「「「────ッ」」」バタン
俺の怒りに反応して、オカマたちがバタバタと倒れていく……
何が起こったのかと、一瞬戸惑ったが、これは流石に気づく。
どうやら俺は“覇王色の覇気”に目覚めたらしい。
「うおお……! マジか……俺っ!」
相手を威圧して、戦うまでもない相手を無力化してしまうチカラ……それが覇王色。
要するにトヘロスだ。
覇気は極限状態にこそ開花する。
赤犬のマグマで死の淵へと追い込まれ、10ヶ月かけてようやく復活した事で、俺の覇気はどうやら開花してしまったらしい。
復活してパワーアップって……サイヤ人みたいでカッコイイな!
「……こ、これまでヴァナタがしてきた事を考えると、覇王色の覚醒者だったとしても不思議はナッシブルけど……」
「でもまさか……カマバッカ王国の屈強なキャンディーズをねじ伏せられる程だなんて……流石にたまげチャブル」
ふっへっへ……無意識だったからよく分かんないけど……凄いのか? 凄いだろ! と、俺は胸を張る。
これでようやくレイさんと同じ土俵に立てたのだと、ちょっぴり誇らしい気分になっていると……
『ジ……ジジ……ぶくぶく……』
デンスケがぴくぴくと泡を吹いて気絶しているのが見えた。
「ってああああーー!? デンスケーー!? 大丈夫かーー!? ごめーーん!!」
「覇王色の覇気は上手くコントロールできないと、こうして関係ない者たちも巻き込んでしまっチャブルからね。気をつけた方がいいわよ」
ぐっ、世の中そう甘くはないって事か……
体は思うように動かせないし、覇気も上手くコントロールできない……
やはり前途多難なのであった。
・
・
・
……それから約2ヶ月が経過した。
「ふっ! へっ! はっ! ほぉ〜い! ……よし!」
2ヶ月のリハビリ生活により、俺の体の凝りはそこそこにほぐれ、100%……とまではいかないものの……
もうほとんど自由に動き回れるくらいには回復する事が出来たのだった。
さらに──
「ラインちゃぁ〜ん♡」
「お着替えさせてぇ〜ん♡」
「ラインちゃんの為に可愛いドレス作ったの〜ん♡」
「覇・王……ショ〜ック!!」ヴォンッ!!!
「「「───ッ!!!」」」バタタンッ
この通り、覇王色の覇気も、ある程度コントロール出来るようになったのである!
レイさんみたいに、覇王色を体に纏わせて攻撃〜みたいな真似はまだ出来ないが、対象を絞って気絶させるぐらいの事は出来るようになった。
それもこれも、毎日俺に襲い掛かって極限状態をキープさせてくれたオカマたちのお陰だな。
全然嬉しくなかったけど、本当にありがとうございました。
「んナミさん!! ロビンちゅァ〜ん!! おれは……おれはついにやったぞ! 1年間! この地獄での生活に! 打ち勝ったんだーー!!」
そして、2ヶ月が経ったという事は、頂上戦争から1年が経ったという事でもあり……
麦わらの一味の修行期間も終わりを告げたという事である。
「うおおおおーー!! うおおおお〜〜!!」
オカマアイランドの海岸にて、サンジの雄叫びが響き渡る。
……うん。お前は頑張ったよ。良くやったよ。大したもんだよ。
99のバイタルレシピとやらは全てマスターしたらしく、料理人として大パワーアップ。
オカマたちとの死闘で戦闘力も大パワーアップ。
ついでに俺も見聞色について色々アドバイスしてあげたりした。未来視とまではいかなくとも、今のサンジは相当な見聞色使いであると言えるだろう。
『ジーー。サンジ、おつかれさま』
「んありがとォ〜♡ デンスケちゃ〜ん♡ キミがいたからこそ! おれはここまで頑張る事が出来たんだよ〜♡」
『デンスケのおかげでがんばれたの? そっか。よかったよかった』
天使モードとなって、サンジの労いをするデンスケ。
毎日オカマに追い掛け回され続けるサンジ。それがあまりにも不憫だったので、たま〜に天使モードでよしよししに行ってやれと言っておいたのだ。
厳しいだけが修行じゃないからね。サンジには癒やしも必要なのだ。
『ジーー』
サンジを慰め終わったデンスケが、俺の元にパタパタ飛んで戻ってくる。
『ご主人! サンジよしよししてきた!』
「はい、お疲れ様」
『ジ。ご主人もデンスケのことよしよししていいよ』
「はいはい。デンスケは良い子だな〜」
『ニ〜〜♪ ご主人〜♡ もっと撫でて〜♡』
甘えた声を出しながら、天使モードのまま俺に擦り寄って来るデンスケ……
可愛いな、こいつ…………っは!? まずい!
「デンスケは電伝虫! デンスケは電伝虫! デンスケは電伝虫……!」
『ジ?』
危ない危ない。油断するとつい異性として見てしまいそうになる。
相手は
「……デンスケ、電伝虫モードに戻るんだ」
『ニン』
シュルルンと電伝虫の姿に変身するデンスケ。これで良し……
このオカマだらけの島において、デンスケは唯一の癒やし……なのだが、同時に性癖を歪ませてくる諸刃の刃であったりもする。
お、俺は虫相手に興奮する変態じゃ無いぞー! うおー!
……
さて、修行期間が終わったサンジは、今からオカマたちに船でシャボンディ諸島まで送ってもらうのだそうな。
なので、ついでに俺とデンスケも一緒に乗せてってもらう事になった。
オカマアイランドとの別れの時が来たのだ。
名残惜し……くはないな。別に。
「ふぅ、ルフィと一緒にクマえもんに飛ばされて約1年……ようやくシャボンディに帰れる」
『ジーー』
船の甲板で潮風に当たりながら、デンスケと共にたそがれる俺。
「久しぶりにレイさん、シャッキー、エスネに会える。ふへへ! 楽しみだ!」
『ジ〜〜』
血の繋がりは無いが、あの3人は紛れもなく俺の大切な家族である。
今日という、会えるこの日をずっと心待ちにしていた。
「……しかし、気になるのはこれだよなぁ……」
『ニン?』
俺は1枚の新聞記事を取り出した。
そこには……
──賞金稼ぎ、“億狩りウサギ”のエスネ! またもや海賊を狩る! これで今月16人目! 流石はシャボンディのヒーロー!──
……そのような見出しと共に、エスネの顔写真が新聞にデカデカと写っていたのである。
その足元には、ボコボコにされた海賊たち……
「エスネが、いつの間にか賞金稼ぎになってる……」
しかも異名までついて、かなり有名人っぽいんだけど……
この1年で一体何があったんだ……?
大きな期待と微かな不安を乗せて、俺、デンスケ、サンジを乗せたオカマ船は進んでいく。
目指すはシャボンディ諸島。到着まで、あと数十分ってとこかな……
・
・
・
そんなこんなで数十分後。
はい! 無事つきました! 懐かしのシャボンディ諸島です!
「女だ!! レ、レディが……こんなにも生息している……♡♡♡」
シャボンディ諸島の風景(普通の風景)に、サンジは目をハートにして感涙していた。
うんうん。存分に味わうと良い。これが女のいる世界だ。
「ちなみにサンジよ、エッチなお店は72番
「本当か!?♡♡ ラインッ♡♡」
「ふへへ、オススメのおっぱいパブ、後で一緒に行くか?」
「うおおおおーー♡♡ ビバシャボンディ♡♡♡」
サンジと二人で肩を組んで、一緒にラインダンスを踊る。
シャボンディ♪ っあそれ、シャボンディ♪
「それじゃあサンジキュン、ラインちゃん、デンスケちゃん、名残惜しいけどここでお別れね。きっとまたどこかで!」
「会いたくねーよ! 送ってくれてありがとよ!」
「イワンコフによろしくね〜!」
『ジーー』
ここまで送ってくれたオカマたちにお礼を言って、俺たちはシャボンディの中へと入っていく。まず真っ先に向かう場所は……
やはりおっぱいパブ! ……ではなく、13番
「しかし1年ぶりだな〜、ちょっとドキドキしてきた」
久しぶりに会う家族。ちょっぴり緊張。
サンジの肩に飛び移り、襟の隙間に隠れさせてもらう。そして、いよいよ入店! GO!
「…………いらっしゃい……」
店の中に入ると、カウンターの奥からシャッキーが出てきた。
ちょっとローテンションだけど……あんまり変わってない……かな?
いや、ちょっぴりやつれたかも。大丈夫? ちゃんと食べてる?
「……」
そしてテーブル席の方では、レイさんが酒を飲んで座っていた。
……なんかえげつない量の酒瓶が転がってるんだけど、どんだけ飲んだくれてたんだこの人……
そんな感じで、俺がちょっぴり引いていると……
「ちわ〜っす、出前です。お宅の息子さん、お届けにあがりましたァ」
カラッと笑って、サンジが二人にそう告げた。
瞬間──
「「ッ!!?」」
レイさんとシャッキーが、目にも留まらぬ速さで立ち上がった。
うわ!? びっくりした!?
そして二人は、サンジの肩に乗っている俺を見つけると、ワナワナ震え始め……
「ラ…イン……ちゃん……?」
「う、うん……俺だよ……シャッキー。久しぶり……」
「本当に、ライン……か?」
「ほ、本当に俺だよ、レイさ……んぐええええーーッッ!!?」
ギュムッと、俺は一瞬にしてレイさん&シャッキーに握りつぶされた。
……いや、抱きしめられたと言った方がいいか。
「生きてた……! 生きててくれたのね……!!」
「よく……よく戻った……! ライン……!!」
「ぐ、ぐるじぃいい〜!! 二人とも! チカラつっっよ!!」
二人はポロポロと涙を零している。なんだなんだ? なんで二人ともそんなに感極まってんだ?
久しぶりとはいえ、たった1年ぶりの再会なのに……と、一瞬そう思ったが……
(あ……! そういえば俺って、世間では死んだ事になってたんだっけ……)
──ライン死亡── の新聞記事を思い出す。
つまり、レイさんもシャッキーも、俺があの戦争で亡くなったものだと思ってたんだ。それでこの反応か……
俺が生きてて、それで嬉しいって、思ってくれたんだ……
ちょっぴり胸が温かくなった気がした。
「ただいま……レイさん、シャッキー」
「……おかえり。ライン」
「おかえりなさい。ラインちゃん」
・
・
・
「……と、いう訳で。帰ってくるのに1年もかかったんだよ」
「そうか、そんな事が……」
「デンスケちゃんて言ったかしら? うちの子を守ってくれて、ありがとうね」
『ジ〜〜♪』
レイさん&シャッキーからの熱い包容の後、待っていたのは質問責めだった。
なのでデンスケの録画映像を流しながら、俺は二人に今までの経緯について説明をした。
死んだり生きたりオカマだったり、大変だったんだよ〜。
「ふへへ、まあそんな感じでつもる話はいっぱいあるんだけどさ……とりあえず俺、エスネにも会いたいな。今どこにいんの?」
「ああ、エスネなら……」
おつかいにでも行ってるのかしらね? そんな風に思っていると……
ドガーーンッ!!!
「えっ!?」
店の外で、突然爆音が鳴り響いた。
「な、何……? 今の音? まさか海軍!?」
「ああ、たぶんエスネだろう。……ルフィくんもいるな。喧嘩中のようだからライン、止めてやってくれ」
「はあ?!」
エスネが、ルフィと、喧嘩中? どゆこっちゃ?
訳が分からないが、レイさんに言われるまま、俺とサンジは店の外に出た。するとそこでは──
「ルフィさん! もしも次、私の前に姿を現したら……絶対に許さないって言いましたよね!!」
「だ、だから! おれは仲間との待ち合わせの為にこの島に戻っただけで! お前と会うつもりは無かったんだよ! エスネ!」
「問答無用です!!」
ドカッ! バキッ! ドガガガガガンッ!!
「は? え? ええぇっ!?」
な、なんか、ルフィとエスネが……喧嘩……というか、ガチバトルしてる!! なんでぇ!?
「ルフィ、あの野郎……! レディに手ェ出しやがって……!」
ボカスカ殴り合っているルフィとエスネを見て、サンジがプンスカ怒っている。
いやいやいや……というか、何でバトってんだよあの二人!? 何が原因!?
「ギア
「我流・ウサウサコンバット!
腕を巨大化させ、さらに武装色で硬化までさせたルフィが、エスネに向かって思いっきり殴り掛かり……
そんなルフィの腕に、武装色で硬化させた渾身の蹴りを撃ち込むエスネ。
ドゴォオオオオンンンッ!!!
ぶつかりあう拳と脚。その結果は……引き分け。
お互いにドカーンと弾きあった。
「いでで……! 流石ラインが褒めてただけあるな……! 強ェ……!」
「……ぐっ! はぁはぁ、よくも私の前で、お兄さんの名前を出せましたね……!」
ルフィ……この1年の間でめちゃくちゃパワーアップしたんだな……
覇気が使えるようになってるし、凄い成長スピードだ。
そしてエスネもパワーアップしてる。
見聞色は荒削りだが、武装色の練度がヤベェ。
睨み合う二人、そしてまた攻撃体勢に入って……
「って! 待て待て待て待て!! ストップ! ストッォ〜プッ!! 何で喧嘩してんの二人とも!!」
何があったか知らんけど、とりあえず暴力はいかんよ!
二人の間に入って、バッと両手を広げて静止のポーズ。すると……
「────!!!」
「──────────!!!??」
まるで、死んだと思っていた兄が、実は生きていたってくらいの、物凄い驚き顔を見せてくれるルフィ&エスネ。
……って、いや、そうだよ。
だから俺、死んだって思われてたんだよ! そりゃいきなり出てきたら驚くわ。すまんすまん。
「ライン……ッ!! お、おばえ!! い、いぎてだのかァア〜〜!!」
「うおっとと、おう! 色々あってな! なんとか生き延びたよ!」
まずルフィが号泣しながら俺に向かって飛びかかってきたので、それをヒョイッと避ける。
「ラ゛イ゛ン゛〜〜」
「ふへへ、戦争ぶりだなルフィ! 元気そうで何よりだ。覇気使えるようになったんだな」
「お゛お゛……! もう二度と仲間を失わないように! エースと一緒に鍛えたからな! ししし!」
どうやらエースも無事元気でやってるみたいだね。
せっかく命がけで助け出したんだから、せいぜい長生きしてもらいたいものだ。
そんな事を考えながら、続いてエスネの方に視線をやると……
「うぇ……あ……!? あ……ぐひゅ……ぅぁあ……! ふぇえぇあああああああ〜〜〜〜!!!!」
「うおおっ!?」
大 号 泣 !!
涙で海ができるんじゃないかってくらい大泣きするエスネの姿がそこにはあった。
おおお……! 漫画泣き。そ、そんなに泣いて大丈夫か? 涙枯れないか?
「お、落ち着け! エスネ! 俺だ! ラインだよ!」
「うあああああんん!! だから泣いてるんじゃないですかぁあ!! お兄さん!! おに、お兄じゃぁああああんんん!!!」
「ぶむぅおおう!?」
ガシッと掴まれ、おっぱいの谷間に放り込まれた。出会って5秒で
そのままムギュ〜っと締め付けられる。
「おばばばばッ!? え、え、エスネぇ!! おっぱいが!? おっぱいに溺れる゛る゛る゛!!」
「うるさい!! うるさいうるさいうるさい!! 黙って私のおっぱいに溺れろぉ!! 私がどれだけ……どれだけ心配したと思ってるんですかぁあ!! このアホお兄さんんん!!」
「うおおお!? 分かった! 分かったから! エスネ! 分かったから!」
「いいえ! ぜっっったい分かってない!! 私がどれだけお兄さんを慕ってるか! どれだけお兄さんが大好きなのか! お兄さん分かってます!? 私のお兄さんに向ける愛が! 何%だか! 分かってます!?」
「え、えっと…………70%……くらい?」
「ほら全然分かってない!! 答えは
「ごう……!? なんて!?」
「う゛う゛う゛う゛〜〜!! お兄さん好きぃい〜〜♡♡ 好きぃ゛い゛い゛い゛〜〜(怒)♡♡♡♡」
ぐにぐにぐに〜とおっぱいで全身を揉みくちゃにされながら好き好き言われると、なんか色々とヤバイんですけど!?
「好きぃ♡ 大好きぃ♡ お兄さんお兄さんお兄さん♡ 好き好き好きぃ♡ 大好き♡ ホント好きです♡ 世界一好き♡ お兄さんが一番好き♡ す〜き♡ だぁい好き♡ 好き♡ 好き♡ 好ぅき♡ エスネはお兄さんが大大大好き♡♡♡ 大好きなんです〜♡♡」
「ふおおおおおッ!? 一回! 一回出して! じゃないと出ちゃう! 出ちゃうから……!」
「そのまま出せ!! ばかぁぁ(怒)♡♡♡」
「ふへぇえ〜〜!?」
暴発。さらにそのまま連続で……10回くらい絞られました……
俺のいない1年の間に、エスネの愛が……天元突破しとるんだけど……!?