デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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求めたモノは目の前に……

 マゼランの毒に冒され、治療中のルフィに代わり、エース救出の任務に乗り出す事を決めた俺。

 そこに協力を名乗り上げてくれたのは、Mr.2・ボン・クレーという男……いや、オカマであった。

 

「麦ちゃんの兄貴を救出しに行くんでしょ!? それならあちしにもどうか、そのお手伝いをさせてちょうだい!!」

 

 やる気満々、覚悟の決まった様子のボンクレー。

 

 正直言って、ハンニャバル、サディちゃん、獄卒獣、ザーメンのシリュゥ、千を超える看守たち……

 これら全ての戦力をたった一人で相手しながらエースを助け出すというのは、難易度ルナティックの超無理ゲーだったので、手伝ってもらえる事自体は非常にありがたい……のだが……

 それでも俺とボンクレーで、たったの二人。

 

 見聞色で見るに、ボンクレーの戦闘力は……弱くはないが圧倒的に強いかといわれるとそこまでではない。

 このままじゃ二人揃って犬死にするだけだよな〜。どないしょっかな〜と、俺が頭を悩ませていると……

 

「もしかしてラインちゃん、あちしの事を足手まといだとか考えてるう?」

「え? いや、そんな事思ってな──」

「んがっはっは! ジョ〜ダンじゃなーいわよ〜う!」パッ

「──ッ!??」

 

 瞬間、ボンクレーの姿が麦わら海賊団の航海士、ナミの姿に変わった。

 え? いや、は? ど、どゆこと!?

 

「んがーーはっはっは! DO(どぅ)? 驚いたー?」

 

 一瞬にしてオカマが美少女の姿に変身してしまった……

 とりあえず、俺はしっぽコプターでナミ(ボンクレー)の前まで飛び上がると、目の前にたぷん♡と突き出たおっぱいを揉んだ。

 もみもみ、もみもみ……

 む……! こ、この感触は……本物の乳だ!

 

「………………あちしの能力を見て、ビックリする人は今まで何人も見てきたけど、無言でおっぱい揉んできた人はラインちゃんが初めてよう」

「能力? ま、まさかボンクレー! お前の能力って……」

「そうよう! あちしの能力はマネマネの──」

「おっぱいを作り出す能力者だったのか!?」

「ジョーダンじゃないわよーう!!?」

 

 冗談だよ。

 

 話を聞いてみると、どうやらボンクレーはマネマネの実という、一度顔に触れた事がある人物なら、いつでもそっくり化けられるという能力者なのだそうな。

 

 なるほどな。素直にスゲーって思ったね。

 だってそれって……どんな女の子のおっぱいだって揉み放題って事だろ? いや、おっぱいだけじゃない……凹凹凹だって見放題だし、性感帯だって調べ放題!

 それに……高身長イケメンの姿に化ける事だって可能なはずだ。

 いーなー! マネマネの実! ……まあ俺の第一候補は変わらずデカデカの実だから別にいいんだけど。ふへへへ。

 

「って、今はそんな事考えてる場合じゃなかった! 落ち着け! 俺!」

「ナ〜ニ考えたのよーう。ラインちゃん。このスケベ〜」

 

 とりあえず、妄想は後回しだ!

 今はボンクレーの能力をどのように使って、エースを助け出すか……それについて考えよう。

 

 

 

 

 

 

 と、いう訳で……

 俺が囮になってる隙に、こっそりエースを救出しちゃおう大作戦! は、実行された。

 

 作戦の流れはこうである。

 

 まず、俺が仮面ライダーの登場シーンのように、めちゃくちゃ目立つ感じで敵のど真ん中に飛び出す!

 ↓

 敵からの一斉攻撃を受ける事になるけど、見聞色を全開にして、なんとか時間稼ぎ! 生き延びる事に集中する!

 ↓

 俺が敵の気を引いてる隙に、隠密行動に特化した姿……すなわち“俺の姿”に化けたボンクレーがエースを救出!

 

 以上! そんな感じ。

 そしてその作戦は、ものの見事に成功したのであった。

 

「んがーーっはっはっはっ!! やったわよ! ラインちゃん! 作戦通り、ラインちゃんがこいつらの目を引いてる隙に! 麦ちゃんのアニキと! ジンベエを解放する事に! 成功したわ〜!!」

「……ありがとよ、ラインとやら……お陰で助かったぜ!」

「ワッハッハッハ! 流石はラインさんじゃ! わしら魚人族の希望の星! 魚人島で救世主と謳われているだけはある!! ワハハハハ!」

 

 ……なんかエースだけじゃなく、ジンベエとかいう七武海まで助け出しちゃってるけど……

 

 まあいっか。敵対してくる感じではないっぽいし。

 ジンベエの人柄については、アーロンからそれなりに聞いている。悪い奴ではないはずだ。

 

「ふ、ふふ、不可視の怪盗が……二人!? ええ〜〜っ!?」

 

 俺に化けたボンクレーを見て、ハンニャバルはめちゃくちゃパニックになっていた。

 まあ驚くよね。10億の首がいきなり二人になったら。

 とりあえず、隙だらけなので……

 

「トンタッタコンバット、しっぽハンマー!!」

「ぶへェッ!?」

 

 ドオーンッと脳天に尻尾を振り下ろし、一撃で気絶させてやった。

 これで敵の指揮官は潰せたな。

 

「よーし! 畳み掛けるぞ! エース! そしてジンベエ! いきなりで悪いが俺に合わせてくれ! まずはシリュウを片付ける!」

「分かった!」

「了解じゃ! ラインさん!」

 

「ぐっ!? おれが、こんなところで……!!」

 

 俺(10億の首)、エース(5億5000万の首)、ジンベエ(元2億5000万の首)による連携攻撃は、流石のシリュウでも対処しきれず、暴力のゴリ押しによって倒す事に成功した。

 

「ぐはァ……!!」 バタンッ

 

「ハンニャバル副所長とシリュウ看守長がやられた!?」

「ま、まずいぞ! もうおれたちだけしか戦力は残っていない!」

「ここを突破されたらインペルダウンは終わりだ! 絶対に死守しろ!!」

「いやいや! マゼラン署長もいないのに! 無理だって!」

「おれたちだけでどうすりゃいいんだよ!?」

 

 残された敵は千人のバズーカ部隊。ハッキリ言って雑魚である。しかも……

 

「逃げんなよ……!!」ヴォンッ!!!

 

「「「「ッ───!!?」」」」バタンッ

 

 なんとエースが覇王色の覇気を使用。相手を威圧して倒す……数百万人に一人しか持たないと言われている特別な覇気だ。

 これにより、バズーカ部隊の“約7割”がバタリと一気に気絶してしまった。

 つえー! エースつえー! メラメラの実とかいう自然(ロギア)系の能力者ってだけでも強いのに、さらには覇王色持ちかよ。化物スペックにも程があんだろ!

 なんでこいつ、俺より懸賞金下なんだよ。

 

「我流・トンタッタコンバット!」

「火拳!」

「魚人空手!」

「オカマ拳法!」

 

 後はもう、作業ゲーだった。

 残り300人弱まで減った敵の戦力を、このメンバーで殲滅するのに、時間は1分とかからなかった。*1

 

 

……

 

 

 

「よーし、これでオッケー!」

 

 倒した看守たちは、とりあえずまとめてレベル6の檻の中へとぶち込んでおいた。

 千人以上もいるので、全部入るかな〜とは思ったが、そこは流石に世界一の大監獄。檻はたくさんあったので、ギュッと詰め込めば全員余裕で入った。

 

「ま、とりあえず……これにて一件落着かな。なんとかなって一安心だ〜」

 

 それにしてもシリュウとハンニャバルによる連携攻撃は流石の俺でも肝を冷やしたね。

 なんとか致命傷は全部避けられたけど、あちこち微妙に擦り傷ができて結構痛い。

 ペタリと床に座り込んで、帽子から取り出したハンカチで汗と血を拭う。そんな感じで、ふへ〜と休憩していると……

 

「……ライン。おれたちを解放してくれてありがとう。改めて礼を言わせてくれ」

「ラインさん! この恩は一生忘れん……! かたじけない! かたじけない……!!」

 

 俺に向かって、エースがペコリとお辞儀をしてきて、ジンベエはなんか……目をキラッキラさせながら深々と土下座してきた。

 いや、土下座て……俺は別にジンベエまで助けるつもりはなかったんだから、お礼ならボンクレーの方に言ってよ。

 するとエースがケラケラ笑った。

 

「はははっ、悪ィなライン。こいつ、あんたに憧れてんのさ」

「は? 憧れ? 俺に? 七武海が? ……なんで?」

「七武海の称号は関係ない! 不可視の怪盗といえば……魚人島でその名を知らぬ者はおらん程の有名人! そして今! わしは! 実物のあんたを見て確信した! ラインさん、あんたこそが魚人族の救世主! わしの命をかけるに相応しい男じゃ!」

「ハイィっ!?」

 

 涙ぐみながら目ぇキラッキラ。

 ……なんかよく分かんないけど……ジンベエからクソデカ感情を向けられているという事だけは分かった。

 アーロンからそれなりにジンベエの話は聞かされてたはずなんだけどな……めっちゃキャラ崩壊してない? こいつ。

 ……ところで救世主って何の話だろ?

 

 

 まあいっか。とりあえず、これでエースたちをレベル5.5、ルフィのもとまで連れて行ければ俺の任務は達成される。

 そうして、俺達がレベル6を後にしようとした、その時だった──

 

「おい! おれたちも出してくれよ!」

「そうだそうだ!」

「そいつらだけ出すなんてズルいぞォーー!」

「げへへ、ここから出してくれたらおれァ、あんたの子分になってやるぜ!」

「お、おれもだ! おれも! 子分になるから、だから出してくれ!」

「お! そんならおれも出してくれニャー」

「トプトプトプ……じゃあおれも……」

「クハハハハ……!」

 

 檻の中に閉じ込められているレベル6の囚人たちが、なんかギャーギャー騒ぎ始めたのである。

 それを聞いて俺は……

 

「いや、出す訳ないだろ」

 

 フツーに断った。

 

 レベル6に収容されている囚人たちは、凶悪度MAXの極悪犯罪者たちだ。

 賭けてもいい。解放したら……絶対裏切る。絶対言う事聞かない。絶対問題起こす。絶対ヤバイ。

 こいつらを解き放つ事で……もしも俺の大切な人たちに危害が加えられたらと……

 そう考えるとゾッとする。

 

「いいか! 俺がここまで来たのは、エースを助ける為だけ! それだけだ! ジンベエはまあいいとして……その他の犯罪者たちは誰一人として逃してやるつもりはないからな! 分かったか!!」

 

「そんな事言わず、出してくれよ〜! おれはクタクタの実の疲労人間! きっとあんたのお役に立てると思うぜ!」

「あ……! じゃあおれはゴリゴリの実のゴリラ人間! 力仕事なら任せてくれ!」

「わしはザラザラの実の摩擦人間……! 絶対役立つ……! だから出してくれ……!」

「おらはブリブリの実だ〜! 見てくれ! この尻を!」

 

 ……なんか悪魔の実の発表会みたいになってるけど……そんな事言われたって、俺はお前らを檻の外に出したりは決してしな──

 

「あ おれはな…… デカデカの実の 巨大化人間 つって はは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は?

 

 

 え? なんか今……

 巨人サイズの檻の中に閉じ込められている、栗みたいな顔をした大男が……………え?

 

「お前…………い、今、なんて……言った?」

 

「え? なに? おれのこと 出してくれんの?」

 

「いいから答えろっ!! お前の食った! 悪魔の実の名前は!?」

 

「ああ おれが食った 悪魔の実は デカデカの実 つって な? 名前はサンファン・ウルフ なあ 出してくれんの? 檻から な? 出してくれんの?」

 

「で、デカデカの……実?」

 

 瞬間、俺は……

 

「──────〜〜〜〜ッ!!!! カハッ」

 

 呼吸の仕方を忘れて、その場にガクリと膝を突いた。背筋がゾッとした。頭がフワッとした。

 ダメ……ダメダメダメダメダメダメダメダメ!!

 

「ラインちゃん!?」

「ラインッ!?」

「ど、どうしたというのじゃ!? ラインさん! 大丈夫か!?」

 

 ボンクレー、エース、ジンベエが心配の声をかけてくれているが、俺の脳はそれを咀嚼する事はしなかった。いや、できなかった。

 脳が、心が、今のこの現状の全てを、否定しようとしている……

 

「ハァハァハァハァハァハァ……ッ!!! ゲホッ! ガッ……あが……!? ゲホガホッ! ぅジジジジジィぃ゛…………!!!」

 

 ガリガリガリと頭を掻きむしる。ガンガンガンと尻尾を床に叩き付ける。

 

「ラインちゃん! どうしちゃったのよーう!? ほら、落ち着いて! ヒッヒッフー、ヒッヒッフー!」

「ふ……へ……! ひ…………ぁ? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」

「本当にどうしたというのじゃ! ラインさん!! ゆっくりと、深呼吸するんじゃ!」

 

 悪魔の実は……同時期に、一つだけしか存在しない。

 

 つまり……デカデカの実の能力者が既にこの世に存在しているという事は……

 

 もう、この世にデカデカの実は……どこにも……存在しないという訳で……

 

 俺は一生、デカデカの実の能力者には……なれないという訳で……

 

「あ゛ーーーーーーーーッ!!! 嫌だあ゛ッ!! イヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだぁ゛あ゛ーーーーーーッ!!!!」

 

 なるべく考えないようにしていた。でも、ずっと脳裏にこびりついていた可能性……

 デカデカの実は……もう既に誰かに食われているかもしれないという……

 そんな可能性……

 

「う゛ぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛…………ッ!!!! これじゃ俺は!! なんの為に海に出たんだぁ゛あ゛あ゛あ゛!!?」

 

 デカデカの実を追い求めて、故郷を飛び出して、8年も かけたってのに……それでそのオチが……これか?

 嘘だろ? ダメだって! こんなの……! ハッピーエンドじゃない。

 

「はぁはぁ……! く、うぅ……!」

 

 ギリッと拳を握りしめ、俺はゆっくりとサンファン・ウルフとやらを見上げた。

 

「ん?」

 

 悪魔の実は……同時期に一つしか存在しない……

 つまり、今ここでこいつを殺せば……!!

 

「はぁはぁはぁはぁ……!!」

 

 こいつを殺せば、この世のどこかにデカデカの実が出現するという訳で…………俺にもまた、チャンスが生まれてくるという訳で……!

 

「……が、がりゅう……トンタッタコンバット……」

 

 こいつを殺せば……

 こ……ろ……せ……ば……!

 俺は尻尾に武装色の覇気を込めて、そして、そのままサンファン・ウルフに飛びかかろうとして──

 

 

 

「ライン……」

 

 

 

「……ぐっ!!」

 

 ──飛びかかろうと……したところで、俺はペタリと床に座り込んだ。

 こいつを殺そうと思った瞬間、何故か俺の頭の中に……悲しそうな表情の“ヴィオラ”が浮かんでしまったからだ。

 

「……」

 

 自分の欲望の為に、人を殺して、それで得た能力で……

 はたしてそれで、俺は胸を張って、夢を叶えられたと言えるだろうか?

 

「…………無理……だよ……」

 

 そんな事をしてしまえば、俺は絶対、自分の事を嫌いになってしまう……

 でも、だからと言って、今の自分が好きかと言われたら、好きにはなれない訳で……夢を諦めろと言われて、すんなりと諦められるはずもなくて……でも、自分の欲求の為に人殺しなんてできなくて、でも、もう、とにかく全部嫌で……あ? あああ? 分かんない……頭の中がグチャグチャだ……とにかく、ありのままの俺の姿じゃ、俺は誰にも男として見てもらえないから……だから……! だから俺は……!

 

「ヴィオラ……モネ……エスネぇ…………うっ、うぐ……ひっぐ………もう、分かんないよぉ……」

 

 ああ、俺はもう、どうすればいいんだ…………

 

 

 

 

 

 

*1
海賊無双みたいな感じをイメージしてね




ナットーごはんはハッピーエンド大好き人間です。
でも、絶望シーンも好きなんだ。だからワンピースという作品が大好き! これ分かってくれる人いるかな?
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