デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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VS大将(黄)

「はぁはぁはぁはぁ……!」

 

 迫り来る海兵をちぎっては投げ、ちぎっては投げ、たぶん60人くらいはぶっ飛ばしたと思う。

 ……エスネはシャッキーの店にたどり着けただろうか? そろそろ俺も疲れてきたぞ。

 上手いこと戦線離脱して、早いこと俺もシャッキーの店に逃げ込みたい。

 

「お前ら! 小人1匹に何を手こずってるんだえ! とっととそいつを捕まえるんだえ!」

 

 少し離れた所で、天竜人が海兵相手に威張り散らしていた。

 こいつが全ての元凶のくせに……! ムカッつく……!!

 

「ぼ、ボミオール聖! ここは危険ですからもう少し離れて……」

「お前? 僕たんに命令するのか? 生意気だえ!」

 

 パァンッ!!

 

「ぐああっ!?」

「いいからさっさとあの小人を捕まえるんだえ! そして僕たんの新しい妻を取り戻すえ! 行け! 行け!」

 

 味方であるはずの海兵を銃で撃ち、その上でさっさと行けと命令する天竜人……

 マジで無茶苦茶。海兵達もよくあんな奴の言う事聞くよな。反旗とか翻したりしないんだろか?

 

「はぁはぁ、てか……天竜人になんか構ってられねぇ……もう十分時間は稼げただろ。そろそろ逃げよう……!」

 

 俺の小ささと足の速さなら、なんとかこいつらの目を欺いて逃げ出す事が出来る……と思う。

 とにかく、これ以上海兵が増える前に、この場から撤退しないと……

 そう思った次の瞬間──

 

 ピカッ ドォオオンンッ!!

 

「うおおおおおーーっ!?」

 

 一瞬何かが光った。そう思った次の瞬間には爆発。なんだ!? 何が起こった!?

 ついさっきまで俺が立っていた場所の、半径10メートル以上が吹っ飛んでしまった。

 

「オー……今のを避けるか……なかなかやるねェ〜……」

 

「!?」

 

 光が飛んできた方を見てみると、そこには身長3メートルはありそうなグラサンパンチパーマオヤジがこちらに指を向けて突っ立っていた。

 なんだこいつ? 組長先生か? そう思っていたら天竜人の野郎が騒ぎ始めた。

 

「遅いえ! 黄猿! 大将の癖に! とっととそいつを捕まえるんだえ!」

 

 大将……大将?

 

「はあっ!? 大将って、まさか海軍大将!?」

「……初めましてェ、おチビさん。わっしは黄猿……今からあんたを捕まえるので、どうぞお気をつけなすって……」

 

 前にシャッキーに教えてもらった。

 海軍で一番偉いのが元帥で、その一個下にいるのが大将。

 大将は海軍の中でも最高戦力と呼ばれていて、恐ろしい程強いんだって。

 あのシャッキーが恐ろしいって言うレベル。うん。超やべぇ。

 

「大将はマズい、流石に拙い……! 今すぐ逃げなきゃ──」

「オー……近くでみると、小ささがよく分かるねェ〜……」

「──ェえ゛ええ!!?」

 

 逃げようと思った次の瞬間、何かがピカッと光って、気が付いた時にはすぐ目の前に黄猿が立っていた。

 顎に指を置き、まじまじと俺の事を観察している……って、いや待て!

 さっきまで向こうにいたよな!? 100メートル以上は離れていたよな!? どうやって一瞬でこっちまで移動してきたよ!?

 

「ぐ、くそ……! トンタッタコンバット・しっぽハンマー!!」

 

 とりあえず攻撃だ! 俺は黄猿に向かって尻尾を振り下ろす……が。

 

「……効かないねェ〜……」

「は?」

 

 俺の攻撃は……黄猿の体をスルリとすり抜けた。

 まるで触れないホログラムに攻撃したような感覚。

 

「わっしは“ピカピカの実”の光人間……自然系(ロギア)だからね……」

「ま、また悪魔の実かよ! どいつもこいつも……!」

「光の速度で蹴られた事はあるかい?」

「は? ある訳な……」

 

 ドゴオオオンッ!!

 

「!!!」

 

 見えすらしなかった。

 気が付いたら蹴られていた。

 そして吹っ飛んで、民家に激突していた。

 

「がっはぁ……うが、い、いでぇえ……!!」

「オー、小さいのに案外頑丈だねェ……」

「!!」

 

 吹っ飛んだ先に黄猿がいた。いや待て待て待て! いつの間に回り込んだ!? 早すぎる! 速度が自慢の俺が何の反応もできな……

 

 バキィイイッ!!

 

「ふげぇええ!!!」

 

 また蹴られた。腹にモロ入れられた。血反吐を吐きながら俺は吹っ飛ぶ。

 ダメだ。これはあれだ……レイさんと同じだ。勝てるヴィジョンが全く見えない。このまま戦ったら100%殺される。

 

「げはっ……ぐふ……!」

 

 何か弱点……弱点を見つけないと。

 火なら水、水なら草、草なら火。ポケモンだってそうなのだ。奴にも絶対弱点はあるはず……

 あいつは言っていた。自分は光人間だと。光タイプの弱点てなんだ!? 分かんないよ!!

 

「はぁはぁ……ぐぞ……」

「もぉ〜、終わりかい〜?」

「……も、元はと言えば……あそこの天竜人が……お、俺の友達の両親を、はぁはぁ……殺したのが始まりだ……! 悪いのは向こうだ、逮捕するなら向こうにしろよ……」

「……悪いけどねェ、天竜人の言う事は絶対なんだよォ〜。彼らがきみを捕まえろって言うならわっしはきみを捕まえなくちゃならんし、殺せと言うなら殺さなくちゃァいかん……」

「……!!」

 

 情に訴えかける作戦、失敗! 畜生!

 考えろ……! 考えろ、こいつの弱点。

 悪魔の実の能力者なら海に落とせば終いだけど……そもそも触れない奴を海に叩き落とすなんて出来る訳がない。

 逃げても光の速さで追いかけられる。攻撃力も最強クラス。

 勝てない、逃げられない、情に訴えても無駄……一体どうすれば……

 

「おい! 何を遊んでるんだえ! さっさとそいつを始末するんだえ! 思いっきり足で踏み抜いて殺してしまえ!」

 

 向こうで天竜人がギャーギャー騒いでる。

 ついに殺しの命令出しやがった。マジで腹立つクソが……!!

 

「オー……悪いねェ……天竜人からの命令だ。わっしは逆らえない」

 

 仰向けに寝転がる俺に向けて、黄猿が足を振り上げた。光の速さで踏まれたら、流石の俺でも死んじゃうだろな……

 

「さァ〜……今死ぬよ〜……!!」

 

 ……どうでもいいけど、こいつの喋り方まどろっこしいよな。

 光人間の癖に、行動がいちいち間延びしているというか……とろっこいというか。

 自己紹介したり、忠告してきたり、自分の能力について明かしたり……

 聞く耳持たずでいきなり銃ブッパしてくる天竜人と比べると、一応会話はしてくれるんだよな。こっちの意見を聞いてくれないだけで……

 あくまでも天竜人第一っていうか……ん? これか弱点は!!

 

「ぜぇぜぇ……お、おい黄猿……!」

「ん〜……?」

「お前、その足……裏にウンコ付いてるぞ……!」

「えぇ、本当かいィ〜?」

 

 俺のウンコ付いてる発言に、黄猿は自分の足の裏をチラリと確認した。

 

「嘘じゃボケぇ!!」

 

 アホみたいな隙を付いて、俺は黄猿の足下から這いずり出る。会話が通じるってのはこういう事さ!

 

 後はこの状況からどうやって逃げ出すかだけど……

 

「に、逃がすな! 蹴り殺せ!」

 

「!!」

 

 天竜人が黄猿に向かってそう叫ぶ。これだ! これを利用出来なかったら俺は死ぬ!

 俺はダッと角度に狙いを付けて飛び上がった。

 

「おぉっと……逃さないよォ〜……」

 

 黄猿の足が光る。ここだ! この攻撃は正面から受け止めなければならない。なんとか耐えるんだ! 頑張れ俺!

 我流・トンタッタコンバット・しっぽガード!!

 

 バギィイイッ!!

 

「ぐごは……っ!!」

 

 黄猿の攻撃により、俺は勢いよく吹っ飛ばされた。

 だけど、ふへへ……

 そう、この角度だ……! 俺は狙い通りの方向に蹴り飛ばされる事に成功した。後は体のひねりで微調整してやれば、よし! 俺は天竜人のすぐ近くへと着地する事が出来たのであった。

 

「ふ、ふげ……ふへ……へ……!」

「なっ!? なっ!?」

 

 一気に目と鼻の先の距離まで近付いてきた俺に、天竜人は驚愕の様子。

 黄猿は、天竜人の方に飛ばしちゃうなんて、うっかりしてたねぇ〜と一言。

 お前のその間延びした性格! それが命取り!

 

 パァンッ! パァンッ! と天竜人が俺に向けて銃を発砲してくる。そいつを回避しながらそのピストルを叩き落とす。

 そして俺は、天竜人の太ももへとしがみついた。

 

「オラァァ!!」

「あ、こいつ……!」

「動くな!!」

 

 ビシィンッ!

 

「──ッォオうぅッ!!?」

 

 そのまま俺は、天竜人の股間を尻尾でしばいてやった。悶絶する天竜人。ざまあみさらせ!

 

「おらぁ! 黄猿! 聞こえるかぁ!?」

 

「……」

 

「ち○ぽ頭は人質に取った! おとなしく降伏せよ!」

 

「……」

 

 黄猿がこっちに指を向けた。ピカーっと指先が光るも、すぐに光はおさめられた。

 そうだ。お前のその強過ぎる攻撃力だと、俺と一緒に天竜人まで貫いちまうもんなぁ? だからその光ビームは撃てないよなぁ?

 

「な、何してるえ! 黄猿! さっさと僕たんを助けろ! 僕たんに纏わり付くこのウジ虫をすぐにころ……」

「オラァ!!」

「ホデュア─────っ!!!!」

 

 服の上から、天竜人の金玉を、ギュギュッと握り締めてやった。

 

「勝手な言葉を喋ったら……このまま握り潰すぞ……! お前のロリコン遺伝子が後世に残せなくなるが、それでもいいのか? ちなみに俺は全く構わない」

「───ッ!! ──ッ!! 〜〜ッ!!」

 

 天竜人は涙を流しながら俺を睨み付ける。

 

「俺の言うとおりに黄猿に命令しろ。まず、海の中に入れと言え」

「お、お前……こんな事してただじゃ……」

 

 ギュウウウッ

 

「ホデュッ!? ホデュッ!? アッア───!!」

「3秒以内に海の中に入るように黄猿に命令しろ。じゃないとまず右のを潰す! 3、2、い……」

「き、きざッ、黄猿ゥ!! めめ、命令だえ! 海の中に飛び込め! 早くしろ! 早く! は、早くぅうーーッ!!」

 

「…………こざかしい真似を……」

 

 黄猿の顔色が変わる。さっきまでの剽軽な表情から一変して、ギロリと怖い顔になり、俺を睨み付けている。

 ふへへ、一切の攻撃も当てられない、取るに足らないザコチビだと思って油断しまくっていただろ……

 天竜人を人質に取られるとは思わなかったか? 甘いんだよ……!!

 

「き、きざ、きざるぅう!! 早くするんだえ!! 海へ飛び込め!! 今すぐ!!」

 

「……」

 

 黄猿はゆっくりとマングローブの根から下に降り、海に向かってズブズブ沈んでいった。

 肩から下まで、ガッツリと海の中に浸かったところで、俺は黄猿に一番近い位置にいた海兵を指差す。

 

「次! お前!」

 

「え!? 俺……?」

 

「そう! お前……黄猿を殴れ!」

 

「え゛」

 

「黄猿が行動不能になるまで、ボコボコのボコに殴りまくれ!!」

 

「ええーーッ!?」

 

 

 海兵は「えっ!? えっ!?」と黄猿と俺と天竜人をグルグル見回しながら混乱している。

 だが考える時間は与えない!

 

「早くしろ!!」ギュウウウッ

「ホデュ……だア゛ア゛ーーッ!!! アアアアアア!!! そ、そごの海兵ィイ!! 言われた通りにするんだえぇ!! 黄猿を殴れ! 早くぅうう!!」

 

 黄猿と天竜人との板挟みに、もはや泣きそうになっている海兵。その海兵に向かって、黄猿はゆっくりと笑いかけた。

 

「早くやりなァー……ボッゴス少尉……天竜人の命令だ」

「し、しかしボルサリーノ大将……」

「……わっしは気にしねェからよォ……」

「す、すみません……!! 大将……!!」

 

 ボッゴス少尉というらしい海兵は、黄猿の顔を、何度も躊躇したあと、バキッと……殴り付けた。

 

「…………!!」

 

 いくら攻撃をすり抜ける光人間とはいえ、悪魔の実の能力者。

 海に浸かっている状態なら、回避する事は不可能だ。しかもガードする事すら許されないこの状況……

 ボッゴス少尉の拳が、何度も何度も黄猿の顔を殴り付ける。

 

 よし! もっとやれボッゴス! それは俺が黄猿に蹴りを入れられた分! それも蹴りを入れられた分! それも蹴りを入れられた分! それは踏まれかけた分!

 

 

「……!! ……!! ……!!」

 

 バキッ ボカッ ドムッ

 

「すみません、黄猿さん……すみません……!!」

 

 号泣しながら黄猿を殴り続けるボッゴス少尉。

 ……うん……なんかそろそろ悪い気がしてきた。

 黄猿の顔面もパンパンに腫れてきてるし、そろそろいいかな……

 

 俺は天竜人の金玉から両手を離した。

 

「……っ! はぁはぁはぁはぁ……! た、助かった……潰されるかと思ったえ……!!」

 

 まだ助かってねぇよ……

 俺は天竜人の胸ぐらを掴み上げる。

 

「え……?」

「我流・トンタッタコンバット・ジャパニ〜ズ一本背負い!!」

「どぉわあああーーっ!!?」

 

 そのまま俺は天竜人を海に向かって思いっきり投げ飛ばした。

 そして投げ飛ばしたのとは逆の方向へと、全力ダッシュして戦線を離脱する!

 

 ダッシュしながら、チラリと背後の様子を確認してみると、海から飛び出した黄猿が天竜人を空中で華麗にキャッチしていた。

 うわぁ……あんなにボコボコになってるのに、あの身のこなし……腐っても大将……

 念の為だったけど、天竜人投げ飛ばしといて良かった。

 そのまま逃げてたら、その瞬間、陸に上がった黄猿に一瞬で追い付かれて殺されていたかもしれない。

 

 だけど俺はやってやったぞ! 大将を出し抜いた!

 

 天竜人にかかりきりになっている黄猿を尻目に、俺は41番GR(グローブ)を脱出し、念の為いろんなGR(グローブ)をグルグルと回ってから、見事シャッキーの店へと帰還する事に成功したのだった。

 ふへへへ、ざまーみろ……

 あー、疲れた……

 

 

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 

 

「オー……痛てて……見事にしてやられちまったねェ……あの小人のボーヤ、やるじゃないか……もし次会った時は……手加減しないよォ……」

 

 

 

 




大将との戦い書くの楽しかった〜。
次話はたぶん金曜日……かな? たぶん。

高評価、感想で応援していただけたら嬉しいです。頑張ります。
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