女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
そこから自転車2人乗りであべのハルカスまでやってきた。
到着したのは10時40分。
……腕時計の時刻は、業魔殿で確認して来たし。
確認したときも、別にズレは無かったから、間違いないハズ。
あべのハルカス内に入ると、相変わらず暑い。
ムシムシする。
……あべのハルカス内ってレストランもあるんよな?
冷蔵庫に入ってない食材は軒並みダメになってるんじゃないの……?
そんなことを考えつつ、俺は速やかに魔王キングフロストの召喚を行った。
そして召喚コマンドを打ち込んだとき。
足元に大きな魔法陣が描かれ……
「ヒーホッホッホーッ!」
……出現する王冠を被った巨大雪だるま。
その瞬間、周囲が涼しくなった。
ふおおおおお……
「涼しい……」
「快適ですね」
俺たち2人は安らいだ表情になった。
「アツロウ、このビルは暑すぎるホ。暑さの中心は、ずーっと上にいるホ!」
すると。
キングフロストは俺にそんなことを。
「分かるのか!?」
思わず訊き返すと
「氷の妖精王を務める魔王を甘く見るなホ。自分たちを脅かすギラギラ太陽の気配には敏感ホ」
妖精なのか魔王なのか。
ハッキリしろと言いたいが……なるほど。
こいつらは氷の妖精……雪の象徴みたいなもんだから、太陽の気配には敏感なのね。
ということは
「上に居るのは太陽に関係する悪魔ということでしょうか……?」
だよね。
ライドウさんの言葉には俺も同意。
「そういうことでしょうね。太陽神系統の悪魔か……」
太陽神。
そんな悪魔、弱いわけがない。
場合によっては主神クラスになるはず。
気を引き締めなきゃな。
俺たちは途中までエレベーターを使ってあべのハルカスを移動して。
そこからは階段で上に上がる。
完全にエレベーターを使うのは危なすぎるし。
かといって、階段を使うのが多いと、上に着く前に戦う体力が無くなる。
その折衷案だわ。
「アツロウさん、大阪は初めてですか?」
階段を上りながら。
ライドウさんが俺にそんなことを言った。
俺は
「……中学のときの修学旅行で、1回行ったきりですね」
そう、正直に答える。
ライドウさんは
「修学旅行ですか……きっと楽しいんでしょうね」
そんなことを少し羨ましそうに言ったんだが
俺は
「いやまぁ、うーん……」
少し複雑だったから、何とも答えづらく。
俺のそんな表情に
「……何か私、マズいことを言いましたか?」
少し焦った感じでライドウさんは訊ねて来た。
「……なるほど。スクールカーストってやつでしょうか?」
「うーん、どうなんですかねぇ?」
そこで俺は、ライドウさんに初めて。
別に語るような内容では無いからこれまで黙っていた……
俺の地元の中学のクソさを話した。
中学のカースト上位が不良で占められていて。
上位カーストがカースト下位を奴隷か小間使いのように扱う思い出話を。
で、俺はその状況を不幸には感じなかったが、それはケイスケという友人のお陰なんだ、って話を。
俺の中学の状況を理解してくれたライドウさんは
「そのケイスケさんとは?」
「今も友人ですよ」
再会したのは東京封鎖内だけど。
心でそう付け加えながら返す。
「……そういう得難いご友人を手に入れられたのは幸運でしたね」
ライドウさんのその言葉は
「俺もそう思います」
俺も完全同意だった。
良い人間関係ってのは、何物にも代えられない尊いものだと思うよ。
そうこう、ボソボソ会話しつつ階段を上っていると
「アツロウ、この階ホ。この階にいるホ」
同行していた魔王キングフロストが俺たちに。
このあべのハルカスを灼熱地獄に変えた悪魔がいる場所に辿り着いたことを教えてくれた。
次回、あべのハルカスの悪魔との遭遇。