ドレスローザの王様が、リク王からドンキホーテ・ドフラミンゴって奴に、8年も前から変わっていた……
その事実を知らされた俺は、その日はもうずっとその事について考えっぱなしだった……
(リク王が国民を襲った……そんな事があり得んのか? 800年間ずっと平和だった国だぞ? 今更なんでそんな事を……? 七武海が新しい王様って……皆は今どうなってる……!?)
ドレスローザの事で頭がいっぱいで、その日はもう丸一日仕事が手に付かなかった。
思考はぐるぐるぐると回り続け、答えの出ないクエスチョンに悩まされ続ける。
皆が無事なのかどうか……それだけでいいから知っておきたい。
そうして一日が過ぎ、その日の夜……
「あの、お兄さん」
「…………どした? エスネ」
いつも通り自室にてエスネと二人でいると、彼女は真剣な表情をして俺の前へと正座で座った。
何だと思って顔を上げてみると……
「お兄さんは、ドレスローザに……戻りたいんですよね?」
「!!?」
俺の悩みの、ちょうどど真ん中を撃ち抜いてきやがった。
「や……え? エスネ、な、なんでそう思うんだ?」
「お兄さんて分かりやすいから、顔色見てればすぐ分かります」
「そ、そんなに分かりやすい……? って、そじゃなくて! 俺は別にドレスローザに帰りたいだなんて思ってないぞ! デカデカの実を手に入れるまでは決して帰らないって、そう言って出てきたからな! ふへへへ……」
「嘘つかなくていいですよ。ドレスローザの王様が、自分の知らない間に変わってて、それで不安になっちゃったんですよね」
「う……」
「故郷に残してきた、ヴィオラさんやモネさん、小人の仲間達が今どうしてるのか……心配になっちゃったんですよね」
「……」
「お兄さん優しいから……すぐ分かっちゃいましたよ」
何だこいつ……
俺の思考、お見通しじゃないか。ウサウサの実じゃなくて本当はギロギロの実なんじゃなかろうか……
「お兄さんを今この島に縛り付けてるもの。それはデカデカの実を手に入れる決意じゃなくて……私の為、なんじゃないですか?」
「え……」
「私が大人になるまで、私の面倒を見てくれるっていうあの約束を守る為に、お兄さんは今ここにいる……違いますか?」
違うって言ったら……嘘になるな……
「お兄さん、私もう18歳ですよ? 大人になりました。だからもう……私の事なら大丈夫です」
「大丈夫と言われても……」
ついこないだもマリージョアに攫われたばっかりだからな……
ドレスローザもエスネも、どっちも心配だ。
俺がムムム〜っと唸っていると、エスネはぷぅっと頬を膨らませた。
「あーもう! お兄さん! これでもまだ私の事を子供扱いするんですか!?」
「へ?」
俺の事をヒョイッと摘み上げたエスネ。
彼女はそのままクイッと自らの胸元を広げると、俺の事を、その深い谷間の中へ……ムニュ〜♡ っと仕舞い込んでしまった。
「もがっ!? ちょ! エス……もごごごっ!?」
「わ、わたしのおっぱ、ぃ………お兄さんの全部、つ、包み込めちゃうんですよ? ほら……! お、大人でしょ? 大人だって認めろ〜、大人だって認めろ〜……むにゅむにゅ〜!」
「柔らっっか……! ちがっ! おほっ! ふへ、ふへぇえ……あ゛っ!? ま、待て! エスネ! このままじゃ俺! 理性がもたない! だだだ、出して!」
「なら! 私の事! 大人だって認めますか? 認めないんなら……一生このままです!」
「おごごご!? わ、わがった! 分かったから離して! ナニがとは言わんが暴発しそうだからっ!!?」
俺はふらふらとエスネの胸の谷間から脱出した。
「はぁはぁはぁはぁ……!」
「はぁはぁはぁはぁ……」
やっべぇほど興奮した。
見るとエスネの顔も信じられないくらい真っ赤になっている。そんなに恥ずかしいならするなよ……
ごちそうさまでした。
「……はぁはぁ、分かったよ。お前はもう大人だ。子供には出来ないパイ使いだった」
「ぅゅ……勢いだけでとんでもない事してしまいました……恥ずかしすぎて死にそうです……」
「……」
今まで単なる妹だと思ってた女の子が、急に魅力的な女性に見えてきてしまう。
よし、こうなったらやる事は一つだな。
「エスネ、お前を大人の女と見込んで……一つお願いがある」
「!? は、はいっ! なんでも言ってください!」
「おっぱい……」
「え?」
「もっかい挟んでください! さっきはいきなりで日和っちゃったけど、今度はあらためて堪能させてもらうから! 全力で!」
「お兄さんのエッチ!」
二度目のぱふぱふはありませんでした。残念。
……
次の日、俺はシャッキーとレイさんに、シャボンディ諸島を出て故郷であるドレスローザの様子を見に行きたいという話をした。
二人とも真剣に俺の話を聞いてくれて、そして納得してくれた。俺が海へ出ている間、エスネの事は二人が責任持って預かってくれるってさ、ありがたい。
「そうか……行くのか、ライン」
「ラインちゃんがいなくなると寂しくなるわね」
今までお世話になりました。ペコリとお辞儀。
よし! ではいざドレスローザへ!
「ところでラインちゃん。あなたドレスローザまではどうやって行く気?」
「へ……?」
そういや、どうやって行けばいいんだ?
この世界には
そしてシャボンディ諸島は
前半の海から後半の海へ移動する為には、
「
「……あの高さを軽々越えていける事についてはもう突っ込まないけど、マリージョアを横切っていくのはもう不可能に近い事だけは教えておいてあげるわ」
「え? なんで?」
「あなた達が先日起こした事件のせいで、マリージョアの警備が強化されたらしいの。だから
「そんな……」
ドレスローザに帰れない。
「シャッキー! どうすればマリージョアを横切らないで新世界に行けるかな!?」
「そうね……一番確実な方法は、
「下?」
シャッキーが言うには、
一つは天竜人の許しを得て、マリージョアを横切らせてもらうという、上から行くルート。
もう一つが、船で海の中を潜っていき、海底1万メートル辺りにあるという“大穴”をくぐっていくという、下から行くルート。
「……いやいや、船で海底を潜っていくって……どうやるんよ? 潜水艦とか使うの?」
「普通の船でもシャボンでコーティングしていけば海の中を潜っていけるわ」
「コーティング?」
そういやレイさんの本職はコーティング職人だって、前に聞いたっけ……
あまりにも仕事してなさすぎて忘れてたけど……
チラリとレイさんの方を見てみると、ドヤ顔で頷かれた。……俺は視線を外した。
「船で行けるっていうのは分かったけど、俺……船なんて持ってないよ」
「……そうね、ちょっと待ってて」
「?」
シャッキーが店の奥へと引っ込んでいく。そして数分経たずに戻ってくると……
「これ使って」
ドンッ!!
「!!?」
カウンターの上に札束の山がドカッと乗せられた。なんじゃこりゃ!? たぶん1000万ベリー以上はあると思う……
「な、何このお金……シャッキー?」
「全部あなたのお金よ。ラインちゃん」
「へ?」
「ラインちゃんをこの店で雇った時、最初に言ったわよね? お給料は、1年で200万ベリーだって」
「そういや……そうだったっけ……?」
「借金の400万ベリーは最初の2年で返してもらって、それから6年も働いてもらってるから……ラインちゃんへのお給料は、200万×6年で、1200万ベリー」
「え? まさか……ずっと、用意してくれてたの?」
「まあね、このお金で自分の船を買うといいわ。ラインちゃんサイズの船ならこれで十分なはず」
……この6年は、俺のワガママで働かせてもらってたというのに……
それなのにシャッキーは、俺の為にずっと貯金してくれていたのか……
まるでお年玉を勝手に預かる母親のように。
「うわーー!! ありがとうシャッキー! 恩に着るー!」
「お礼を言う必要はないわ。今まで働いてくれた、正当な対価だもの」
「ママーーッ!!」
「よしよし……」
本当に優しくて面倒見のいい人だ。マリージョアから落っこちた時、最初に流れ着いたのがこの人の所で本当良かった。
いつかガッツリと恩返ししたいね。
……
シャッキーからお金を受け取った俺は、52番
そこで船の製作を依頼するのだ。
お尋ね者である俺が依頼しても大丈夫だろうか? そんな風に心配もしていたが、金さえ払えば海賊だろうがなんだろうが船は作って貰えるんだって。
肝が据わってるね。
「小人サイズの船か……それなら材料費もそこまで掛からないし、1200万もあればそこそこ良い船が出来ると思うぜ! 兄ちゃん!」
「ありがとう。造船所のおっさん!」
「ただし、他の依頼も混み合ってるからな。小人の兄ちゃんの船は完成までに数ヶ月はかかると思ってくれ」
「オッケー! ありがとおっさん!」
造船所で船の製作依頼をしてきた俺は、再びシャッキー'S ぼったくりBARへと帰ってきた。
船が完成するまでの数ヶ月……その間に俺が出来る事といえば……
「レイさん!」
「ん? どうしたライン」
「俺に! 戦いの修行をつけてください!」
「……ほぉ」
ドレスローザで何が起こっているかは分からないけど、もしも最悪な状況となっていた場合……
俺に力があればそれを解決出来るかもしれない!
この前青キジと戦った時だって、俺に出来た事と言えば必死で逃げる事だけ……攻撃は全部エスネの『覇気』? ってやつに頼りきってた。
だからこそ俺は……!
「船が完成するまでの数ヶ月で、俺は劇的にパワーアップする必要がある訳で……だからレイさん! 俺に“覇気”を教えてください!」
「たった数ヶ月で覇気の習得か……フフ、中々無茶を言う」
「やっぱ……無理かな……?」
「普通なら無理というところだが、ライン。きみはもうすでに、無意識にだが覇気を使いこなしている」
「へぁ?」
「見聞色の覇気はそこそこに、武装色の覇気も……きみはもうその領域に片足を突っ込んでいると言っていいだろう」
「?? よく分かんないけど、とりあえず俺には才能があるって事?」
「まあ、そうだな。シャッキーがそれとなくきみとエスネに覇気修行を積ませていたというのもあるだろうが」
「そう、だったの……!?」
そういやここ数年、客をボコしてぼったくる時、シャッキーはよく俺の戦いに口を出してきていた。
「もっと気配を読んで、目を瞑りながら戦ってみなさい」とか「見えない力を集めるイメージをしながら攻撃してみるといいわ」とか……
なんのこっちゃって思ってたけど、あれって全部、覇気の修行だったんだ……
俺はグッと握りこぶしを作った。
強くなる……強くなるんだ!
「基礎はもう出来ている。数ヶ月ぽっちで覇気のコントロールが出来るようになるかはきみの努力しだい。私の修行は相当に厳しいが……投げ出さずについてこれるか?」
「押忍ッ!! よろしくお願いします! レイさん!」
「……ダメだ」
「え?」
「『お願いしますお父様!』だ。……いや、お父さん……パパも捨てがたいな……」
「……お願いします。クソオヤジ!」
「…………………」
こうして俺の覇気修行は始まった。
この小説を書く為にdアニメストア入りました。
改めてワンピースのシャボンディ諸島編見てる。レイさんイケボ! ところ天の助と同じ声とは思えないね!