デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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復活のライン

 死んだ……

 

 死んだ。死んだ。死んだ。

 俺は死んだ。

 赤犬のマグマに焼かれて……

 

 前世を合わせたらこれが2度目の死である。

 世界広しとはいえ、このような体験をしたのは流石に俺が史上初だろう。……全然嬉しくないなぁ……

 

 今の俺はたぶん(ソウル)状態……なのかな?

 雲の上みたいな所をふわふわと浮かんでいるんだけど……ここはもしかして天国? 流石に地獄ではないと思いたいけど、う〜む……よく分かんない。

 

 ……それにしても、だ。

 

 死んじゃったなぁ……

 悲しいなぁ……

 

 前世と比べて今世は、殊更後悔まみれの人生だった。

 やり残した事はたくさんある。

 

 ドレスローザを救いたかった……

 トンタッタ族を救いたかった……

 モネやヴィオラの真相も確かめたかったし、レイさんやシャッキーに恩返しもしたかった。エスネの事もほっとけないし、童貞も捨てたかった……

 デカイ男になるという夢は、結局叶わなかった……

 

 あ〜……やだなぁ……死にたくないなぁ……

 やだやだやだ。

 でも死んじゃった今、出来る事なんて何もない。

 この先俺は一体どうなるのだろう? また転生したりするのかな?

 そんな事を考えていた、そんな時だった……

 

 

『ご主人!』

 

 ん?

 

『ご主人! 聞こえる!?』

 

 どこからともなく、女の子の声が聞こえてきた。誰だ? ご主人って……俺の事か?

 

『ねえ! ご主人! ご主人はまだ死んでないよ!』

 

 死んでない? 俺が……? いやいや、死んだよ。

 

『そこはまだ、黄泉の国の入り口! だからまだ引き返せる! 戻ってこられるよ! だからお願い! 戻ってきて! 死なないで! ご主人!』

 

 死なないでって言われても……どないすればいいのやら。

 今の俺にはどうする事も……ん?

 うおおっ!?

 

 突然、天からグルグルと渦巻く光が降ってきた。その光に吸い込まれるように、俺はグルグルと空に向かって落ちていく。な、なんだこの感覚は!?

 

 お!? おおお! おおおおおおッ!!?

 

 あ────

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ……れ……?」

『ジーー!! ジーー!!』

 

 目を覚ますと、目の前には天使がいた。……いや、天使というか、デンスケだけど。

 ……天使のコスプレをしたデンスケだ。

 

「何その格好……?」

『ジ〜〜!』

 

 頭の上に光る輪っかを浮かべて、殻の側面からは真っ白な翼を生やしている。

 もしかして……デンスケも死んじゃったのか? そんで天使として生まれ変わったとか……?

 

「う〜む、分からん……ぐっ!? あ゛っ! 頭いってぇ……」

 

 とりあえず、寝転んだ体勢からムクリと起き上がろうとする……しかし、その瞬間ズキリと頭が痛んだ。

 まるで二日酔いした時みたいにガンガンする。

 

「いで……いでででで……! あれ?」

 

 体が……動かない? …………いや、動く。

 動かない事はない。だけど、なんか全身がバッキバキに凝り固まってる感じなのだ。

 

「な、なんだよこれ?」

 

 骨はギシギシ、筋肉はビキビキ、アソコはムクムク……これは単なる朝立ちのせいか。

 

「一体何がどうなってんだ? デンスケ、今の現状、説明できる?」

『ジー、ジージー!』

「うんうん」 

『ジィ。ジィ〜ジ! ニン! ジジジー』

「なるほど……ははは、何言ってっか全然分かんねーや!」

『ジィ゛イ゛ーーッ!!』

 

 現状が全く理解できない。とりあえずここが天国なのか地獄なのか……それだけでも教えてほしいのだが……

 そんな風に思っていると──

 

「ヒーハーッ!! ついに目が覚めッティブルのね!! ラインボーイ!!」

「生きてたー!! 良かったー! ジョーダンじゃないわよーー!」

「あらん♡ すごいわ♡」

「ばかん♡ ついにお目覚めね♡」

「うふん♡ 良かったわね♡」

 

 身動きの取れない俺のすぐ目の前に……

 イワンコフのクソデカ顔面と、涙と鼻水まみれのボンクレーと、大量のオカマ軍団が迫ってきたのだった。

 

「ぎぃやああああああーーッ!!? ここは地獄だったのかーーッ!!!」

「誰が地獄よ!? 落ち着きなさい! ここはあの世じゃナッシブル!!」

「へぁ?」

「ここはニューカマーの総本山、カマバッカ王国!! ヒーハー!!」

 

 カマバッカ王国? なにそれ?

 ここはあの世じゃない? どゆこと?

 だって俺は、赤犬のマグマにやられて死んじゃったはずじゃ……? それなのにオカマの国?

 ワケワカラン。

 

「まァ、目が覚めていきなりこんな場所にいたら混乱もするよな……」

「!!」

 

 頭の中グルグル状態な俺の前に……

 眉毛がグルグル状態の男が現れた。こいつは確か……ルフィの仲間の……

 

「サンジだ。よろしくな」

「そうそうサンジだ! グルグルの実の能力者の! しくよろ!」

「いや能力者じゃねェよ」

 

 ツッコミを入れつつ、タバコをスパ〜とふかせるサンジ。

 クールに決めてるつもりかもしれないけど、大量のオカマたちにベタベタと纏わりつかれてるから全然決まってない。

 初めてシャボンディでこいつを見かけた時は、女好きの金髪チャラ男なのかと思ってたんだけど……

 

「サンジ、オカマ趣味だったんだな」

「オロすぞテメェ!!!」

 

 怒られた。

 どうやらオカマ趣味ではなかった模様。

 

「お前……! おれが……おれが好きでこんな島にいると思ってんのか!? おれは……おれはなァ……うううゥ……」

 

 途端にぼろぼろ大泣きし始めたサンジ。どうしたどうした。

 話を聞いてみると、シャボンディ諸島でクマえもんにされた肉球ビンタ……あれでサンジが飛ばされた先がこのオカマアイランドだったんだって。

 

 ……それは、まぁ……お気の毒に……

 ルフィと一緒に女ヶ島に飛ばされた俺は運が良かったんだな。

 

 

 ……

 

 

「サンジがこの島にいる理由は分かったけどさ……それじゃあ俺は何でここにいるの? ここあんたの国だろ?」

 

 凝り固まった首をグギギっと動かして、俺はイワンコフに視線を投げかける。

 

「赤犬のマグマに焼かれたのに生きてる理由もわかんないし、白ひげVS海軍VS七武海VSダークライ……あの大戦争がどうなったかも知りたい」

「ダークライって誰よ」

 

 俺からの質問に、イワンコフはやれやれと首を振った。

 

「はぁ、仕方ないわね。それじゃあ絶賛パニッカブル中なラインボーイの為に、ヴァターシが説明をして……して……」

「して……?」

「してあげなーーい!!」

「「「「してあげないのかよ!! 一本取られたよ!!」」」」

 

 イワンコフの持ちギャグに、ヒーハーと騒ぎ始めるオカマたち。……暑苦しい。

 

「ン〜フフフ、ヴァターシが口で説明するよりも、何が起こっチャブルか知りたいなら……実際、自分の目で確かめた方が早いと思うわ」

「……自分の目で確かめるって……どゆことさ?」

「こういう事よ。カモンヌッ! デンスケガール!」

『ジーー!』

 

 イワンコフがパチンと指を鳴らすと、デンスケがウネウネと前に出てきた。……ガール?

 俺が首を傾げていると……

 

『ジーー!』ビカーッ

 

 突然デンスケの目から光が照射された。

 

「うおっ!? デンスケ! お前……目からビームが……!?」

『ジ〜〜』

 

 いや、ビームじゃない! これは……映像だ!

 あの大戦争での映像、光景が、デンスケの目から映し出されているのだ。プロジェクターみたい。

 

「ンフフフ、デンスケガールは“映像”電伝虫だからね。見たものの映像を保存し、映し出す能力があるんだよ」

『ジー! ニヘヘヘ〜』ドヤッ

 

 そういやデンスケってインペルダウンの監視電伝虫だったっけか。こんなこと出来たんだな。知らなかった。

 

「まあ、まだ子供のデンスケガールには、映像を映し出す事は本来まだ出来ないはずっチャブルけど……頑張って出来るようになったらしいわ」

「ふ〜ん? その辺の電伝虫事情はよく分かんないけど…… つかデンスケってまだ子供だったんだ」

「人間で言えば15歳くらいかしらね。そんな事は置いといて……ほら! 見て! 始まったわ! 貴重映像!」

「おおぅ」

 

 デンスケが映し出した映像……それは、インペルダウン大戦争時の記録。

 イワンコフの髪の毛の中に隠れながら、ずっと外の様子を撮影していたのか。

 

『ジーー……』

 

 さて、肝心の映像内容だけど……

 俺がモリアに頭突きをぶち込んだり、青キジ&黄猿との戦いで白ひげに助けられたり、ドフラミンゴにボコされたりと……そんな様子が映し出されていた。

 う〜ん。あんまりかっこよくないな、俺。

 

「きゃー! 七武海に海軍大将!?」

「それに白ひげよォ〜!」

「ナニコレ! 有名人だらけのオールスター!」

「いや〜ん、あたしコワ〜イ!」

 

 迫力満点の高画質映像に、オカマたちも大盛り上がりだ。

 

「……てかメインで映ってるの基本的に俺なんだな」

「それはしょうがないわよ。デンスケガールがヴァナタの事ばかり見てたんだから」

『ジーー』

 

 そのまま映像を眺め続けていると、ついに俺が赤犬のマグマに焼かれるシーンがやってきた。

 

冥狗(めいごう)!!』

『…………ッ!!! ご ば ……!!!』

 

 うわぁ〜、焼かれた。

 マグマの手の中にドズンッ! 客観的に見るとなかなかにえげつないシーンだな、これ。

 

 ブヂィイイッッ!!!

 

『ぐおおおおおおおおおおおおッ!!??』

 

 って……うわっ!?

 赤犬のマグマに焼かれながら、赤犬の腕をもぎ取ったぞ!? 俺!!

 あの時は無我夢中で訳分かんなくなってたんだけど……こんな事してたんだ……

 やべーな。

 

『…………』

 

 だが、そこで体力を使い果たしてしまったらしく、俺はバタリと倒れて動かなくなってしまった。

 さて、この後……一体何がどうなって俺は助かったのか……

 

『が!? ご……!!! お、おんどれ!!! 不可視の怪盗ォ!!!』

 

 腕をちぎられ、怒り心頭となった赤犬が、下半身をマグマへと変化させて俺に向かって足を振りかぶる。

 そしてそのまま──

 

 ドォオオオーーンンッ!!!!

 

不死薊(ふじあざみ)!!』

 

 踏み潰されかけた俺を……白ひげ海賊団の一番隊隊長、パイナップルのマルコさんが助けてくれた。

 うおお! すげー!

 

『はぁはぁ……! おんどれ……! マルコ……貴様ァ……!』

『エースの恩人を足蹴になんてさせねェよい!』

『不可視の怪盗はもう助からん。わしのマグマに焼かれたんじゃ。それが分からんお前でもないじゃろう』

『うるせーよい! なんとしてでもこいつを逃さねーと、白ひげ海賊団の名折れだ! よいっ!』

『ぐォッ!?』

 

 青い炎を噴射して、赤犬に目くらまし攻撃を仕掛けたマルコ。

 太陽拳を喰らった時のフリーザのように一瞬怯む赤犬。その隙をついて、ぐったりしたままの俺を拾い上げたマルコが、鳥の姿に変身して白ひげの元まで飛んでいく。

 マルコって鳥の能力者だったんだ。

 

『オヤジィ! 皆船に乗ったよい! あとはオヤジと不可視の怪盗(こいつ)で全員だよい!』

『グラララ……! 上出来だ! 引き上げるぞ!』

『了解だよい!』

 

 ガシリと、白ひげの肩を脚で掴んだマルコはそのままバサバサと空を飛び始めた。

 白ひげのあの巨体を抱えたまま空を飛べるのか……単純にすげぇ。

 俺のしっぽコプターじゃ絶対無理だ。

 

『ふ、不死鳥マルコだ!』

『白ひげと不可視の怪盗を抱えているぞ!』

『逃げる気だ! 追え!』

『絶対に逃がすな! 撃ち落とせェ!!』

 

 飛ぶマルコ。しかし、当然ながらそれを黙って見ている海軍ではない。

 覇気を込めた銃やらバズーカやらで、マルコを集中的に狙い撃ちにしてくる……が……

 

『ぬゥんッッ!!!』

 

 そこで白ひげがグラグラの能力を発動──

 結果、インペルダウンの1階、その6割近くがドカーンと吹き飛んだ。

 ぉぉぉ……なんちゅー破壊力じゃ。

 

『『『『『ぎゃああああああ〜〜!!?』』』』』

 

 多くの海兵たちは勢いそのまま吹っ飛ばされて海へと落ちていく。

 落ちなかった海兵たちも、揺れる地面に悪戦苦闘。まともに立つことすら困難な模様。

 白ひげの能力……やっぱチートだわ……

 

『うわああ!? ひぃい〜!!』

『い、インペルダウンが崩れるー!!』

『内部で浸水! 水漏れだァ!』

『なんとかしないとインペルダウンが沈んじまう!』

『そ、それよりもまず海に落ちた者たちを引き上げろ! 能力者たち優先だ! 死んじまう!」

『うわああ!? 赤犬さんも海に落ちたァ!』

『ひぃい! 海王類だァ!!』

 

 それは阿鼻叫喚の地獄絵図であった。

 

『グララララララ!!』

 

 地獄絵図を引き起こした張本人である白ひげは、高笑いをあげながら、マルコに運ばれ、自身の船、モビー・ディック号へと帰っていった。

 

『野郎共!! 引き上げだァ!!」』

『『『『おおおおおーー!!』』』』

 

 船の中には既に……

 白ひげ海賊団のメンバー、ルフィ&エース、オカマ軍団、ついでにバギーたち……が、乗り込んでいた。

 こうしてインペルダウン頂上戦争は、白ひげ陣営の勝ち逃げという形で、幕を閉じる事となったのだった。

 

      〜Fin〜

 

 

「…………いや、Finじゃなくて……」

 

 映像が終了すると、オカマたちは涙を流しながらパチパチと拍手をしていた。

 そんな感動するとこなかっただろ。

 

「なーほどね……戦争がどうやって終結したのかは確かにこれで分かったけど、俺は? この後どうなったの? 治療されたの?」

「ああ、それはね。ヴァナタはこの後死んだわ

「死んだァ!?」

 

 そっかぁ……

 流石に赤犬のマグマからの生還は無理だったか……死んじゃったのか……俺……

 いや、生きてるじゃん! 今! 俺! 死んだって何だよ!?

 

「正確に言うなら、99%死んでたってところかしらね。ヒーハー!」

「いや、ますます意味分からん。99ぱーせんとってなんだよ……」

 

 死ぬにパーセントの概念ないだろ。

 

「まあ聞きなさい。白ひげの船に乗せてもらって、インペルダウンを脱出したヴァターシたち」

「うん」

「軽傷者、重傷者……色々いたブルけど、そんな中でも一番酷かったのは赤犬のマグマに焼かれたラインボーイ。ヴァナタだったわ」

「ふむ」

「白ひげ海賊団の船医者や、ヴァターシで、なんとか治療しようと頑張ったんだけど……もう手の施しようがなかったわ……」

「ん?」

「ほどなくして、ラインボーイ。ヴァナタの心臓は止まっチャブル 」

 

 心臓が……止まった?

 

「死んでんじゃん! 俺!」

「そうよ。死んじゃったの。死んじゃったヴァナタを見て、麦わらボーイもエースボーイも……皆泣いてたわ……あれは悲しかったわねェ……デンスケガール。あの時の映像映せる?」

『ジーー』

 

 デンスケがビカーっと、当時の映像を映し出す。

 

 

 〜〜〜

 

『うああああ!! ライン〜〜!! なんで死んじまうんだよ〜〜!!』

『ライン! おれはまだ、お前に何の恩も返せてないぞ! 死ぬな!!』

『ラインちゃ〜ん! 死なないで〜! ジョーダンじゃな〜いわよ〜〜!!』

 

 〜〜〜

 

 

 呼吸が止まり、動かなくなった俺の前で、大号泣している皆。そんな光景……

 

「え? え? えっ!? マジで死んだの? ……じゃあ何で今生きてんの? 俺……」

 

 なんかコワイんですけど。

 

「ヴァナタが生きてる理由だけどね、ハッキリ言って……謎よ」

「謎!?」

「死んだヴァナタの遺体は、ヴァターシたちカマバッカ組が預かる事になってね、白ひげの船でカマバッカ王国まで送ってもらった後……そのままヴァナタを埋葬しようとしたわ」

「埋葬しようとしたのか……」

「でもね、穴を掘って、ヴァナタの遺体を土に埋めようとしたところで、ヴァターシたちは気が付いたの」

「……何に?」

「ヴァナタがまだ生きてるって事に!!」

「はああ!?」

 

 いよいよもって意味分からん。

 

「結局俺は生きてたの!? 死んでたの!? どっちなの!? もっと分かりやすく言ってくれよ!」

「生き返ったのよ!! 何故か突然!!」

「ええええ〜〜ッ!?」

 

 そんな馬鹿な。

 

「呼吸は止まっていたし、心臓も動いていなかった! 絶対に死んでたはずだった! なのに! 埋めようとした瞬間、突然心臓が動き始めっチャブル!」

「はあー!? そんな事ありえんの!?」

「ありえないわよッ!! だからヴァターシだって混乱しチャッチブルつってんでしょーよ! ヒーハー!」

 

 こっわ!!

 いくら不思議世界だからといって、生き返りは流石にファンタジーが過ぎるだろ……

 ハッキリとした“生き返った理由”って……なんかあるのかね?

 

「ハッキリとは分からないわ。けど……ヴァナタが蘇生した時、胸のそのペンダントが金色に光っていたのを見かけたわ」

「ペンダント……?」

「そう。もしかしたらヴァナタが生き返ったのって、そのペンダントが原因なんじゃナーブル?」

「え……?」

 

 言われてそこで気が付いた。

 俺が常に身に付けているペンダント。それが淡く金色に光っている事に……

 

「………」

「そのペンダントって一体何なの? ラインボーイが意識を失っている間、ずっとヴァナタの胸で光り続けてたけど……」

「えっと、これは……ドレスローザを出る時、トンタッタ族の幼馴染から貰ったもので……あっ!!」

 

 そこで俺は、ハッと気が付いた。

 ペンダントが放つこの金色の光が……マンシェリーのチユチユの能力、その光にそっくりな事に。

 

「も、もしかして……このペンダントが……?」

 

 俺の体を治癒してくれてたのか? そうだ。そうとしか考えられない。

 

「どういうこっちゃブル」

「じ、実はな……!」

 

 俺はイワンコフに話した。

 俺の故郷の幼馴染、マンシェリー姫が、チユチユの実という……人の傷を癒やす能力者である事を。

 そしてこのペンダントは、そんなマンシェリー姫から貰ったものである事を。

 

「……つまり、その幼馴染のチユチユのチカラが……このペンダントに込められてたブルって事?」

「うん。たぶん」

「……能力者の手を離れて何年も経つアイテムが、ずっとその効力を保ち続けていたなんて……あまりにも現実離れした考えね……」

「むぅ……」

「だけど! 嫌いじゃないわ! その考え!」

「!!」

 

 イワンコフは両手を上げて謎ポーズを取った。

 

「奇跡は諦めない者の頭上にしか降りてこない!! だからきっと、そのペンダントが放つ輝きは! ヴァナタたちの起こした奇跡なのよ!! ヒーハー!!!」

 

 パァァッと、イワンコフのデカイ顔面に後光がさす。

 そっか……そうだよな。ふへへ……

 

 元は宝石ですらない、単なる綺麗な石ころ。

 レオが拾って、マンシェリーが首飾りにしてくれた、そんな思い出のペンダント……

 

 

【止めようと思っても、ラインは止まらない人だっていうのは、昔からよぉくしってます。だからせめて、これを持っていってくらさい。それを見て、たとえ離れていても私達トンタッタ族は仲間なんだって、思い出してもらえたら嬉しいれす】

 

 

 ああ、思い出したよ。トンタッタ族の仲間たち。

 離れていても……ずっと守ってくれていたんだな……

 

「ふへへへへ! あらためて故郷に帰ってドレスローザをなんとかしないとって気持ちになれたぜ! せっかく生き返ったんだ! ぶっ倒れてる場合じゃないよな!」

 

「ポジティブな気持ちになれたのなら、何よりね」

「ラインちゃん! ファイト〜!」

「ラインちゃん! ガンバ〜!」

「ラインちゃん! フィ〜バ〜!」

「ラインちゃん! ジョーダンじゃないわよ〜!」

 

 オカマ軍団が応援のエールをくれる。

 サンジは料理の入った小皿を俺の前に差し出してくれた。

 デンスケは俺にすりすりと擦り寄ってくる。

 

 ありがとー! お前らいい奴らだな!

 溢れ出る涙を、ぐいっと腕で拭う。ありがとー! ありがとー!

 

 そんな感じでうるうる感動していると、イワンコフがちょいちょいと肩をつついてきた。

 

「ラインボーイ」

「なに? イワンコフ」

「そういえばだけど、ヴァナタ、あの戦争から今日まで……何日くらい経ってるか分かってる?」

 

 戦争から今日まで?

 

「え……? 翌日……じゃないの?」

「あれから10ヶ月ちょい経ってるわよ」

「10ヶ月!? ほぼ1年じゃん!!」

 

 そんなに経ってたの!?

 

「そう。ほぼ1年。ヴァナタはずっと眠り続けていたのよ。植物状態だったって言った方が適切かしら」

「植物状態……」

 

 筋肉とか関節がギシギシに凝り固まってる理由がやっと分かった……こりゃリハビリが必要だな……

 10ヶ月かぁ……なんとなく浦島太郎の気分……エスネとかどうしてるんだろ……

 

「ずっと昏睡状態だったヴァナタを毎日せっせとお世話していたのはデンスケガールよ。感謝しときなさい」

「デンスケが? 俺を?」

『ジ〜〜』

「そうだったのか、ありがとな〜! デンスケ! よ〜しゃよしゃよしゃ!」

『ニィ〜〜♡』

 

 頭を撫でてやると、デンスケはニヘ〜と笑った。羽がぱたぱた動いて、頭の輪っかがくるくる回る。

 

「………そういやずっと気になってたんだけど、デンスケから生えてるこの羽とリングって、一体何なの?」

『ジ……!?』ビクッ

 

 最初見たときはコスプレかなって思ってたんだけど……触ってみた感じ本物っぽいんだよな、これ。

 

「ん〜? ンフ〜フッフ♪ 本人に聞いてみたらいいんじゃな〜い?」

「本人って……デンスケは喋れないじゃん」

「あら〜? そうなの? デンスケガール。ヴァナタ喋れないの〜?」

『……』

「ラインボーイにヴァナタの新しい姿、見せなくていいの〜?」

『……』

 

 プイッと顔を背けるデンスケ。……え? 何この反応?

 

「どうしたデンスケ。モジモジして」

『……』

「デンスケ〜?」

『……』

 

 なんか様子がおかしいな。

 俺が首を傾げていると、突然デンスケの全身がピカーと輝き始めた。

 

「は!?」

 

 なんだなんだ!? 眩しくて見てられない。思わず目を閉じる。光りがおさまり、目を開けると、そこには──

 

『ご主人……怒らないでね……デンスケは、悪魔の実の能力者になったの……』

 

 そこには、大きな殻を背負った、身長1メートルくらいの、天使がいた。

 

「誰ーーーーッ!!?」

 

『ジィィ……ご主人……デンスケだよ……』

 

「ええええええええ〜〜ッッ!!???」

 

 今日一の驚きが、そこにはあった。

 デンスケが女の子になっちゃった!?

 

 

 

 

 




一体いつからデンスケが単なるマスコット枠だと思っていた? 実はデンスケは最初からヒロインの一人として考えられていたキャラなのです!

ちなみにどこぞのレビュアーズに登場する、カズオ大好きふたなり天使とは違って、普通に女の子です。

イメージイラストも描いてみました。
イメージ崩したくないって人は見なくていいです。


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