ガッツリ侵入! マリージョアおったまげ〜大作戦!!
当初の予定では、救出する奴隷の人数はモリアとアブサロムの二人だけであった。
しかし、俺のワガママでマリージョアに捕まっている“全て”の奴隷達を解放する事となった。
だって見捨てられなかったんだもん……
パックンフラワーの種をバラ撒いたり、デンスケがテレパシーを送ってくれたり、エスネが走り回ってくれたりで、なんとかマリージョア中の奴隷達を1ヶ所に集める事には成功した……のだが……
「え〜っと……これで、全員?」
『ニン。デンスケが通信できた奴隷はこれでぜいいんだよ。ペローナ姉とモリヤがまだ来てないけど』
「そっか……これ、全部で何人いんの?」
『ジ? ジ〜〜……………たくさん』
場所はマリージョアの中央広場。
そこは見渡す限りの、人! 人! 人! 奴隷達による人の山! 魚人とか巨人とか小人とかミンクとか、人じゃないのもチラホラいるけど……問題はそこじゃない。
前世でスーパーアイドルが10万人コンサートやってたのをテレビで見た事あるんだけど、たぶんそれ以上の人数が今この場には集まっている。
こんなにいたのか、奴隷。……世界の闇だね。
「天使様〜!」
「バニーエプロン女神様〜!」
「チビッコ神様〜!」
「どうか我々をお救いください!」
「お願いします! お願いします……!」
「もう奴隷でいるのは嫌なんです!」
「お家に……帰りたい……!」
「助けてください助けてください助けてください!」
ブーンと中央広場の空中に浮かんでいる俺、デンスケ、エスネの3人。
そんな俺達に向かって、奴隷の皆はぺこぺこ祈りを捧げている。アイドルコンサートっていうよりはなんかの宗教みたいだな。
……チビッコ神様って言った奴、前出ろや。
「こ、こんなにいるなんて……お兄さん……この人数、一体どうやって逃がします?」
思っていた以上の人数に、あたふた状態のバニーエプロン爆乳女神様ことエスネ。
俺達と違って奴隷達は空を飛んでは逃げれないからな。
「ボンドラを使うにしても、全員は流石に乗り切らないですよね? な、何回か往復しないと……」
マリージョアは
下との交通手段は基本的にボンドラ(シャボン玉のゴンドラ)を使うしかない。
しかし、そんなゆったりした乗り物でちんたら移動してたら確実に大将がやって来てしまうだろし、下手したらボンドラに乗ってきた大将と鉢合わせ……なんて事もあり得るかもしれない。
「という訳で、ボンドラを使う案は却下だ!」
俺は手でバツを作った。ブー。
「じゃ、じゃあどうすれば……?」
「ふへへ! 大丈夫。ちゃ〜んと考えてあるさ! このたくさんの奴隷達を逃がすには……」
「逃がすには?」
「もっかい、デンスケの能力を使うんだ!」
「デンちゃんの?」
『ジ?』
俺はビシッとデンスケを指差した。
そう、デンスケの能力を使えば、奴隷達を全員、安全にマリージョアから逃がす事が出来るのだ。
どうやって? の説明をする前に、デンスケの能力をもう一度おさらいしておこうか。
デンスケはヒトヒトの実、モデル
この能力を使えば、デンスケは他人と自分の魂を接続する事が出来る。
接続したらテレパシー会話が使える。そんな能力だ。
そしてこの魂の接続だが……
生きてる魂だけでなく、なんと死んであの世に行ってしまった魂とも繋がる事が出来るのである。
死体に触れている間だけ……という制約はあるものの、デンスケは死者の魂とも繋がれるのだ。
俺が赤犬のマグマで半死半生となってしまっていた時、呼び戻してくれたあの声はやはりデンスケだったのだな。
……で、ここからが話の本番だけど……
・
・
・
俺の1年の修行期間中。
詳しくは語らなかった、飛行訓練の時に無人の空島を見つけたって話があっただろ?(51話)
そん時の話だ。空島を発見した俺達は、その空島でたくさんの“貝殻”を発見したのである。
うおー! 空飛んでたら空島発見したぞー! スゲー!
↓
なんかいっぱい貝殻が落ちてる!? レア物っぽいし、記念に持って帰ろう。
↓
持って帰った貝殻を見て、レイさん。「ほう……
そんな流れ。
俺達は空島産の不思議な貝殻、
それによると、この貝殻は種類によって様々なエネルギーを吸収、放出する事が出来るとても便利な貝殻なんだって。
衝撃を吸収、放出できる
炎を吸収、放出できる
ニオイを吸収、放出できる
雲を吸収、放出できる
その種類は多種多様だ。
「へぇ〜、凄いですね。例えばお兄さんのニオイを
「え゛!? エスネ……俺ってそんなに臭うかな?」
そんな感じで、
『ジ……? ジーー……へぇ、そうなんだ……』
そして……
『ジーー、えっと……こうして、こう!』
ボウンッッ!!!
「「「「!!??」」」」
デンスケの手のひらから、いきなり
「は!? 何ソレ!? で、デンスケ!? お前それ……どうやったんだ?」
『ジーー、えっとね、
「い、
……ああ、そうか。デンスケは死体に触れてる間、その死体の魂と繋がる事が出来る。
そして
デンスケは
でも何で
貝類とは魂の相性が良かったから? へ〜……
『ニーー♪ ご主人! 見て見て! デンスケ色んな技が使えるようになったよ!
ボウンッッ!! ゴオオッ! ザンッ! ゴアーッ!! ピカーッ!
「うおおおーー!? 家の中でするなーー!!」
・
・
・
…………とまあ、こんな事があったのである。
要するに何が言いたいのかというと……
そんなチート能力を身に着けてしまったのだった。
以上! 説明終わり。
話を今に戻すぞ。
「つー訳で、今デンスケにしてもらいたいのは、
『ニン! わかった! どの
「今使うべき力は、
『ジィ! 任せてご主人!』
デンスケは
『がりゅー! えんじぇるこんばっと!
デンスケが手をかざすと、そこからボワボワボワ〜っと雲の道が伸びていく。
なんとなく神秘的な光景。それを見て、オオッ! と盛り上がる奴隷達。
『ジィ〜〜!』
そのままデンスケは飛んでいき、雲の道をどんどん伸ばしていく。
「なるほど! 脱出通路が無いなら作ればいいって事ですね!」
「ふへへ! そういう事だ。んで、雲の道を作ってもらったら……次はこいつの出番! スペシャルポップグリ〜ン!」
俺は帽子の中から植物の種を取り出した。
「?? お兄さん。またパックンちゃん出すんです?」
「いーや違う。俺の作ったスペシャルポップグリーンがパックンフラワーだけだと、一体いつから錯覚していた?」
「え……」
「お見せしよう! 俺産、スペシャルポップグリーン! No.2! その名も……キングサイズ・ボーティーバナナ!!」
取り出した種を、デンスケの作った雲の道へと放り投げる。すると──
ボワンッ
普通の人間なら軽く1000人は乗れそうな……超巨大サイズバナナボートが出現したのであった。
「「「「「おおおおーー!!」」」」」
突然現れたバナナボートを見て、感嘆の声をあげる囚人達。
エスネも目を見開いていて驚いてる。凄いだろ! もっと驚いてくれてもいいんだぞ? ふへへへへ!
「わあ♡ 凄ぉい♡ お兄さんの……おっきくて立派なバナナ……♡」
なんかやらしく聞こえてしまうのは、俺の心が淀んでいるせいだろうか?
「え、え〜……コホン。このキングサイズ・ボーティーバナナは、“ボーティーバナナ”っていうポップグリーンを品種改良して作った、クソデカバナナボートである。こうして雲の上に浮かべる事だって出来るし、いざという時には非常食として美味しくいただく事だって出来るんだぞ!」
デカイってのはロマンだ。俺は何でもデカイのが好きだ。
という訳で、なんとなく趣味で作ったクソデカバナナボートだったんだけど……まさかこんなところで活躍の機会が訪れるとは思わなかった。
備えあれば嬉しいな。である。
「それじゃいくぞ! キングサイズ・ボーティーバナナ乱れ咲き〜!」
俺は次々に種を撒いていく。
奴隷の数は約10万人。そしてこのキングサイズ・ボーティーバナナは1000人乗り。
種はだいたい300粒くらい用意してあるから、え〜と…………………………
たぶん全員乗れるだろう! たぶん。
『ジーー! ご主人! 下の海まで
「ナーイス!」
パタパタ飛んで、デンスケが戻ってきた。
よーし、これで準備は整った。
「それじゃあ奴隷達! このキングサイズ・ボーティーバナナに、のりこめ〜! 雲の道を下ってマリージョアを脱出するぞー!」
「「「「「うおおおおーー!!!!」」」」」
「あ、割り込みとかはしないように、前の人から順番に乗ってってくださーい」
「「「「「分かりました! チビッコ神様!」」」」」
「誰がチビッコ神様じゃ!?」
1000人乗せては出発! 1000人乗せては出発!
そんな感じで1本、2本と次々にバナナボートを出発させていく。
大将が来てしまう前に、急いで全員逃しきらなければならない。
「ライン! ただいま! お待たせー!」
「キ〜シシシシィ! 不可視の怪盗! おかげで助かった! 礼を言わせてくれ!」
と、ここで、モリアを助けに行ってたペローナがニコニコ笑顔で帰ってきた。
どうやら無事モリアとアブサロムを救出できたみたいだな。良かった。
……けど、随分時間かかってたな。何かしてたのかな? う〜ん……
まあいいや。
とにかく今は1秒でも時間が惜しい。奴隷達の先導、ペローナとモリアにも手伝ってもらおう。
そのように伝えると……
「分かった! 任せろライン! ホロホロホロ!」
「キシシ! 了解だ! こいつらをこのでっけェバナナに乗せてきゃいいんだな?」
「あ、うん……お願い」
ペローナはともかく……なんかモリアもやけに素直に言う事聞いてくれるのな。
頂上戦争の時と比べてちょっと痩せてるし……俺を見る目がなんかキラッキラしてる。気持ち悪! キャラチェンジした?
……まあ悪い事じゃないしいっか。
「そんじゃま、この調子で奴隷達をどんどん逃して──」
「大噴火ァ!!!」
ボウッと轟音を立てて、物凄い熱量……巨大なマグマの拳が俺目掛けて飛んできた。
「──ま、そう簡単に逃さしてはくれないよね」
飛んできたマグマの拳を、俺はヒラリとかわす。
ドオオオンッ!!!
「お〜、相変わらずの攻撃力。床が溶けちゃってるよ」
ゆっくりと振り返る。
するとそこにいたのは、ボコボコと全身が沸騰しているマグマ人間。
あ〜ついに来ちゃいましたか。まだ奴隷全員、逃がせてないのに……
「……不可視の怪盗。貴様何で生きちょるんじゃ……貴様は2年前に、殺したはずじゃろおがァ!!」
ドッカーンと身も心も大噴火。はい。赤犬さんの登場ですね。
……いや、赤犬だけじゃない。黄猿と青キジもやって来ている。頂上戦争以来だね。3大将……いや、今は青キジが元帥に昇格したらしいから、1元帥&2大将か。
より豪華な顔ぶれになりましたな。
「あららら……天竜人から花のバケモノが暴れてるって通報があって来てみれば……ライン。まさかお前が生きてたなんてな。こりゃ……流石にたまげた」
「おー、相変わらずゴキブリみたいな生命力だねェ〜、不可視の怪盗〜」
驚いてるのか驚いてないのか……よく分からん微妙な表情をしている青キジと、いつも通り、飄々とした態度の黄猿。
って誰がゴキブリじゃい!
「……なあライン。まさかとは思うが今回のマリージョアのこの騒動……これは全部、お前の仕業なのか?」
後ろ頭をポリポリかきながら、青キジが俺に質問してきた。
なので俺はフッと鼻で笑う。
「まーね!」
「まーねじゃないのよ。お前……何でまたこんな事しちゃったの?」
「ふへへ。友人の親が奴隷として捕まっちゃったからさ、それを助けに来たんだよ」
「……」
「そしたら他の奴隷達もなんか可哀想になっちゃってさ……ついでに全員助ける事にした! 以上です! 文句ある?」
「文句って、そりゃ………………はぁ〜……お前はまた、そういう事をしちゃう奴だよな〜……ったくやりづれェ……」
怒ってるような笑ってるような、そんなよく分からない表情を浮かべながら大きなため息を吐く青キジ。
う〜ん。相変わらず感情が読めない。
グツグツ、グツグツ……
それに比べてマグマおじさんの分かりやすい事よ。全身で怒りを示してくれてる。
「……不可視の怪盗がマリージョアに攻め込んできた理由なんぞどうでもいい!! こいつは元々犯罪者じゃからなァ!! そういう奴じゃ!!」
血管をビキビキに浮かび上がらせながら、ドンッと床を踏みしめる赤犬。
そんな赤犬の視線の先にいるのは、勿論俺──……ではなく、あれ? ……俺じゃない?
「わしが一番納得出来んのは……億狩りウサギ!! 貴様の存在じゃあ!!」
「え? 私?」
──赤犬の視線の先にいたのは、俺の真横にいるエスネであった。
なんで!?
「……わしはのう! 数いる海兵候補の中で、億狩りウサギ! 貴様を一番買っておったんじゃ!!」
「はい!?」
はい!?
「この2年で貴様が捕らえた海賊……凡人には決して真似出来ん数じゃ。悪を憎む心が無ければ決して成し遂げられん! 犯罪者に対するその容赦の無さ!! これはわしの掲げる“徹底的な正義”に通じるものがある! 貴様が海軍に入隊すれば! 海軍の正義はより強固なものとなる……はずじゃった……!!」
「……」
「それなのに!! 億狩りウサギ! 貴様、何故海軍のスカウトを蹴った!? そして貴様は何故、今、不可視の怪盗の隣にいるんじゃァ!!?」
「……」
「そいつは貴様が憎むべき、悪!! 最悪の犯罪者じゃろうが!! 今こそ己の正義に従い、海軍に入れ!!」
「……」
あ〜、なんか赤犬の中でのエスネの人物像……本人のソレと、ズレがあるっぽいな……
どうやら赤犬はエスネの事を勝手に自分の“同類”だと思い込んでいたらしい。全然そんな事ないのに。
「……」ニッコリ
チラリとエスネの方に視線を向けてみると、めっちゃ良い笑顔を赤犬に向けていた。
笑顔……だけど、“怒り”マークがビキビキと浮かび上がっている。こっわ……
こんなエスネ初めて見た……
「さあ! わしらと一緒に不可視の怪盗を殺せ!! “徹底的な正義”の名のも──」
「く ち と じ ろ ♡」
ドゴォオオオオーーンンッ!!!
「!!!!!」
武装色の覇気を纏ったエスネの渾身の蹴りが、赤犬の腹部にまるでキャノン砲かのようにぶち込まれた。
語尾にハートマーク付けながら出来る蹴りではない。
たぶんそこらの海賊が相手だったら、船ごとうち沈めてしまえる威力だろう。
「ぐ……おおおおおッ!!!」
しかし、そこは流石に大将……
見聞色で察知したのだろう。赤犬はエスネの攻撃をしっかりとガードしていた。しかし、全ての衝撃は反らしきれなかったらしく、ゴフッと少量の血を吐いた。
マジか……エスネ強ぇぇ……
「フ〜〜……耳の穴かっぽじってよーく聞いてください!! この私! 億狩りウサギことエスネは! 海賊が大ッキライです!! でも、それと同じくらい海軍も大嫌いなんです!!」
「!!」
「特に赤犬が嫌い!! 天竜人も大嫌い! 私が好きなのは……不可視の怪盗、ラインだけ!!」
「!!?」
「何故なら私は……不可視の怪盗ラインの……
「ふ、不可視の怪盗の、いもうとじゃとォ……!!?」
あ〜らら、言っちゃった。
こりゃもうエスネも賞金首になるの避けられないぞ。
赤犬、黄猿、青キジが俺達にゾゾゾォッと覇気の篭った殺気を飛ばしてきた。
いよいよ戦闘が始まる感じか。
「……ペローナ、モリア……お前たちは奴隷を逃がす作業を続けてろ……!」
「ら、ラインは!?」
「俺達はちょっと……こいつらの相手しとくからさっ! いくぞ! エスネ! デンスケ! 手伝ってくれ!」
「はい! お兄さん!」
『ニン! デンスケご主人てつだう!』
相手は元帥&大将2人……海軍の最高戦力。
でも、簡単にゃあ負けてやるつもりはない。その為の1年間の修行期間だったのだから!
前回出したデンスケクイズ。
○○○○に触れた状態であれば、○○○○の力を使いたい放題。
はい。これの答えは……『ダイアル』でした! 皆は正解出来たかな?
ちなみに一番多かった答えは、『悪魔の実』です。予想通りに釣られてくれてナットーごはんニッコリです。
『チンチン』とか『おっぱい』とかいう回答もありました。これは流石に予想外。
次回は、ラインVS青キジ、エスネVS赤犬、デンスケVS黄猿。でお届けします。
ちなみに緑牛と藤虎は、パックンフラワーに襲われてる天竜人の救助の方に行ってるらしいですよ。