デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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VS大将(黄)ふたたび

 麦わらの一味のピンチに、思わず飛び出してしまった俺ことライン。

 助ける義理なんて無かったはずなのに……

 無視して帰るが賢い選択だったのに……

 頭では分かっているのに、ついつい飛び出してしまった……

 俺の悪い癖だよ! クソが!

 

「光の速度で……蹴られた事はあるかい?」

「お陰様であるよ! コンチキショーー!!」

 

 これのせいで、俺VS黄猿。

 麦わらの一味VS金太郎っぽい奴&くま。みたいな図式が成り立ってしまった。なんでやねん。

 

「お前さんには前に、酷い目に遭わされた借りがあったっけねェ、不可視の怪盗……八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)!」

「うおあっっぶねぇえ〜〜ッ!!」

 

 両手でクイッとOKサインを出してきたかと思ったら、その指の間から細かい光のビームをマシンガンのように乱射してきやがった黄猿。

 俺はそれを見聞色を使って、ギリギリのギリでかわしていく。

 

「ほっ! おっ! やべっ! そいっ! はっ!」

「……見聞色の未来視かァ……こいつァ厄介だねェ〜」

 

 厄介なのはそっちだろ!

 やっぱ光ってのは攻撃速度が半端ない。見聞色での未来視が無かったら絶対避けれてなかったよこれ。

 シューティングゲームとかによくある、予告線が見えるみたいな感じ。難易度Lunatic!

 

「ふっ! はっ! 我流っ! トンタッタコンバットっ! しっぽインパクト!!」

 

 光ビームを避けながら、最高速度で近付いて、武装色の覇気を纏わせての尻尾の一撃をぶち当てる……が……

 

「ン〜? クザンからは、見聞色しか使えないってきいてたんだがァ……まさかこの数ヶ月の間に、武装色まで覚えたってのかい〜?」

「クザンて誰だよ?」

「青キジの事だよォ」

 

 俺の攻撃は黄猿の左腕に普通にガードされてしまった。自然(ロギア)の回避性能を持ちながら、なんで防御まで上手いんだよ!?

 向こうからの攻撃は一発でも当たれば致命傷……なのに、こっちからの攻撃は片手で捌かれる……

 うん。どう考えても無理ゲーだな!

 

「……まさかオジキとまともに()り合える奴がいるなんてな……数年前、“不可視の怪盗”と名乗る小人がオジキに大怪我を負わせたって噂は、どうやら本当だったみたいだな……!」

 

 ルフィとバトっている金太郎みたいな奴が、俺と黄猿の戦いをチラッと見てそんな言葉を口にする。

 いや……傍から見たら互角の戦いしてる風に見えるかもしれないけど、こっちとしては劣勢もいいところよ。

 まともにやって、勝てるヴィジョンが全く見えない。

 

 せめて俺が黄猿の気を引いてる間に、ルフィ達がなんとか逃げてくれたら──

 

「ゴムゴムの銃乱打(ガトリング)!!」

「わいのガードは世界一! ほいさ!!」

「ぶへッ痛てェ!? おれ……ゴムなのに……!!」

 

 ダメか……

 ガードについて世界一とか言いながら、思いっきり覇気でどついている金太郎。

 やっぱり覇気が使えるか使えないかのハンデ差は大きい。ルフィボッコボコ。なす術無し。

 

「はあはあ……ぜえぜえ……! 今のおれ達じゃあこいつらには勝てねェ! 全員逃げる事だけ考えろ!」

「逃さねェよ! 足空独行(アシガラドッコイ)!!」

「ぶふゥオ〜〜ッ!!」

「他の連中も逃がすんじゃねぇぞ! PX-1!」

 

 ピカッ ドォーンっ!!

 ピカッ ドォーンっ!!

 ピカッ ドォーンっ!!

 

「「「ぐああッ!!」」」

 

 ルフィの方もやべぇが、その他の連中もかなりヤバイ。

 バーソロミュー・くまが、手や口からレーザーを吐き出しまくって麦わらの一味を攻撃してるのだ。

 黄猿と似たようなレーザー攻撃。同じ悪魔の実……って訳じゃないだろし、一体どうなってんだ?

 ピーエックスワンとか呼ばれてるし、まさかくまはロボットだとか……? 未来の世界のクマ型ロボット。

 

「はぁはぁ……! ルフィ達、なんとか自力で逃げてくれよ……」

「わっしの部下達も充分強力。無駄だよォ、誰一人として逃さないよォ。勿論、きみもねェ……」

 

 黄猿の連続蹴りをかわしながら、尻尾で連続攻撃。しかし軽く受け流される。

 

「ああ! くそ! 攻撃当たらん! 鬱陶しい!」

「それはこっちのセリフだねェ……そもそもお前さん、麦わらの一味と一体どういう関係なんだい?」

「今日一緒に遊園地に行って、そんで遊んだ!」

「……それだけかい〜?」

「充分だろっ!! しっぽインパクト!!」

 

 俺の渾身の尻尾の一撃と、黄猿の蹴りが、ドンッ!! とかち合う。

 それにより黄猿はズザザッとちょっぴり後退り、俺は大きくふっ飛ばされる。

 

「ぐへっ、やっぱ正面からの殴り合いじゃ分が悪い……!」

 

 このまま戦いを続けてもジリ貧だ。まず、俺の勝利条件を明確にしよう。

 

 金太郎とクマえもんから、麦わらの一味を逃がす。それが出来れば俺の目的は達成され、俺も全力で逃げに徹する事が出来る。

 

 逆に敗北条件はやられてしまう事。非常にシンプル。

 特に黄猿のレーザー攻撃は、一発でもまともに喰らえばほぼアウト。

 

「……ん? まともに喰らえばほぼアウト……か……」

 

 それはつまり……

 俺以外の、誰が喰らっても、アウトって事だよな……?

 ……!!

 

「ふへへへ……っ!」

「ン〜? 何を笑っているんだい〜?」

「いや……俺の戦いって、なんかいつも綱渡りばっかりだなって思ったら、なんか面白くて……」

「?」

「ふへへへへ! ここが大一番の勝負所!! 勝負だ黄猿!!」

「…………」

 

 俺は腹部に武装色の覇気を込め始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 シャボンディ諸島で暴れている、ルーキー海賊達を捕らえる……それだけの仕事……

 そう思って、軽い気持ちでこの島まで来たというのに、今わっしの目の前には、8年前、不覚をとり、苦汁を飲まされた存在が立ちはだかっていた。

 

(8年前は、こざかしいだけで、戦闘面に関して言えば取るに足らない存在だったはずなのにねェ……)

 

 やはり8年もの歳月は若者を大きく成長させる。

 “不可視の怪盗”は今や恐ろしい戦闘力を持つ存在となっていた。

 

 武装色の覇気はまだ発展途上だが、素の怪力がバケモノじみている為、あの攻撃をまともに喰らうと流石に痛いだろう……

 見聞色の覇気は明らかに未来視の域まで達している。わっしの攻撃がいまだに一発も“まともに”入っていないのがその証拠……

 小さくて素早いのも合わさり、徹底的に回避に専念されると本当に当てられない。

 

「ふへへへ……っ!」

「ン〜? 何を笑っているんだい〜?」

「いや……俺の戦いって、なんかいつも綱渡りばっかりだなって思ったら、なんか面白くて……」

「?」

「ふへへへへ! ここが大一番の勝負所!! 勝負だ黄猿!!」

「…………」

 

 怪力と回避力……そして未来視も当然厄介だが……

 不可視の怪盗の一番の恐ろしさはそこではない。

 

(……あの目、何か企んでるねェ……)

 

 じりじりと追い詰められていってる癖に、ニヤリと何かを企んだような目でこちらを睨み付けてくる不可視の怪盗。

 

 わっしは昔、この目を見たことがある……

 わっしは昔、この目にハメられた……

 

 天竜人を人質に取られ、海へと潜らされ、事実上わっしはこいつに敗北してしまった……

 

(……あの時は油断して不覚を取ったが、今回はそうはいかない……)

 

 不可視の怪盗が何を企んでいるにしろ、わっしのレーザーをまともに受けて、立っていられる事は不可能だ。

 

(耐久力が並以下……それが、不可視の怪盗の最大の弱点だねェ……)

 

 こいつがどんなこざかしい作戦を思い付いたにしろ、何かをしでかす前に、一発で戦闘不能にしてしまえばいい。

 問題なのはその一発を当てる事だが……流石にずっと走り回って疲れたのか、明らかに不可視の怪盗の動きが鈍ってきている。

 

「!! やべっ……」

「おっとっと〜、勝敗は一瞬の隙だよねェ〜……“天岩戸(あまのいわと)ォ”」

 

 ピョンと飛び上がり、明らかなる隙を見せてきた不可視の怪盗。それに目掛けて、わっしはレーザーを──

 

「!! おォっとっと……」

 

 ──放とうとして、わっしは寸前で止まった。

 こいつ……!

 

「ふへへへ……どうした? 黄猿。レーザー、撃ってこないで良かったのか? 今撃ってたら当たってたろ?」

「…………相変わらず、こざかしいねェ……」

 

 わっしがレーザーを放とうとした瞬間、こいつは……戦桃丸くんを背にしていた。わっしから見て、戦桃丸くんの直線状にいた……!

 つまり、今レーザーを撃っていたら、レーザーは不可視の怪盗を貫通し、そのまま戦桃丸くんにもぶち当たっていたという訳だ。

 

 ……いや、それはまだ良い方だ。

 ヘタをすれば、不可視の怪盗には避けられ、戦桃丸くんにだけレーザーが当たってしまうという可能性も……

 なるほど。これが不可視の怪盗の狙いか。わっしのレーザーを戦桃丸くんに当てさせる……同士討ちを狙うとは、恐ろしい考えをする奴だねェ……

 

「光は急には止まれない! そして急に曲がれもしない! それがお前の弱点だ黄猿! ふへへへ〜!」

 

 直線的にしか進めないという、光という性質についてよく理解している。

 一体どこで学んだというのか……

 

「前世で子供の頃、友達と懐中電灯でビームごっこして遊んでて良かったぜ!」

 

 よく分からん事を言いながら、ニヤニヤ笑い、戦桃丸くんを背にした状態をキープしたまま、ぴょこぴょこ飛び回る不可視の怪盗。

 

「これでもうレーザー使えないだろ? 味方に攻撃当てちゃうのが怖くてさ〜! 悔しかったら当ててみろ〜! ふへへ〜、バーカバーカ! 猿顔! 老け顔! ピコ○郎〜!」

「……そこまで煽られると流石のわっしも……腹が立つねェ……!」

「う、おっと!」

 

 ビシッと不可能の怪盗に指を向け、レーザーを撃ち込もうとしてやる……が、その瞬間には不可視の怪盗は的確に戦桃丸くんと直線状の位置にくる。

 

(今撃ったら戦桃丸くんに当たっちまうなァ……見聞色による先読みの力……こいつは思ったよりも厄介だねェ……)

 

 戦桃丸くんは麦わらと戦闘中だ。

 その間、彼らはずっと動き回っている。それなのにわっしがレーザーを撃とうとすると、的確に戦桃丸くんを背にしてしまう不可視の怪盗。

 

「撃たないの? 意外と部下想いなんだな」

「……わっしの正義は、だらけきった正義ほど甘くはねェが、徹底的な正義ほど非情にもなりきれんのでねェ……」

 

 もしも任務で知り合いを殺せと命じられたなら、躊躇なく殺してみせるが……

 それ以外で傷付けないですむなら、極力傷付けたくはない。それがわっしの正義。

 

 さて、どうしよう。

 レーザーを使えないとなると肉弾戦……天叢雲剣(あまのむらくも)を使うか、それとも分身……

 いや、最も確実性があるのはやはりレーザーだ。遠くの敵に攻撃する手段の無い不可視の怪盗を相手取るにはそれが一番……

 

 ……こいつにレーザーを当てるにはまず、こいつの背後を取る事……!

 

「不可視の怪盗ォ……知っているかい? 光は急には曲がれないが、反射はするんだ」

「は?」

八咫鏡(やたのかがみ)

「!?」

 

 光を照射し、それをマングローブの木に当て、反射させる。そうしてわっしは光の道を作った。

 

「……わっしはピカピカの実の光人間……光の中を移動する事が出来る……」

「なっ!?」

 

 光の道を通り、わっしは一瞬で不可視の怪盗の背後へと回り込んだ。

 

「後ろ……っ!」

 

 見聞色で先読みしていたのだろう。なんとか反応して体をこっちに向けてきた不可能の怪盗だが……もう遅い。

 戦桃丸くんは今わっしの背後にいる。

 つまり、今のわっしはなんの気兼ねもなく、お前さんにレーザーを撃ち込めるという事……

 

「ご苦労だったねェ。ゆっくり休むといいよォ………天岩戸(あまのいわと)!!」

 

 不可視の怪盗に向けて、わっしはレーザーを発射した。あの体勢からは避けられまい。完璧にど真ん中を撃ち抜いた。

 そう思った、次の瞬間──

 

「我流・トンタッタコンバット……」

「ん?」

「ミラーシールドォッ!!!」

 

 

 ピカッ ドオオオオーーンッ!!!

 

 

「ぐああああ〜〜ッ!!?」

 

 ──瞬間、わっしの背後で悲鳴が上がった。

 振り返ってみると……そこにはわっしのレーザーで腹部を撃ち抜かれ、崩れ落ちる戦桃丸くんの姿が……

 

「!!?? !? !??」

「ふへへ……死ぬほど驚いてるみたいだな、黄猿。まるで光を蹴り飛ばされたかのような顔してるぜ?」

「ッ!! ………………なっ……」

 

 何が起こった? わっしは今、確かに“不可視の怪盗”へとレーザーを放った……

 それなのに、何故わっしの背後にいる戦桃丸くんがそのレーザーに貫かれているんだ!?

 

 なんだ?

 なんだ?

 なんなんだ!?

 

 不可能の怪盗の腹部に、何かキラキラした物が見えてきた。

 奴の服がレーザーで焼け焦げた事で、その内側に隠していた物が出てきたのだ。

 あれは……もしや……

 

「鏡……!?」

「ふへへへっ! ビンゴ!」

 

 

 

 

 




ついに書き溜めを全て使い切ってしまいました……
次話は未定です。一週間以内には投稿したいなって思ってます。

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