デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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リストラック

 あれから数ヶ月が経った……

 

 レイさんからの覇気修行を受け! 覇気修行を受け! 覇気修行を受けまくり……!

 そうして俺は、なんとかレイさんから、免許皆伝をいただく事に成功したのだった。

 

「ふむ、ここまで覇気の色が偏る事も珍しいが……とりあえずは十分だろう」

「よっしゃーー!!」

 

 覇気の種類は主に三種類。

 『武装色の覇気』、『見聞色の覇気』、『覇王色の覇気』の三つ。

 

 武装色は主に攻撃用の覇気。

 纏う事によって攻撃力、防御力をアップする事が出来る。使いこなせれば体の一部を黒鉄色に硬化させたり、物体の内部破壊とかも出来るようになるらしいが……俺はこの覇気がどうにも苦手で、今の所は自身や手持ちの道具に纏わせるだけで精一杯である。

 まあでも、これで自然(ロギア)系の能力者にも攻撃が当てられるようになったらしいので、ギリギリだけど合格点……だってさ。

 

 そんで次に見聞色。気配察知の力。

 これは俺、かなり得意であった。まあドレスローザ時代から人の気配を読んでパンツとかブラジャー盗みまくってたからな! 人生何がどういう所で役に立つか分からないね。

 意識を集中すれば数秒先の未来だって予測出来る。未来視! かっこいいね!

 

 最後に覇王色。

 これは数百万人に1人だけが扱える特別な覇気なんだって。……残念ながら使えなかったので、これについてはノーコメントで。

 悔しくなんかないんだからね!

 

「大丈夫だライン。覇王色が使えなくとも、きみは私の自慢の弟子……いや、自慢の息子だ! 見聞色だけなら四皇幹部にも引けは取らないだろう。もっと自分に自信を持ちたまえ」

 

 覇王色持ってるレイさんに言われても慰めにはならないんだけど……

 

 

 ……

 

 

 そんなこんなで覇気修行を終えた俺。

 

 そんな俺の元に、依頼してあった船がようやく完成したとの報告がやって来た。

 

「ついにキタかっ! 俺の船!」

 

 修行も終えたし、船も出来た。これでようやくドレスローザに出発する事が出来る。

 うきうき気分で52番GR(グローブ)造船所へとやって来た俺。さあ、どんな船ができたのか〜?

 

「どうだい? 兄ちゃん。中々良い船だろう?」

 

 ドヤ顔で完成した船を見せびらかしてくる造船所のおっさん。

 うん……良いと思うよ……

 ちゃんと小人サイズの船だし、しっかりしてる。でも色々とツッコミどころもあるんだ……

 

「まず何で船首が“リス”なんだよ!?」

 

 船の一番先っちょ。そこについているオブジェクトが、何故だがディフォルメされたリスの形をしているのだ。

 

「かわいいだろう?」

「かわいいけども! 船にかわいさはいらんだろ!?」

 

 ツッコミどころはまだあるぞ!

 

「船底にタイヤが付いてる!」

「ああ、水陸両用なんだ。この船は陸上も走れる。お得だろ?」

 

 船が陸を走る意味が分からない。

 

「極めつけはこれだ! 何で帆にドクロのマークが描いてあるんだ!?」

「だって兄ちゃん、海賊になるんだろ? ならドクロのマークは必須だろう。デザインは俺がしといてやったからさ!」

「いらねぇよ! そしてならねぇよ! 海賊なんて!!」

 

 俺はただドレスローザに帰る用の船が欲しかっただけなのに、なんでいらん事してくれるの!?

 

「直せ! リス消してドクロも消せ!」

「直して欲しいなら別途で料金かかるけどいいかい?」

「ぬおああーー!? なんじゃそりゃあ!?」

 

 仕方がないのでこのままのデザインでOKを出した。

 しょうがない……お金はほとんど使っちゃったのだから……

 

「これが俺の船か……」

「名前は『リストラック号』だぜ、兄ちゃん」

「勝手に名付けんなよ……」

 

 まあとにかく、船は手に入った。

 気に入らないところは多々あるけど……そこは妥協!!

 デザインなんて二の次。問題なのはちゃんと航海出来るかだからな。

 

 そんな感じで遠巻きにジト目でリストラック号を眺めていると……

 

「おお、これが新しく完成したラインの船か。……リスだな」

 

 工具片手にレイさんがツカツカとやって来た。

 レイさんには予め、船が完成したらシャボンコーティングしてもらう約束をしていたのだ。

 この数ヶ月、覇気修行に付き合ってもらったりと色々お世話になりっぱなしだな。

 ……いつかかならず恩返ししよう。

 

「それじゃあさっそくコーティング作業に入らせてもらうぞ。ライン、コーティングには2〜3日かかる……いや、この大きさなら1日でいけるか?」

「ありがとレイさん。その辺はプロにお任せしますよ」

「ああ、任された」

 

 コーティングをレイさんに任せて、俺は一旦シャッキー'S ぼったくりBARへと戻るのだった。

 

 

「あ、お兄さんおかえりなさい」

「おかえり、ラインちゃん。船完成してた? どうだった?」

「うん。リスだった」

「リス?」

 

 とりあえずコーティングが完成するまでの1〜3日は暇になってしまった。

 その間は覇気の修行もお休みして、ゆっくりしてよっかな。

 

「悟空も修行の最後はゆっくり休むべきとか言ってたし」

「ごくうって誰です?」

 

 エスネが切ってくれたウサギリンゴをシャリシャリと食べながら、俺はドレスローザを飛び出してからの8年間を振り返る。

 うん……思えばほとんどシャボンディ諸島にいたな。

 結局デカデカの実は見つからなかったけど、ドレスローザの安否が確認出来たら、またデカデカの実探しの旅に出掛けよう。

 

「……それでお兄さん、船のコーティングが終わったら、いよいよ出発ですか?」

「そだな。エスネの切ってくれたリンゴを食べるのも、これが最後かもな。ふへへ」

「……私を連れていけば、毎日お兄さんの為にリンゴ切ってあげますよ?」

「言ってるだろ。これは俺のワガママ。だからエスネは連れていけない」

「……」

 

 ここ数日、エスネはなんとかして俺の旅についてこようとしている。

 危険な旅になるかもだから、連れてはいけないって何度も言ってるのに……

 

「わ、私……! ウサギなれば小さいから、お兄さんの船に乗れますよ!」

「船に乗れるからってついてきちゃダメ」

「料理も洗濯も、雑用なんでもやりますよ!」

「それでもついてきちゃダメ」

「戦闘だってこなせます! お荷物にはなりません!」

「ダ〜メ」

「おっぱい……好きなだけ揉んでいいですよ?」

「………」

 

「ラインちゃん、そこで止まるのはカッコ悪いわよ」

 

 おのれ、おっぱいを使って交渉してくるとはちょこざいな……

 最近のエスネは色仕掛けを覚えてしまった。気が付くと胸チラしてくるのだ。……他の男にするんじゃねーぞったく。

 

「シャッキー、新聞ちょーだい」

 

 リンゴを食べながら、俺は片手をぱたぱた伸ばす。

 

「はいはい。あれだけ新聞嫌いだったラインちゃんが、ようやく情報収集の大切さに気が付いてくれて、お母さん嬉しいわ」

「……」

 

 数ヶ月前の、七武海がどーたらこーたらの記事を読んでからというもの、俺は毎日新聞に目を通すようになった。

 もしかしたらドレスローザの記事……もしくはドフラミンゴについての記事が載ってるかもしれないからだ。

 ……今のところ、大した収集はないのだが……

 

「えーっと、“キャプテン”キッド。またもや民間人を虐殺……ね。は〜、トップニュースはまた海賊か……」

 

 流石は海賊時代というか……なんというか……

 新聞の一面を飾るのはいつだって海賊による被害報告ばっかり。

 

 “キャプテン”ユースタス・キッド。

 “麦わら”モンキー・D・ルフィ。

 “魔術師”バジル・ホーキンス。

 “赤旗”X・ドレーク。

 “死の外科医”トラファルガー・ロー。

 

 特にこいつらは新聞での常連海賊である。いかれたルーキーとよく話題になってる。おー、怖い怖い。

 

「うふふ、麦わら海賊団の記事は何度見ても面白いわね」

「……」

 

 海賊が起こした大事件ニュース……

 そんな記事を読みながら、くすくす笑っているシャッキー。

 ……控えめに言ってドン引きである。

 何をトチ狂っているのか、この人、海賊相手に『推し活』するのが趣味なんだと。

 最近のお気に入りは麦わら海賊団らしい。

 

「うん。シャッキーのこの趣味だけはホント理解できないわ」

「ですねぇ……」

「ちなみにエスネは推しの海賊とかいたりしないよな?」

「え? 私は……そうですね。“不可視の怪盗”が推しですかね」

「俺じゃねぇか!! 海賊じゃねーよ!!」

「あはは!」

 

 そんな感じで、皆で新聞読みながらワイワイしていると、店の入り口扉がカランカランと開いた。

 お客さんかな? 一旦隠れよう。そうして物陰から入店してきた客をこっそりと覗いてみると……

 

「ニュ〜〜。レイリー、シャッキー、いるかー?」

 

 おでこに絆創膏を貼り、8と書かれた服を着た、口がニュ〜っと長い、そんな男が店の中に入って来たのである。

 魚人……かな? たぶんタコの。

 そんなタコさんを見て、シャッキーが目を輝かせる。

 

「あら、はっちゃ〜ん!? 10年ぶりくらい? 久しぶりじゃない!」

「ニュ〜〜、ごぶさたしてんな〜、シャッキー」

 

 どうやらシャッキーの知り合いらしい。

 10年ぶりとか言ってるし、俺が店で働き始めるより前の常連客……とかかな?

 そしてそんなタコさんには連れがたくさんいた。

 

 可愛い人魚の女の子。

 帽子をかぶったブサイクなスタフィー。

 帽子をかぶった可愛いタヌキ。

 アフロなガイコツ。

 麦わらのルフィ。

 

 うん……

 

「ガイコツが動いてるぅううーーッ!!?」

 

 気が付いた時には、俺は叫び声を上げていた。

 いきなり店へとやって来た話題の海賊、麦わらルフィに……ではなく、その後ろを平然と歩いている、アフロなガイコツに対してだ。

 

「なんだ!? 今の声、どっから?」

 

 俺の声に、麦わらのルフィは辺りをキョロキョロと見回す。

 しまった。思わず声出しちった。

 ガイコツくらいで俺は何を慌ててるんだ。あんなの悪魔の実の能力者に決まってんだろ。ホネホネの実のガイコツ人間だ。

 

 そんな感じで、謎の反省会を心の中でぼそぼそ開いていると……

 

「そこだー!」

「うおおーー!?」

 

 麦わらのルフィの腕が、いきなりビヨーンと伸びてきて、俺の体をガシリと鷲掴みにしてきやがった。

 なんだよ、こいつも能力者かよ! 俺の姿が麦わら達の眼前へと曝け出されてしまった。

 

「ぐぬぬ……初見で俺を見つけ出すとは、中々やるな! 麦わらのルフィ!」

「なんだこいつ? ちっせぇー。ぬいぐるみか?」

「誰がぬいぐるみだ!!」

「ぶへェっ!?」

 

 いきなり失礼な事を言い出しやがったので、覚えたての武装色の覇気でしばいてやった。

 

「痛ってぇ! おれゴムなのに!? 何なんだよお前は!?」

「俺か? 俺の名前はライン! 見ての通り小人である!」

 

 わー!? 小人ー!? 初めて見たー!? と、群がってくる麦わらの仲間達。

 いや、俺なんかよりお前らのがよっぽど珍しい生物だろうが……

 特にヒトデとタヌキとガイコツ。

 

「ニュ〜〜。それでシャッキー、こいつらは何なんだ?」

 

 服の中に隠していたたくさんの腕をニュルっと出して、タコの魚人が俺とエスネを指差してきた。

 

「うふふ、そうね……何だと思う? はっちゃん」

「…………バイト?」

「残念。私とレイさんの子供よ」

「ニュ〜〜〜〜ッ!!?」

 

 はっちゃんと呼ばれたタコは、これでもかってくらい目玉を飛び出させて驚いている。

 いや、そりゃ驚くだろうよ。せめて義理のってつけようよ、シャッキー。

 

「そ、そうだったのか。おれの名ははっちゃん。『ハチ』と呼んでくれ。お前らの両親とはちょっとした知り合いよ」

 

 そう言って俺とエスネに右手と右手を伸ばしてくるはっちゃんことハチ。

 とりあえず握手。ハチの小指をギュッと握る。

 

「俺の名前はライン。しくよろ、ハチ」

「え、エスネです……よろしくお願いします。ハチさん……」

 

 まあシャッキーの知り合いなら、とりあえずこいつは信用しても大丈夫だろう。

 それよりも……

 

「もぐもぐもぐもぐ」

「あ、シャッキーさん。この煮豆、美味しいですねー」

 

「お前らは人ん家の冷蔵庫を何勝手に漁っとるかぁーッ!?」

 

 ふと目を離した隙に、麦わらとガイコツがうちの冷蔵庫を開いて、中の物を勝手に食べていた。

 

「あはは……いいわいいわ。好きにやって。はっちゃんのお友達からお代は貰わないから」

 

 と、シャッキー。

 俺が冷蔵庫勝手に漁った時は、2年間もタダ働きさせてきたくせに……

 

「てかガイコツ! お前食べた物どこいってんだよ!?」

「ヨホホホ! 不思議でしょー? 私、胃袋無いのに! ヨホホホホ〜!」

 

 ガイコツの癖にやたらと明るい奴だ。逆に不気味……出来れば関わり合いになりたくないな。

 そんな風に思っていたら……

 

「ヨホホホ……ホ?」

 

 ガイコツの目が、エスネを視界に捉えた。……いや、ガイコツだから目玉は無いんだけど……

 

「そこの麗しきお嬢さん」

「え? わ、私……ですか?」

「……」

「……」

「パンツ見せて貰ってよろしいです……ガバッ!?」

 

 エスネの無言の蹴りが、ガイコツの顔面へとヒットした。

 ……うん。なんだろ。唐突にこのガイコツに親近感がわいてきてしまった。男のスケベさは人種を越える。

 

「ヨホホ…ゴホッ……手厳シィーーッ!」

「何なんですか!? この骨さんは!」

「ぱ……パンツ……」

「見せません!!」

「……ちなみにこれがエスネのパンツである」ひらひら

「ニャーーッ!? なんで持ってるんですか!? お兄さん!!」

「いつも通り一瞬ではぎ取った。お前も知ってるだろう。トンタッタ流ひったくり術だ! 見聞色も合わさり、パワーアップした」

「返してください〜! 返してください〜!」

 

 バシッとパンツを取り返し、そのままトイレへと走っていくエスネ。

 穿きにいったな。

 

「ヨホホホ〜! 素晴らしいですね小人さん!」

 

 俺の華麗なテクニックに、ガイコツが無い目を輝かせる。

 

「私にも是非! そのひったくり術! 教えていただきたいっ!」

「お、ガイコツ。パンツ剥ぎ取りにご興味が?」

「ありありです!」

「お前……ガイコツなのにすっげぇスケベなんだな」

「いえいえ、小人さん程ではありませんよ」

「ふへへへへへへ〜!」

「ヨホホホホホホ〜!」

 

 リンゴジュースの入ったコップと、牛乳の入ったコップをチンッと打ち鳴らす。

 

「……って! いやいやいや! 何をガイコツと仲良くなってんだよ俺!?」

「いいじゃないですか! ガイコツとお友達でも! ヨホホホホ〜! 歌いますか? 歌いましょう!」

「歌わねぇよ!」

「っあ、ビンクスの酒を〜♪」

「とっどけっにいくよ〜♪ っは!?」

「ヨホホホホホホ〜!」ドッ

 

 レイさんがたまに口ずさんでる曲だったから、つい乗らされてしまった。不覚!

 そんな俺達のやり取りを、麦わらのルフィがゲラゲラ笑いながら見ている。

 

「あっひゃひゃひゃ! 面白れェ! おい、ロイン!」

「ラインだ!」

「お前、おれの仲間になれよ!」

「………………は? 嫌です」

 

 なる訳ねぇだろ。海賊なんて。

 

 

 

 

 

 




 これはネタバレですが、ラインは麦わらの一味に……
 入りません!
 入らねぇのかよヒーハー! 一本取られたよヒーハー!

リストラック号描いてみました。だいたいこういうイメージ。

【挿絵表示】

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