レベル4、焦熱地獄での戦い……
監獄署長マゼランを血の池地獄へと叩き落とす事で、なんとか勝利をもぎ取る事が出来た俺。
しかし、マゼランの最後の足掻き……
置土産というか、最後っ屁というか……
奴の放った毒液。その一雫がたまたま俺の頭上へと落ちてきた。マヌケな事に、俺はそれに気が付く事が出来ず……
そのせいで……
『ジィッ!!』
「……えっ!?」
ビチャッ
俺を庇ったデンスケが、俺の代わりに毒液を浴びてしまったのだった──
『…………ジ……ィィ……』
「で、デンス……ケ……?」
マゼランの毒液をモロに喰らってしまったデンスケは、苦しそうに顔を歪め、ふらふらと揺れて、最後に俺の顔を見てニコッと笑ってから……ぱたりと倒れ伏した。
「え? あ? ……デンスケ……? だ、だいじょっ……」
『 』
「あっ、あああ……ッ!?」
俺の呼び掛けに全く反応しない。ぴくりとも動かない。というか、呼吸の音すら聞こえてこない。
ゾワッと、背筋が凍った気がした。
「ああああああ!! うわあああああああああああああああ!!? デンスケぇええええええ!!!」
ヤバイ……
ヤバイヤバイヤバイヤバイ! シャレになってないぞこれ! 死んじゃう! このままじゃデンスケが死んじゃう!! 俺の為に! 俺のせいで!
「ど、どど、どうしよ! どうしよう!!」
『 』
「し、死なせないッ!! 死なせないぞ!! 絶対に……た、助けるから!! 死なせてたまるかあ!!」
動かなくなったデンスケを背負い、俺は猛スピードで駆け出した。
どこに向かって走っているのかは分からない……とにかく走る! 走りながら考えろ! デンスケを助ける方法を! きっとある、絶対ある。
「考えろ! 考えろ! 考えろ! ど、毒を治すには、えっと、えっと……」
思い出せ…………そうだ! マゼランが言っていたじゃないか。【一種類程度の毒ならば解毒の道もあっただろうが……麦わらには数十種類もの猛毒をくれてやった。解毒は不可能】って。
数十種類の毒の解毒は不可能……
それってつまり、逆を言えば、一種類程度の毒なら解毒も可能って事じゃないか?
なら、インペルダウンのどこかに解毒剤がきっとあるはず。じゃないと解毒って言葉がスッと出てくるはずがない。
「げ、解毒剤だ! それを見つけられればデンスケを治せるはず!」
でも、一体どこにあるんだ? レベル1か、2か3か4か5か……もしくは職員専用の隠し部屋とかがあるのか……
広大なインペルダウン。とてもじゃないが一つ一つ探してる時間はない。
そんな風に考えながら走っていると……俺の行く先、石橋の向こう側にて、何十人もの看守達が隊列を組んで立っているのが見えてきた。
「待ち伏せしてる……? 敵か? ッチ……!」
十中八九、マゼランが俺を逃した時用の捕まえ係だろう。
一分一秒を争う時だってのに、しゃらくさい!
「……いや、待てよ……」
冷静に、ポジティブに考えろ。
そうだ。あいつらは敵じゃない。解毒剤の在り処を俺に教えてくれる為に出てきた、親切な通行人だ。そう考える事にしよう。
これはピンチではなくチャンスなのだ。デンスケの毒を治すんだ。
俺は看守たちの目の前でキキィッと急ブレーキをかけて止まると、にこやかに微笑んだ。
「ふへへへへ……こんちには!」
さあ、交渉タイムだ。
「え? うわっ!? で、出た! 不可視の怪盗だ!」
「マゼラン署長がいないぞ! 振り切られたのか!?」
「ま、まさかやられてしまった訳じゃないよな……?」
「馬鹿! マゼラン署長が負ける訳ないだろ! たまたま逃げられただけだ! マゼラン署長が追いついてくるまで、俺達で不可視の怪盗を食い止めるんだ!」
「「「「おおっ!!」」」」
……分かってはいた事だが、俺の挨拶には耳を傾けず、ジャキッと銃を向けてくる看守達。
うん……まあそうなるよね。友好的にはいけない感じですか。そうですか……
な ら ば 実力行使だ。
「撃てぇえ!!」
ダダダダダダダッと、銃を乱射してくる看守達。だが、未来視の出来る俺にそんなものが当たるはずもない。
弾を全て避け、逆に全ての銃を一瞬にして奪い取り、ついでに服やらパンツを剥ぎ取って全員すっぽんぽんにしてやった。
「トンタッタ流、武装解除!」
男の服を剥ぎ取る趣味は無いが、今はそんな事を言ってる時間はない。交渉をスムーズに進める為である。
「は? じ、銃が消えた!?」
「いつの間にか防護服が脱がされてる!? どうなってるんだ!?」
「あ、アツっ!!」
「ぐおお! 焼ける! 焼ける!」
「防護服無しでレベル4は辛すぎる!」
「暑い! 暑いぃい!!」
手で股間を隠しながら、床の熱さにぴょこぴょこ跳ねまわる看守たち。
そんな彼らに俺はギロリと殺気を飛ばす。
「暑がってる場合じゃねえぞ……今、お前らの目の前には、俺がいるんだ……」ヴォン
「「「「!!!」」」」
看守の数は全部で20人。そのうち1人がぶくぶくと泡を吹いて気絶した。あん? ……なんで勝手に倒れてんだこいつ?
まあいい。
「……お前らの親玉であるマゼランは俺が倒した」
「!!?」
「なんだと!?」
「う、嘘をつくな!」
「嘘じゃない。このフロアにある血の池地獄へと叩き落としてやった。……でも、その代わりにうちの電伝虫がマゼランの毒を喰らっちゃってね……解毒剤のある場所を教えて欲しいんだ」
俺の発言に、看守達がゴクリと生唾を飲み込む。
「だ、誰が言うか!」
「そうだ! 俺達はインペルダウンの守り手!」
「悪には決して屈しない!」
ふ〜ん。悪には決して屈しない……ねぇ……
俺は自分の事を悪だとも正義だとも思っていない。ごく普通の一般市民である。
だけど、大切な人を守る為なら、どんな悪い事だってしてやろうじゃないか……!
俺は奪い取った銃をジャキッと構えた。
「教えてくれないんなら、仕方あるまい……」
「「「!!」」」
撃たれる……そう思ったのか、看守たちはグッと歯を食いしばって目を瞑った。
「……俺がそんな普通な脅し、する訳ないだろ」
「え?」
「ふへへへっ」
俺はニヤリと笑った。
そして、全裸にひん剥いた事で丸出しとなった看守たちの尻に……俺は奪い取った銃をズボッとぶち込んでやったのだった。
「ぎゃあッ!?」
「な、なにを……!?」
「いでででで!」
「裂ける! 裂けるぅう!!」
尻穴に銃を入れられ、当然ながら慌てふためく看守たち。……だけど、交渉はこっからだぞ?
「よぉし、じゃあお前ら……10秒以内に解毒剤のある場所を教えろ。じゃないとお前らのケツに刺さったその銃……二度と取り出せないくらい奥まで、思いっきり押し込んでやる」
「「「「!!???」」」」
こっちは急いでるんだ。手段なんて選んでられない。だから思いつく限り、一番嫌な脅しをさせてもらった。
「そ、そそ、そんな事……出来る訳ないだろ……!」
「ハッタリだ!」
「たとえ本当だったとしても、俺たちは口を割らないぞ!」
「あっそ。じゃあスタート。10、9、8……」
カウントダウンを進めていくごとに、俺は銃を尻に押し込む力を少しずつ強めていく。
「んぼごおおおおッ!!?」
「ぎゃあああ!? それ以上は入らないぃい!!」
「痛い! 痛いぃい!!」
「7、6、5……」
「ひいっ!? だ、誰か! 助けて!!」
尻から銃を抜こうとした奴がいたら、それ以上の力でさらに押し込んでやる。この場から逃げ出そうとする奴がいれば、押さえつけて動けなくしてやる。
俺のスピードと見聞色があれば、19人全員を拘束し続ける事くらい朝飯前なのだ。
さあ、カウントダウンはあと4秒。どうする?
「4、3、2……」
「あぁあぁぁあああ………!」
「1、ゼ……」
「ぎゃあああああ!! あ、あっち!! 解毒剤はあっちにありますーーッ!!!」
「あっちに医療室があるんですぅう!! そこに解毒剤がありますぅうう!!」
「嘘じゃないです! だからもうヤメテーーーーッ!!」
腸内に危険物を無理やりねじ込まれる恐怖にいよいよ耐えきれなくなったのだろう。何人かがついに口を割った。
ちなみに全員泣いている。大号泣だ。そんなに怖かったのか。
「オッケ! 教えてくれてありがとね!」
看守たちの尻から銃を引っこ抜くと、俺は彼らを安心させるように微笑みを浮かべた。
そうしてお礼を言った後、全員をあごしっぽで気絶させてから、教えてもらった医療室へと急ぐのであった。
……
インペルダウン、医療室。
幸運な事にそれはレベル4、焦熱地獄の階層にあった。
看守たちを脅した場所から徒歩5分。俺の足なら10秒足らずで行ける距離だ。
「うぉらああ!! 解毒剤はどこだぁあ!! うちのデンスケを治療しろぉおお!!」
「うわああ!? なんだなんだ!?」
「ふ、不可視の怪盗だーー!!」
「きゃあああーーッ!?」
全速力で医療室へと駆け込んでいった俺は、その場にいた職員たち全員を脅して、なんとか解毒剤をゲット!
しかし、注射器とか渡されても打ち方とか全然分からんので、医療班の人に代わりに打ってもらった。
『……ジ………………zzz……』
解毒剤を注射されたデンスケは、一瞬苦しそうな表情を浮かべたものの、真っ青になっていた顔色は少しずつ落ち着きを取り戻し、そのままスヤスヤと寝息を立て始めた。
「…………これで、デンスケは助かったのか?」
「は、はい……! 数時間は絶対安静ですが、げ、解毒は成功しました……! だだ、大丈夫です! はい!」
「そっか。ありがと」
「いえ……」
「それじゃあ気絶しといてね」
「え? ぐは……っ」
デンスケを治療してくれた医療班を、ビシッとあごしっぽで気絶させる。恩を仇で返してるみたいでなんとなく気分悪いけど、
「……ふぅ、とりあえずデンスケの一命はとりとめられたな。次はルフィを助けに行かないと………」
思わずはぁ……と、ため息が漏れてしまう。
デンスケはなんとか助けられたが、ルフィは一体どうやって助ければいいのだろう?
マゼランの毒を大量に喰らってしまっているらしいし、解毒剤は効かないんだよな? そもそも今どこにいるのかすらよく分かっていないし……前途多難である。
『zzz……』
「……でもまぁその前に、デンスケをどうするかを先に考えないとな……」
解毒治療は上手くいったが、医療班の職員は数時間の絶対安静が必要だって言っていた。
つまり、俺がルフィを助けに行ってる間、デンスケにはどこか安静にしていられる場所で、ゆっくり休んでおいてもらわないといけない。
この部屋に置いてあるベッド……は危険か。敵地のど真ん中だし。
「安全で誰にも見つからない、隠れておける場所があればいいんだけど……」
ベッドの下、棚の上、引き出しの中……う〜ん、どこも簡単に見つかってしまいそうで怖い。
部屋の中にエロ本を隠す時と似たような心持ちである。
……そういやドレスローザにいた頃は、ヴィオラの部屋に勝手にグラビア雑誌隠してたのがバレて、大目玉を喰らったっけ……
次の日、ヴィオラの髪型がそのグラビア雑誌に乗ってた女の人と同じ髪型になってたんだけど……あれってどういう意味だったんだろ? 嫌がらせだったのかな……?
「うーむ………って、そんな事考えてる場合じゃねえ!! 早いことエロ本……じゃない! デンスケを隠せる場所を探さないと!」
キョロキョロと辺りを見渡しながら考える。
「あそこは……ダメ! あそこも……ダメ! あそこは……お?」
天井付近の壁のところに、直径15センチ程の金網が設置されているのを見つけた。
あれって……空調、だよな?
しっぽコプターでブーンと飛び上がった俺は、空調の金網をカパッと外す。
「おお! すげぇ……ギリギリだけど、この中なら隠れられるぞ……!」
普通の人間では決して隠れる事の出来ない、小さき者だからこそ隠れられる、そんな絶好の隠れ家を発見してしまった。
「ふへへへ! ここならまず見つからない。デンスケを隠しておくのにもってこいの場所だ!」
デンスケを抱えて飛び上がった俺は、空調の中にデンスケをグイグイと押し込んでいく。
「よいしょ、よいしょ……とりあえずここでおとなしくしておいてくれよ、デンスケ。……もうちょい奥まで押し込んでおくか。よいしょ、よいしょ……」
あんまり手前の方だと、外から見上げた時に見つかってしまうかもしれない。
出来るだけ奥に、出来るだけ奥に、グイグイグイグイ押し込んでいく。すると……
「うおっ!?」
急にガタンッと、床が抜けた……
「お? お? お!? うおおおおおおおーーっ!?」
そのままガタンッ、ガタンッ、ガタンッと、まるでピタゴラスイッチのように、俺とデンスケは空気孔の中を落ちていく。
よく分からん機械に頭をぶつけ、パイプの中を滑っていき、ゴロゴロと転がりながら、なす術無く落ちていく……
そうしてたどり着いた場所は、広くて暗い……まるでトンネルのような通路だった。
「ふ、ふへひほぉ………な、なんじゃここ? デンスケ、大丈夫か?」
『zzz……』
「ダイジョブみたいだね」
一体ここは何なのだ? インペルダウンのどの辺なんだろう? 隠しダンジョン的な何かか?
とりあえずデンスケを背負い直す。そうしてゆっくりと進んでいく。
「? なんか騒がしい……?」
通路の奥の方から、ドンチャン♪ ドンチャン♪ と音楽が聞こえてきた。それに光だ。
恐る恐る覗いてみると、そこには……
「ア〜〜っ ウェルカマ!! ニューカマー!! ヒィ〜〜ハーーッ!!! ハッ!! ハハ〜〜ッ!!!」
「……………………は?」
そこには……
うさ耳をつけた網タイツおじさん……
鹿の被り物をした網タイツおじさん……
グラサンセクシーな網タイツおねぇさん……
そして……
顔面がやたらとデカイ、王冠を被った、紫パーマの網タイツオカマさん……
それらが歌って踊っての大騒ぎをしていたのである。
それを見た俺は、ついつい大声で叫んでしまう。
「ぎゃあああああーーッ!!? へ、へへ、変態集団だぁあーーッ!!!??」
正直、マゼランと出くわした時以上の恐怖だった。
パソコンが水没して壊れたので新しいのを買う。
↓
今までのエロゲのインストールやり直し。
↓
気が付いたら1日終わってる。
そんな感じの土曜日でした。とても悲しい。