デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

53 / 67
マリージョアおったまげ〜大作戦!!

 1年の修行が終わり、いよいよドレスローザに向けて出発だー!! ……ってところで、七武海の一角であったゲッコー・モリアが、マリージョアにて奴隷に堕とされているとの話を聞かされた俺達。

 

 正直言って、あんま興味ない。「ふ〜ん。あっそ」くらいの感覚である。

 ざまあみろとまでは言わないけど、同情もしない。あいつは俺に向かって“短小”と言ってきたバカタレだからな。もう一度言う。“短小”と言ってきたバカタレだからな。

 助けてやる義理なんて1ミリもない、のだが……

 

「ライン! どうしよう! モリア様が……モリア様が……!」

 

 それでペローナが悲しむとなれば話は別だ。

 ペローナは俺の修行に1年も付き合ってくれた女の子。そんな子の悲しむ姿は見たくない。

 なら、訳も分からず助けてやるのが男だろう!!

 ふへへへ!

 

 

 ……

 

 

 という訳で、やって来ました。聖地マリージョア。

 ここに来るのももう何度目だろう?

 

 1回目に来た時は、ドレスローザを出てすぐの頃だったか。あの頃の俺は心身共に弱かったな〜。天竜人たちの奴隷への扱いがあまりにも酷くて、たしかゲロ吐きながら逃げ出しちゃったんだっけ?

 

 2回目は攫われたエスネを助ける為に侵入した。

 それでエスネ&数十名の奴隷達はなんとか助け出せたんだけど……最終的に青キジに負けちまった。レイさんが来てくれなかったらきっと俺は殺されていただろう。

 

 ……そして今回が3回目。

 

「よーし! 今回こそは完璧で究極に任務を達成するぞー!!」

「「『おー!』」」

 

 今回俺と一緒にマリージョアにやって来たメンバーを紹介しよう。エスネ、ペローナ、デンスケの3人である。

 こいつらは空を自由に飛べるから、簡単に赤い土の大陸(レッドライン)を越えられるからね。

 この世界、やっぱ飛べるってチートだわ。

 

「ところでお兄さん。どうやってモリアさん……と、アブサロムさんを助け出すんです? こっそり侵入していく感じですか?」

「いや……こっそり侵入は、アブサロムがやって失敗したらしいからな。俺達はその真逆を行こう!」

「真逆……?」

「そう! 今回の作戦は……ガッツリ侵入! マリージョアおったまげ〜大作戦!! だ!!」

「?」

「?」

『?』パチパチ

 

 俺の出した作戦名に、全員が首を傾げた。

 デンスケだけは訳も分からず拍手してくれている。

 

「……コホン。分かりやすく説明するぞ? まず、マリージョア全体で大パニックを起こす。そしたらそのどさくさに紛れてモリアを救出する。どうだ? 分かりやすいだろ」

「……ライン。しつも〜ん!」

「はい。ペローナくん」

「私達はたった4人だけど、それでどうやってマリージョア全体でパニックを起こすんだ?」

「イイ〜質問ですね。ふへへ……その答えはこれだ!」

 

 俺は帽子の中からちょっとした木箱を取り出した。

 その木箱をパカッと開けると……

 

「これは……豆?」

「植物の種だ」

「種?」

 

 箱の中身は、植物の種でギッシリ。

 

「ふへへ! ただの種だと思ってあなどるなよ? この種は一瞬で成長する不思議な種、ポップグリーンを……この俺が独自の技術で研究し、品種改良した、完全新種(オリジナル)のポップグリーンなのだ!」

 

 俺が修行にあけくれていたこの1年、夜、ずっと植物の研究をしてただろ? その研究の成果の一つがこれである。

 

「その名も……スペシャルポップグリ〜ン!」(ドラえもんの声真似)

「………そのスペシャルポップグリーンはどう使うんだ?」

「マリージョアの上空からばら撒くんだよ」

「ばら撒く? そしたらどうなるんだ?」

「それはやってみてのお楽しみさ! ふへへへへ〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──海軍本部──

 

 ここでは、センゴクに代わり新たに元帥へと就任した、“青キジ”ことクザンが、書類仕事に精を出していた。

 

「あ〜、めんどくせェ……せっかく元帥になったってのに休む暇すらありゃしねェよ」

「そりゃあ元帥ですからね。あ、書類追加です。クザン元帥」

「……お前、容赦ないなァ……」

 

 両手に抱えきれないほどの書類をもってきた秘書に向かって、ぶーたれる青キジ。

 

「お前も少しは手伝ってくれよォ」

「……今でも書類仕事の“八割”は私が片付けていますが?」

「あらら……そうだっけ?」

 

 元帥になっても、『ダラけきった正義』は変わらない青キジなのであった。

 

「はァ……元帥になられたんですから、もうちょっとシャキッとしてくださいよ」

「これでもおれめちゃくちゃ頑張ってるよ? 昼寝の時間激減してんのよ? その点どう思うよ?」

「センゴクさんが元帥だった時代は、今の3倍の仕事量はありました」

「センゴクさんヤベェな」

 

 山のような書類の束……これの三倍とか、海賊と戦う前に過労死してしまうんじゃなかろうか?

 

「こんなにお仕事が少なくなったのも、賞金稼ぎ、“億狩りウサギ”のエスネさんのおかげですよ! 彼女の活躍でシャボンディ諸島の治安は驚くほど改善されましたし、魚人島へ到達できる海賊も2年前と比べたら43%減です!」

「……へ〜、あのウサギの嬢ちゃんがねェ……」

 

 秘書の話を聞いて、青キジはぽりぽりと頭をかいた。

 

「え……? クザン元帥、億狩りウサギをご存知なんですか?」

「……いや、昔ちょっとな……」

「?」

 

 思い出すのは2年と半年ほど前……だったか。

 

 聖地マリージョアにて、青キジは不可視の怪盗ライン……そしてその背中に乗るウサギの少女と戦闘をした。

 十中八九、“億狩りウサギ”の正体は彼女で間違いないだろう。

 思えばあの頃の時点で強さの片鱗はあった。

 油断していたとはいえ、青キジは蹴りを2発貰い、尻もちをつかされた。

 

 流石は冥王レイリーの義娘であり、不可視の怪盗ラインの義妹である。

 これは海軍の中では青キジしか知らない情報だ。

 

(そんな彼女が賞金稼ぎ……シャボンディのヒーローと呼ばれるようになるとは、世の中分からねーもんだな……)

 

 億狩りウサギについてまとめられている資料へ目を通す青キジ。それによると去年、1年間で彼女が倒した賞金首は……

 1千万ベリークラスが約50人。

 5千万ベリークラスが約50人。

 1億ベリークラスが約10人。

 2億ベリークラスが約5人。

 3億ベリークラスが約2人。

 

「いや、すっげェな……!?」

 

 数もさることながら、単純計算、1年で50億ベリー以上稼いでいる。

 去年だけでこれなら、今年の分も合わせたら100億いってるんじゃなかろうか?

 シャボンディ諸島の換金所から、何度も追加資金要請があったんだけど……そりゃあ来るはずだ。こんなに支払ってたら。

 

「はァ……海賊狩ってくれんのはありがたいんだけど、金がかかって仕方ねェよ……」

 

 賞金稼ぎは普通、一回海賊を狩ったらその後しばらく休みに入る者が多い。

 一回の海賊狩りで、しばらく豪遊できるだけの金額が手に入るからだ。

 しかし億狩りウサギはそうじゃない。年中無休で海賊を狩り続けている。何百万、何千万、何億と稼いでも海賊狩りを続けている……

 

「う〜ん……海賊を狩る事自体が目的なのなら、海兵になってもらうのが一番なんだけど……断られたんだよなァ……」

 

 個人に一体いくら支払い続けている!? さっさと“億狩りウサギ”を海兵にスカウトしてしまえ! と、五老星(うえ)からも圧をかけられている。

 しかし、いざ声をかけてみれば、「赤犬を殺していいのなら、入ってあげますよ。海軍……」と返事された……

 あちゃ〜。

 こりゃ頂上戦争で、義兄(ライン)を殺しちまった事、相当恨んでるな〜。

 

 青キジ個人としても、ラインの事はかなり好ましく思っていたので、亡くなってしまった事はとても残念に思っている。

 

「う〜ん……もういっそ、赤犬(サカズキ)のバカを好きなだけ殴っていいから、海兵になってくださいって頼んでみるのはどうよ? あんなマグマ馬鹿より、悩殺ボインバニーちゃんが入ってくれた方が皆も嬉しいっしょ?」

「……何をバカな事言ってるんですか。それより早く仕事してください」

「あーい……」

 

 そんな感じで、億狩りウサギの資料で紙飛行機を作り、ピュ〜っと飛ばしていると……

 

『ジジジジジ! ジジジジジ!』

 

 机の上の緊急用電伝虫が大きく鳴り響いたのだった。

 何だと思って出てみると……

 

『ガチャ……お、おい青キジ!! 今すぐ大将をマリージョアに寄越すえ!! は、早くしろ!! 急ぐえ!!』

 

 天竜人からの大将出動要請がきた。

 

「あ〜、はいはい。えっと……大将ですか? これまた何でです?」

 

 クザンは冷めた口調でそう返事した。

 

 海軍の最高戦力、“大将”は、天竜人直属の部下に当たる。なので、来い! と言われたらすぐさま出動しなければならない。

 しかし中にはくだらない理由で呼び出そうとしてくる連中もいる。

 

 人間が氷漬けになる場面を見てみたいから、能力を使って奴隷たちを凍らせてみろ! そして粉々に破壊して遊ぶんだえ!

 ……大将時代、青キジは天竜人にそのような命令をされた事がある。

 

(はァ……今回は一体なんだってんだ……)

 

 嫌な事を思い出してげんなりする。どうせ今回もつまらない要件だろと……青キジがそう思った次の瞬間──

 

『う、うわああああ!! は、花のバケモノがもうすぐそこまで来てるえ!! あ、青キジ! 何をやってる!! 早く! 早く大将を寄越せ!! 早くしないと……ぎゃあああああ!!! ……ツーー、ツーー……』

 

 バイオレンスな断末魔を残し、天竜人からの通信は切れた。

 

「………………え?」

 

 何だ今のは? どう聞いても演技ではなかった。……そもそも天竜人に演技が出来るような脳みそがあるとは思えない。

 一体何が起きたというのか?

 

「あ、青キジ元帥! マリージョアから大量の電伝虫コールが! み、皆一様に大将を呼べ! 花のバケモノが出た! と……」

「花のバケモノ……?」

 

 よく分からないが、とにかく大将を出動させるしかない事だけは確かのようだ。ここまでマリージョアから大量に出動要請がかかる事はまずない。

 青キジは電伝虫を回した。

 

「もしもし! 赤犬(サカズキ)! 黄猿(ボルサリーノ)! 藤虎(イッショウ)! 緑牛(アラマキ)! 今すぐマリージョアに行きなさいな!! 天竜人のピンチだ!! おれも行く!」

『『『『!!?』』』』

 

 

 

 

 

 

「ふへ〜、自分でやっといて何だけど、なかなかに大惨事だな、これ……」

 

 ここは聖地マリージョアの街……の、少し上空。

 そこから俺達は、現在進行系で起こっている地獄絵図を他人事のようにボケ〜っと眺めていた。

 

「わ〜♪ 見てくださいお兄さん! 天竜人がゴミのようですよ〜!」

 

 どこぞのムスカ大佐のような事を言い出すエスネ。相変わらずの天竜人嫌いだな……

 ……まあ両親が殺され、無理やり嫁にされかけ、銃で撃たれ、殺されかけた経験もあるので当然か。

 

「ぎゃーー!!」

「うわぁああああ〜〜!!」

「誰か助けろーー!!」

「何なんだえこれは〜〜!?」

「ヒィィィあ゛あ゛あ゛!!」

 

 俺達の眼下で、今何が起こっているのかを説明すると……

 大小様々な赤白の斑点模様のついた丸い頭部を持つたくさんの植物が、牙を剥き出しにして、マリージョアの街並みを破壊しながら突き進み、天竜人たちに襲いかかっているという……そんな状況。

 

 もうちょい分かりやすく説明すると、スーパーマリオに登場するパックンフラワーがマリージョアにて大暴れ!! である。

 

『ジ〜〜、ご主人の作った、すぺしゃるぽっぷぐりーん? すごいねー! ぱくぱくしてる!』

「ふへへへ! だろ? 我ながらかなりの力作だぜ! まんまパックンフラワー! スマブラに参戦してもおかしくない出来だな!」

『すまぶら?』

 

 そう。今回俺が用意してきたスペシャルポップグリーンは、まんまパックンフラワーを生み出す種だったのだ。

 それをマリージョア上空からパラパラ〜っと撒いてやった! ふへへへ〜!

 

 一瞬で成長したパックンフラワーは、近年のマリオシリーズよろしく二足歩行で歩き回り、俺にとっての敵(天竜人など)に向かって襲い掛かる性質をもっている。

 口から火を吐いたり、毒ガスを吐いたり、鉄球を吐いたりと……細かいとこまできち〜んと原作再現してある。

 作るのかなり苦労したんだぞ?

 

「ぞ、ゾンビ以上に代えのきく無限の兵力だ……モリア様が欲しがりそう……」

「ふへへへ! タワーディフェンスゲームしてる気分になってきた。イケイケ〜!」

 

 何千ものパックンフラワーが、マリージョアを次々に破壊していく様は見ていてなかなかに爽快である。

 パックン1匹の戦闘力は、懸賞金にして、だいたい3000万ベリーくらいかな?

 将来的にはボスパックンも作ってみたい。

 

「あ! お兄さん! あれ見てください! 奴隷たちが……」

「ん?」

 

 エスネが指差した方を見てみると、そこには天竜人たちと同じようにパニックになり、逃げ惑う奴隷たちの姿があった。

 というか、天竜人によって奴隷たちが身代わりに使われている……

 一応今回俺が持ってきたパックンは、天竜人以外は襲わないよう設定してあるが、そりゃまあ、ビビるよな……

 

 中には「ようやく奴隷としての苦しみから解放される! さあ! おれを食ってくれ! もう奴隷人生はこりごりだ〜!」と言って、パックンの前に飛び出す奴隷までいる始末……

 

「う〜ん、なんか可哀想だなぁ………」

 

 このまま放っておいたら、あの奴隷たちはどうなる?

 たぶんまた天竜人たちに捕まって、そんで死ぬより辛い目にあわされるのだろうな……

 なぜわちきを助けなかった!? ビシッ! バシッ! ビシッ! みたいな感じで……

 

「む〜、むむむ〜。………よしっ! 決めた!! こうなったらモリア以外の奴隷も、全員まとめて助けちゃおうぜ!!」

「「えっ!?」」

 

 俺の悪いクセ。こういう時、どうしても見て見ぬフリが出来ない……

 まあでも仕方ないよな。

 救出難易度は少し……いや、かな〜り跳ね上がるだろうが、このまま見殺しにする事は出来ない。

 

「さ、流石お兄さん♡ ……そういう優しいところ、本当大好きです♡ マリージョアだけじゃなく、私にも種まきしてほしいです♡ お兄さんの種をっ♡♡♡ ンッ♡(小声)

『ジーー! デンスケも頑張る!』

「……よ、よし! 分かった! 私も手伝う! ライン!」

 

 誰かしら反対意見が出るかもと思ったんだけど……エスネもデンスケもペローナも、全員が俺についてきてくれる模様。

 何だこいつら? イイ女過ぎかよ! 何があってもこいつらだけは絶対に守ってやろうと誓った。

 

「……しかしこうなると問題なのは、マリージョアのいたる場所に大勢いる奴隷たちを、どうやって集めて助け出すかだよな……」

 

 俺はう〜んと頭を悩ませる。

 この状況で、活躍できそうな能力といえば……!

 

「デンスケ!」

『ジ?』

「ヒトヒトの実、モデル天使(エンジェル)。ついにお前の能力を使う時が来たようだ!」

『!! ジーー! まかせて! ご主人! ()()を使うんだね?』

 

 デンスケはバサッと翼を広げると、目を閉じ、頭の輪っかをキラキラ輝かせながら、ジ〜〜ッと念じ始めた。

 

『じゃあいくよ? がりゅー! えんじぇるこんばっと! お告げの時間!!』

 

 

 

 





【挿絵表示】

ライン産、スペシャルポップグリーン No.1。
自立して動く花。パックンフラワーの見た目をしているのはラインの遊び心。
めっちゃ走る。めっちゃ噛み付く。火、鉄球、毒ガスとか色々吐いてくる。
ラインの言葉に反応して、簡単な命令くらいなら聞く。「戦え!」「守れ!」「歌え!」など。
ラインの仲間は襲わない。

次回、モリア視点&デンスケの能力の詳細解説。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。