デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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騒動の黒幕

 アーロンの魚人生とやらを聞き終えた俺は、その後、いくつかアーロンと取り決めをして……レベル3の檻の中にアーロンを残したまま、電伝虫のデンスケと共にレベル4に向けて出発した。

 

「う〜む、それにしても人に歴史有りだな〜。デンスケはアーロンの話聞いてどう思った?」

『ジ〜〜』

「俺はビックリしたなぁ。ハチがナミの故郷を支配してた海賊だったなんて」

 

 デンスケの背中(殻)の上で、足をぷらぷらさせながら、俺は独り言のように呟く。

 

「俺、ナミの事あんま知らないけど、あの感じだとハチの事許してたよな…… スゲェわ。俺がナミの立場だったら絶対に許せないだろし」

『ジーー、ジーー』

 

 自分がもしもナミの立場だったら……

 故郷を支配され、大事な人を殺された側だったなら……

 俺はぜっっっったいに犯人の事を許せないと思う。

 それこそフィッシャー・タイガーを殺されたアーロンのように、復讐の鬼になってしまうんじゃないだろうか。

 

「…………なあデンスケ」

「ジィ?」

「俺の故郷のドレスローザってさ、今ドフラミンゴって奴が新しく王様になってるらしいんだよ……」

『ニ〜〜』

「ドレスローザは……大丈夫だよな? ドフラミンゴはちゃんと良い王様だよな? 支配なんてされてないよな? 俺の大切な誰かが、殺されてたりしないよな……?」

『ジ……ジィイ』

「ん゛ん゛! ごめん! らしくない弱音言った! 大丈夫! きっと大丈夫だよな! 大丈夫に決まってる! ふへへへへ〜!」

『…………』

 

 そんなこんなで、ゆっくりゆったり時間をかながら、レベル4へと下りる階段を見つけた俺達は、そのままニュルニュル先へと進んでいく。

 

 

 ……

 

 

「ふぅ、ようやくクッソ暑いレベル3を抜ける事が出来た……と思ったんだけど……」

 

 クソ暑フロアを抜けた先は、それ以上のクソ暑だった。

 階段を下りれば下りていく程、温度はますます上がっていく。

 暑いというか、もはや熱いである。

 

「くっはぁ……そういやバギーがレベル4は“焦熱地獄(しょうねつじごく)”だって言ってたっけ……レベル3よりさらに暑くなるって事か……」

『へっ……へっ……へっ……』

 

 見ると流石のデンスケも汗をかいて息を荒げていた。

 う〜ん、辛そうだな。俺に脅されて仕方なくとはいえ、よくもまあここまで付き合ってくれたものだ。

 ……そろそろ解放してやる頃合いかね。

 

「デンスケ、もういいよ。ここまで送ってくれてありがと」

『ジ……?』

 

 デンスケはきょとんと首を傾げた。

 

「もうこれ以上、俺を乗っけてってくれなくていいって言ってるんだよ。デンスケは上の階層に戻っててくれ」

『ジジ……!?』

「これ以上先行くのは辛いだろ? 後は俺一人で進んでいくからさ」

『………』

 

 そう言ってデンスケの背中から下りて、そのまま頭を撫でてやろうとしたら……

 

『ガブッ!』

「いっでぇッ!?」

 

 手を噛まれた。

 

「何すんだよ!」

『ニ゛ッニ゛〜〜! ニ゛ィ゛〜〜!!』

 

 デンスケは首を左右にぷるぷる振っている。

 

「??」

『ニ〜〜! ジッ! ジッ! ジッ!』

 

 めちゃくちゃ短い腕を使って、シュッシュッとシャドーボクシングを始めるデンスケ。自分はまだまだ元気だよ〜っていうアピールかな。

 …………え? じゃあつまり……

 

「…………まさか、まだ俺に付き合ってくれるっていうのか?」

『ニン♪』

 

 デンスケは二へ〜と笑った。

 

「で、デンスケ〜! お前……良い子だな〜!! ありがとうよ〜!!」

『ニ゛ァ〜〜!』

 

 ムツゴロウさんばりに、よ〜しゃよしゃよしゃと全力でデンスケを撫で回すと、デンスケはくすぐったそうに暴れた。

 

「ようし! それじゃあこれからもしくよろな! デンスケ!」

『ニーーッ♪』

 

 そんな感じでワチャワチャしながらたどり着きたるは、レベル4! 焦熱地獄(しょうねつじごく)

 そこはまるで巨大な鉄釜のようなフロアだった。煮え滾る血の池、燃えさかる火の海。俺の思い浮かべる地獄のイメージが、だいたいこんな感じである。

 

「お、おおぅ……あ゛ぁ゛づぅぅ……!! なんじゃここぉ……いるだけで死ねるぅぅ……本当に大丈夫か? デンスケ〜……」

『ジ〜〜……』

 

 前にも言ったが俺は暑いのは苦手だ。てか得意という奴の方が珍しいだろう。

 今すぐ全裸になって、尻尾の毛を全部剃ってしまいたい気分だ。

 

「ふぅ、へぇへぇ……汗だくの水着美女とかが、近くにいれば、この程度の暑さ、全然余裕で耐えられるんだけどな……でも、こんな地獄の底に、そんな美女、いる訳ないか……はぁはぁ……」

 

 あまりの暑さに、思わずそんなアホな事を口走った、その時だった。

 

「ん〜〜♡ あのオカマ! 恐らくはこの階段からレベル3に……え?」

「は?」

 

 俺達の目の前に、汗だくのボンテージ衣装のパツキン美女が現れたのだった。例えるなら、SMクラブの女王様。

 要望とはちょっと違ったが、エッチな格好のお姉さんの登場に、俺は暑さを忘れてテンションマックス! 尻尾もビーンとそそり立って……って、違う違う! そうじゃない!

 

(しまったーー!! レベル1からレベル4まで、誰にも見つからずにここまでこれたってのに……! ついに見つかっちまった!)

 

 暑さのせいで油断してた。

 

「ん〜〜♡ な、なに!? 小人!? なんでこんなところに小人が……!? って、待ちなさい! 貴方! その顔見た事あるわよ! ん〜〜♡」

 

 SM女王様が、ビシッと鞭を構える。

 

「懸賞金10億の首! 不可視の怪盗ね! ん〜〜♡ 最近話題になってたわ。いつの間に侵入したのッ!?」

 

 ビシィッ!!

 

「うおっと」

『ジイッ!?』

 

 俺の眉間目掛けて、的確に鞭を振るってきたSM女王様。

 しかし、それを見聞色で察知していた俺はその攻撃を楽々回避。

 

「避けられた!? ん〜〜♡ ナマイキ!!」

「ふへへ、悪いが俺はマゾヒストじゃないんでね! 鞭じゃなくておっぱいビンタなら受けてやってたよ」

「ん〜〜♡ インペルダウン全域に通達! こちら獄卒長サディちゃん! レベル4に侵入者よ! 急いでマゼラン署長を呼んで! 侵入者は不可視の怪盗!!」

 

 無線機みたいな電伝虫を使って、すぐさま応援を呼ぶサディちゃんとやら。

 もちろん応援がやって来るまでおとなしく待ってやる筋合いはない。

 

「悪いがサディちゃん、俺は逃げさせてもらうぜ! いくぞデンスケ!」

『ジーー!』

 

 ヒョイッとデンスケを持ち上げた俺は、ジャンプでサディちゃんを飛び越え、そのままダッシュで一本道の橋の上をかけていく。

 

「ふっへへ! デンスケにはここまで運んでもらったからな。こっからは逆に俺が運んでやるよ!」

『ニ、ニ、ニ!』

 

「待ちなさい! ん〜〜♡ ミノタウロス! ミノコアラ! そこのちっこいのを捕らえなさい!!」

 

 サディちゃんが声をあげると、一本道の向こう側から、体高4〜5メートルくらいの……ずんぐりむっくり体型な牛とコアラが二足歩行で走ってきた。

 なんじゃあれ!?

 ミノタウロスってのはなんとなく分かるけど、ミノコアラってなんだよ!?

 俺の見聞色によると、見た目はマヌケだがかなりの強者である。

 

「……まあ俺の敵じゃあないけどな! 我流・トンタッタコンバット、あごしっぽ!!」

 

 ビシシィッ!!

 

「ブモォオ……ッ!?」

「オオゥ……!!?」

 

 顎を的確に狙っての、尻尾でのチョップ攻撃。

 雑魚散らしにちょうどいいとして、多様している技なんだけど……

 

「ブモォ!」

「オオオッ!」

 

「へぇ……耐えるんだ。思ったよりタフだね」

 

 ミノタウロスもミノコアラも、少しぐらついただけで、すぐに立ち直して俺に向かってきた。

 

「それなら……しっぽハンマー!!」

 

 ゴォオオンンッ!! ゴォオオンンッ!!

 

「「…………ッ!!!」」

 

 尻尾を使った脳天への一撃。その一撃は大岩をも粉砕する。

 まともに喰らったコアラと牛は、そのままバタンと倒れ伏した。

 

「ふへへ! ま、こんなもんだろ」

『ジーー!』

 

 ぱちぱちと拍手するデンスケ。

 そのまま倒れた2匹を乗り越えて先に進もうとすると……

 

「ブモォオッ!!」

「オオォォ!!」

 

『ジッ!?』

「うわっ!? 起き上がった!?」

 

 完全に意識を刈り取ったと思ったのに、復活早すぎだろ!

 

「ん〜〜♡ このコ達はね、覚醒した動物(ゾオン)系の能力者なのよ! どれだけ痛め付けてもすぐに、ん〜〜♡ 復活しちゃう! 地獄の獄卒獣!」

 

 サディちゃんがぺろりと鞭を舐めながら説明してくれる。エロい。

 ……って、そうじゃなくて! こいつら能力者なのかよ!?

 覚醒ってなんだ? 動物(ゾオン)系の能力者って覚醒したらこんなんなっちゃうの?

 じゃあまさか、俺の妹、ウサギの能力者であるエスネも覚醒したら、こんな風に……?

 

【おにいさぁぁんんッ】ズモモモッ

 

 うわっ! 今、嫌な想像しちゃった! 俺は首を振って幻覚を吹き飛ばす。

 

「さあ捕まりなさい! 不可視の怪盗!」

「ブモォオ!!」

「オオォォ!!」

「わっ!? たっ! とっ! ほいっ!」

 

 正面からミノタウロスとミノコアラが金棒を振り回して攻撃してくる。そして背後からはサディちゃんが鞭で遠距離攻撃してくる。

 見聞色のお陰で当たらないが、流石に手数が多い。

 

「ええい!! 鬱陶しいッ!!」

「きゃっ!?」

 

 サディちゃんが振るってきた鞭を、俺は目にも留まらぬ早さでバシッと奪い取った。

 そしてブチッと引き千切る。

 

「私の鞭がァ!?」

「ふへへ、これでもう攻撃してこれないだろ!」

「最悪!! ん〜〜♡ 攻めなきゃ生きてる意味がないのに!!」

「なら代わりに俺が攻めてやるよ!」

「え!?」

「おらぁっ!!」

 

 ビシッ

 

「あァんっ!?♡」

 

 引き千切って短くなった小人サイズの鞭を使い、俺はサディちゃんの尻をひっぱたいた。

 

「我流・トンタッタコンバット、愛のムチ!」

「く、屈辱!! ん〜〜♡ この私が、逆に鞭を入れられるだなんて!」

「そりゃ! そりゃ! そりゃ! そりゃ!」

「あんッ♡ やんッ♡ やめてェ♡ あぁんッ♡」

 

 痛くなりすぎないように! だけどちょっとは痛いように! 出来るだけエロく! 鞭を打つ!

 

「ブモォオ!!」

「オオォォ!!」

 

「お前らには手加減せん!! 我流・トンタッタコンバット! 双竜打ち!!」

 

 ビシシィッッ!!

 

「「……ッ!!」」

 

 ミノタウロスとミノコアラには思いっきり強く打ち込んでやった。

 その次はサディちゃん。彼女の尻を執拗にひっぱたく。出来るだけエロく! 出来るだけエロく!

 

『ジー! ジィーー!』

「なに? 遊んでる場合じゃないって? しゃあねぇなぁ……」

 

 ビシィッ

 

「あん……ッ♡」

 

 デンスケがうるさいので、仕方なくサディちゃんにトドメをさす。

 ムチは使わず、あごしっぽでバタリと気絶させた。

 

「さーて、それじゃあお次は牛とコアラ、お前らだ! トドメ行くぞ!!」

「ブ……ブモォオ!!」

「オオォォ!!」

 

 サディちゃんを倒され、怒った2匹が猛スピードで突っ込んでくる。ミノタウロスは金棒を、ミノコアラはメリケンサックを振り被ってきた。

 こっちは一応、デンスケ背負ったまま戦ってるからな。一撃でも喰らうとヤバイので、向こうの攻撃が届く前に、本気の一撃をくれてやる。

 

「我流・トンタッタコンバット! しっぽインパクトォッ!!」

 

 ズガアアアンンッ!!!

 

「「…………ッ!!」」

 

 現時点での俺の最高火力。武装色の覇気を纏っての尻尾の一撃。

 覚醒動物(ゾオン)も流石にこれには耐え切れなかったようで、2匹のずんぐりむっくりはバタリと倒れて気絶した。

 

「ふぅ……思ったより時間取られたな。主にサディちゃんのせいで……」

『ジ〜……』

 

 何か言いたげなデンスケを抱えたまま、俺は橋の上をタッタッタッと走っていく。

 さーて、レベル5への階段はどこだろう……? キョロキョロと辺りを見渡していた、その時だった。

 

 ドシーンッ

 

「わっ!」

『ジッ!?』

「まさか麦わら以外にも、こんな大物ネズミが入り込んでいるとはなァ……!!」

 

 俺達の目の前に、身長5メートルくらいはありそうな、真っ黒な軍服男が降ってきたのである。

 

『ジーー!! ニニニッ! ジ〜! ジ〜! ジジジィ〜〜!!』

「ど、どうしたデンスケ? 何をそんなに騒いで……うっ!?」

 

 突然デンスケが騒ぎ出す。その理由は……聞くまでもないな。俺の見聞色がすぐに答えを導き出した。

 この男、めちゃくちゃ強い!!

 さっき倒したミノタウロスやミノコアラとは比較にならんくらいの強さだ。

 

「まさか、お前が……マゼランか?」

「いかにも。懸賞金10億の首、不可視の怪盗……」

 

 インペルダウンについてバギーから色々聞いていた時に、ここのボス、監獄署長についても実はちょっぴり聞いていた。

 監獄署長マゼラン。ドクドクの実の毒人間で、しょっちゅう下痢してるクソ野郎らしい……

 

「……」

 

 マゼランはギロリと俺に視線をやると、自分のお腹をスリスリと撫で始めた。

 

「麦わらとの戦いで毒を使い過ぎ、腹を下している最中だったというに、連戦とはまったく……」

 

 どうやら本当に下痢してるらしい……

 って、ちょっと待て! 麦わらとの戦いって言ったか今!?

 

「る、ルフィと戦ったのか? あいつ……まさかもう捕まっちゃったとか……」

「捕まった? いいや違う。麦わらのルフィは……この俺が直々に処刑した」

「……はっ?」

 

 処刑?

 

「毒の刑罰だ。一種類程度の毒ならば解毒の道もあっただろうが……麦わらには数十種類もの猛毒をくれてやった。解毒は不可能。すぐに死ぬだろう」

「死……ッ!? え!? ルフィが……死ぬ……!? そんな、まさか……」

 

 ここは監獄の中だから、たとえ看守に見つかり、戦闘になって敗北したとしても、そのまま檻の中に入れられるだけで、命までは取られないと……そう考えていたのに……処刑!?

 

「…………ッ!!」

 

 お、俺が甘かった……

 何を甘っちょろい事考えてたんだ俺は……

 そうだ。殺される可能性だって全然あっただろう。ルフィがなまじ強いばかりに、その可能性を捨てて、ほったらかしにしてしまっていた、俺の責任だ……!!

 

「く、くそ! くっそお!! よくもルフィを!! よくもぉ……!!」

「……鉄壁の堅固を誇るこのインペルダウンに、一体どのようにして麦わらが侵入出来たのか、それだけが謎だった。……だが、なるほど……不可視の怪盗! 貴様の仕業という訳だな!」

「ああ!?」

「貴様の小ささなら、どこからともなくインペルダウンに侵入する事も……不可能ではないだろう。そうして貴様は、内部から麦わらを侵入させるように手引きした! 違うか!?」

「………手引き?」

「そうだ! 史上初、インペルダウンの侵入者となった麦わらのルフィ! それを影で操っていた、本当の黒幕! この騒動の真犯人! それこそが貴様なのだろう! 不可視の怪盗!!」

「……」

「ふっ、図星か」

 

 いやちげーし……

 俺はただ、ハンコックがルフィをインペルダウンまで送るって言ってたから、それに相乗りしてついてきただけなんだけど……

 見当違いにも程がある。

 

 ……でもまあ、それを言っちゃったら、ハンコックの立場を悪くしちゃうから、言えないんだけどさ……

 

 う〜ん。しゃあない。ここは俺が黒幕って事にしておくか。

 

「……ふ、ふへへへへ! 今更気付いたところで遅い! 全ては俺の手のひらの上よ! どうだ!? まんまとしてやられた気分は? ふ〜へっへっへっへ!」

「おのれ……!! 貴様を捕らえて、この騒動にケリをつける! 毒竜(ヒドラ)!」

「うおっ!?」

 

 マゼランの体から、毒液で作られた三つ首ドラゴンがニュルリと生えてきた。

 毒テラス! サザンドラ!!

 

 

 

 




はい、今年ラストの更新でした〜。
次話は来年! VSマゼラン!

パソコンがぶっ壊れたりと、僕の方はさんざんな年末でした! ではでは皆さん、良いお年を!
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