デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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ちびっこっそり

 こっそりエース救出大作戦!

 それは捕らわれしルフィの兄、“火拳のエース”を、その名の通りこっそり誰にも気付かれないまま奪還するという、極秘ミッションである。

 その難易度はベリーハードモードと言えよう。

 

 なんせここは世界一の大監獄、インペルダウンである。

 もしも潜入している事がバレ、看守に捕まってしまえば、そのまま檻にぶち込まれ、きっと二度と陽の目を見る事は叶わないだろう。

 だからこそ、俺達は絶対誰にも見つかってはいけないし、騒ぎを起こしてはいけないのだ。

 なのに……なのに……!

 

「ぎゃああああ〜〜ッ!!」

「うおおおーーッ!?」

「うわー!? なんだなんだ!?」

 

 こっそりエース救出大作戦は、唐突に現れたピエロっぽい男の登場により、5分と持たずに終わりを迎えてしまった……

 誰だよこいつ!?

 なんか斧持った覆面トトロみたいなバケモノに追いかけられてるんだけど、巻き込まれた!!

 

「はぁはぁ、ぜぇぜぇ……ん? どわーーッ!! 麦わら!? 何故貴様がここに!?」

 

 並走し始めた俺達を見て、ピエロ男が声をあげる。

 え? なに?

 ルフィの知り合いだったの?

 

「なんだ……バギーか」

 

 ルフィの知り合いだったらしい。

 分かりやすくため息をついている。こんな塩対応なルフィ初めてである。

 

「ルフィ。誰? こいつ」

「あほだ」                

「よーし、フザけんなこのスットンキョー共め!!」

 

 ルフィの塩対応に大声でキレ散らかすピエロ男、あらためバギーさん。

 走りながらだというのに元気なやっちゃな。

 

「てかバギーとやら、後ろから追いかけてきてるのって何? 斧振り回しながらウホウホ言ってるやつら……」

「海の格闘家、ブルーゴリラ! 通称“ブルゴリ”だ! インペルダウンで牢番として飼われてんだ! あれに捕まったらハデにヒデェ目に遭わされるぞ!!」

「格闘家なのに斧使うのか……」

 

 とりあえず、このまま追い掛け回され続けていたら、すぐに他の看守達も集まってきてしまう。そうなれば捕らえられるのも時間の問題……

 見聞色で見たところ、ブルゴリ達はそこそこ強いが俺の敵ではなさそうなので、仲間を呼ばれる前に瞬殺しておこう。

 

「我流・トンタッタコンバット、あごしっぽ!」

 

 ビシシシシッ

 

「「「「「ウぉホ……ッ!?」」」」」

 

 合計五匹いたブルゴリ達を、尻尾でしばいて全員バタリと気絶させる。

 それを見たバギーが、目玉をギャグ漫画のようにポーンと飛び出させた。

 うわっ!? なにっ!? こわっ!?

 

「ぶ、ブルゴリが一瞬で……何者だ!? チビ……!」

「チビって言うな! つかお前こそ何者だよ!? 目ぇ飛んでんぞ! 赤っ鼻だし」

「だァれが赤っ鼻じゃクラぁ!!」

 

 目玉だけじゃなく、頭や手足までもをポーンと飛ばしてしまうバギー。

 なるほど、能力者……か。

 全身バラバラになってるし、バラバラの実の能力者ってとこかな。

 もしくはトカゲのしっぽ切りの個性持ち。リザーディはえっちだと思います!

 

「おいバギー! 聞きたい事があるんだけど!」

 

 空中に浮かんでいるバギーの生首に、ルフィがグイッと詰め寄っていく。

 しかしバギーはぷいっと頭を回転させた。

 

「聞きたいことァ? 知るか! おれはたった今、バギーのこっそり脱獄大作戦が台無しになったばかりで、それどころじゃねェんだよ!」

 

 あー、脱獄の途中だったのね。

 それにしても、バギーのこっそり脱獄大作戦か……

 俺のこっそりエース救出大作戦とネーミング被っててなんかヤダな……

 

「おれの兄ちゃん、エースを助けたいんだ! どこに捕まってるか知らねェか!?」

「知るかって今言ったろおれァ! もういっぺん言ってやろうか? 知 る かァ!! あいつは白ひげんとこの隊長だからな、ここよりもっと下のフロアで厳重に捕らえられてんだろ! レベル5か……もしくはそれより下か……」

 

 知るかって言いながらも、勢いそのまま知ってる情報を教えてくれるバギーさん。

 なんていうか……ノリだけで生きてる男だな……

 試しに、「レベル5って何〜? 下のフロアって何〜? 教えて博識バギーさ〜ん!」と煽ててみれば、「ぎゃはは! 博識バギーさんが教えてやる!」と笑いながら説明してくれた。

 ……説明を終えた後、「何を詳しく説明させてくれとんじゃ〜!!」と叫んでいた。

 ノリツッコミ。海賊やめて芸人になればいいと思う。

 

(……えっと、つまり……バギーの説明をまとめると、ここインペルダウンは、地下に行けば行くほど拷問レベルと囚人の凶悪度が上がっていく感じなのか……)

 

 レベル1・紅蓮(ぐれん)地獄(じごく)

 レベル2・猛獣(もうじゅう)地獄(じごく)

 レベル3・飢餓(きが)地獄(じごく)

 レベル4・焦熱(しょうねつ)地獄(じごく)。みたいな感じ。

 

 ちなみにレベル5はバギーもどんな場所かは知らないんだって。捕まってる囚人は最低でも億超え。

 なので懸賞金5億5000万ベリーのエースが捕まっている場所はおそらくそのレベル5……

 もしくは存在するのかどうかも分からない、幻のレベル6だってさ。

 

「なるほどな。じゃあ、俺が捕まったらレベル5……もしくはレベル6か。やだなぁ……」

「思い上がったチビ野郎だな。お前、そんなにヤバイやつなのか? 懸賞金は?」

「チビって言うな! この前10億になりました」

「じゅうおくぅうう〜〜ッ!!??」

「うるせぇよッ!! さっきから! もうちょい声落とせ!」

 

 看守に気付かれるだろが。

 

「いたぞ!!」

「あそこだ!!」

 

 ほら見つかった。

 仕方ないので、また“あごしっぽ”で全員素早く気絶させてやろうと構えたら……

 

「おれに任せろ! ゴムゴムの花火!!」

 

 俺より先にルフィが飛び出した。

 ぐるぐる回転しながらとび上がったルフィは、そこら中殴ったり、蹴ったりの大暴れ。

 おかげでその場にいた看守達は倒せたが、床とか壁とかもそこそこ破壊。当然大きな音が鳴り響いてめちゃくちゃ目立った。

 

「…………うん。短い付き合いだが、よ〜く分かった。ルフィもバギーも、お前らくっっそうるせぇ! こっそりだって言ってただろ!」

「「ごめんなさい」」

 

 まるで目立つ為に生まれてきたかのような2人である。

 それが悪い事だとは言わんが……いや、今この状況においては悪い事だ。うん。

 少なくとも不可視の怪盗と呼ばれる俺とは相性が悪過ぎる。

 

「よし、ルフィ……こっからは別行動しよう」

「別行動?」

「お前はお前でエースを目指せ。俺は俺でエースを目指すから」

「一緒に行かないのか?」

「今最もダメな事は、俺とルフィが同時に捕まっちゃう事だ。片方が捕まった時に片方が助けに行けるように、別れて行動するのが良いと思う。あとお前に“こっそり”を求めるのは不可能だと悟った」

「そっか。分かった!」

 

 たぶんルフィは騒ぎを起こしながら突き進んで行くだろう。

 だから俺は逆に、こっそり誰にも見つからないように進んで行こうと思う。それが効率的。

 もしも途中でルフィが捕まってしまったら、そん時はエースと一緒に救出してやればいい。

 

「そんじゃルフィ……無駄だとは思うけど、なるべくこっそり行けよ。できるだけ捕まるな! それじゃ!」

「おう! エース助けたらあらためて合流しよう!」

「オッケー!」

 

 そう言って、俺はルフィ&バギーから離れていった。

 

 

 

 

 

 

 ルフィ達と別れた後、とりあえず俺はしっぽコプターで天井辺りまで飛び上がって、監獄内の様子を上から眺め見る。

 

「うーわー、そこら中で看守達がドタバタ走り回ってるよ」

 

 まあ脱獄犯(バギー)侵入者(ルフィ)が現在進行系でドカドカと暴れまわってるみたいだから……当たり前っちゃ、当たり前だけど。

 

「監視電伝虫で見た情報によると、この騒ぎを起こしているのは道化のバギーと麦わらのルフィらしい!」

「道化のバギーはともかく、なんで麦わらのルフィがこのインペルダウンに!?」

「マゼラン署長は何をやっているんだ!?」

「とにかく、奴らを早く捕えるんだ!」

 

 走り回っている看守達の会話を聞くかぎり、どうやら俺の存在はまだバレてはいないらしい。

 よしよし、これならこっそりエース救出大作戦もまだ死んではいないな。

 

「しかし、う〜ん……人が多い……」

 

 誰にもバレる事なくこの中を突破するというのは……流石の俺でもちょい厳しいかもしれない。

 看守やブルゴリだけならなんとかなりそうだけど、一番やっかいな存在は“監視(かんし)電伝虫(でんでんむし)”だ。そこら中で壁を這い回っている。

 

 あ、電伝虫っていうのは、この世界特有の生物で、見た目はデフォルメされたカタツムリのような生き物だ。

 生き物のくせに、なんか特有の電波(念波?)を出すとかで……電話になったり、プリンターになったり、ビデオカメラになったりする。

 んで、監視電伝虫っていうのは、その名の通り監視カメラの用途をこなす電伝虫の事である。

 あいつらが見た光景が、どっかにあるモニターへと映し出されるって訳。

 

「監視電伝虫の映像って……どんな風に映し出されるんだろ……? もしもめちゃくちゃ高画質で、ズーム機能とかスロー再生がついてるんだったら、小人の俺でも厳しいよなぁ……」

 

 その辺の技術力がいまいち分かっていないのが辛い。

 

「うーん……考えろ、考えろ……看守にもブルゴリにも、監視電伝虫にも見つからないように、このフロアを移動する方法か……」

 

 そんな方法、本当にあるのだろうか? いや、無かったとしても探さなくては。

 監視電伝虫に見られない、看守にもブルゴリにも見られない、気にされない……

 そんな存在があるのだとすれば、それは……

 

「!! 監視電伝虫……そのものだ!」

 

 ピコーンと思いついた俺は、きょろきょろと辺りを見渡す。

 そして近くの壁に張り付いていた監視電伝虫へと視線を向ける。

 

「ふへへへ、よし。あいつにするか……」

 

 ブーンと天井付近を飛んでいって、監視電伝虫のすぐ真上へと移動した俺は、そのまま“そいつ”の背中(殻)へと飛びついた。

 

「よいしょお!」

『ジーー……ジッ!?』

 

 監視電伝虫の殻の上、そこにドスンとまたがるように腰を下ろす。すると当然ながら監視電伝虫は、ビクッと反応して、目玉を背後(こちら)に向けてこようとした……ので、目玉の根本のところをギュッと握ってやった。

 

『ニ゛ッ!?』

 

 そして低い声で脅しをかける。

 

「振り返るな。そのまま下を見続けろ。じゃないと次の瞬間、お前はフランス料理だ」

『…………!!?』

「よーしよし、良い子だ。おとなしくしてろよ〜」

『…………』ビクビクッ

 

 そう、俺の思いついた作戦……それは……

 ここに配置されている監視電伝虫を味方につける(おどす)事であった。

 

 このインペルダウンでは、いたるところで監視電伝虫らが這い回っている。

 つまり、こいつの背中は、このインペルダウンで最も監視の目が届かない場所であるという事だ。まさか監視電伝虫そのものに侵入者が乗っかっているとは誰も思うまい。

 

「ふへへへ……電伝虫くん。実はさ、俺、下の階層に行きたいんだよね」

『ニ゛〜……』

「ここはレベル1だろ? だから、レベル2までの道を案内して欲しいんだ。……しないと潰す」

『ジッ!?』

 

 ダラダラと冷や汗を流す監視電伝虫。よしよし、言葉は通じるみたいだな。

 こいつが単なる監視カメラだったらこの手は使えなかった。こいつが“生き物”であるからこそ、使えた作戦である。

 

「よーし! それじゃあレベル2に出発だ! 連れてってくれるよな?」

『ジ〜……』

 

 俺を乗せた監視電伝虫は、不服そうな鳴き声をあげながらも、うねうねと移動を開始した。

 

「よしよし、良い子だ。……そだな、せっかくだし名前でもつけてやるかね」

『ジー……』

「えっと、電伝虫だから…………デンタ、デンタロウ、デンノスケ、デンジロウ博士、電ボ三十郎、電王、デンリュウ、ヌメルゴン、エスカルゴン……どれがいい?」

『………』

「う〜ん、デンスケでいっか。よろしくな、デンスケ!」

『ジィィ…………』

 

 デンスケは不服そうに鳴いた。

 

 

 

 




デンスケがなかまになりたそうに(?)こちらをみている!
なかまにしてあげますか?

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