デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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ペローナ視点

 七武海の一角である、ゲッコー・モリア様は、私にとっては父親も同然の存在だった。

 幼い頃、私はモリア様に拾われて、そこからずっと育ててもらってきたんだ……

 

 モリア様の海賊船、スリラーバークでの生活は充実していた。

 同僚のアブサロムは覗き魔の変態だし、ホグバックは色々うるさいけど……カワイイ動物(ワイルド)ゾンビたちに囲まれて、あの頃の私は悠々自適な生活を送っていた。

 

 だけど2年前のあの日……

 麦わらの一味がスリラーバークにやって来て全ては変わっちまった。

 

 本来ならあんなルーキー海賊団、私一人の能力(チカラ)で簡単に壊滅させられたはずだったんだ……!

 なのに……あのにっくきネガっ鼻のせいでペースを狂わされた。クマシーは浄化させられて、私はゴキブリまみれにさせられた。お、思い出しただけで身震いする……!

 さらに悪い事に、麦わらの影が入れられた特別(スペシャル)ゾンビ、オーズも暴走しちまって……オーズは女に飢えた変態ゾンビになっちまったんだ。

 しまいにはモリア様と同じ七武海、バーソロミュー・くままで攻め込んでくる始末。ふざけんなと言いたい。

 

 くまの能力のせいで、私はよく分かんないままクライガナ島とかいう住み心地はいいけど寂し〜い孤島に飛ばされちまったんだ……

 なんて可哀想な私……

 

 

 

 

 それから私は、私と同じようにバーソロミュー・くまに飛ばされてきた“海賊狩りのゾロ”、そして元からこの島に住んでいたという七武海、“鷹の目のミホーク”と共に共同生活を送る事となった。

 

 1ミリもカワイクねェー連中だけど、オーズやアブサロムと違ってこの剣術馬鹿2人は女にさほど興味はないらしく、襲われる心配がなかったのは幸いだ。

 部屋にゴキブリが出た時は取ってくれたし、たま〜に優しい。

 

 ……

 

 そんな感じでクライガナ島での暮らしも1年が過ぎた。

 ロロノアの剣修行は終わり、麦わら(なかま)たちの元に戻る日がやってきた……らしい。

 「世話になった」と言って、島を出ていこうとするロロノア。いやいやいや……

 お前みたいな迷子野郎はぜっっっったいに一人じゃたどり着けねーから!

 仕方ないので私がシャボンディ諸島まで連れてってやる事にした。「おれ一人で行ける」じゃねーよ! 行けねーんだよお前は! 自覚しろ! そして感謝しろ!

 

「……ついでにモリア様の事も探したいから、もしかしたらもうここには戻ってこないかもしれないからな! あばよ! ホロホロホロ!」

 

 島を出る時、鷹の目にそう言うと……

 

「そうか。見つかるといいな」

 

 優しさーー!!

 普段ぶっきらぼうなクセに! こういう時だけ優しく返事するんじゃねーよ! 思わず泣いちまったじゃねーか!

 今までありがとなー! え〜ん!

 

 

 

 

 

 

 という訳で……

 ロロノア・ゾロ(まいごやろう)をシャボンディ諸島まで無事送り届けた私は、この島でモリア様の行方をしばらく調査する事にした……のだが……

 

「モリア様の情報、全然ないな……」

 

 私は早くも途方に暮れていた。

 1年前、麦わら海賊団との抗争の後……七武海であるモリア様は、白ひげ海賊団と海軍の“頂上戦争”に参戦した。

 だけど戦争の後、どういう訳かモリア様は行方不明になってしまったんだ。

 

 新聞では戦死って書いてたけど、鷹の目は死んでなかったって言ってたし……

 う〜ん……?

 

 何の手がかりも見つけられないまま、日にちだけが過ぎていく。

 資金も底を尽きかけてきたので、一旦諦めてクライガナ島に戻ろっかな〜と考え始めた……

 そんな時だった。

 

「こんちには! 淫乱ピンクちゃん! 俺の修行に付き合ってください!」

「……は?」

 

 ──ラインに、声をかけられたのは──

 

 

 

 

 

 

 ラインに家まで連れてかれた私は、とりあえず事情を聞かされた。

 故郷であるドレスローザを救う為に、修行して強くなりたいんだって。そしてその為には私の能力が必要だと……

 ホロホロホロ! 見る目あるな!

 

 数日程度なら付き合ってやっても良かったんだけど……お願いされた日数はなんと1年! なげーよ! 流石に無理だわ!

 断る口実として、10億ベリーくれたらいいぞって言ってやったんだけど……

 

「あ、じゃあ私が払いますね。どうぞ」

「「え〜〜ッ!!?」」

 

 なんですぐに出せるんだよ! あのウサギ娘!!

 

 ……けど、まあいい。ポジティブに考えよう。たった1年で10億の稼ぎは悪くない……どころか最高だ。

 それに修行の間、家に泊めてくれると言うので、とりあえず寂しい思いはしなくてすむ。

 モリア様の情報だって孤島であるクライガナ島にいる時より集まりやすいだろう! ホロホロホロ!

 

 それに……

 

「………」ポケ〜

「? どうしたペローナ。俺の顔ジッと見つめて?」

「あっ!? な、なんでもねーよ! この変態乳揉み魔!!」

「変態乳揉み魔!?」

 

 悔しいけど……

 ラインの見た目は、ひじょーに私好みのカワイイ外見をしていたのだ! シルクハットに黒コート。ファッションセンスも含めてすっごくカワイイ!!

 ホロホロホロホロホロ!!

 もしも死んだら、私のしもべとして特別(スペシャル)ゾンビにしてやってもいいかも。なんてな。

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで始まったラインたちとの共同生活。

 

 最初ラインの家族周り(海賊王の副船長、女ヶ島の元皇帝、シャボンディのヒーロー、悪魔の実を食べた電伝虫)などで、めちゃくちゃ驚かされたりもしたが……

 一緒に暮らしていくにつれ、その辺はもう慣れた。肩書きスゲー奴らとは暮らし慣れてるからな。

 

 ラインとの修行だけど……

 私がひたすらネガティブホロウを撃ちまくるネガティブ修行の他に……空中で鬼ごっこをしたり、だるまさんが転んだをしたり、空島探検をしたりと……結構楽しくやれてる。

 

「ペローナ! ありがとう! 本当助かるよ! ふへへ!」

 

 クライガナ島の馬鹿剣士2人と違って、何かしてやったらしっかりお礼が返ってくるのが心地良い。

 頑張ってるラインの為に、おやつにベーグルサンドを作ってやったら想像以上に喜んで食べてくれたし……ホロホロホロ!

 カワイイ奴め! また作ってやろっと。

 

 おっぱい好きで、スケベ〜な部分だけは嫌だな〜って、思ってたんだけど……

 時間と共にそれも気にならなくなっていった。慣れって怖い。

 たぶん四六時中エスネやデンスケと、あ〜んな事や、こ〜んな事をしているのを見させられたせいだ。事あるごとにイチャイチャ、イチャイチャと……!

 まったく! あんなのずっと見させられてたらそりゃあ耐性だってつく! ふしだらな奴らめ!

 

「……でもペローナさんも最近はよくお兄さんとイチャイチャしてますよね?」

「し、してねーよ!!」

 

 言いがかりだ! ウサギ娘!

 

 

 

 

 

 

 そんな感じで、シャボンディでの生活も1年が過ぎた。

 

 驚くべき事に、たった1年の修行でラインは冥王レイリーに勝てるまで強くなってしまった!

 10億の首だから元々強かったんだろうけど、まさか冥王レベルにまでなっちまうとは……素直に凄いと思う。

 強くなれて、喜んでいるラインを見ていると、何故だか私まで嬉しくなってくる。ホロホロホロ!

 

「これでドレスローザを救いに行けるぞ!」

「はい! お兄さん!」

『ジーー!』

 

「………」

 

 しかし……

 ラインの修行が終わってしまったという事は、私がここにいる理由も無くなってしまったという事であり……

 私はまた、一人ぼっちになってしまうという事……

 これからどうしよう……

 

 モリア様の行方は結局分からずじまいだし、今更クライガナ島に戻るってのもなァ……

 そんな事を考えながら、ライン達から少し離れたところで一人ぷらぷらしていると──

 

「ぺ、ペローナ……! ようやく見つけた……! フォスフォスフォスフォス!」

「え?」

 

 私の背後から、聞き覚えのある笑い声が響きわたったのだった。

 

 

 

 

 

 

「フォ〜スフォスフォス! ペローナ! 探したぞ!」

 

 笑い声の正体は、私と同じモリア様の海賊団の一員、天才外科医……

 ドクトル・ホグバックであった。

 

「ほ、ホグバック! お前なんでここに!?」

「そりゃこっちのセリフだ! スリラーバークで消えたきり姿を見せないで!」

「ま、まあ色々あってな……ホロホロホロ! 何にせよ久しぶりだな〜! モリア様とアブサロムは? 一緒なんだろ?」

 

 こいつがいるという事は、モリア様も近くにいるはずだ。辺りをキョロキョロ見渡してみるが、見える場所にはいない。

 どこかホテルとかで寝っ転がってるのかな? モリア様だもんな! ホロホロホロ!

 

「…………あ、ああ……その事だがな、ペローナ……」

「ん?」

「落ち着いて聞いてくれよ。モリア様は……その、天竜人に捕まっちまったんだ……奴隷としてな……」

「え……ええええええ〜〜ッ!!?」

 

 ど、奴隷!? モリア様が!? 天竜人の!?

 

「一体どういう事だよ!? ホグバック!!」

「ぐえ〜! く、首を引っ張るな! 話す! 話すから離せ!」

 

 グイッとホグバックに詰め寄って、話を聞いてみれば──

 

 まず、頂上戦争の後……

 モリア様は力不足を理由に七武海をやめさせられたんだって。……力不足?

 ……あっ! きっと麦わらの一味にやられたせいだ! おのれ! ネガっ鼻さえいなければ……! 今更言っても仕方ないか……

 

 とにかく、頂上戦争の後、モリア様はドフラミンゴに半殺しにさせられて、そのままマリージョアへ連れてかれて奴隷に堕とされたんだって。

 え〜ん! そんな〜! モリア様〜!

 

「モリア様を助ける為に、アブサロムが単身でマリージョアに潜入しに行ったんだが……」

「!! 行ったのか!? アブサロムが!」

「……そのまま帰って来ず、半年が過ぎた……」

「ええええ〜〜ッ!!?」

 

 それってどう考えても潜入失敗しちゃってるじゃん! モリア様と同じように捕まっちゃってるじゃん! ダメじゃん! 役に立たないエロサロムめ!

 やはり覗きが趣味の奴はダメだ……

 ラインなら覗きなんて姑息なマネはしない。正々堂々男らしく、正面からセクハラしてくるからな! ホロホロホロ!

 ……。

 そんな事は今どうでもいい!!

 

「……残されたおれ一人では、助けに行きたくてもどうしようもなくてな……」

 

 ガクンと膝をついてそう語るホグバック。まあ、ホグバックは非戦闘員だしな……

 

「だからシャボンディ諸島で用心棒を雇って、おれの代わりにマリージョアに乗り込んでってくれる奴を探してたんだけど……全く見つからない……」

 

 そりゃあどんなに金を積まれても、マリージョアに攻め込むのだけは誰だって嫌だろう。

 子供だって知ってる常識。天竜人には逆らうな。

 

「それで途方にくれてたところ、お前を発見したという訳だ。フォスフォス」

「そうだったのか……」

 

 まさかモリア様と……ついでにアブサロムがマリージョアに捕まっちまってたなんて……

 

「とにかく! 今すぐモリア様を助けに行かねーと!」

「お、おいおい! ペローナ! まさかお前まで単身でマリージョアへ乗り込みに行く気か?」

「当たり前だろ! 我らのご主人様のピンチだぞ!」

「やめておけ! アブサロムでもダメだったんだ! 天才のおれには分かる。絶対にお前まで捕まっちまう!」

「う……」

 

 それは……確かにそうかもしれない……

 アブサロムはスケスケの実の能力者。透明人間だ。

 “見つからない”という一点に限れば、アブサロムの右に出る者はいない。そんなアブサロムでも捕まっちまうような場所……

 

「………」

 

 一応私もホロホロの実という、隠密行動に特化した能力者なんだけど……

 ラインとの修行で、ネガティブホロウは“過剰な覇気”で無効化されちまうって事が分からされた。

 天竜人に手を上げると、“海軍大将”がやって来る。もしかしたら大将にはネガティブホロウが効かないかもしれない。そ、そしたら私は……

 

「うう……! 怖ェ……でも、モリア様が……うううぅ……!」

 

 どうしよう……どうしよう……

 そんな風に頭を抱えた、そんな時だった──

 

「ふへへへへ! 話は聞かせてもらったぞ!! ペローナ! そしてドクター・エッグマンよ!」

 

 ──私達の前に、さっそうとラインが登場した。

 

「ら、ライン!!」

「誰がドクター・エッグマンだ!? おれは世紀の天才! ドクトル・ホグバッぐぇ!?」

 

 ホグバックを押しのけて、私はラインに詰め寄った。

 

「ライン! どうしよう! モリア様が……モリア様が……!」

「大丈夫だペローナ! 俺が一緒に行ってやる!」

 

 なんて事ないように、ラインはそう言ってくれた。

 助けてくれる……のか? それは嬉しい。けど……

 

「……で、でもライン……」

「ん?」

「モリア様は頂上戦争の時、ラインの影を抜こうとしたって……言ってたよな……?」

「そだね」

「……そんな相手、ラインは助けたくないんじゃないのか?」

 

 私の懸念点はここだ。

 インペルダウン頂上戦争で、ラインとモリア様は一度敵対している。

 敵対した相手を助けようとは普通思わない。もしかしたら途中で、やっぱやめた〜って言われるかもしれない……

 それが怖いのだ……

 

「まあ〜確かに。モリアは俺の影を取ろうとした。そして俺の事を短小って言いやがった……!! だから助けたいか助けたくないかで言えば、正直助けたくない!」

「ううぅ……やっぱり……」

「でも、ペローナ的にはモリアは絶対助けたいんだろ?」

「…………うん……モリア様は私の……父親も同然の人だから……」

「なら助けるさ!」

 

 そう言ってラインはニカッと笑った。

 

「他ならぬペローナが困ってんだ。何を度外視したって必ず助けてやるさ!」

 

 そんな事を、言ってくれた……

 

「〜〜ッ!! で、でも、相手は天竜人で……」

「はっ! 天竜人がナンボのもんじゃ! 俺はもう何度もケンカ売ってるんだぞ? ふへへ!」

「わ、私……謝礼払えねェぞ? せいぜいエスネに貰った10億を返す事くらいしか……」

「金なんていらねぇよ。モリアを助けてお前が笑ってくれるんなら、それでじゅーぶんだ!」

「──ッ!!!」

 

 なんだこいつ……? 普段はスケベで、カワイイだけのクセに……なんでこんなに……カッコイイんだ……

 思わず涙が溢れてしまう。

 本当は、すぐにでもドレスローザに出発したいのだろうに……私の為に、こんな……!

 

「勿論私もお手伝いしますよ! 将来の竿姉妹(ペローナさん)のお義父さんを、私にも助けさせてください!」

『ジーー! ご主人とエス姉が行くならデンスケも行く〜!』

 

 気が付くと、エスネとデンスケも来てくれていた。

 

「お、お前らァ! うえ〜〜ん!! ありがとう〜! 大好きだ〜! え〜ん!」

 

 私は3人に飛びついてお礼を言った。

 

 

 

 

 

「フォスフォスフォス! …………とりあえず、おれが空気だな……」

 

 うん。ホグバック。お前はお留守番だ。

 

 

 




次回、マリージョアで大暴れ。壊滅的大被害。

ムクムク、ポン! ムクムク、ポン!
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