デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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VS青キジ、赤犬、黄猿

 場所は聖地マリージョアの中央広場。

 現れたるは海軍の最高戦力。青キジ、赤犬、黄猿の3名……

 うん。まあ派手に暴れちゃったから大将がやってくるのは想像していたけど、まさか旧三大将がまとめてやってくるとは……

 想定していた中でも最悪なのが来ちゃったよ。オーマイガー。

 

「た、大将赤犬だ……」

「青キジ元帥もいるぞ!」

「黄猿も……!」

「こ、こんな奴らからどう逃げろっていうんだ!?」

「もうダメだ……おしまいだ……!」

「俺達ゃまた奴隷に逆戻りなんだァ!」

「うあああああ……!!」

 

 分かりやすく狼狽え、負の感情を伝染させていく奴隷達。

 とりあえず今一番起こっちゃいけないのは、奴隷達がパニックになってワチャワチャしてしまう事だ。

 避難訓練と同じ。冷静になってもらわないと助けられるものも助けられない。

 

「……デンスケ」

『ジ?』

「奴隷達全員にテレパシーで伝えてくれ。絶対に助ける。だからパニックだけは起こすんじゃないって……」

『ジ! 分かった』

 

 気休め程度にしかならないかもだけど……とりあえずこれで少しは落ち着いてくれたらいいな。

 

「……」

 

 チラッと奴隷達の方に目をやると、ほぼ全員が口をヘの字にして、真剣な表情で俺の事をジッと見つめていた。

 どうやらテレパシーが無事伝わって、なんとか落ち着いてくれたらしい。

 

「……ペローナ、モリア……お前たちは奴隷を逃がす作業を続けてろ……!」

「ら、ラインは!?」

「俺達はちょっと……こいつらの相手しとくからさっ!」

 

 ペローナとモリアに奴隷の先導を任せ、俺、エスネ、デンスケが前に出る。

 

 相手は海軍元帥&海軍大将。

 勝ちきる事はほぼ不可能。だけど、奴隷達が逃げ切るまでの時間稼ぎ程度なら、なんとか出来る……と思う。

 

「あーらら、やっぱこうなっちまったか……」

「今度こそ焼き尽くしちゃる。骨も残らん程にな」

「恐いね〜……あの若さ」

 

 ジッと睨み合う。ジリジリとした緊張感が漂う。

 出来れば戦いなんかせず、ず〜っとこのまま睨み合いを続けさせてくれないかな〜と、そんな甘い事を考えていると……

 

「んー、とりあえず……()()()()を止めないとねェー」

「!!」

 

 黄猿が動いた──

 ヒュンっと飛び上がり、俺達……ではなく、ペローナとモリアの方に指を向けた。

 まずい。

 的確に嫌な場所を狙ってきやがった。ペローナや奴隷達を狙われるのはまずい。

 

「デンスケ!!」

『ニン! まかせて! ご主人!!』

 

 俺が合図を送ると、デンスケが猛スピードで黄猿の前へと飛び出していった。

 

『きざる! デンスケが相手だよ!』

「んー? おいおい……こんなお嬢ちゃんを盾代わりに使おうなんて……不可視の怪盗も焼きが回ったねェ。怪我したくなかったら退いときなァ。お嬢ちゃん」

『ジーー! デンスケどかないよ! 奴隷達まもるから!』

「…………こんな事でわっしが攻撃を躊躇すると思ったのか? 悪いがマリージョアに侵入した時点で、お前達は立派な犯罪者。後味は悪ィが、お嬢ちゃんごと撃ち抜かせてもらうよー……」

 

 目の前に飛び込んできた見た目14〜15歳くらいの天使コス少女に、一瞬ギョッとした黄猿であったが、そのまま黄猿は指に光のエネルギーを溜めていき……

 

「痛みは感じねェからよォ……」

 

 ピュインッと、レーザーを発射した。

 そして──

 

『がりゅー! えんじぇるこんばっと! ピカピカ吸収〜!!』

「は……?」

 

 ──黄猿の放ったレーザーは、デンスケの体にヒュインと吸収された。

 

「!!?!??」

 

 あまりに予想外だったのか、とんでもないアホ面を晒す黄猿。

 ふへへへ! 俺が何の意味もなくデンスケをお前に宛てたと思ったか?

 

「わっしのレーザーが消された……不可視の怪盗ゥ……お前の仕業か? これはまた……一体どんなこざかしい手を使ったんだ〜?」

「言う訳ねーだろ! バーカ! アーホ! 脳みそお猿さんの組長先生〜!」

「……ッ」

 

 俺は黄猿に向かってベロベロバーをした。

 イラッとしてくれたんなら作戦通り。今一番やられたくない事は、このまま奴隷達に攻撃を続けられる事だから。

 なのでこっちに注意を向けさせる意味で煽りまくってやる。お尻ペンペン! 尻尾フリフリ!

 

「……八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)

 

 煽りが効いたのか、黄猿が俺に向かって光の玉を乱射してきやがった。

 しかし──

 

『ジーー! ご主人は狙わせないよ! ピカピカ吸収〜!!』

 

 黄猿の光攻撃は、再びデンスケの体に吸収されていった。

 

「……どういう事だァ?」

 

 ふへへへ、不思議がってる不思議がってる。

 デンスケが黄猿のレーザーを無効化した理由……種明かしをするなら、“(ダイアル)”の力である。

 “光”を吸収し放出する事の出来る閃光貝(フラッシュダイアル)。これを装備する事によって、デンスケはレーザーだろうがビームだろうが、どんな光をも吸収してしまえるようになったのだ。

 

(黄猿特効、閃光貝(フラッシュダイアル)! 見つけられたのはラッキーだったな! ふへへへ〜!)

 

 勝ちきる事はほぼ不可能。だけど奴隷達が逃げ切るまでの時間稼ぎなら出来るって、言っただろ? こういう事だよ。

 デンスケなら出来ちゃうんだ。

 そんな感じで、黄猿とデンスケのやり取りを下から眺めていると……

 

「……何故かは分からんが、あの小娘にボルサリーノの攻撃は効かんようじゃのう……なら、わしが撃ち落とすまでじゃ」

 

 空をパタパタと飛んでいるデンスケに向けて、赤犬がマグマの拳を振りかぶった。

 

「え゛!?」

 

 いやいやいや! それはまずい!

 流石にマグマ(ダイアル)みたいな物は見つけられなかったから、赤犬の攻撃をデンスケは受ける事が出来ない。一発でも喰らったらおしまいだ。

 

「く……っ!」

 

 赤犬の攻撃を阻止しようと、駆け出そうとした、その瞬間──

 

「我流・ウサウサコンバット! 滅亡詐欺(めつぼウサギ)!!」

「!!!」

 

 俺より先に、エスネが動いた。

 そして、ドォーーンッ!! と、赤犬の拳を蹴り返したのだった。

 

「!? おいおいおいおい……ウサギの嬢ちゃん、マグマだぞそれ!?」

 

 足一本でマグマを蹴り飛ばしたエスネに、珍しく驚きの表情を見せる青キジ。

 

「愛はマグマより強いんです!」

「いやいや……それで済んでちゃ物理学は終わっちゃうよ……」

「知ったこっちゃねえです!」

 

 エスネはそのまま赤犬にドドドドッと追撃の蹴りをぶち込みまくる。

 

「2年前のお兄さんの痛み!! 思い知れェええ!!」

「おんどれ!! 億狩りウサギィ!!!」

 

 エスネの蹴りと赤犬の拳が何度もぶつかり合う。

 オラオラオラオラ!! 無駄無駄無駄無駄!! と声が聞こえてきそうな激しいラッシュ。

 相手はマグマだ。普通に考えたら触れた瞬間こっちの負けは確定……しかし、エスネは平気だった。

 だって“触れてない”から!

 

「!! まさか、武装色の覇気で弾いてるのか……!」

 

 ふへへ、青キジ……ビンゴ。その通りだ。

 

 レイさんに教えてもらった。

 覇気は、ワノ国では“流桜”と言って、“流れる”という意味があるらしい。

 体内に流れる覇気を上手くコントロールすれば、触れる事なく相手を攻撃したりする事が出来る。今エスネがやっているのがそれだ。

 覇王色は使えず、見聞色も正直ビミョーなエスネであるが、こと“武装色”だけに絞るなら……エスネは天才であった。

 

復讐詐欺(ふくしゅウサギ)ィ!!!」

「ぐうおおお!!?」

 

 ドオオオンンッ!!

 

 30秒以上は続いた、マグマの拳とウサギの蹴りの激しいラッシュは、最終的にはウサギの蹴り……つまりはエスネが押し勝った。

 

「うお!? マジか……!」

 

 これには青キジもビックリ。ちなみに俺もちょっとビックリ。

 2年前の戦争で片腕を失った赤犬では、ラッシュの撃ち合いは確かに不利ではあっただろう。

 しかし、それでも海軍の最高戦力を相手にゴリ押しで押しきってしまうとは……マジですごいぞエスネ!!

 

「はぁはぁ……! ど、どうですか! 私だって、強くなってるんです! 赤犬の足止めは、私に任せてください! お兄さん!」

 

 俺に向かってニッと笑顔を飛ばしてくるエスネ。強くなったなぁ……めちゃくちゃ頼もしい。

 しかし、エスネ、今ので全力を出し切ってしまった感があるな……息が荒い。

 流石にタイマンで赤犬相手はキツイか……

 

「エスネ、やっぱり俺も一緒に戦おうか……?」

「そうしたら青キジがフリーになっちゃいますよ。お兄さん。大丈夫……! 赤犬は命にかえても私が足止めしますから……!」

 

 いや、命にかえられたら困るんだけど……

 

「絶対死ぬなよ!? お前は俺にとってかけがえのない存在なんだから!」

「ふにゃ!?♡♡♡ か、かけがえのない存在……ですか? 私が? お兄さんの? え、えへへへ♡」

 

 両手で顔を隠し、ウサ耳がピーンと立つ。そのままエスネはクルリと俺に背中を向けた。

 

「ど、どうした? エスネ」

「……あの、お兄さん……それじゃその……ご、ご褒美を……」

「へ?」

「も、もしも生きて帰れたら……ごご、ご褒美をくれませんか? そ、そういう希望があれば、私は死なないように、絶対頑張れると、思うんです……!」

 

 ご褒美?

 よく分からんが、赤犬と戦ってくれてるんだ。そりゃご褒美くらい欲しいだろ。

 

「分かった! 俺に出来る事なら何でもしてやるよ!」

「なっ!? ななななんでもッ!!???♡♡♡♡♡」

「ああ、だから奴隷達全員助けて、皆で一緒に、無事に生きて帰るぞ! エスネ!」

「は……いぃ……♡♡♡ えへ♡ えへへへへへへ♡ ヤる気出てきましたーーーッ♡♡♡♡」

 

 なんかよく分からんが、テンション上がってエスネがパワーアップしてくれたっぽい。

 

「ぐ……! おんどれ小娘がァ……! 一発入れたくらいで調子付きおって……!」

 

 こうして赤犬VSエスネ、黄猿VSデンスケの流れが出来上がった。

 それを見て、ボリボリと青キジが後ろ頭をかく。

 

「はァ……海軍大将が一対一で足止めされてちゃ、元帥であるおれの面子が立たないじゃないの……こりゃさっさと“頭”取らないとな……」

 

 視線をギロリと俺に向け、ビュオオオッと冷気を纏い始める。

 おおう、凍てつくような殺気……やはり俺の対戦カードはコイツか。

 

「ライン。個人的にお前の事は嫌いじゃなかったが……今のおれは海軍元帥。お前も、お前の仲間も奴隷達も……全員捕まえる事になるが、悪く思うなよ……これがお前の選んだ道だ」

「そんな道、選んだ覚えはねーよ!」

「……」

 

 青キジが、冷気を纏った右腕を突き出した。

 

「“アイス(ブロック)”『暴雉嘴(フェザントベック)』!!」

 

 出た! 青キジお得意の必殺技だ! マヒャド版、カイザーフェニックス!

 2年半前、初めて青キジと出会った頃……俺は青キジの攻撃をひたすら避け、逃げ惑う事しか出来なかった……

 だけど今は違う。覇気を覚え、鍛え、強くなったのだ!

 

「武装……硬化!!」

 

 俺の尻尾が黒く染まる。ガッチガチに硬くなる。フル勃○。

 

「我流・トンタッタコンバット! 黒鉄尻尾(アイアンテール)!!」

「!!」

 

 バリーンッと、青キジのカイザーフェニックスを打ち砕いてやった。

 

「どや!? 今の俺の尻尾は、鉄だって粉砕出来るんだ! ふ〜へへへ!」

「……どんなこざかしい手で今のを防ぐかと思ったら……まさか純粋な力でかき消されるとは思わなかった。なるほど……ウサギの嬢ちゃんと同様、お前も相当レベルアップしてるって事だな……」

「そゆ事だ。悪いが青キジ、俺は2年前の100倍は強いぜ? ふへへへへへ!」

「……どうやら本気でいかなきゃならねェみたいだな……」

 

 

 

 

 

 

 青キジVSライン。両陣営のトップ同士の戦いが始まった。

 奴隷達を逃がす作業を続けながら、ゲッコー・モリアはその戦いをずっと観察していた。

 

「加速! 加速ぅ〜! しっぽハリケーン!!」

「“アイス(ブロック)”『両棘矛(パルチザン)』! アイスBALL!!」

 

 ドンッ!! ドンッ!! ドドンッ!! ドドドドドドンッ!!

 

 まるで花火のように鳴り響く爆音と衝撃波。それを見て、モリアはゴクリと生唾を飲み込む。

 

(ここまで強かったのか……不可視の怪盗……ライン……)

 

 目にも留まらぬ速さで動き回り、そしてぶつかり合うラインと青キジ。

 かつてカイドウと渡り合った、若かりし頃の自分なら、もしかしたらあの戦いにもついていけたかもしれない……

 だが、他力本願を掲げ、心身共に衰えた今の自分では、とてもじゃないがついていけそうになかった。

 

氷拳(アイスグローブ)!!」

黒鉄尻尾(アイアンテール)!!」

 

 ドンッッッ!!! バリバリバリ……ッ!!

 

 青キジとラインが本気でぶつかり合うと、黒い閃光が走り、直径数キロメートルにもおよぶ衝撃波が発生した。

 

「きゃああああ!!」

「うわあァあーーッ!!」

「ぎゃああ!!」

「ひいいいいいい〜〜!」

 

「ッ!! 影壁(ブラックウォール)!!」

 

 今のモリアに出来るのは、能力を使って影の壁を作り、奴隷達を爆風から守る事くらいか。

 

「あ、ありがとうございます……」

「礼なんていらねェから、さっさとこのデカバナナボートに乗ってどんどん出発して行け! お前達がモタモタしてると、それだけでライン達の負担なんだ! 恩人に負担をかけさせるな! 急げ!」

「「「「は、はい!」」」」

 

 大声を張り上げ、奴隷達を先導していく。

 さっさと奴隷達を逃し切らないと、いつまで立ってもライン達の戦いは終わらない。

 

「……半分以上は捌けたか……あともうひと踏ん張りだ! 急ぐぞ! ペローナ!」

「はい! モリア様!」

 

 ペローナも霊体の分身をいくつも出して、効率よく奴隷達を先導していってくれている。

 

「ここからここまでの人! こっちのバナナに乗れ! 急げ!」

「お前はこっち! そっちのバナナはもう満席だから! もう乗れねェぞ!」

「パニックになるな! そんな奴はこうだ! ネガティブホロウ!」

「こっちのバナナ、まだ人乗れるぞ!」

 

 流石に二人だけではこの人数は捌ききれなかったので、分身が作れるペローナがいてくれて助かった。

 地道な作業だが、奴隷の数は着実に減ってきている。

 あともう少しである!

 

 このまま海軍側の援軍が来なければ……

 なんとか全員逃し切れそうだった。

 

 

 

 

 

 

「らはははは! ようやく花のバケモノ共を殲滅させられたな! 天竜人がガタガタ騒がなきゃ、もうちょっと早く片付けられたんだがな」

「……大将になって、初任務がこれとは……お互い苦労しやすね」

「らはは! まあそう腐るな。たぶん本番はここからだからよ! さあ、サカズキさん達んところに急ごうぜ! そこにきっと“元凶”がいるはずだからよ!」

「この事件の……元凶が、ですかい……」

 

 

 

 




はい。お察しの通り次回は……
VS青キジ、赤犬、黄猿、藤虎、緑牛。でお届けします。

大将が二人増えるよ! やったね!
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