのメイドさん、どう見ても女性だろ?
体つきもだけど……
肌の色の白さも、赤い瞳の眼の雰囲気も……
女性にしか見えない。
女性は紙袋を抱え、戸惑っていた。
恐怖している感じはしない。
身の危険は感じていないのか……?
そこに
「あれは堕天使ベリス。病的な嘘吐きだ。絶対に本当のことを言わない」
サルガタナスの助言。
……なるほど。
だとすると、アイツの言いたいことは……
「暇だから、そこの女性に何かしろと言った」
そういうことなのか?
「ついでに言うと」
続いてサルガタナスが口にした言葉は
「キングフロストの悪魔合体による召喚の、レシピのうちの1体だ」
おお……。
じゃあ交渉しないと。
でも、悪魔との話し合いのスキルって磨いてないからなぁ。
すると
「すみません、ちょっとよろしいですか?」
ライドウさんが。
前に進み出て、ベリスに話し掛けた。
「それは別に私でも良いんでしょうか?」
「良いわけがない」
ライドウさん、悪魔との会話交渉の経験があるのか?
黙って見守る。
「良いってことですね。怒らせよとは感動させよという意味でしょうか?」
「違う。しかし感動だけで良い。我が喜ばないことだ」
……相手が嘘しか言わないから、内容がメチャクチャだなぁ。
これはつまり……
何かしろとは、ベリスが喜ぶことであればなんでもいいってことか。
するとライドウさんは思案して
「私の名前は葛葉ライドウで、これは17代目の襲名でして」
ライドウさんは話し始めた。
「ライドウの名を襲名すると、初代から16代目までの霊が守護霊に憑くんですよね」
へぇ、と思う内容。
その守護霊が、事あるごとに助言をしてくれるらしい。
で
「恋愛関係を議論されたことがありまして」
ライドウさんが言うには。
女のライドウは歴代でも少数派で、女の立場で助言してくれる先輩が少なく。
初代の方は飛鳥時代だからセンスが昔過ぎて役に立たない。
そんな話をしてくれた。
まぁ、面白いわ。
男と女では立場が違うし。
時代が違うとモテ女子の基準も違うから、話合わんだろうな。
「平安時代のライドウが女性でして。その人は私に白粉を塗りなさいって言うんですよ。それのごり押しです」
ああ、平安っぽい。
言ってるライドウさんは楽し気だ。
「そしたら大正時代のライドウの……14代目の人なんですけど。その人が」
自分の基準を絶対視してごり押しするのは止めませんか先輩方?
そんなことを言ったそうだ。
……何か良い事言うなぁ。
大正時代っていうと、新しいものがいっぱい入って来た時代のイメージ。
大正デモクラシー。
14代目はそういう感覚ある人だったんだね。
自分の持ってる基準が絶対ではない、っていう。
「でも、その人もこういうこと言うんですよね」
女性にとって男選びは一生に一度の事でしょう。
そこに、自分の時代の基準をごり押しするのは絶対に違う!
「……14代目も大正時代の価値観が根付いてるんですよね。いや、庇って下さってるのはありがたいんですけど」
話しているライドウさんは何だか楽しそうだ。
ああ……
大正時代は、基本的に生涯女性が付き合う男性はたった1人がデフォ。
それが基準だっただろうしな。
貞女二夫に
そんな言葉があったはずだし。
女性は夫と死別しても再婚するのはふしだらって意味だ。
今の基準でいうと酷い話だけど。
……偉そうなことを言ってても、なかなか拭うことが難しいんだな。
自分なりの基準ってやつは。
ライドウと歴代ライドウはつきもの。
貞女二夫に