デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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きがついてあいらん……スリラーバーク

 目を覚ますとそこは知らない天井だった。

 

「ふへ……?」

 

 ヒビ割れた天井、ヒビ割れた壁、薄暗い室内……そしてツギハギだらけのぬいぐるみがそこら中に散らばっている。

 はっきり言おう。めちゃくちゃホラーであると。

 

「こわっ! どこだよここ!?」

 

 まるでオバケ屋敷みたいな部屋だ。全体的にボロボロなのに、ベッドだけはやたらと豪華で……そこで俺は寝かされていたっぽい。

 

「なんだこの状況……? こんな場所俺は知らんぞ」

 

 ワケ・ワカ・ラン。

 とりあえずどうしてこんな場所にいるのか、理解する為にも記憶をたどってみようかと思う。

 え〜っと確か……

 

 ペローナの船長であるゲッコー・モリアが、聖地マリージョアに連れて行かれて奴隷にされてしまったとの話を聞く。

 ↓

 俺、エスネ、デンスケ、ペローナの4人で、マリージョアに乗り込む。

 ↓

 成り行きからモリアだけでなく、捕まっていた奴隷たち“全員”を逃がす事にする。

 ↓

 だけど作戦の途中で、青キジ、赤犬、黄猿……それから新大将である、緑牛、藤虎が現れて戦う事となってしまった。

 サイパンポールに髪の騎士団……だっけ? 追加の敵もどんどん出てきた。

 ↓

 俺は奥の手である、後先考えぬ最大質量の覇王色ぶっぱ、“覇王色纏いモード”を使ったり、モリアのカゲカゲ能力でパワーアップさせてもらったりで、なんとか対抗し続けたのだが……

 最終的にはジリ貧に……

 

 以上! 今回の戦いの振り返りでした。

 

「……」

 

 俺は大きなため息をついた。振り返ってみても、現在の状況はワケ・ワカ・ランだったからだ。

 マリージョアでの戦いは結局どういう決着がついたんだっけ? 最後の方にクマえもんが出てきた気がするんだけど……うろ覚えだ。

 

「む〜ん」

 

 分からない事だらけ。とりあえず皆が無事かどうかだけでも知りたいんだが……

 そんな風に考えていると──

 

「お゙ッ兄さ〜〜ん!! 目を覚ましたんですね!! 良かったぁ〜〜♡♡♡」

 

 “答え”の方から飛び出してきてくれた。

 

「わぶっ!?」

「お兄さーーんっ♡♡」

 

 ぬいぐるみの山の中からエスネが飛び出し、俺に向かって全力で突っ込んで来たのだ。

 ドーンという衝撃は無かったが、ムニュ〜という衝撃が来た。おっぱいに全身をつぶされたのだ。目覚めて5秒でパイの中。寝起きドッキリにも程がある。

 

「え、エスネ……!? むへっ!? ちょ……おぱぱぱいが!?」

「お兄さん! お兄さん! お兄さん〜〜♡♡♡」

 

 有無を言わさず抱き潰され、小人の俺はむにゅんむにゅんと全身をこねくり回される。

 待て待て待て! 無事でいてくれたのは嬉しいが、起きて早々この状況は困る!! 今の俺は目覚めたばかり。つまりは朝立ちビンビンモードなのだ! それなのにこれはまずい。

 

「は、離してエスネ……! おほっ! うほっ!?」

 

 このままだと暴発してしまう……ッ!? そう思って谷間から身を乗り出して、モゾモソもがいていると──

 

『ジ〜〜!! ご主人〜〜!!』

「へふぼっ!?」

 

 デンスケ参戦!!

 エスネと同じように突っ込んできて、俺の事をむにゅむにゅむにゅ〜!?

 

「お兄さん! お兄さん! お兄さん! お兄さん!」

『ご主人! ご主人! ご主人! ご主人!』

「おぱぱぱぱっぱい!? ふ、二人とも! 落ち着け! それ、まずいって! 俺! 今! 起きたてだから! ビンビンだから!」

 

 柔らかさのダブルパンチ。右も左も極上の柔肉。これはヤバイ。なんとか乗り越えようともがいていると……

 

「ライ〜〜ン!! やっと目を覚ましたのか! 心配させやがって〜〜!!」

「ふべおっほ!?」

 

 ペローナ参戦!! お前もか!?

 こいつも同じようにダイブして来て、むにゅむにゅむにゅ〜!! ダブルパンチがトリプルパンチに!? どこに逃げようとも乳、乳、乳! 乳の山! 小人の俺、なす術無し!

 

「お兄さん! お兄さん! お兄さん! お兄さん!」

『ご主人! ご主人! ご主人! ご主人!』

「ライン! ライン! ライン! ライン!」

 

 ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ! ヤバイ!

 

「これ無理! 3人共ストップ! もう無理! ダメだってこれイ──……う゛っ!」

「あっ♡」

『ジ?』

「うわっ!?」

 

 

 

 

 ……

 

 

 

 

 抵抗むなしく、思いっきり暴発してしまいました。ラインです。

 

「ふ……へぇ……」

 

 俺自慢の見聞色を持ってしても、こんな未来は見抜けなかったよ……

 いや、見抜けたんだけどあらがえなかったが正しいかな。3大将よりもよっぽど強敵だった3パイ将。俺はメソメソとパンツを履き替えるのだった。

 

 

「あ〜、えっと……その……ご、ごめんな? ライン……つい……抱きついちゃって……」

 

 顔を赤くして気まずそうなペローナ。

 

「どうやら体に異常はないみたいですね。むしろ元気いっぱいって感じ……? えへへ、お兄さんが無事で良かったです……」

 

 顔を赤くして嬉しそう(?)なエスネ。

 

『? ? ? ジ〜〜?』

 

 何が起こったのかよく分かっていない様子のデンスケ。

 三者三様の反応だね。

 

「──って! やってる場合じゃねーよ!!」

「「『!!?』」」

 

 パンツを履き替えた俺は、さっきの醜態を無かった事にしてグイッと三人に詰め寄った。

 

「色々言いたい事はあるけど、まずはお前ら!」

「「『!!』」」

「よく生きててくれた。本当に……無事で良かった……」

「「『えへ♡』」」

 

 エスネ、デンスケ、ペローナ。

 とりあえずこの三人が無事だった事に俺は心の底から安堵した。俺の中での優先順位は可愛い女の子がトップだからな。ふへへ。

 

「でだ、ここがどこなのか教えて欲しいんだけど……」

「ホロホロホロ! 良いセンスだろ? ここは私の部屋だ!」

「へぁ?」

 

 近くのぬいぐるみをボフボフしながら尋ねると、ペローナがホロホロ笑いながら回答してくれた。

 なるほど。ここはペローナの部屋だったのか。……いや、どゆこと?

 引き続き混乱していると、エスネがトントンと窓を指差した。

 

「ん?」

 

 しっぽコプターで飛んでいき、窓から外を覗いてみると、そこから広がっていた光景は──

 不気味な墓場。薄暗い森。そしてボロボロになった廃墟。

 どこからどう見てもゴースト(アイランド)です。本当にありがとうございました……って……

 

「ぎぃやああああああーーッ!!? ここは地獄だったのかーーッ!!! やっぱり俺マリージョアで殺されてたんだーー!!!」

「地獄じゃねーよ!! ここは“スリラーバーク”! モリア様の海賊船だ!」

 

 は? 海賊船……?

 

 

 

 ……

 

 

 

 詳しく話を聞いてみたところ、俺達が今いるこの場所は、ゲッコー・モリアが所有する、島一つをまるごと船へと改造した、超巨大海賊船・スリラーバークなんだって。

 なるへそ。この部屋がペローナの部屋ってのはそういう意味か。そういやペローナってモリア海賊団の一員だったな。

 

「ホロホロホロ! スリラーバークは世界で一番巨大な海賊船なんだぞ!」

 

 自慢気なペローナ。でも言うだけあってこれは確かに凄いわ。パッと見、船とは思えないくらいでっかいもん。

 俺は基本的に何でも大きいものが好きだからな。世界で一番巨大って言われるとなんとなく心が踊ってしまう。デカデカ〜♪

 ……オバケ屋敷みたいなデザインなところは理解できない趣味だが……

 

「ちなみにマリージョアから助け出した奴隷達も、今は皆このスリラーバークにいるぞ」

 

 おお! それは良かった。

 バナナボートに乗ったまま今も海の上をさまよってたらどうしようとか……海軍に捕まってマリージョアに逆戻りさせられてたらどうしようとか……実はそこそこ心配していたのだ。

 助け出した後、その後は放置じゃ無責任が過ぎるからな。無事なのが分かってホッとしたよ。

 

 確かにこのスリラーバークの広さなら、あの多人数の奴隷達を全員乗せてしまえるだろう。良い隠れ場所があったものだ。

 

 

「皆! チビッコ神様が目を覚まされたぞー!」

「おおお! 良かった! チビッコ神様!」

「きゃー! チビッコ神様〜〜!」

「チビッコ神様のお目覚めだ〜!」

「我らが救世主! チビッコ神様〜!!」

「「「「「わーわー!! きゃーきゃー!!」」」」」

 

 ペローナの部屋を出た後、俺達を待っていたのはそんな元奴隷達による大喝采だった。

 うんうん。皆助かって良かったね。テンション上がっちゃうのは分かるけどさ……チビッコ神様って呼ぶのはやめようか?

 

「キシシシシ! 意識が戻ったんだな。良かったぜライン!」

「ありがとうライン。なんとお礼を言っていいか……おれには想像もつかない」

 

 元奴隷達の群れに混じって、7メートル近い高身長男が“二人”、ドスドスと足音を踏み鳴らしながら近づいてきた。

 ゲッコー・モリアとバーソロミュー・くまである。

 うんうん。チビッコ神様って呼ぶんじゃなくて、こいつらのようにちゃんと名前で呼んで……

 

「──って、なんでクマえもんまでここいるんだよ!?」

 

 お前敵だろ!? 政府側だろ!? 七武海だろ!?

 

「あ、そうか。お兄さんはまだ詳しい事情が分かってないんですよね。……実はくまさんもマリージョアに奴隷として捕まってたんですよ」

 

 へ? 奴隷? クマえもんが?

 

「そうだ。ライン達が来てくれなかったら……おれは今も政府の手先として多くの人を傷付けてしまっていた事だろう……」

「ちょい待て、どーいう意味だ!? 説明をプリーズ!!」

「ああ、そうだな……恩人であるあんた達には全て話そう。おれの今までの人生を……」

 

 そうしてクマえもんは自らの生い立ちをポツポツと語り始めたのだった。

 

 幼少期は奴隷として過ごし、ニキュニキュの実の能力者となってなんとか逃げ出して……大人になって革命軍に入ったはいいが、“娘”が病気になってしまった。

 娘の病気を治す為に世界政府と取引をして七武海に入り。

 体をサイボーグに改造され、人間としての記憶は全て抹消され、また奴隷に逆戻り……って……

 

「いや、重い重い重い!! なんだよお前の人生!?」

 

 あまりの重さにドン引きしたわ!!

 未来の世界のクマ型ロボット〜とか、夢のあること想像してたけど……夢なんて1ミリも無かった。

 

「だからライン達が来てくれなかったら、おれは今も自我の無い人間兵器のままだった。本当にありがとう……」

「……クマえもんがマリージョアにいた理由も、俺らに感謝する理由も分かったけど……今の話じゃ消去された記憶が戻った理由が分からないんだけど……」

「おれの記憶が戻ったのは、デンスケくんのおかげだよ」

「デンスケ?」

『ジ!』

 

 名前を呼ばれたデンスケは、頭の輪っかを光り輝かせながらニコニコ笑顔で俺にすり寄ってきた。

 

『ニヘヘ、そうだよ。デンスケがくまの記憶もどしたんだよ! えらい? ご主人! デンスケえらい?』

「あ、うん。えらいえらい。よしよし」

『ニヘヘ〜♡』

「いや、でもどうやって?」

 

 デンスケの能力は天使の能力。

 詳しい事は知らんけど……魂と通信する事ができる力って言ってたよな。その能力でなんでクマえもんの記憶が戻ったんだ?

 

『えっとね……記憶って2つあるんだよ』

「2つ?」

『ジィ! のーみそで覚えてる記憶と、魂で覚えてる記憶。その2つ。くまののーみその記憶はぜんぶ消されちゃってたけど、魂の記憶はそのままだったから、そっちの記憶をおもてに持ってきたの!』

「魂の記憶……」

 

 へ〜、魂にも記憶ってあったのか……

 そんな馬鹿な! ってツッコむのが正しい反応なのかもしれないけど、なんとなく腑に落ちた。

 だって魂に記憶があるなら、俺が前世の記憶を今も覚えている理由にも説明がつけられるから。

 

「てかデンスケ凄いな。テレパシーできたり、死体と会話できたり、おまけに記憶を戻したりって……天使の能力ってのは色んな事ができるんだな」

『ジーー、やってる事はぜんぶおんなじだよ。魂を接続するだけ!』

「ふ〜ん?」

 

 よく分からんが……今回の戦いではデンスケが大いに活躍してくれたのだけは確かだ。なので頭を撫でてやる事にした。

 

「よ〜しゃよしゃよしゃ!」

『ニ〜ン♡』

 

「デンスケくんのお陰で、おれは大切な人達との記憶を思い出す事ができた。本当に……感謝してもし足りないよ」

『ジ! ご主人とデンスケにかんしゃだね!』

「ああ……!」

 

 ペコリと頭を下げてくるクマえもん。

 いや、俺は別にそんなつもり無かったから、デンスケだけに感謝しとけばいいと思うけど……

 記憶戻って良かったね。

 

「ま、とにかく、モリアを救い出して、奴隷達も全員解放して、クマえもんも救われた! ちょっとの怪我はあったかもだけど、誰も犠牲にならず……今回の戦いは俺達の大勝利だーーッ!!」

 

 俺の勝利宣言に奴隷達は揃って「「「「わあーーッ!!!」」」」っと盛り上がった。

 バンザイしたり、抱き合ったり、泣いて天を仰いだり……うんうん。

 スリラーバークの広場には、テーブルやらご馳走やらが用意されていたので、このまま宴の流れなのだろう。

 

 奴隷達は勿論、モリアもペローナも、クマえもんもデンスケも、皆嬉しそうだ。

 しかし……

 

「……ちょっとの怪我? 誰も犠牲にならずにすんだ……ですか?」

「ふへ?」

 

 これにて大団円……の流れだったはずが、突然エスネの声色が変わった。そしてジト目で俺を睨み付けてきた。

 ど、どした?

 

「ふへ? じゃないですよ! だって今回の戦い……()()()()()たくさん傷ついてたじゃないですか!!」

「え? 俺?」

「そうですよ! モリアさんの能力で影を詰め込まれた後、お兄さん巨大化して……大暴走して、そして皆を守る為にたくさん傷つけられてた……ッ! 気づいてないかもだけど、マリージョアから脱出した直後のお兄さん、盛大に死にかけてましたからね!」

 

 涙を流しながらぷんすか怒っているエスネ。

 あ〜、あれね。モリアに影をぶちこまれて巨大化してってやつ……

 意識は朦朧としていたけど、すっげぇ気分良かったのだけはしっかり覚えてる。俺の長年の夢が一時的にとはいえ叶ったのだ!

 生まれて初めての超高身長! ふへへへへへ〜!

 

「なぁモリア、もう一度俺に影を詰め込んで、俺を巨大化させて……」

「反省してなーーいッ!!」

「ふべおっほ!?」

 

 エスネにガシッと拾い上げられた俺は、そのまま胸の谷間へと無理やり押し込まれた。

 そのまま、むにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅむにゅ〜〜!!?

 

「ふへはひほッ!? ちょ……っ! え、エスネ! また暴発する! 暴発するから!」

「やめてほしかったらもう二度とあんな馬鹿な真似しないって誓ってください! じゃないとこのまま無限に暴発させて、お兄さんは私のおっぱいを妊娠させる事になりますよ!!」

「なんちゅー脅し文句だよ!?」

 

 珍しく尋常じゃないほど怒っているエスネ。観念した俺は白旗をあげるしかないのだった。

 

 

 

 

 




病院行ったり、病院行ったり、病院行ったり、エアライダー楽しすぎたり、病院行ったりで、しばらく更新空いちゃってた。
このままエタってしまおうかとも考えたけど……なんとか更新! 頑張ったぞ僕!

次回は自分の懸賞金見て驚いたり……です!
皆さんの感想、高評価が僕のえねるぎぃ。
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