デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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おくられてあいらん……インペルダウン

 クマえもんに女ヶ島に飛ばされたり……

 女の子達に性教育したり……

 ハンコックに石にされたり……

 落ち込んだり……立ち直ったり……

 懸賞金が10億に跳ね上がったりと……今日は怒涛の1日であった。

 

 そんな中で、とりあえずの目先の大事は、ルフィの兄である“火拳のエース”がインペルダウンに捕まって、公開処刑が決まってしまった事であろう。

 

(……普通に考えたら、助けになんて、行けないんだろうけど……)

 

 エース処刑まであと6日。どう考えても物理的に救い出しにいく事は不可能だ。間に合わないし、乗り込める訳もない。

 ……そう思っていたのだが、どうやら海軍の船を使えばここから4日でインペルダウンまで行けてしまえるらしい。

 しかもそんな海軍の船は、現在女ヶ島の目の前にて停泊中なんだと。

 白ひげ海賊団との戦争に備えた海軍が、七武海であるハンコックを迎えに来たんだって。だからハンコックがちょちょっとおねだりすれば、インペルダウンに寄ってもらう事も可能らしい。

 

(……すげぇな。まるで天がルフィにエースを助けに行けと言ってるみたいだ……)

 

 ただの偶然なんだろうけど、漫画みたいな展開である。

 

「これからわらわは海軍船でルフィをインペルダウンまで送ってくる」

「あのー……ハンコック」

「なんじゃ? ライン」

「七武海と海軍て仲間……なんだろ? ルフィをこっそり連れてって、そんでインペルダウンに侵入させるって、思いっきり反逆行為なんじゃないの?」

 

 あんたの立場的にそれはいいのか? バレたらヤバイんじゃいのか? そう問いかけるも、ハンコックはふんっと鼻で笑った。

 

「それがどうした?」

「いや、どうしたって……」

「わらわは誰にも支配されん! 海軍がわらわを七武海として利用しているのではなく、わらわが七武海として海軍を利用しておるのじゃ」

「おお……」

「そして、愛する者の為ならば……わらわ何だって致します……♡」

「………」

 

 頬を染めながら、チラッチラッとルフィに視線を送る海賊女帝ボア・ハンコック……

 こいつはもうダメだ、と俺は思った。

 誰にも支配されんと言っておきながら、ルフィの恋の奴隷と化している。

 さっきまでハンコックの美貌に見惚れ、メロメロ〜っとなっていた俺だが、なんとなく心が冷めていく感じがした。

 

 なんて言えばいいんだろ……

 ハンコックとルフィのこの感じ……デジャヴというかなんというか……

 そうだ! 故郷(グリーンビット)に残してきた俺の親友二人組、マンシェリーとレオだ!

 恋する女の子とそれに全く気が付かない鈍い男。あいつらの関係性に似てるんだ。懐かしいね。

 

「……ところでライン、おぬしはどうするのじゃ?」

「え? 俺?」

 

 昔を思い出して懐かしんでいると、ハンコックがしゃがんで俺に声をかけてきた。

 

「どうするって、何が?」

「わらわとルフィがインペルダウンに行ってる間じゃ。この島に残るか、もしくは九蛇の海賊船でシャボンディ諸島まで送ってやってもいいが……好きに選ぶとよい」

「…………あー……」

 

 なんとなく、俺も一緒にインペルダウンまで行く流れかなって思ってたんだけど、言われてみれば俺が同行する理由って全くないんだよな。

 俺とエースは赤の他人だし、インペルダウンみたいなヤバヤバ監獄に、危険を冒して助けに行ってやる義理はない……んだけど……

 

「ん、ん〜…………」

 

 俺はチラリとルフィを見る。

 

「エース……絶対助けてやるからな……!」

 

 燃えカスのようなビブルカードを見つめ、グッと握りこぶしを作るルフィ。

 ビブルカードは持ち主の生命力を表す。あれはエースのビブルカード。つまり、現在エースの命は風前の灯になってるって事。

 それを見て、めちゃくちゃ心配そうにしているルフィを見ると、どうしても俺の妹(エスネ)とダブってしまう。

 

「……ぬうぅ…………」

 

 エースを助ける義理なんて、俺にはない。

 全くないのだが……だけど……

 

「ぬうぅう〜!! ぐ、むぅ〜! お、俺も行くよ! インペルダウン!! エース救出……協力する!!」

 

 俺はガバッと立ち上がった。

 

「いいのか!?」

「……良かねぇよ。こんな危険な事、良かねぇけど……でも! 兄弟助けたいって気持ち……分かっちゃうんだから仕方ねぇだろ! 友達がそんな状況なのに見て見ぬフリなんて出来ねぇよ! だから俺にも助けさせろ! ルフィ!」

「ライン! ありがとう! 恩に着る!!」

 

 義父(レイさん)義母(シャッキー)義妹(エスネ)の、お人好しだな〜という声が聞こえてきた気がした。

 あの人達はいつもそんな事を言って俺をからかう。

 だけど……そんな俺を、あの人達が否定した事は、今まで一度もなかった……

 

 

……

 

 

 さて、海軍船でインペルダウンまで運んで貰う事が決まったはいいが、当然ながらそれが許されるのは七武海、ボア・ハンコックただ一人だけである。

 俺やルフィがハンコックと一緒にフツーに海軍船に乗り込んでいったら、すぐさま捕まって、別の意味でインペルダウンへと連れてかれる。

 

 なので、ハンコックがクソデカマントを羽織り、その内側にルフィが隠れる事でこっそりと船に潜入、密航する事が決まった。

 ハンコックは高身長だし、ルフィくらいならまあ、ギリギリマントの中に隠しておけるだろ。

 あとは俺の隠れ場所だけど……

 

「よし、じゃあ俺はハンコックの胸の谷間に隠れておく事にしよ……うべっ!?」

 

 ハンコックに顔面を踏まれた。

 俺への扱いがなんとなくマイルドっぽくなったハンコックであるが、どうやらセクハラは許してくれないらしい。

 

「ライン。おぬし、もうそういう事はせんのじゃなかったか?」

「……実際に手は出していないから……別にいいかなって……セクハラ発言だけならセーフ。そう決めた。今決めた」

「自分に甘い男じゃのう」

 

 そう言ってハンコックはくすくす笑う。

 こいつ、やっぱりマンシェリーと似てるな。あいつもセクハラ発言するとよく俺をぶった。顔面グーパンチしてくる女ジャイアンであった。

 あいつはレオに厳しく周りに優しい女だったが……ハンコックはルフィに優しく周りに厳しい女である。 

 ……まあ似たようなもんか。

 俺の中でのハンコックの扱いが、マンシェリーと同レベルに落ち着いた瞬間であった。

 

「じゃあ行くか! ハンシェリー姫!」

「誰がハンシェリーじゃ!?」

 

 マンコックの方が良かったかな?

 

 

 

 

 

 

 クソデカマントを羽織ったハンコック。

 その内側に隠れるルフィ。

 そんなルフィの麦わら帽子の内側に隠れる俺。

 

 そんな感じの3人羽織(?)で見事海軍船に侵入する事に成功した俺&ルフィ。

 後はこのまま密航がバレる事なく、インペルダウンまでたどり着けたら万事オーケー……なのだが……

 

「むしゃむしゃ、ばくばく! もぐもぐ、うんめぇ!」

「ルフィ。たんと食すのじゃ♡」

 

 海軍船のとある個室。ハンコックの為にあてられた部屋。

 そこでルフィは、何十人前にもなろう大量の食事を一人で平らげていた。

 

「……お前ら、隠れるって意味知ってるッ!?」

 

 俺はツッコミを隠しきれなかった。

 本来、この場にいていい存在はハンコックただ一人だけ……俺とルフィがこの場にいる事は、海兵達にバレてはいけないのである。

 それなのに……この麦わら男ときたら、バクバク、バクバクと……馬鹿なんじゃなかろうか!?

 

「食い過ぎだルフィ! ちょっとは遠慮を知れ!! りぴいとあうたーみぃ! 見つかっちゃダメ!!」

「ふふ、そう騒ぐなライン。ルフィは兄、エースを奪還する為に栄養をつけなければならんのじゃ」

「限度があるわ!! 甘やかすな!!」

「おかわり!」

「すんな!!」

 

 海兵達には、「わらわは大食いなのじゃ!」とハンコックが言い張る事で、なんとか誤魔化せてはいるものの……

 俺が海兵なら絶対疑う。

 そんなに食ってそのウエストはあり得ねぇだろと疑う。

 バレてないのは正直奇跡だと思う。

 

「はぁ……ルフィ。お前本当にインペルダウンではおとなしくしとけよ……誰にも見つからないように、サッと入って、サッとエースを回収して、サッと帰る。極秘の潜入任務だぞ」

「おう! まかせとけ! バクバク、もぐもぐ……」

 

 まかせとけって、食いながら言われてもな……

 

 

 そんなこんなで海軍船の中で波に揺られる事4日間。

 ルフィはひたすら食っちゃ寝して……

 ハンコックはそんなルフィにラブラブアピールしたり、俺にセクハラされたりして……

 俺は4日間のうち、2日間は石になっていた。

 そうして気がついた時には、インペルダウンへとたどり着いていた。

 

「あれが世界一の大監獄、インペルダウンか……」

 

 窓から覗く巨大な城塞に、俺はごくりと生唾を飲み飲む。

 何千、何万もの海賊を閉じ込めておく場所だから当たり前だけど、見ただけでそのセキュリティの高さは感じられるな。

 まわりに軍艦もうようよいるし……

 

「いよいよインペルダウンじゃ。さあ二人とも、服の中に」

 

 ハンコックのマントの中に隠れるルフィ。ルフィの麦わら帽子の中に隠れる俺。

 来たときと同じ3人羽織(?)体勢で、俺達はインペルダウンへと足を踏み入れた。

 

「ようこそ。我がインペルダウンへ。……あぁ、間違えました。“我が”って言っちゃった。私は“まだ”副所長のハンニャバルです! よろしくお願いスマッシュ!」

「副看守長のドミノです」

 

 門をくぐったハンコックを出迎えてくれたのは、般若とツタンカーメンを合体させたような3メートル近い大男、ハンニャバルと……

 グラサン巨乳美女、ドミノだった。……てか、うわ、ドミノちゃん、スカート短けぇ!

 ああいうミニスカはパンツ剥ぎ取りやすいんだよなぁ……ふへへへへ……

 欲しい物はなんでも盗んじゃうトンタッタの習性が、俺にドミノのパンツを剥ぎ取ってしまえと語りかけてくる……

 お、落ち着け俺! もうセクハラはしないんだろ! 我慢だ!

 

「ハンコック殿のご要望は、火拳のエースへの面会だと……」

「そうじゃ。わらわの参加する戦争の引き金になった男を、一目見ておこうと思ってな」

「そうですか。ではハンコック殿、案内の前に、ボディチェックを」

「!!」

 

 このままインペルダウンの最深部まで行ければ楽だと思っていたんだけど、当然ながらボディチェックが入ってしまう模様。

 女性であるハンコックがボディチェックされる相手は、もちろん女看守のドミノ。個室へと連れて行かれたハンコックは、ドミノにまずマントを取るように要求された。

 ヤバイ……

 俺一人だけなら目にも留まらぬ速さで抜け出す事も可能だろうが、流石にルフィサイズだとそれも不可能……

 どうしよう……そう思った次の瞬間、ハンコックが手をハートの形にした。あのポーズは!

 

「メロメロ甘風(メロウ)!!」

 

 とたんにガチーンと石になって固まってしまうドミノ。あの技、女が相手でも効くのか……

 てか、壁に設置されてる電伝虫まで固まってるし。すげぇな……

 

「……はぁ……どうやらわらわが送ってやれるのはここまでのようじゃ。この先は海楼石の手錠をつけられる……能力もマントも無しではそなた達を隠しきれん」

 

 海楼石ってのは、海のチカラを持った鉱石の事で、ダイヤモンド並の硬度を持ち、さらには触れた能力者の能力を使えなくしてしまうという、不思議石である。

 基本的に能力者は、この手錠をハメられてしまうだけで無力と化す。

 

「ルフィ……もっとそなたの力になりたかったのじゃが……」

「何言ってんだ! 送ってくれただけでも充分だ! ほんっとにありがとう! この恩は忘れねェ! いつか必ず返す!」

 

 ギュッとハンコックの手を握り締めるルフィ。

 ハンコックははぁん♡ と腰砕けになってしまった。……ケッ。爆発しろ。 

 

「本当に、気を付けてな……ルフィ……」

「ああ! 気を付ける!」

「………………あ、そうじゃ、ラインにも一言ある」

「あ〜? なに〜? ルフィをよろしくってか〜? 言われんでも分かって……」

「おぬしも、気を付けてな」

「え……あ……うん……」

 

 基本的には塩対応のくせに、別れ際には急な優しさ……

 本当にマンシェリーを彷彿とさせるな、こいつ……

 

 とりあえず、このままここでグダグダ時間をかけていたら外の連中に怪しまれるので、俺とルフィは天井にしがみつくようにして隠れた。

 そんな俺達を見届けてから、ハンコックはドミノの石化を解く。

 

「……? あれ、私……」

「どうした? ボディチェックをするのであろう?」

「あ、はい」

 

 石化を解かれたドミノは、一瞬ポカンとした後、そのままボディチェックを開始した。

 ハンコックのメロメロ攻撃の恐ろしいところは、かけられた本人がかけられた事に気が付かないところにあると思う。

 

 そんなこんなでドミノによるハンコックへのボディチェックはつつがなく終了。

 問題無しと判断されたハンコックは、海楼石の手錠をハメられ、部屋を出て、そのままドミノやハンニャバルと共にリフトを降りて行った。

 

「……さて、そんじゃ俺達も行くか、ルフィ……」

 

 ヒソヒソ声でルフィに語りかける。

 こっから先は案内無し、情報無し、完全初見の潜入任務。

 いざ、こっそりエース救出大作戦! ミッションスタートだ!

 

 

 

 

 




実はエスネが妹キャラである理由は、兄を助けようとするルフィを見て、ラインが共感する為だったりします。
そしてウサウサの実の能力者である理由は、ウサギってなんかエッチだな……って思ったからです。
裏話。
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