今回のお話は、気だるいトーンでお読みください。
…………あれから俺は……エース、ジンベエ、ボンクレーと一緒にレベル5.5の……えっと、オカマ〜ランドだっけ? に、帰ってきた。
それで、え〜……なんだっけ……
あ〜……そうだ。イワンコフ&その他のヘンタイ軍団が、本当にエースを救い出してくるなんてスゴイ! これは奇跡だ! ヒーハー! とか言って……なんか俺を胴上げしてきたんだ……
まあ、そんなのは別にどうでもいいことだけど……はぁ……
それから、えっと……
ルフィが今マゼランの毒を喰らってて、バタンキュー状態な事をエースたちに伝えた。
そしたらなんか……皆で治療中のルフィがいる部屋の前で「がんばれー、がんばれー」って応援する事になった。最初にやり始めたのはボンクレー。
そのお陰……かどうかは知らないけど、本来なら治療に2日かかるところを、ルフィは20時間ちょっとで復活してしまった……
…………復活したルフィはまず馬鹿みたいにメシを食った。そんで一息ついたら、目の前にエースがいる事に気付いて、大泣きしながらエースに抱きついていた。
義兄弟の感動の再会である。
俺はそれを耳をほじりながら見ていた。
「エースぅうう!! お前いつの間に!! 脱獄できたのか!! よかったなあ!! よがっだァああーー!!」
「へへ、ありがとなルフィ。ラインとそっちのオカマに助けられたんだ」
「そうだったのか! ライン! ボンちゃん! ありがとう!!!」
「んがーーはっはっは!! お礼なんて必要ナッシンッ! だってあちしたち、
「…………あ〜……俺も……礼とか……別にどうでもいーよ…………はぁ……」
「? なあボンちゃん。ライン、なんか元気なくねーか?」
「あー、麦ちゃん……それはねい、レベル6で色々あってねい……」
「??」
はいはいはい。
エースもルフィも助かったし、俺の役目はもう全部しゅーりょーだね。
おわりー。ばいばい、ふー、またね……
以上。
エースを助け出してから、ルフィ復活までのダイジェストでした……
「ふ〜へ〜は〜ひ〜」
とりあえず今の俺は、ソファに寝っ転がって、リンゴ酒をごくごく飲んでのヤケ酒タイムである。
デカデカの実を手に入れられなくなった悲しみを、酒で晴らしているのだ。……まあ晴れる訳ないんだがな……
『ジー、ジーー!』
そんな感じでグデ〜っとしていると、デンスケがすりすりと擦り寄ってきた。
ああ、そうだ。デンスケもマゼランの毒から生還したんだったっけ? うん。良かったと思うよ。マジで……
「デンスケ〜……お前はかわいいな〜……」
『ニ〜〜♪』
デンスケの頭をポンポンと撫でながら、俺はよっこらしょっと起き上がる。
けど、またすぐに反対方向にパタリと倒れてしまった。
「あぁ〜………勢いつけすぎて、倒れちゃったー……デンスケー……起こして〜……」
『ジ? ジィ〜〜』
デンスケにグイグイ全身で押されて、今度こそ俺は起き上がる。
でも、体に力が入らず、ぽてりとデンスケにもたれ掛かる体勢となった。
「あ゛〜…………………………つらい……」
『ジ〜……』
酒なんて普段あんまり飲まない。
別に弱い方ではないのだが……今はあんまり……良い酔い方をしているとは言えないだろう……だから何だって話だけど……どーでもいい。どーでもいい。
「ラインさん……少し飲み過ぎじゃないか? デカデカの実は確かに手に入らなかったが、別に命を取られた訳でもあるまい」
「そ〜ですね〜……」
ジンベエが何か言ってきたが、頭がふわふわしてよく分かんない。
多分慰めの言葉を言われてるんだろけど、頭がふわふわしてよく分かんない。
視界が少し、ふわふわと揺れている。
「うぃ〜……ヒック……」
俺が酒に潰れている間、これからどうするかの会議を皆がしていた。
まず、ルフィが自分の父親が革命家ドラゴンである事をぶっちゃけた。
それを聞いたイワンコフが、「父ちゃん!? ヴァナタの父ちゃん!!? ドラゴンに息子がいたの!?」って、死ぬほどビックリしていた。
……なんでもイワンコフは革命軍の幹部なんだって。
オカマの革命家……やっぱキャラ濃いな、こいつ……
そしたらそのままルフィが口を滑らせて……
エースが海賊王の息子である事や、俺が海賊王の副船長、レイさんの息子である事をバラしたりしてた……
「「「「ええええーー〜〜ッ!!!??」」」」
「おい! ルフィ! それ絶対言うんじゃねェって言ってただろが!!」
「あ……悪ィ、エース。ごめん皆! 今のナシ!」
「ナシでって……なる訳ないでしょーが!!」
「む、麦わらが……ドラゴンさんの息子ォッ!?」
「火拳は、海賊王の息子だってェ!?」
「そして不可視の怪盗は、冥王の息子だとッ!?」
「何なんだ!! こいつらの血筋は〜〜!!?」
………俺はレイさんの実の息子じゃなくて、血の繋がってない義理の息子なんですけどもね……
まあ……否定するのも面倒くさいし、別にいっか……
どーでもいいですよー……
「ま、まさか……! 麦わらボーイがドラゴンの息子だったなんて……!」
「イワちゃんはおれの父ちゃんの仲間だったんだな」
「そうよ。だから勝手ながら、ヴァターシにはヴァナタをサポートする義理がある!」
……よく分かんないけど、ルフィがインペルダウンから無事に脱出できるまで、イワンコフが協力してくれる事になった……らしい。
「ラインボーイがインペルダウンの戦力のほとんどをなぎ倒してくれた! 脱獄しティブルのに今以上の
……どうやら皆で一緒に脱獄するって流れになったっぽい。
「あ゛〜〜…………それじゃあ、デンスケ……お前はどうする?」
『ジ?』
「うん。今から皆で脱獄する感じなんだけどー……デンスケはどうする〜? インペルダウンに残る? それとも一緒に外出る? どっちでも好きな方選んでいいよ〜……」
『ジ……ジーー…… ニン♪ ニン♪』
俺に頬ずりしてきたデンスケ。どうやら一緒に脱獄するつもりらしい。
……インペルダウンを出た後はどうするんだろ? 野生の電伝虫として生きていくんだろうか……?
まあ、俺には関係ない話か……
「……はぁ、インペルダウンを……出た後……か……」
ルフィは変わらず海賊王を目指すのだろう。エースは白ひげ海賊団に戻るだろし、イワンコフは革命軍って言ったよな。んで、ボンクレーはオカマだし……
ん〜……あ〜…………
それじゃあ俺は、今後、どうしよっか?
デカデカの実を手に入れるって夢は……もう叶えられなくなっちゃったし……
何を目標に生きればいいんだ?
「………」
とりあえず、俺の船、リストラック号が、シャボンディ諸島にあるから、それに乗って……ドレスローザに、帰るんだったっけか……
そんな予定を立ててた気がする……
そんで、えっと……
とりあえず……
とりあえず……なんだ?
ドレスローザに帰って、何すんだ? 俺……
「………」
スカーレットとレベッカは、変わらず幸せに暮らしているだろうし……
レオはもう、マンシェリーと結婚しているだろうか?
そんでヴィオラとモネも、もしかしたら、とっくの昔に……誰かと結婚しているかも……だよな……
だって俺が旅立ってもう8年だもん……
皆もう、それぞれの人生を、歩んでるだろ、普通に考えて……
…………俺、帰る意味あるのかな……?
「ラインさん」
デンスケにもたれかかりながら、ボケ〜っとしていると、ジンベエが話しかけてきた。
「……あんだよ」
「あんたはデカデカの実が欲しかったんじゃろ?」
「……そだよ」
「悪魔の実は……それを食った能力者が死ねば、世界のどこかに同じ悪魔の実が再生すると言われておる」
「んぁ〜……」
「サンファン・ウルフを殺せば……もしかしたらデカデカの実が手に入るかもしれん……」
「……」
「それを分かっていながら、人殺しという手段を選ばなかったラインさんを……わしは尊敬しておる。……お前さんは、ティーチとは違う」
「…………」
……なにそれ? 意味わかんない。だから何だよ。
「正直言って、わしは何故そこまでラインさんがデカデカの実にこだわっているのか分からん」
「……」
「じゃが一つだけ聞かせてほしい。デカデカの実を食うこと……それ自体がラインさんのゴール……“夢の果て”なのか?」
「え……?」
「どうなんじゃ?」
デカデカの実を食うことが夢の果て?
………………。 いや……違う……
それはまだ、通過点だ。俺がデカデカの実を欲しがった理由、それは…………
【好きです! 付き合ってください!】
「あ〜、ごめん。私、自分より身長低い男子と付き合うとか、生理的に無理だから」
『気持ちは嬉しいけど……ごめんねライン。私は人間であなたは小人。恋愛するにはちょっと体の大きさ……身長が違い過ぎるかなって……』
好きな人に……
好きって……
愛したくて……
愛されたくて……
「んぐう……!」
ポロポロと涙が溢れ出る。
あ〜…………モテたいなぁ……
女の子にモテモテになって、ハーレム作りたいな〜……えちえちしまくりてぇ。男の子だもん。そういう欲求はある。
でも純愛にだって憧れてるんだ。
愛したいし、愛されたい。幸せになりたい。
その為にはでっけぇ男になる必要があるんだよ。チビはモテないから。だからこそ俺はデカデカの実を求めて……
「ラインさん。ラインさんの夢の果てにたどり着くには……本当に、デカデカの実が必要だったんか?」
「………」
分かんない。
もしかしたら他の方法もあるかもしれない……けど……
「う゛う゛う゛う゛う゛〜!!」
ジンベエの言いたい事はなんとなく分かる。でもな! そんな簡単に切り替えられないんだよ……!
「お、俺は! デカデカの実を求めて故郷を飛び出したんだ! この8年間、ずっとそれを求めてたんだ! ずっと欲しいって思ってたんだ! ……自分の惨めな人生が、それさえあれば変えられるって、信じていたから……俺は……!」
「…………ラインさん……」
「その目標が無くなっちゃったら……もう進めない…! もう歩けない! もうダメなんだ! 俺は……!」
「……」
駄々っ子のように手足をジタバタさせて、そのままガックリと項垂れる。動けない……動けないよ……
すると、そんな俺を見て、デンスケが──
『ジー、ジー』
「……? デンスケ……? あっ」
『ジ〜〜♪』
デンスケがヒョイッと体をひねって、俺を背中に乗せてきた。
自力で動けないのなら、移動は自分に任せろ! と言わんばかりの笑顔を向けて。
『ジ〜〜』
「はぁ……そっか……」
『ジィ』
「落ち込んでても、しょうがないよな……」
『ニン!』
「うん。もうちょっとだけ、頑張る……ありがとな、ジンベエ……デンスケ……」
「礼を言われるような事は何も言っておらん。じゃが……その意気じゃ! ラインさん!」
『ジーー』
「ふ……へへへへ……」
もしかしたら……
俺の夢は一生叶わないのかもしれない。一生独身のまま余生を過ごす事となるかもしれない。
でも……そうだよ……
さっきジンベエも言っていたけど、別に命を取られた訳じゃない。だからまだ、諦めない。
諦めない……よな? 俺。うん……!
生きてる限り、諦めない。じゃないと、そう考えてないと……
動けなくなってしまいそうだから……
「ふへへへへへへへへへ……!!」
……生きてる限り、諦めない。
その言葉がフラグだった事を、今の俺はまだ知らない……
ナットーごはんはチカラをためている。