デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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ちびっコぐらし

 さて、小人(トンタッタ)族として異世界に転生した俺であるが……

 今俺が住んでいるこの国、この世界について、軽く説明しておこうか。

 

 まずこの世界には、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、アメリカ大陸みたいな、大きな大陸はほとんど存在していない。

 世界をぐるっと一周する、赤い土の大陸(レッドライン)とかいう、アホみたいに長い大陸が一本あるだけだ。

 

 それ以外は基本的に小さな島国で構成されている。

 

 俺達、小人(トンタッタ)族が暮らしているトンタッタ王国も、ドレスローザとかいう島国……そこからちょこっと離れた位置にあるグリーンビットという小島に存在している。

 人間達が暮らすドレスローザと、小人(トンタッタ)族が暮らすグリーンビット。そんな感じ。

 人間がグリーンビットにやって来る事はほとんど無いが、俺達小人(トンタッタ)族は、実は結構頻繁にドレスローザに行ってたりする。

 その理由は……

 

「よーし、レオ。そんじゃ今日もやりますか!」

「分かっているれす。ライン!」

 

 グリーンビットから地下のトンネルを通り、ドレスローザへとやって来た俺とレオ、その他大勢の小人(なかま)達。

 俺達は人間に見つからないように、こっそりと街のレストランへと侵入する。

 そこでは俺達の8倍以上の背丈はある、ごく普通の人間達が、呑気に食事をしていた。

 俺達は、そんな人間達の元へこっそりと近付き、そして──

 

 シュバッ シュバッ シュバババッ

 

「ん!? バッグが無い!」

「はっ!? 俺は時計が!」

「しまった! サイフが!」

「俺は上着をやられた!」

 

 レストラン内にて響き渡る、あれを盗られた、これを盗られたという叫び声。

 そう、俺達が頻繁にドレスローザに足を運ぶ理由、それは人間達から泥棒をする為だったのだ。

 

「ふへへへへ〜! いただきぃ〜!」

 

 はるか昔より、ドレスローザには目には見えない妖精……守り神がいて、そいつらが人間の持ち物を奪っていくという伝説があった。

 守り神のする事だから、彼らの盗みには目を瞑らなくてはならない……そんな伝説があるのだ。

 ……まあ実際のところ、その妖精ってのが俺達小人(トンタッタ)族の事で、ただ単に目にも留まらぬ速さでドレスローザの人々から泥棒してるってだけなんだけどね。

 

 なんでも遥か昔、小人(トンタッタ)族はドレスローザの人々に酷い奴隷扱いを受けていて、その時の償いとして、小人(トンタッタ)族はドレスローザの人々から好きなだけ物を盗んでいいですよ〜という、そんな風習を、過去のドレスローザ国王が作ったのだそうだ。

 正直、俺がドレスローザの国民だったなら「好きなだけ盗まれていいとかなんじゃそりゃあー!!」と、ブチギレ案件だが、今の俺は小人(トンタッタ)。その教えに肖って、まあ好きなだけ盗ませてもらいましょーや。ふへへへ〜♪

 

「今日も大量れすね!」

「そうだな。レオは何を盗ってきた?」

「えーっと、時計と上着と本と……あとなんか綺麗な石ころれす。ラインは何を貰ってきたんれすか?」

「俺はだな……あそこの綺麗なお姉さんのブラジャー、そしてあっちの可愛いお姉さんのパンツ。それから、あっちの素敵なお姉さんの網タイツだな」

「なんでラインはいつも女の人の下着ばっかり貰ってくるんれすか!? 僕らが貰っていいのは、生活必需品だけって、そう決めてるじゃないれすか!?」

 

 失礼な奴だな。パンツもブラジャーも生活必需品だろ。お前の盗ってきた変な石ころの方がよっぽどいらないわ。

 それに俺が盗るのは女の人限定……ではなく、俺の好みの女性限定だ。ブスやロリやババアからは盗ってねぇよ。

 合法的に下着ドロが出来る。ドレスローザって最高の国だな!

 

「ふへへへへ〜〜!」

「はぁ……まったく。ラインの“大人間(だいにんげん)”好きにも困ったものれすね」

 

 だってしょうがないじゃん。

 小人に生まれ変わったとはいえ、俺の心は人間サイズ。恋愛対象、性欲の対象は依然人間のままなのだ。

 小人(トンタッタ)のような三頭身種族は、友達にはなれても恋する事はないのである。

 

「よーし! 皆、それぞれ貰ってきたなー!? 引き上げれすー! 大人間(だいにんげん)に見つからないように、各自撤収ー!!」

 

 俺達の部隊の隊長である、カブさんが撤収を口にした。

 それに伴い、仲間達は目にも留まらぬスピードで大地をかけ帰還していく。

 

「それじゃあライン、僕らもトンタッタ王国に帰るれすか?」

「あー……いや、ちょい待て。ちょいと王宮寄ってこうぜ!」

 

 そう言って俺が指差した先にあるのは、ドレスローザの王宮だった。

 

 

 

……

 

 

 

 小人(トンタッタ)族は基本的に人間には見つかってはいけない。そういう決まりがある。

 だけどドレスローザの王族だけには姿を見せていい事になっている。

 つまり、王宮に住む者達だけが、俺達が唯一交流を許された人間であるのだ。

 

「ヴィオラ〜! モネ〜! 遊びに来てやったぞ〜!」

「こら! ライン! ヴィオラ“様”! 王族を呼び捨てにしちゃいけないって、いつも言ってるれすよね!」

 

 王宮の窓から、とある個室へと侵入した俺とレオ。

 するとそこには超絶美人の二人組がいた。

 

「あら、ライン。昨日ぶり。レオは3日ぶりだったかしら?」

 

 この頭にカチューシャをつけた、黒髪ボンキュッボンのねーちゃんの名はヴィオラ。

 俺より4つ年上の19歳で、レオと同様、俺とは幼馴染の関係だ。

 う〜ん、昔はつるぺたロリだったのに、ちゃんと美人さんに育ちましたな〜。おにーさんうれしーぞ。

 一応ドレスローザの王女様であるのだが、俺は普通にタメ口を使っている。

 

「……また来たの? 貴方も暇ね……」

 

 そしてもう一人、この牛乳瓶の底みたいな眼鏡をかけた、緑髪ボンキュッボンねーちゃんの名前はモネ。

 2年前、この王城に働きにやって来た侍女である。

 ヴィオラと歳が近く、性別も同じという事で、今は彼女専属のお世話係みたくなっている。

 

「私は一応、ヴィオラ王女を守る立場にあるのだから、勝手に部屋の中に入ってこられると困るのだけど……」

「まーまー、細かい言うなよモネ。俺とお前らの仲だろ? な〜ヴィオラ〜」

「ね〜」

 

 イエーイと両手をかざしてみれば、わざわざしゃがみこんでハイタッチをしてくれるヴィオラ。

 そのまま俺を拾い上げ、レオと共にテーブルの上へと座らせてくれた。

 

「ヴィオラ様、ごめんなさいれす。ラインがどうしてもここに来たいって……」

「ふふ、良いのよ。王女としての暮らしは結構お硬い行事も多いから、あなた達が遊びに来てくれると私も嬉しいの」

 

 そう言ってニコニコ笑顔で椅子に腰掛けるヴィオラ。

 モネはやれやれといったポーズを取りながらも、俺とレオに小人(トンタッタ)サイズのコップに入ったリンゴジュースを出してくれた。

 ふへへ、一見クールにふるまってはいるが、俺はこのモネという女が実は照れ屋さんな事を知っている。その証拠にほら……

 

「いや〜、モネってやっぱり気が利くな〜。優しいし、美人だし、スタイルも良いしで最高だな! モネみたいな素敵な女性と結婚出来る男は、さぞ幸せなんだろな〜」

 

 こんな風に褒め殺してやれば……

 

「…………!!」

 

 顔を真っ赤にさせて、片手で口元を隠し、思いっきり照れてしまうのだ。

 いやー、女の子の照れる姿ってのは、どうしてこうそそられるものがあるのか。この可愛い姿がみたい俺は、さらにモネを褒めちぎっていく。

 

「これってリンゴ好きの俺の為に、わざわざ用意してくれたリンゴジュースだろ? こういう気遣い出来る人ってホント素敵だよな! 性格の良さがにじみ出てるっていうか……」

「……!! ……!!」

「ラ イ ン〜?」

 

 おっと、からかい過ぎた。自分の侍女が茹で蛸みたいにされてしまったからか、ヴィオラがギロリと睨んで目くじらを立ててきた。

 ……ヴィオラの目くじらはマジで洒落にならないからやめて欲しい。俺は昔あれに潰されかけた。

 レオが「まーまー、落ち着いてくださいれす」とヴィオラをなだめる。いいぞレオ。その調子だ。

 

「はぁ……もういいわ。それじゃあ、前回の続きをしましょうか」

「ふへへ、望むところだ」

「今回は負けないれすよ!」

「……はぁ、一時間だけですよ」

 

 テーブルの上に、ヴィオラがボードゲームを広げる。その名は“ドレポリー”。

 名前からも分かる通り、モノ○リーをパクって俺が制作した人生ゲームである。

 本家は世界をグルグル回ってお金やら土地やらを集めまくっていくゲームだが、このドレポリーはそれのドレスローザバージョンである。

 

「よーし! それじゃあ俺から行くぞ! そりゃああ!!」

 

 普通の人間が指で摘んで転がす程度大きさのサイコロを、ドッジボールするかのようなフォームで投げる俺。

 出た目は6! 1、2、3、4、5、6……と。

 停まったマスに書かれていたのは、『三人の美女相手にモテモテとなる。王様となって1000万ベリー手に入れる』だった。

 よーし幸先良い! 1位はいただきだぜ〜!

 

 

 ……

 

 

 

 1時間後、そこには全てを失い大破産してしまった俺がいた。

 

「……ぐ、が……ば、馬鹿な……! がく……」

「ライン。大丈夫れすか?」

「あらら、途中までは良かったのに、最後の最後でひっくり返っちゃったわね」

「うふふっ、1位……」

 

 今回遊んだドレポリーの順位。

 1位モネ

 2位レオ

 3位ヴィオラ

 4位ライン

 途中までは俺が圧倒的1位だったのに……それなのに最後の最後で『悪のカリスマに国を乗っ取られる。100億ベリー失う』とかいう悪夢のカードを引いてしまった……

 誰だこんなゲーム作った奴は!? 俺だ!

 ガックリと全力で落ち込む俺の姿に、レオはワタワタしている。ヴィオラはくすくす笑っている。モネは……全力のドヤ顔で俺を見下ろしている。

 なんだろ、その顔、可愛いのにめちゃくちゃ腹立つ……

 

「ふ、ふーんだ! 今回はちょ〜っと油断しただけだし! まだ本気出してなかっただけだし! 俺が本気出したらサイコロの目だって自由自在に操れるんだからな! 手加減してやったのさ!」

「えーっ!? サイコロの目を自由自在に!? 本当れすかライン〜!?」

「嘘よレオ。騙されてる」

「うふふ、負け犬の遠吠えね、ライン」

 

 人差し指で俺のほっぺたをぷにぷにしてくるモネ。ぐぬぬ……侍女のくせに生意気な……

 だが勝ちは勝ちだ。仕方ない……

 

「ほれ、モネ。頭出せ」

「え?」

 

 俺はモネの頭の上に、一本の花冠を乗せた。

 

「……これは?」

「今回のゲームの優勝賞品。俺が育てた花々で作った花冠、ラインスペシャルだ!」

「………」

 

 本当はゲームの開始前にこの優勝賞品を取り出し、チラつかせて、全員のモチベーションをアゲアゲにしてやろうって思ってたんだが、出すの忘れてたから今出した。

 頭に花冠を乗せられたモネは、ポカンとした表情を浮かべている。

 

「な、なんだよそのリアクションは? 優勝賞品だぞ? 喜べよ」

「ふ、うふふ……」

「え?」

「うふふふふふっ! ライン、あなたって、本当、面白いわね。ふふ、うふふふっ!」

「む、ぐぐぐ……」

 

 なんだろ。すっげぇ馬鹿にされてる気分。いや、実際馬鹿にされてんだろな。ここは王宮なのに、何を手作りオモチャなんか持ってきてんだ〜って思われてそう……

 くそっ! 馬鹿にしやがって!

 

「ちくしょーが! 次はもっとすげぇの作ってきてやるからな! そしたら笑ってなんていられないぞ! 帰るぞレオ!」

「あ、待ってくらさいよ! ラインー!」

 

 俺はサササッと目にも留まらぬ速さで、ヴィオラとモネからパンツを剥ぎ取ると、それらを抱えて窓から城の外へと脱出した。

 きゃーー!!と悲鳴が上がるが、ふへへ、イタチの最後っ屁ってやつだ!

 文句なら小人は好きに泥棒していいって、そんなアホな法律を作った自分のご先祖様に言うんだな!

 また盗んでやるから、せいぜい次はもっとセクシーなのを穿いておくといい! ふへへへへ〜!

 

 

 




冷静に考えて、盗み黙認てヤバイ風習だと思うの、ドレスローザ。
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