奴隷として捕まっていた人達の首輪を外し終え、そんな彼らと共に
「うおー、すげぇ。これが億超え海賊達の戦いか、流石にドハデ……」
手を風船のように膨らませたルフィがでっけぇパンチを放ち、大量の武器で巨大な手の形を作ったキッドがなぎ払い、ローがパズルのように海兵達の体をバラバラにする。
こいつら全員能力者かいな。こりゃ見応えありますわ。
「わははは! 中々頼もしいじゃないか!」
ハチを抱えたレイさんが、そんな彼らを見て痛快そうに笑っていた。
……ここはルフィ達に任せて問題なさそうだな。
「そんじゃ、レイさんとエスネはルフィ達と一緒に先帰っといてくれ」
「あれ? お兄さんは? 一緒に行かないんです?」
「俺はちょいと、こいつらを安全な場所に逃してから帰るよ」
さっき首輪を外してやった元奴隷達……
首輪だけ外してハイさようなら。そのまま放置……は、流石に無責任が過ぎるので、とりあえず安全な場所までは送っていきたい。
「相変わらずおせっかいだな。それじゃあライン、また後で」
「流石お兄さん。そういう優しいとこ好──ん゛ん゛っ!? なんでもないです。そ、それじゃあ私達は一足お先に、シャッキーさんのお店に戻ってますね!」
そう言ってレイさんとエスネはルフィ達と共に帰っていった。
キッドとローは、ルフィに「新世界でまた会おうぜ」とか言ってどっか行った。
「………うん。そんじゃ元奴隷達! 俺達も移動するぞ! とりあえず安全な場所までは連れてってやるから、全員このまま俺について来い〜っ!」
「「「「分かりました! チビッコ兄さん!」」」」
「誰がチビッコ兄さんだ!?」
口揃えて言うんじゃねぇよ。
ピッピーと指笛を吹いて、俺は元奴隷達を先導していく。気分はキャプテンオリマー。
与えられたミッションは、
大将がやって来る前に、ダッシュで行くぜい!
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海軍を蹴散らし、キッド、ローと別れた後、麦わらの一味はレイリーに先導される形で13番
ようやく海軍の追手を撒く事が出来たと、ホッと一息つく麦わらの一味。
ハチは大怪我を負ってしまったが、ケイミーは無事取り戻す事が出来たので、とりあえずは一味の大勝利であると言えるだろう。
「あれ? そういやラインはどこだ?」
「ああ、彼なら捕まってた奴隷達を逃してくると言っていた」
「そっか。ししし! やっぱアイツ、良い奴なんだな!」
「そうです! お兄さんは世界一の良い人なんです! 世界一カッコよくもあり、世界一男らしくもあります!」
店の中に入り、ハチをベッドで休ませ、とりあえずのブレイクタイム。
店の看板を本日休業とし、麦わらの一味の貸し切り状態に。各々が好きな席に座り、シャッキーの奢りで飲み物を飲んで寛ぎ始める。
「そういやルフィ、あの小人は何だったんだ? お前の知り合いか?」
「ああ、さっき友達になった。おれはあいつを仲間にする事に決めたぞ! ウソップ!」
「え〜〜っ!?」
「あ、あの……麦わらさん、お兄さんはその……麦わらさんの仲間にはならないって、言ってましたよ?」
「エヌネ! それはラインが決める事だ! お前が決めるな!」
「だからお兄さんが言ってたんですよ! あと私の名前はエスネです!」
そうして始まる改めての自己紹介タイム。
まずエスネが自己紹介をして、サンジがメロメロ〜っとなり、続いてシャッキー、レイリーと麦わらの一味に自己紹介していく。
「え〜〜ッ!? レイリーのおっさん、“海賊王”の船にいたのか!?」
「ああ、副船長をやっていた。シルバーズ・レイリーだ。よろしくな」
「「「「副船長〜〜ッ!!?」」」」
飲んでいた飲み物をブーッと(一部)吹き出して驚きの声をあげる一同。
「なんでそんな大物とこのタコは知り合いなんだ?」
「ハチはな……20年以上前に、私が海で遭難した所を助けてくれたんだよ」
「……へ〜、それじゃあさっきのあの小人も、同じような関係なの?」
「いや、ラインは私の息子だ」
「「「「海賊王の副船長の息子ォ〜〜ッ!!?」」」」
またもやブーッと(一部)飲み物を吹き出して驚きの声をあげる一同。
「……ちなみにこっちは私の娘だ」
「「「「海賊王の副船長の娘ェ〜〜ッ!!?」」」」
エスネの頭をぽんぽんとするレイリーに、三度ブーッと(一部)飲み物を吹き出して驚きの声をあげる一同……
「ウソップ! 汚い!!」
「ぶへっ!」
流石に怒られた。
そんな感じで、驚いたり、驚いたり、驚いたりの自己紹介。
レイリーはそのまま、海賊王が実は捕まったのではなく自首した事や、ラインの自慢話。ルフィの恩人であるシャンクスの話や、ラインの自慢話。無駄に因縁のあるバギーの話や、ラインの自慢話なんかをしてくれた。
「な、なんかスゴイ話、聞いちゃったわね……」
「まるでこの海賊時代は意図してロジャーが作ったみてェだな……」
「それからラインはな、4億8000万もの賞金首だったりするんだよ。はっはっは!」
「……話の半分以上が、息子の自慢話だったけど……」
「海賊王の副船長が実は親バカってなんか意外だな……ていうか4億8000万!? 何したらそんな金額付くんだよ!?」
「マリージョアに乗り込み、天竜人に危害を与え、海軍大将を返り討ちにした」
「「「「ええ〜〜ッ!!?」」」」
そんな感じでしばらく雑談して、ようやく話は本題へ。
ルフィ達はレイリーに、自分達の船、『サウザンドサニー号』のシャボンコーティングを依頼する。それをレイリーは快く承諾してくれた。
「分かった、任されよう。ただし先客があってな。きみ達の船のコーティングはその後となるが、いいか?」
「……まあそれくらいはスーパー仕方ねェなァ」
「3日もあれば、きみ達の船のコーティング作業に入れると思う」
「それじゃその間はサバイバルですね。海軍大将に見つからないようにしなければ……ヨホホホホ! 恐い!」
麦わらの一味全員にレイリーのビブルカードの切れ端を渡し、とりあえずは解散。
シャッキーとエスネは店に残り、レイリーはラインの船に、麦わらの一味は当てもなく外へ出た。
「それじゃあレイリーのおっさんがコーティング作業してくれるまで、どこ行く?」
「遊園地行かねぇか?」
「ルフィ! てめェ話聞いてたのか!? 大将が来てるんだぞ!」
「分かってるよ。だから遊園地に隠れようって……」
「絶対遊ぶだろ!! お前!!」
そんなこんなでワチャワチャ歩いていると……
ドンッ!!
「え?」
麦わらの一味の目の前に、七武海の一角……
バーソロミュー・くまが立ちはだかったのだった。
……そして間もなく、海軍大将“黄猿”と、その部下“戦桃丸”までもがやってくる事を、麦わらの一味はまだ知らない……
・
・
・
「チビッコ兄さん! 僕達を解放してくれて本当にありがとう!」
「あのままじゃ俺達、絶対奴隷として一生を過ごす羽目になってたぜ、チビッコ兄さん!」
「感謝してもし足りないです! チビッコ兄さん!」
「本当に感謝してるのなら、チビッコ兄さんて呼ぶのやめろっ!?」
元奴隷達を先導し、無事安全な
途中、大将が来るんじゃないかと結構ビクビクしていたんだが、特に何の問題もなくミッションはコンプリート。
「……そんじゃーな。もう捕まるんじゃねーぞー」
「ありがとう! チビッコ兄さん! またいつかどこかで会えたら、この恩は必ず返す!」
「……期待しないで待っとくよ」
奴隷のなりかけさん達も全員助け終わった事だし、そんじゃあこのままシャッキーの店へと帰りますか。
尻尾を回して、ブーンと飛び、そのままシャッキーの店へと帰還……しようと思った所で、俺の見聞色に“激しい戦闘の気配”が引っ掛かった。
「あん?」
なんだと思って現場へ向かい、マングローブの影からこっそり覗いてみると……
「!!」
ドガアンッ ドガアンッ ドガアンッ
ピカッ ドオオンンッ!!
うわーぎゃーひー!!
そこには……
まさかり担いだ金太郎みたいな男と……
熊みたいな頭をした男と……
大将……黄猿がいた。
「た、大将だ……マジで来たのかよ……」
黄猿らは現在進行系で、麦わらの一味とバトっていた。
期待の新人。3億のルーキー海賊団とはいえ、流石に黄猿の相手は荷が重過ぎたようで、ルフィ達はボロクソにやられている。
それを見て、俺はナームーと手を合わせた。
助けるつもり? 勿論無いよ。
俺とルフィは仲間じゃないし、そもそもあいつらは海賊である。つまり犯罪者だ。海軍に捕まって当然の存在。
ケイミーの時は俺にも責任の一端があったから手を貸したけど、今回は無理。流石の俺も黄猿とは二度と戦いたくない。
「……まあ天竜人殴っちゃってたし、自業自得だよな。ルフィ。おとなしく捕まってくれ……」
マングローブの木に隠れながら、俺は戦況を分析する。
熊みたいな頭の男は……ありゃ七武海だな。前に新聞で見た。名前は確かそのまんま『くま』。
で、金太郎みたいな奴は……何者かは知らないけどかなりの強者だ。覇気使ってるし……
そんで黄猿は言わずもがな。控え目に見てもバケモノである。
ピカーッ! ピュンッ! ドカーンドカーン!!
麦わらの一味の中に覇気を使える者はいないっぽいし……客観的に見て、ルフィ達が黄猿に勝てる確率は0%であろう。
さっきも言ったが、俺は助けるつもりは無い。だから本当に0%。
黄猿に襲われてるのがエスネやロズオだったなら迷わず助けに出ていた所だけど、ルフィ達を助ける義理は俺にはない。
「……」
遊園地で一緒に遊んだ仲だけど……言ってしまえばそれだけ。
そもそも俺が出ていった所で黄猿には勝てないだろし。
無視して帰るのが賢い選択……
ピカッ ドオーーンッ!!
「わああああ!! ゾロ〜〜!!」
「ぞぞぞゾロさんがビームをくらったァ!!」
「おいゾロ! しっかりしろォ!!」
「懸賞金1億2000万……“海賊狩り”のゾロ……一発KOとは随分疲れが溜まってたんだねェ。あの世でゆっくり休むといいよォ〜」
黄猿の攻撃で、ゾロと呼ばれた緑髪の男がグッタリと倒れ込む。
その上で黄猿がピカーッと足を向けた。
「危ねえ! ゾロが危ねえ!!」
「おいそいつもビームかよ!? そんな距離でくらったら死ぬぞ!」
「ゾロを離せ! 畜生! 何でだ!? 攻撃が当たらねェ!」
「刺さりもしません! ちょっとどうしたら……!?」
「ムダだねェ……わっしはピカピカの実の光人間、
黄猿の足に、光のエネルギーがどんどん溜まっていくのが見える。
ゾロは……なんとか逃げようとしているみたいだけど、ピクリとも動けていない。ダメージが深過ぎるのだ。
「ウソでしょ!? 死んじゃう!」
「ゾロ! 逃げろよォ〜!」
「ダメだ! あの野郎もう限界だ!」
「
「移動もさせない……ムダだよォ〜、今死ぬよォ〜!」
俺の見聞色が、
今から数秒後の未来を、
脳内に映し出す。
このままだと黄猿の足から発射されたレーザーは、ゾロの心臓を撃ち抜いて──
「……っ!!!」
気が付くと俺は駆け出していた。そして……!
「ッらァア!!」
「!!!」
バチィインンッ!!
今まさに、ゾロに撃ち込まれそうになっていた黄猿の攻撃を、俺は覇気を纏った尻尾で弾き反らしたのだった。
「……またお前かァ〜……“不可視の怪盗”……!!」
「ふ……ふへへ……! ひ、久しぶりだな黄猿……また足にウンコついてたみたいだから、弾き飛ばしてやった……ぜ! 感謝しろ!」
「ライン〜〜!!!」
ズタボロになったルフィの叫び声が、12番
駆け付けてくれる程の好感度をレイさんから稼げなかった麦わらの一味。代わりにチビッコが来ちゃった♡
次話、VS大将。再び。