「グララララ……!!」
「
「
「
「キ〜シシシ! 行け! ゾンビ兵共!」
「
「メロメロ
大気にヒビが入ったかと思ったら、地震が起こり、大津波が押し寄せる……
その大津波は一瞬にして凍りつき、今度は空からマグマの拳が大量に落ちてくる……
あちこちでレーザーが飛び交い、大爆発を起こし、何百人と死んでいく……
死んでしまった後も、人々は何故かゾンビと化して起き上がり、戦闘を続けている。
生きてる者たちは同士討ちを始め、性欲に負けた者たちは次々と石になっていく……
「な、な、何この状況? や、やば……やば……ヤバすぎィ!!」
白ひげ海賊団VS海軍VS七武海。
それはダークライすら入り込む余地のないほどの大戦争であった。
世界一の大監獄、インペルダウンは地下へ下りていくほど恐ろしい地獄と化していくが、今この瞬間に限っては、地上1階こそが世界中のどんな場所よりも地獄であると言えるだろう。
「お、恐れていた事態ナブルよ……今回の騒動を聞き付けた海軍と白ひげ……その両方がインペルダウンに集まって来たんだわ……」
タラリと冷や汗を流すイワンコフ。
その隣で俺も冷や汗ダラッダラ……頭の中は“ヤバイ”でいっぱい。
と、とりあえず、俺達が地上に出てきた事はまだ誰にもバレてないっぽいので、このままこっそり戦線離脱を……
「オヤジィイーーッ!!! 皆ァーーッ!!」
……したかったんだけどな〜!? 戦闘中の白ひげ海賊団に向かって、エースが叫んじゃったよ!
大声出すな! バカ! バカバカバカ!!
お陰で白ひげ海賊団だけでなく、海軍、七武海と……この場にいる全員からギロリと視線を向けられる事となった。
「ん? オオ〜、火拳のエース。本当に解放されちまったんだねー。こりゃ……困ったねー……」
「あららら……これってあれだろ? 不可視の怪盗のしわざ。マリージョア、シャボンディに続いて、ホント人を逃すのが好きな小人だな……」
「言うちょる場合か……! その小人のせいで、白ひげ海賊団との戦争の為に用意しておいた……海軍本部での設備、作戦が全部パーになったんじゃ! 生かしてはおけん……!」
ひぃいいーー!!
黄猿、青キジ、赤犬……海軍の最高戦力、3大将にロックオンされたーー!?
えっとえっと、あ……赤犬さんは初めましてですよね。海兵っていうよりは……ヤクザって見た目ですね。はは……
「
「「「「ぎゃあああああーー!!!!」」」」
出会って五秒でマグマ飛ばして来やがった!
こっわ! めちゃくちゃこっわ!!
なんとか避けれたけど、赤犬さん! その能力ちょっと殺意高過ぎませんかねぇ!? マグマグの実のマグマ人間だっけ!? 当たったら死ぬってこれ! 死ぬ死ぬ死ぬって!!!
「皆! 固まってたら格好の的っチャブル! 一旦散るのよ!」
イワンコフのその言葉に、俺達は3つのグループに別れて走り出した。
まず、ルフィとエース。
そんでイワンコフとボンクレーとオカマ軍団。
そして俺…… 一緒に来たのは、アーロンとジンベエだった。
「はぁはぁはぁ……! さて、どうするか!? どうやってこのヤバイ状況から逃げ出そうか!? 何か良い作戦ある人いる!?」
「ラインの大アニキ! おれたちァ魚人だ! 海にさえ出られたら、大アニキを担いで泳いで逃げられる!」
「おお! いいねアーロン! その作戦! 海に出る! ジンベエもそれでいいよな?」
「……そうじゃのう。エースさんやルフィくんの方は、白ひげのオヤジさんが回収してくれると信じて……わしらはわしらで逃げに徹するか!」
「はい決まりぃ!」
よーし! 逃げるぞ! 逃げるが勝ち! 見ると白ひげ海賊団の船長、白ひげも……
「野郎共!! エースが救出された今!! こんな場所にもう用はねェ!! 全員生きて! 新世界へ帰還しろ!!」
……逃げを選択していた! 判断が早い!
しかし逃げようと思って簡単に逃してくれるほど、海軍も甘くない。
「ロジャーとドラゴンの息子ォ……! おどれら二人は絶対に逃さんぞォ!!!」
まず、ルフィとエースの方には赤犬が向かっていった。全身からマグマを煮えたぎらせ、物凄い殺気を放っている。
あのままだとマズイだろうが……白ひげ海賊団の一番隊隊長、マルコ……って呼ばれてる人が助けに入っていくのが見えた。
「エースとその弟はやらせねェよい!」
青い炎を巻き上げ、赤犬マグマを華麗にガード。パイナップルみたいな髪型のクセに、マルコさんめちゃくちゃ強ぇえ!
「ルフィ〜♡ そなたが無事で、わらわ安心したぞ〜♡」
さらに七武海の一人、ハンコックもそれとなく(?)ルフィのサポートに回ってくれている。向こうは大丈夫だろう。
次にイワンコフ&ボンクレー、オカマ軍団の方だが……
多数の海兵と七武海の一人、クマえもんに襲われているのが見えた。しかし……
「おのれくまァ〜! 流石のヴァターシももう手加減してやらナーブルよ!
迫りくるクマえもんを……イワンコフはウィンクでボッコボコにしていた。
……うん。
あっちもまあ大丈夫だろう。オカマキング強ぇえ。
そして向こうの方では……
「ぎゃあああああああーーッ!!!!」
「「「「キャプテン・バギー!!」」」」
……なんか……大勢の囚人を引き連れたバギーが……
世界一の剣豪、七武海、鷹の目のミホークに……滅多斬りにされてるのが見えたんだが……
何やってんだあいつ?
まあ、あっちはほっといてもいいか……ナ〜ム〜。
そんで、本題であるうちのグループ。
俺、アーロン、ジンベエの、チームライン(勝手に命名)の前に立ちはだかってきたのは……
「キ〜シ〜シシシシシ〜!!」
「「「!!」」」
身長7メートルくらいはありそうな真っ白い肌の人間だった…………いや、んん? ……人間かな……これ?
なんかヒョウタンみたいな体型だし、ツノ生えてるし、耳尖ってるし、ツギハギだし、声高ぇし、なんだこいつ?
「ラインさん! こいつはゲッコー・モリア。七武海の一人で、人の影を奪ってゾンビを生み出す……カゲカゲの実の能力者じゃ!」
ジンベエが説明をくれた。
へ〜、七武海なのかこのヒョウタン男。新聞とかにも乗ってなかったから全然知らなかった。
影を奪ってゾンビを生み出す……つまり、あちこちで蠢いているゾンビは全部こいつの
「キシシシ! お前が不可視の怪盗だなァ? 会いたかったぜェ」
「……?」
俺の事を見下ろしながらニヤニヤ笑うモリア。俺に会いたかった? どういう事だ?
「キシシシシシ……! 小人という“短小”な身でありながら、大将黄猿をも屈服させた実力者だと聞いたぞ。お前のその戦闘力が欲しい!」
「……あ゛?」
短小……だと?
「お前の影と、オーズの死体さえあれば! カイドウにも負けない最強のスペシャルゾンビが作れるだろう!!」
………なんかよく分かんないけど、めちゃくちゃ馬鹿にされてるって事だけは分かった。
短小……短小っつたか? こいつ!!!
小さくても絶倫なんだよ!! その気になれば一時間に20発以上も出せるんだからな俺! それでいて勢いも濃さも量も凄いんだぞ! パンツの中で暴発するとあまりの粘っこさに洗うの大変! どうだまいったか!
「さあ……海兵の影共よ! おれのチカラとなれ! キ〜シシシシシシ!!」
「ふへ? えっ!? うおおおおーー!!?」
ムクムクムクッ
こ、このモリアって男!! 影を取り込む事でなんか……身長14〜15メートルくらいにまで巨大化したんですけど!?
ただでさえ高身長のくせに! まだ大きくなるとかふざけんな!! 羨ましい!!
……これは俺に対する宣戦布告と見た!
「影をよこせ!!」
巨大なハサミを振りかぶってくるモリア。
それに対して俺は……
「ならば身長をよこせ!!」
「ブフオオーーッ!!?」
ハサミを避けて、どてっ腹に頭突きをぶち込んでやったのであった。
ドタンッと仰向けに倒れ込んだモリアの上に乗り、続けて腹パンチ! 腹パンチ! 腹パンチ!
「そんなにあるなら2〜3メートルくらい分けてくれたって別に減らないだろ!? コノヤロ! コノヤロ! コノヤロ!」
「ぶへっ!? ぼへっ!? ぐふぉ!?」
「アーロン! こいつの髪の毛全部刈ってつるっぱげにしてやれ! 少しでも身長を縮めてやるんだ!」
「了解だ!
「や、やめ……ぎゃあああああーーッ!!!」
ギザギザした鼻を使って、モリアの髪の毛をバッサリとカットしていくアーロン。
……命令しといてなんだけど、けっこう酷い絵面だな。
「ラインさん、遊んでる場合じゃないぞ。そんな奴ほうっておいて、早くここから脱出するんじゃ!」
「……そ、そだね」
短小って言われた事でちょっと我を忘れちゃってた。
坊主頭にイメチェンをはたしたモリアをゲシッと蹴り飛ばし、俺たちはあらためてこの場から撤退──
「させないよォ〜」
──撤退、しようとしたところで……目の前に黄猿が出現した。
……って、は!? 黄猿!? 待って待って! なんか指向けてきてるんだけ──
ピュインッ ドガァアンンッ!!
「ぐおおおう……ッ!!?」
「じ、ジンベエ!」
「ジンベエのアニキ!」
現れたと同時に指レーザーでジンベエの肩を撃ち抜いてきやがった黄猿。
光の速度で現れ、光の速度で攻撃って……やっぱこいつの能力チートだろ!
「大丈夫か!? ジンベエ!」
「すまん……ラインさん、油断した……ぐふ……」
結構エグい傷を負ってしまったジンベエ。痛そう……
黒ひげ、モリア……七武海と連戦した後に海軍大将と出くわすとか、あまりにもあんまりな状況じゃないっすかね?
「不可視の怪盗ォ……この前お前さんに負けちまったお陰で、わっしはセンゴクさんに一時間以上もお説教されちまったんだよ〜?」
「知らねーよ!?」
「……だからねェ、お前さんを捕まえて汚名返上しないと、そろそろわっしも立場がないもんでねェ……ここらで死んでもらうよォ」
「!!」
「
黄猿が両手を構えると、そこから光の剣……ライトセーバーが出現した。
ヤバイ……あの目は本気だ。
鏡は無い。
「くそっ!」
それでもなんとかしないといけないこの状況……
どうしよう? まずアーロンとジンベエを逃がす時間を稼ぐ! そんで二人が逃げたら俺も逃げたい!
難易度高いなぁ……
そんな風に考えていると……
「アイスタイムカプセル!」
…………は?
俺のすぐ後ろに、青キジがいた。そして俺に向かって冷気を放ってきていた。
や、え!? 嘘だろ? なんで青キジまでいるの!? 意識を黄猿に集中させていたせいで反応が遅れた。冷気がもうすぐそこまで迫ってきて──
「危ねェ!! 大アニ キ… ッ !」ガチンッ
「アーロンッ!!?」
ガバッとアーロンが飛び出してきて、俺に覆い被さってきた。
そのせいでアーロンは青キジの冷気攻撃をモロに受けてしまい、そのまま冷凍フカヒレとなってしまった……
「あららら……庇われちまったか……」
「あ、青キジ……てめぇ……!」
「おっとっと、卑怯だなんて言うなよ? 不可視の怪盗。今は戦争の真っ只中だ。お前ら相手に手加減できるほど、おれたちに余裕なんてねーんだよ……アイスサーベル」
そう言って青キジは氷の剣を作り出した。
「ぐ……ううっ! なんだよこの最悪に最悪を重ねた状況はッ!!」
正面にはライトセーバーを構えた黄猿……
背後にはアイスサーベルを構えた青キジ……
ジンベエとアーロンを守りながら、俺は今から大将二人を同時に相手しないといけないのか?
いやいやいや!! そんなのムリだよ! ムリ! 超ムリ! ムリムリムリムリカタツムリ!!
「お前の事は嫌いじゃなかったが……ま、しょーがねェよな」
「ご苦労だったねェ、迷わず成仏してくれよォ……」
氷の剣と光の剣……二つの異なる刃が俺へと迫ってくる。
見聞色の未来視によると…… どう頑張っても回避は不可能。え……これ、死──
「むゥンッッ!!」 ガキィインッ!!
「え!?」
一瞬、死を覚悟した。だけど俺、まだ生きてる。
恐る恐る瞑った目を開けてみると……そこには青キジと黄猿のダブル攻撃を両腕で受け止める……白ひげの姿があった。
白ひげの姿があった!?
「し、しろ、しろ、しろしゅげぇ〜〜!?」
「グララララ! おい小人の小僧! エースを助け出してくれた事、感謝している」
「や……そんな……こ、こちらこそ、助けてくれてサンキューです」
せ、世界最強の海賊……白ひげだ……白ひげが目の前にいる……! 身長高いし! ムッキムキ! 迫力ハンパねぇ……
レイさんの次にかっこいい老人かもしれん。
「向こうにおれの船がある。そこの二人を連れて、とっととここから撤退しろ!」
「わ、分かりましった!」
どうやら白ひげは青キジ&黄猿から、俺たちを逃してくれる模様。
ドンッ!! とヒビ割れパンチを放ち、大将二人を怯ませた。
「ぐ……ッ!」
「おォ〜っとっとォ……」
おおー! すげぇ! 流石は世界最強! お言葉に甘えて、この場は任せちゃおう。
瀕死の重症を負ったジンベエとアーロンを担ぎ上げ、俺はそのまま走り出した。
「あらら、逃げられちゃったよ」
「……不可視の怪盗を助けるなんて、どういう風の吹き回しだい〜? 白ひげェ……」
「グラララ……!
ピカーッ! ガチンッ! グラグラドシーンッ!!
うおお……! 白ひげVS青キジ&黄猿。すんげぇ戦いが始まった。
あれに巻き込まれたら100%死ぬな。
「ら、ラインさん……下ろしてくれ……流石のオヤジさんも、大将二人がかりはキツいじゃろう……」
「怪我してる今のお前が行っても足手まといなだけだよ! ジンベエ!」
「ぬゥ……」
今の俺たちに出来る事は、足手まといにならないように脇目もふらず全力で逃げる事。それだけだ。
己の力量もわきまえず、ヘタに動いてしまうのは逆にまわりの迷惑になる。
だからこそ俺たちは、一目散に逃げないといけないのだ。
そう思っていた。
しかし……
「フッフッフッフ……」
……その声を耳にした瞬間、俺の足はピタリと止まった。
なんて言えばいいんだろ……第六感? 虫の知らせ? よく分かんないけど、この声の主を無視しちゃいけないって、本能的にそう感じてしまったのだ。
「白ひげと大将二人の戦いか……面白ェ……! フッフッフッフッフッフ!!」
振り返るとそこには、身長およそ3メートル。金髪でグラサンで耳ピアスで桃色のファーコートを着込んだ男……
王下七武海最後の一人、ドンキホーテ・ドフラミンゴが、高笑いしながら宙に浮かんでいたのである。
心臓が……ドクンと鳴った気がした。
次回、絶望のライン……とか前回言ってたけど……
そこまで入り切らなかったです。すみません。
という訳で、次こそがラインくんの絶望です。
次回、ライン死す。デュエルスタンバイ!