女神異聞録デビルサバイバー外伝 アツロウENDその後 作:XX(旧山川海のすけ)
『♪ヒットポイント回復するなら傷薬と宝玉で』
特徴的な店内ソングを聞きながら、歯ブラシを探す。
……今日は多分、野宿だよな。
自分たちをマトにしている以上、宿泊施設には泊まれない。
迷惑が掛かるしね。
晩飯も買っておくか……ブロックタイプの携帯食料で良いかな。
メープル味にしようか。比較的ウマい。
買い物かごに必要なものを放り込んでいく。
……ふと気になったのでライドウさんの方を見ると。
彼女は店内を見回している。
……んん、ひょっとして
ここの中毒性のあるBGMに聞き入ってんのかな?
何だかだいぶ前に、南条グループの総帥が
「サトミタダシの音楽は中毒性がある」
って自伝で書いてるのを読んだ記憶あるんだよね。
ライドウさんはクレカをちょっと見せて貰ったんだけどさ……
ブラックカードだったからね。
ひょっとしたら今までの人生で、サトミタダシには入ったことが無かったりするかもしれないよな。
「ライドウさん、サトミタダシはじめてだったりしますか?」
なのでちょっと訊いてみたんだが
彼女は
「あ、別にそう言うことは無いです。私も、仕事先で必要物資を買うときに使いますし」
そんなことを。
なんだ。そういうことは無かったのか。
ちょっとだけガッカリする。
だけど
彼女がそっと、俺の耳元に顔を寄せて来た。
ちょっと驚く。
だけどドキドキする前に
「……異様な視線を感じます。目を付けられたかもしれません」
その一言で、一気に冷静になった。
ライドウさんが異様な視線を感じたと言った。
引っ掛かったのかもしれないな。
……いよいよ、両面宿儺の転生体の片割れに遭遇するかもしれないわけだ。
そこで俺は思い返した。
資料で読んだ基礎情報を。
……だいぶ歯抜け情報ではあったんだけどね。
何故今両面宿儺が蘇るという予想がされたのか、とか。
片割れってどういうことだ、とか。
そういう補足情報がだいぶ欠けていた。
普通に仕事を遂行するのに要求される、最低限のことしか無かった。
おそらくだけど、詳細情報は口伝でしか伝わってないような、大昔からの機密情報なんだろう。
教えてもらえないんだろうな。
一握りの人間以外は。
なんてことを
ライドウさんと並んで歩き、手を繋ぎながら考えていた。
……正直、メチャメチャドキドキしていた。
どうしよう……仕事にならないぞ……?
俺、20才なのに、経験が無さ過ぎる……
ライドウさんが提案してきたんだ。
もし本命だった場合を考えて、相手がチャンスが来るまで私たちに執着するように
出来るだけ恋人のような振る舞いをしましょう、って。
まあ、合理的だ。
拒否する理由も無い。
だからまあ、当然の流れだったんだけど……
上記のように、非常にマズい。
「暗くなるまでなるべく仲良さそうにしましょう」
俺の右手に指を絡めながら、ライドウさん。
ジュネスのフードコートで一緒にコーヒーを飲んで。
商店街に戻って、一緒に総菜屋でビフテキコロッケというのを買って食べた。
ライドウさんは美味しいって言ってたけど。
正直俺には味が分からなかった。
そして今。
中華料理屋の愛家って店に2人で入ってる……。
愛家には肉丼があるね。
800円。
雨の日限定メニューのスペシャル肉丼は3000円。