「我流・トンタッタコンバット!
「
ドオオオオオンンンッ!!! 俺の尻尾と青キジの拳がぶつかり合う。
すると空が裂け、大地は揺れ、互いの覇気の影響でバチバチと稲光が弾けた。
「はぁはぁ……! ああもう! しんどい! 寒い! お前との戦いはめっちゃ嫌いだ! 青キジ!」
「そりゃこっちのセリフだ。ライン……おれだって正直お前とは戦いたくねェよ」
「じゃあ見逃せ!」
「……そりゃあ……出来ねえ相談事だ。
ドォンッ ドォンッ ドォンッ!!
尻尾と拳がぶつかり合う。何度も何度もぶつかり合う。
1年間の修行で、俺はレイさんに押し勝てるくらいの強さを身に着けた。
だけど現役の元帥はやはりそれ以上だったのだろうか……? 今のままじゃあ全然押しきれる気がしない。
「う゛〜! い……ででで……ッ!」
分かってはいた事だけど、やっぱ
「はぁはぁはぁ……! 青キジ! お前のその強さもうチートだろ! どうやって身に着けたんだよ!? まったくもう!」
「ふーー……そっくりそのまま同じセリフ返すよ。初めてマリージョアで会った時には、まさかここまで強くなるなんて夢にも思わなかった。……こんな事ならやっぱりあの時、無理矢理でも捕まえとけば良かったかー……なっ!」
「を!?」
「アイスレイン!!」
青キジの殺気に合わせるようにして、ビュオオオ〜〜っと吹雪が吹き荒れ始める。
あ〜! 出たよ! “ヒエヒエ”のチカラ! 単純に強いクセして、能力までチートなんだからたまったもんじゃない!
攻撃の余波だけでまわりの温度がグングン下がっていく。まるで雪山にでも連れてかれたかのような気分である。
「はぁはぁ、はぁはぁ……! さっっむ…… ガチガチガチガチ……!」
体温が奪われ、身体機能が少しずつ落ちていくのを感じる。
「アイス
「ぐっ、うぎ……! ふげっ!」
互角に戦えてたはずが、気がつけば少しずつ押され始めてきていた。
「はぁはぁ……! くそ! あっちのフォローもしたいってのに、まったく……! 自分が情けなくなる……」
ぜえぜえと息を切らしながら、俺は自分の背後……
俺と同じように海軍の最高戦力と戦ってくれている二人の少女……エスネとデンスケへと目を向けた。
「ぐう……!」
赤犬と戦ってくれているエスネ。
黄猿と戦ってくれているデンスケ。
大将を相手に、最初の方こそ互角な戦いっぷりを披露してくれてた二人であるが……時間が経つにつれ少しずつ実力の差が浮き彫りになってきたっぽい……
……
まず、黄猿と戦ってくれてるデンスケの方だが──
「ん〜、そろそろいい加減にしてくれないかなァ〜、天使のお嬢ちゃん……一体いつまでわっしの邪魔をし続けるつもりだい?」
『ジィィ……! ご、ご主人が、いいって、言うまで……! だよ! ハァハァ……!』
全身汗びっしょり。ふらふらと目を回している。デンスケ……
これはもう、完全にスタミナ切れであった。
『うぎゅ、ふ……ジジジィー……』
デンスケのチカラの要は“
“天使の能力を応用”する事によって、デンスケは自分の体で手持ちの
これによって、デンスケは黄猿からの攻撃をほぼ全て無効化していた。
光の攻撃は
殴る蹴るなどの物理攻撃は
それぞれダメージを吸収し、なんとか戦えていた。
しかし、いくらダメージを無効化したところで、黄猿を“倒せる訳”ではない。
覇気を使えないデンスケもまた、
『ジ……! い、
「ん〜、効かないねェ……
『ぴ、ピカピカ吸収〜! き、効かないよ!』
お互いにダメージの与えられない泥沼の戦い……
結果、先にスタミナが切れてしまったのはデンスケの方だった。
今はもう、自力で飛ぶ事すら困難なようで……
『ジージージー〜! 絶対……! 行かせない゛……ッ!!』
そして……
赤犬と戦ってくれているエスネの方もまた、ギリギリの戦いをしていた──
「ええい、鬱陶しい! いい加減そこを通せ! 億狩りウサギ!」
「と、とお゛じまぜん……!! んぐっ! でりゃあッ!!」
ドパッ ドパッ ドパッ と噴き出し続ける赤犬のマグマを、エスネはひたすら覇気を使って受け流し続けていた。
もう攻撃は出来ていない。防戦一方だ。
「ぜぇ゛ぜぇ゛! ここは、絶対……通ざな゛い!」
「ふん……あと何秒もつ? 貴様のその覇気……もうとっくに限界じゃろう。いい加減往生せんかァ!!」
“弾く覇気”を使えば、確かに触れる事なくマグマの攻撃を防ぐ事は可能だろう。
……だが、覇気というのは使えば使う程に消耗していくものである。
戦いが始まってから、エスネはずっと覇気を全開にしっぱなしだ。もうガス欠寸前なのだろう。
「ぜぇ゛……はぁ゛……ぁあッ!!」
もしも今、エスネの覇気がぷつりと切れてしまったら……
赤犬のマグマが直接エスネの肌を焼く事となるだろう。考えただけでゾッとする。
頑張れ、頑張れ……! まだもう少し、耐えていてくれ……!
「はぁ゛はぁ゛……わ、私は、こんなところで死ぬ訳には……いかないんです……」
「ああ?」
「……ッ! だって! これが終わったら……! お兄さんからのご褒美が待っているんだからっ♡ えへ♡ えへへへへ♡」ブツブツ
「何をぶつくさ言うちょるんじゃ。億狩りウサギ!」
俺が今いる位置からじゃ、イマイチ聞き取れないが……
エスネは何かをボソボソと呟いているらしい。
……たぶんカラ元気かな。必死で自分を鼓舞しているのだろう。なんていじらしい。ううぅ……
「え、えへ……えへへへ〜♡ ご、ご褒美……♡ こ、ここを耐えしのげば……お兄さんからのご褒美が待ってる……♡ な、なんでも♡ なんでもいいって♡ 言ってくれた♡ えへ♡ えへへへへ♡ 一日中ぎゅ〜ってするのも♡ 一日中ちゅ〜ってするのも♡ 一日中パコパコ〜ってするのも♡ な、なんでもありぃ♡♡ お兄さんのお兄さんをっ♡ エスネのエスネにっ♡ 凸凹して♡ 凸凹して♡ 凸凹して♡ 凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹凸凹ッ♡♡♡♡♡ そしてお腹ぽっこりぃ〜♡♡♡」ブツブツ
「!!? こ、こんな時に、一体何を言っとるんじゃ!? ふざけちょるんか!! 貴様!!」
「ふざけてなんかいませんよ。覇気とは……意思のチカラ! 疑わない事が強さ! 私は自分のお兄さんへの愛を! 疑った事はない!!」
「ぬかせ!! 小娘が!!
「我流・ウサウサコンバット!!
ドオオオオオンッ!!
必死で覇気を振り絞り、赤犬のマグマをなんとか耐え凌ぎ続けるエスネ。もう限界だろうに、頑張って、耐えている……!
……
「はぁはぁ……! エスネもデンスケも……」
「……」
「二人とも! 頑張って、くれているんだ……! それなのに、俺が最初にやられてたまるかよ!! ふんぎぃ!!」
「あらららら……そろそろ諦めてくれるかと思ったんだがな……まだダメか」
「諦める訳ねーだろ! 我流・トンタッタコンバット!
「アイスタイム!!」
絶対零度の青キジの手のひらが迫ってくる……喰らったらヤバイが……うおお!! 氷の手がなんぼのもんじゃい!! こんじょおーー!!
構わず俺は青キジの手のひらへと尻尾をぶち込んだ。
ドオオオンッ!!
「う゛お……!!」
「うがごッ……冷……ッ!!」
バチンと弾き合う俺達。青キジの手首からビキッて音が鳴った。それなりのダメージは与えられたっぽい? ……だけど、その代償にビキビキと俺の尻尾が凍り付いていく。
うわああ! めちゃくちゃ冷た痛ぇ!!
「あっぐぅ……!! 俺の尻尾があ!! 冷たい! 冷たい! 冷たい! 冷たすぎてもう逆に熱い!!」
「ふーー……もう諦めろ。尻尾だけじゃない。そろそろ手足もかじかんできた頃だろ?」
「……」
青キジの言う通り、俺の体は冷えに冷え切って、もうまともに動いてくれなくなってきていた。ヒエヒエは拘束力が凄まじいなぁ〜。
けど……だけどな、ふへへ……!
「まに……あった……!」
「ん?」
「ライーーンッ!!」
俺を呼ぶ、ペローナの声が響きわたった。それを耳にして俺はニヤリと笑う。
「なんだ?」と、青キジが怪訝そうな顔をするが……もう遅い。
「おーい! ライン! 最後のバナナボート! 出発させられたぞ! これでマリージョアにいた奴隷達は……全員! 無事に脱出させられたーー!!」
「よくやったペローナ! ふへ、ふへへへ!」
「は? 全員……!!?? なんだとっ!?」
ペローナからの報告に、青キジがガバッと振り返る。
するとそこにはもう……奴隷達の姿はなかった。
「!!? い、一体いつの間に……!? ま、まさか本当に!? この短時間であの人数(約10万人)を全員……!? マジか……!!」
マジだ! ふへへ。戦いに夢中になってて気が付かなかっただろう? あの人数を逃がす為には、何時間もかかると思っただろう?
甘いんだよ! ペローナとモリアが頑張って先導してくれました。
「ふっへっへ! 俺達の勝利条件は
「…………はァ……もう少し奴隷達の方にも視線を向けるべきだったか……ったく……こざかしい真似を……」
顔に手を当てて、いかにもやっちまった〜ってポーズを取る青キジ。
「……せめておれが元帥になる前に起こして欲しかったよ。この事件……」
ビュオオオ〜〜っと青キジのまわりに極寒のブリザードが吹き荒れる。ジャキンッ ジャキンッ と、青キジの両腕が氷の槍に変わる。
いやなにその形態?
「……こうなったら、この事件の元凶であるお前達をとっ捕まえて、せめてもの見せしめにしねえとな……海軍のメンツを保つ為にも、天竜人を納得させる為にも……!」
「!!」
「これがおれの“元帥としての責任”だ!! 悪く思うなよ!!」
う、うおおっ!? ここ一番の物凄い殺気が青キジからビリビリと発せられる……! 立ってるだけで身も心も凍らされそう。ヒエヒエのチカラ全開ってか!? すげぇ。
「ふ……へへ……! だけどな……俺は捕まらないぞ! 青キジ!」
「……」
「目的は達成できた事だし、そろそろおいとまするよ」
「……逃げられると、思ってんのか?」
「逃げられるさ。その為に、俺は“とっておき”を温存しておいたんだからな」
「とっておき……?」
そう、とっておき……!
俺は全身にチカラを込め、ググググ〜と覇気を強めていく。
すると〜……
ボオオオンンッ!!!
「!!?」
バチバチバチと覇気が溢れ出し、俺は青キジの吹雪を消し飛ばした。
さらにそのまま覇気を高めていく。
「おおおおおおおおおおお〜〜!!」
これが! 俺の! とっておき!
使ったら、その後しばらく、覇気が使えなくなってしまうから、逃走の瞬間がくるこの時まで、ずっと温存しておいたチカラ!
バチバチと赤黒いオーラを纏う俺を見て、青キジがタラリと汗を流した。
「おいおいマジか……ライン、お前、それって……!」
「そう……正しい心を持ったサイヤ人が6人集まる事によって生み出される、伝説の超戦士……超サイヤ人ゴッドだ!!」
「いや誰だよサイヤ人って!? 覇王色の覇気だろ! それ!」
はい。覇王色の覇気です。
でも……色合いが超サイヤ人ゴッドと似てるから……そう呼んでみたんだけど……ダメかな? ダメか。ややこしいし。
とりあえず! これが俺の奥の手。本気の形態。その名も──
「“覇王色の覇気 纏いモード”!!!」ドンッ!!
「ふ…へ…へ……! そんじゃま、本気でいくからな青キジ。歯ァ食いしばれェ!!」
「!!!」
これが俺の修行の成果……到達地点だ!!
「我流・トンタッタコンバット!!
「ッ!!? ──ぐふォおああああああッッ!!!!」
音を置き去りにして大地を駆け、そして、ドオオオオオンンンッ!!! と赤黒オーラを纏った俺の尻尾が青キジの腹部を撃った。
ゴハッと血を吐きながら、ぶっ飛んでいく青キジに向かって、俺は超高速で駆けていく。
「追撃!
「ガハッ!!」
「さらに追撃!
「ゴバァ!!」
「もいっちょ追撃!
「ブガッ!!」
吹っ飛んでいった先を尻尾で撃つ、吹っ飛んでいった先を尻尾で撃つ。トンタッタ族の素速さを最大限にまで引き出した、超高速の連続攻撃。
ドドドドドドドッと、傍から見たらたぶん裏蓮華の最中みたいな事になってるだろう。
「が……ご!! あ、アイスシールド……!」
氷の盾で身を守ろうとしてくる青キジだが、そんなものはもう間に合わない!
「これが! レイさんをギブアップへと追い詰めた! 俺の最強技だ!!」
「!!!」
「我流! トンタッタコンバットォ!
ドゴォオオオオオオンンッ!!! と、俺の尻尾が青キジを吹っ飛ばす。
勢いそのまま、青キジはマリージョアの町並みをズゴゴゴゴと破壊しながら転がっていく。
「……」
やったか……!? 言うとフラグになりそうだからやめとこう。
とりあえず青キジをめっちゃぶっ飛ばす事には成功した! よし!
「はぁはぁ……! ぜぇぜぇ……! 次ぃ!!」
これだけでもうめっちゃ疲れてきたが、まだ足を止めてはいけない。そのまま俺はダッと駆け出し、目にも留まらぬ速さで赤犬VSエスネの戦闘へと乱入する!
「エスネ! 俺に合わせろ!!」
「!! お兄さんっ!!」
「なっ!? 不可視の怪盗!? 貴様……!! クザンは一体何をしちょ……お!!?」
いきなり現れた俺に、驚愕の瞳を向けてくる赤犬。そんな赤犬に向かって俺は足を振りかぶる。合わせてエスネも振りかぶる。
「我流・トンタッタ──」
「我流・ウサウサ──」
「「──コンバット! 合体必殺!
ズガァァアアアンンッ!!!
「ぐほォおおおおおーーッ!!?」
俺とエスネのダブルキックが赤犬の顔面にヒット!! 青キジがぶっ飛んでいった方向に向かって、思いっきり蹴り飛ばしてやった。
「よっしゃーい! ナイスだエスネ! タイミングバッチリ!」
「えへへ〜♡ お兄さんとの共同作業です〜♡」
「このままデンスケの方にも行くぞ!」
「はいっ!」
赤犬を蹴り飛ばした反動そのまま、今度は黄猿VSデンスケの戦闘にも乱入しにいく!
二人が戦っている空中に向かって、俺とエスネはピョ〜ンとジャンプして飛び上がった!
「お〜〜!? 不可視の怪盗に、億狩りウサギィ!?」
『ジ! ご主人! エス姉!』
「ふへへへ! お前で最後だ! 黄猿!!」
黄猿に向けて不意打ちパンチ! ヒラリとかわされる……が、避けた先にはエスネの蹴り!
「
「おお〜っとォ!!」
しかし、そんなエスネの蹴りをもヒョイッと躱してしまう黄猿……が、その動きは見聞色で未来予知している!
黄猿が避けた先に、俺は尻尾を振りかぶる。
「我流・トンタッタコンバット!」
「……!!」
とっさに光になって躱そうとする黄猿。しかし──
『ピカピカフラ〜シュ!!』
「なっ!?」
光になって避けようとしていた黄猿の体に、新たな光が追加されて、そのおかげで当たり判定が伸びた! つまり!
「避けられねえだろ!!
ズドォオオオオンンッ!!
「ぐおおおおおーーッ!!!」
俺の尻尾は見事黄猿に命中! 思いっきりぶっ飛ばす事に成功したのであった。
「いよっしゃあーー!! 青キジ、赤犬、黄猿! 全員ぶっ飛ばしたぞーー! エスネ! デンスケ! 俺達の大勝利だーー!!」
「きゃーー♡ やりましたーー♡ お兄さん大好きーーっ♡♡」
『ジーー!! デンスケたち勝ったーー!!』
バンザイしながら勝利の雄叫びを上げる俺達。いえ〜い!
そして、そのまま、ひゅるるる〜っと落ちていく。
あ〜……そういえば、黄猿とデンスケが戦ってた場所って、結構高い場所だったな〜……と……
「「『ふぎゃ……!!』」」
3人揃って着地失敗。
「あでで……大丈夫か? エスネ、デンスケ」
「は、はい、大丈夫です。もう覇気も体力もスッカラカンですけど……あはは……」
『で、デンスケも、すっごいつかれた……! にへへ〜』
3人揃ってぐったり。俺も『覇王色纏いモード』がぷすんと切れた。疲れすぎてもう1歩も動きたくない。
そんな俺達の元に、ペローナがふわふわ飛んできた。
「ライン! エスネ! デンスケ! すげーよお前ら! 元帥と大将倒しちまうなんて! ホロホロホロ! カッコよかったぞ!」
「ふへへ、ありがと。でもたぶん、まだ倒せてないよ。ぶっ飛ばしただけ。でもかな〜りダメージ与えたから、数分間は動けないと思う。だから今のうちにさっさとマリージョアを脱出しないとだ!」
「!! そ、そうか、分かった!」
そう言ってペローナは俺達3人をヒョイッと抱え上げた。
俺は小人だし……エスネはウサギに、デンスケは電伝虫の姿に、ボワンと変身すれば持ち運びは楽チン。
「ホロホロ! それじゃあお疲れのお前達に代わって、私がお前らを下まで運んでやるよ!」
「ふへ〜、 ありがと。ペローナ」
「ありがとうございます、ペローナさん」
『ジーー。ありがと、ペローナ姉』
こうして、俺達の戦いは終わった。
あとはゆっくり、ペローナに抱っこされたまま、マリージョアを脱出して、めでたしめでたし──
「らはははは! まさかあの3人をぶっとばしちまうなんて! 流石に驚かされたぜこりゃあ!」
「……これが噂の小人さん……不可視の怪盗の実力ですかい。なんともまあ……凄まじい」
「は……?」
──脱出、しようと思った俺達の目の前に……
身長およそ3メートルの緑髪上半身裸男と、身長およそ2メートル半の藤色着物の目つぶり男が……現れた。
……いや、え? 誰?
俺が首を傾げていると、ペローナが顔を真っ青にして、ガタガタと震え始めた。
「あ、ああ、あれは……!」
「知っているのか? ペローナ」
「むしろ知らねえ方がおかしいだろ! こいつらは大将だ! 海軍大将!!」
「は? え? た、たいしょーー!?
大将って、赤犬と黄猿の他にもいたの!?
「名前は緑牛と藤虎。実力は赤犬や黄猿と並ぶくらいのバケモノだって聞いてる。数週間前、新たに大将へと就任したんだ……!」
「ええええ〜〜!!」
新大将って、マ!?
修行で忙しくて、ここ1年ほど新聞まったく読んでこなかったから知らなかった。
「こ、ここにきて追加大将とか……しかも二人も! さ、流石にヤバイぞ……!」
「お、お兄さん……! 私、もう覇気残ってません!」
「俺ももうカラッポだよ!」
『ジーー、デンスケは、そもそも覇気使えない……』
「わ、私も覇気使えないぞ! どうすんだよ!? ライン!」
揃ってワタワタしていると、いきなりズシィーーンと体が重たくなった。
「ふべ!?」
「きゃっ!?」
『ジ!?』
「わぶっ!?」
なんじゃこりゃ!? 自分の重さで地面へと叩き付けられてしまった。
俺と同じように、自分の重さに負けたペローナが俺の真上へと落ちてくる。その
「うぶ……っ!」
く、苦し気持ちいい……
「らははは! 藤虎は“ズシズシの実”の能力者! 重力を操る事が出来る! 今お前らがされてるみたいに、他人を地面へと押しつぶす事が出来るって訳だ!」
「へェ……とりあえず、拘束させてもらいやした……」
やはり能力か……! くそ! おっぱい……
「お、おのれ……ズシズシ! なんて恐ろしい能力だ! まったく動けない! 両手以外!」もみもみもみもみ
「揉むな!!」
「……ペローナさん、いいなぁ……お兄さんとのギュウギュウ密着プレイ……」
「羨ましがるな! エロウサギ!」
もしも死ぬなら、おっぱいに潰されて死にたいな〜って思ってたんだけど……まさかそれを実行してこようとする奴がいるとはな。
……って、冗談言ってる場合じゃないよな。
「らはは! ちなみに、おれァモリモリの実の“森”人間! 海に並ぶ命の生みの親、
モリッ! モリッ! モリッ!
「うお!?」
緑牛の体が変わっていく。大きな人面樹へと変わっていく。何だぁ? と思って見ていると、ニョキニョキと地面から根っこの腕が生えてきて、その腕の先には……
「!! モリア様!!」
ペローナの主、ゲッコー・モリアが捕まっていた。
「ぐ……ゥ……す、すまねェ……やられちまった……情けねェ……」
うわぁ……まずい……! モリア、捕まっちゃったのかよ!
俺、エスネ、デンスケ、ペローナは、藤虎のズシズシの能力によって捕まっているし、誰も動けない。ど、どうしようこれ……おっぱい揉んでる場合じゃないかも……
そんな風に内心で焦っていると──
「ゲホッ……いてて……さっきのは、流石に……死ぬかと思った……ゲホッ……」
「フン……小人なんかの攻撃で、情けないのう……」
「おーー、サカズキィ、君も人の事言えないでしょうが。……まあわっしもだが……ゴホゴホ……」
〜〜ッ!!! ヤッッッッバイ……!!!
さっきふっ飛ばした、青キジ、赤犬、黄猿が、ふらふら歩いて戻ってきた。
めっちゃ全力でぶっ飛ばしたのに!! もう戻ってきた!! 思ってたより全然復活早い!!?
「こ、こここ、これはマズイ……! 本格的にマズイぞ! ひぃいい〜〜!!」
これで相手は大将4人と元帥1人。対するこっちの戦力は、満身創痍の俺、エスネ、デンスケ、ペローナ、モリア……人数は互角だけど、個人戦闘力が違いすぎる。
ヤバイ! 負ける! 捕まる! 殺される!
俺一人だけならまだしも、命がけで俺に付き合ってくれたエスネ、デンスケ、ペローナが一緒にやられるのは絶対にダメだ!
な、なんとかしないと……!
「ぐ、うぅ……! 動け! 動け俺のカラダァ……! ふへぇ……ッ! ふぎぃ! だ、ダメだ……“覇王色纏いモード”の反動で、動けない……」
もはや万事休す……
そう思った、その時だった。
「き、キシシ……な、なあ、ライン……聞こえるか?」
「!! モリア……」
緑牛のツタに捕まっていたモリアが、俺に話しかけてきた。
「こ、このままじゃあ、おれ達ァ……全滅するよなァ……」
「ううぅ……そうかも……」
「キシシシシ……だ、だけど、実はさっき、おれは、奴隷達から“チカラ”を預かっておいたんだ……」
「? ち、チカラを……預かった?」
……どういう意味だ?
「これは、2年前、おれには扱えなかったチカラ……」
「?」
「だ、だけどライン。もしかしたらお前になら、扱えるかもしれねェ……!」
「??」
「お前の役に立てるならと……奴隷達は皆、喜んでチカラを差し出してきたからよォ、キシシシ……!」
「???」
何言ってんだこいつ?
言いたい事があるんなら、もうちょい分かりやすく言ってくれないかな……そんな風に思っていると……
「らはは! 誰が雑談していいって言ったよ」
「グッギ……!? ギシ……がふッ!!」
ギュギュギュウ〜ッとモリアの全身にツタが巻き付き、そのまま顔が真っ赤に変色する程強く締め上げられていく。
おおおお!? ヤバイヤバイヤバイ! なんかモリア、ボンレスハムみたいになってる! 死ぬってそれ!
「が……アァ゛……ッ! ぜェぜェ……! ゲホッ! ら、ライン……! 奴隷達が残していったこのチカラ……どうする? 使うか? も、もしかしたら、一発逆転出来るかもしれねェぜ? キシシ……」
「一発逆転!? マジでか!?」
「で、でも……2年前のおれは、このチカラを扱えなかった。制御できずに、暴走しちまった……! それでも、使うか?」
「……!!」
よく分かんないけど、どうやらモリアは……
とんでもないリスクのあるスーパーパワーアップのチカラを持っているらしい。
そして、それを俺に使うかどうかを聞いてきている。それなら!
「ふへ……」
俺はニヤリと笑った。
「ふっへへへへ……! ど、どうせこのままじゃ全滅するんだ! 最悪、俺が暴走したとしても……それでお前らを逃がせるんなら万々歳! やってくれ! モリア! スーパーパワーアップ!」
「キ〜シシシシシシシ!! 了解だ!! ライン!!」
緑牛によって締め上げられていたモリアの足下から、ギュインとぶっとい影が伸びた。
その影は、俺に向かってグングン伸びてきて、そうして、俺の体へとペトリとくっつき、そのまま──
ドクンッ
「がっ!!?」
ドクンドクンッ! ドクンドクンッ! 俺の中に、何かが、流れ込んできた……
とんでもない数の、チカラが!! チカラが! チカラが! チカラがチカラがチカラがチカラがチカラがァアァ!!
「キーシシシシシ!! 奴隷達から預かった
「うおおおおおおおーーッ!!!!」
俺の最強形態、『覇王色纏いモード』
その時以上のチカラが、俺の中で溢れ出した。
【挿絵表示】
覇王色纏いモード。ライン個人が使える奥の手。
一定時間大将をも上回る強さを手に入れられるが、もって数十秒。
それを過ぎればガス欠。しばらく覇気が使えなくなる。あとめっちゃ疲れる。
次回!
ラインVS青キジ、赤犬、黄猿、藤虎、緑牛、CP0、無敵奴隷、神の騎士団、五老星 で、お届けします。
敵がさらに増えるよ! やったね!