デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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宴2!!

「キシシシシシ! それじゃあ始めようか……マリージョアの奴隷ども!」

「「「「「!!」」」」」

「共に祝おうじゃねェか! おれ達はもう奴隷じゃない! 不可視の怪盗・ラインによって自由をもたらされたのだァ!!」

「「「「「わあああああーーッ!!!」」」」」

 

 モリアの号令で、スリラーバークにて盛大な宴が始まった。

 

「自由、自由だ……!」

「も、もうおれ達、奴隷じゃないんだ……!」

「無意味に鞭を打たれたり、傷付けられる事もないんだ……!」

「う、美味い! まともなメシを食べるのなんて何年ぶりだろう……!」

「うおおーん! 生きてて良かったァ……!」

「ありがとうチビッコ神様!」

「ありがとう天使様!」

「ありがとうバニーエプロン女神様! ファンクラブ入ります!」

 

 スリラーバークはゴースト(アイランド)

 墓場をバックに行われる宴はなかなかに不気味であったが、元奴隷の皆はそんな事はまったく気にならないらしく、とにかく自由になれた事を喜んでいた。

 用意された大量の料理を泣きながら貪っている。

 

「ふへへ、皆幸せそうで何よりだ。助けたかいがあったってもんだな」

「はい。そうですね、お兄さん」

『ジ〜〜♪』

「ところで、このご馳走の山はどうやって用意したんだ? 元々この島にあったん?」

 

 助け出した奴隷の数はおよそ10万人。

 それら全員が飢えてしまわない程の、あまりにも大量の食事が用意されてるっぽいんだけど…… 一体どうやって……?

 

「あ、これはくまさんがマリージョアの食糧庫から能力を使って飛ばしてきてくれたんですよ」

『ポーンって』

「……あいつの能力、汎用性高すぎだろ」

 

 あらゆるものを弾き飛ばす事の出来るニキュニキュの実の肉球人間……

 肉球ってそんなに万能なチカラだっけ? と考えさせられる能力である。

 

「ま、深くは考えまい。とりあえず俺らも食事にしようか」

「そうですね。私もお腹空いちゃいました」

『デンスケも!』

 

 という訳で、ごちそうのならんだ席に座る事にした俺達。「おーい、こっちだー」とペローナに手招きされたので、一緒に食べる事に。

 

 合う椅子が無いのでテーブルの上にそのまま座る俺。

 普通に椅子に座るエスネとペローナ。

 殻が邪魔になるので背もたれの無い椅子に座るデンスケ。

 デカ過ぎるので専用の椅子に座るモリアとくま。

 う〜ん、多種多様。

 

「そういやドクター・エッグマンはいないの?」

「エッグマン? ……ああ、ホグバックの事か。あいつなら部位欠損してた奴隷達の治療をしているぞ。完璧に治してやるって張り切ってたな。ホロホロホロ!」

 

 へー、部位欠損治せるって……普通にすごいな……

 世紀の天才を自称してたけど、それだけの実力もちゃんと持ち合わせてたんだな。

 

「ちなみに部位欠損こそしてませんでしたけど、お兄さんだって今回の戦いは盛大に死にかけてたんですからね! もう二度とあんな無茶はしないでください!」

 

 顔を真っ赤にしてぷんすか怒るエスネ。デンスケもペローナもうんうん頷いている。

 

「ふへぇ……」

 

 実は今回のマリージョアでの戦いだけど……

 思ってたよりも結構ガチ目で死にかけていたらしいのだ。俺。

 

 海軍大将、サイファーポール、神の騎士団にやられた傷が深かった……ってのもそうだが……

 それ以上にモリアの“影の集合地(シャドーズ・アスガルド)”で大量に影をぶちこまれた反動が特にヤバかったんだって。

 数え切れない程の奴隷たちの影パワーを、俺一人の身体で発揮したんだからそりゃ反動も物凄いわな……

 エスネ、デンスケ、ペローナは死にかけとなった俺を見て大泣きし、モリアもかなり焦っていたそうな。

 

 んで、そんな生死の境をさまよっていた俺がどうして助かったのかというと……

 クマえもんの能力のお陰だ!

 

 ありとあらゆるものを弾き飛ばせるニキュニキュの実。その力を使って、クマえもんは俺の体に蓄積された『疲労』やら『ダメージ』を全て弾き飛ばしてくれたんだって。

 やっぱニキュニキュすげぇな……

 んで、俺から弾き出された『ダメージの塊』は、ほっといたらまた俺の体に戻っちゃうらしいので、元奴隷の皆でちょっとずつ分配していったんだって。

 今の俺が元気ビンビンな理由は、皆が俺のダメージを肩代わりしてくれたからだったんだな。

 感謝感謝だ。

 

「ほ、本当に……死んじゃうところだったんですよ……お兄さん……もう二度と、あんな無茶な真似……しないでください……! お願いします……

 

 これがエスネがぷんすか怒っていた理由……いや、怒りというより心配だなこれ……

 今後は誰にも心配かけなくてもすむくらい、もっと強く、もっと賢く、上手いこと立ち回っていきたいな〜と思う俺なのでした。

 

「キシシシシ! まあ反省会はそれくらいにして、今は宴を楽しめ! せっかくの飯が不味くなるぞ」

「あ……そ、そうですね……ごめんなさいお兄さん……お兄さんは皆を助けたヒーローなのに、偉そうにお説教しちゃって……」

「いいよ。俺の事をそれだけ考えてくれてたって事だろ。とりあえず今は食事を楽しもうぜ! ふへへへ!」

「はい♡」

 

 俺は自分の背丈と同じくらいの大きさのフォークを持ち上げると、そのままテーブルの上の料理をてきとーに拾い上げていく。

 そしてパクリ。

 

「んぐ、もぐもぐ……ウマッ! この海老ぷりっぷり! はぐはぐ、肉も柔らっか! ソースもすんごい濃厚!」

 

 流石はマリージョアから盗んできた食事なだけある。めっちゃ美味いわ。

 でもフルーツの新鮮さはトンタッタ王国の方が上かな。ふへへ。

 

 モリアはキャビアのマリネを飲み物のように平らげていき、クマえもんは大きなピザを泣きながら食べていた。

 エスネはカルボナーラ。ペローナはベーグルサンド。デンスケは……テーブルの飾り付けに使われている花をモサモサと食べていた。

 

 そんな感じで美味しく食事をしていると……

 食事場には似つかわしくない、文字通り、“腐った”存在がフラフラと近づいてきた。

 

「お食事の追加、持ってきましたえ〜」

「どうぞおくつろぎくださいアマス〜」

「なんなりと我々召使いゾンビたちに〜」

「ご命令くださいだえ〜」

 

「ぶぼっ!?」

 

 俺は盛大にふきだした。

 ウエイターの格好をしたゾンビ達が給餌しにきたのである。

 

「げほげほっ、な、なんだこのゾンビ達?」

「キシシ! 実は天竜人達からいくらか影を斬り取ってきたんだ。こいつらはそうやって生み出したゾンビ達。このおれを奴隷扱いした奴の影を……今度はおれが奴隷として使ってやるんだ! キ〜シシシシシシシ!!」

「へ〜……」

 

 まあ、そのへんはモリアの好きにすりゃいいと思うけどさ……

 でも食事中にはあんま近寄らせてほしくないかな。ゾンビ。こいつら腐ってるし。

 

「なんでも命令してくださいえ〜」

「我々はご主人様の奴隷なのアマス〜」

「……」

 

 街は崩壊して……

 奴隷は全て逃されて……

 食料も盗まれて……

 おまけに影まで奪われて……

 たった1日で天竜人散々だな。同情はまっっったくしないけど。……つーかほとんど俺のせいだけど。

 

「あ、お兄さん。これ美味しいですよ♡」

 

 ゾンビの存在は気にせず、食事を続けていく皆。

 

「えへへ♡ 食べやすく切ってあげますね。トロトロの……おマンゴー♡ はい、あ〜ん♡」

「お、ありがと。エスネ。ぱくっ、もぐもぐ」

「!! ら、ライン。こっちのベーグルサンドも美味しいぞ! た、食べろ!」

「むぐっ!? ま、まだ口いっぱいなんだけど……ペローナ……」

『ジ〜、ご主人。デンスケもたべさせてあげる!』

「もがが!? もう入らん! アジサイを突っ込むな! デンスケ!」

 

 俺は小人だぞ! 量を考えろ!

 

「キシシ……ペローナ、そんな顔するようになったんだな……」

 

 しみじみと、腕を組んで一人頷いているモリア。なんのこっちゃ。

 

 

 ……

 

 

 そんなこんなで賑やかな食事は終わり、食後のコーヒータイム(コーヒーを飲んでいるのはクマえもんだけで、俺とモリアは酒。ペローナとエスネはココア。デンスケは水)で一息ついていると……

 

「ライン。ちょっといいか?」

「ん?」

 

 クマえもんが懐から新聞を取り出した。

 

「今日出たばかりの新聞だ。今回ライン達が起こしたニュースが乗っている」

「え……」

 

 俺らが起こした事件が新聞に? ……いくらなんでも発行されるの早すぎじゃね?

 クマえもんから新聞を受け取り、俺はバサッと中身を開いた。

 

「新聞……? やけに早いですね」

「今回の事件、てっきり隠蔽されると思ってた。……どの程度まで載ってるんだ?」

『ジーー』

 

 エスネ、ペローナ、デンスケが覗き込んできたので、一緒に読んでいく。

 新聞に書かれていた内容は……今回の俺達が起こした事件、その詳細が異常な程詳しく載っていた。

 ……いや、詳しいというよりも誇張して書かれてる……

 

「せ、世界政府がお兄さん相手にボロ負けしたって書かれてますよ!?」

「このモルガンズって記者、命知らずだな……」

『ジーー』

 

 オオマイガァ!!

 い……いや、しかしどうやってこんな詳しい情報を手に入れたんだ?

 それに載ってる写真も全部、まるで現場にいて間近で撮影したかのようなカメラアングルだ。

 

「……まさかモルガンズは透明人間の能力者で、こっそり近くから俺らを撮影していたとか……?」

「いや、透明人間の能力者はうちのメンバーにいる*1。だからそれはないと思うぞ」

「じゃあどうやって撮ったんだ……」

 

 ホラーだ。

 う〜んと頭を悩ませていると、次にクマえもんは何枚かの手配書を取り出し、俺らに渡してきた。

 

「こんなに大きな事件が世に出てしまえば、懸賞金の上昇も免れない」

「……!」

 

 おそるおそる手配書を手に取ると……

 

「よ、よよよよ、40億ベルィイイィイ!!?」

 

 俺の懸賞金、40億3232万ベリーにまで上がってるんですけど!! マ!?

 なにこれ怖い!? 四皇に迫る勢いじゃん!?

 

「ちなみに今回の事件で、おれもモリアも七武海を脱退。それぞれ、12億9000万ベリーと10億9600万ベリーの懸賞金をかけられた」

「チッ……なんでおれがくま(おめェ)より下の懸賞金なんだ」

 

 くまに負けて不服そうなモリア。それを言うなら俺が元七武海よりも圧倒的に上の金額な方がおかしいだろ! そこは不満じゃないの?

 ……もしかしたらこれ、俺の懸賞金、世界の上位トップ10……ヘタしたらトップ5に入ってるんじゃないかな……?

 俺そんなに悪い事した?!

 

「お、お兄さんが……40億3232万ベリー? ……つまりそれだけお金を払えばお兄さんが手に入るって事ですか!?」

「いやその理屈はおかしい。おい、アタッシュケースを出すなエスネ」

 

 ちなみにエスネは8億2000万ベリー。デンスケは2億ベリー。ペローナは6700万ベリーの賞金首となっていた。

 写真映りも新聞と同様完璧だ。一体どうやって……

 

『ニヘヘヘ♪ よくとれてるでしょ? これじしんさくなんだよ! てはいしょのご主人の写真』

「「「………………はい?」」」

 

 ドヤ顔のデンスケ。

 いや……いやいやいや! 待て待て待て! ま、まさか……???

 

「デンスケ」

『ジ? なに? ご主人』

「もしかしてこの写真撮ったのって……」

『デンスケだよ』

「モルガンズに情報を流したのも……」

『デンスケだよ』

「お前かぁーーッ!!?」

『ジ!?』

 

 情報漏洩の犯人は身内におりました。

 

 そういやデンスケは映像電伝虫。いつでもどこでも目で見ただけで写真が撮れる存在だったわ……

 

 何故モルガンズに写真や情報を送っちゃったのか、話を聞いてみると……

 新聞の後ろのとこに『ビッグニュース大募集!!』の広告があったから、それで送っちゃったんだって……あちゃぁ……

 

「デンスケ! 怪しい広告とかサイトには、気軽に写真や個人情報を送ったらダメなんだぞ!!」

『ジ!? え、えっと……デンスケもしかして悪いことしちゃったの……? ご、ごめんなさい……』

「悪いとは言わないけど……ん〜、これからは気をつけような?」

『ジ……わかった』

 

 シュン……と落ち込んでしまったデンスケ。

 まあ、人間世界の常識はまだまだ分かんないよな。デンスケの頭を撫でながら、俺はあらためて新聞や手配書に載ってる写真を見た。

 

 よく見ると確かに、デンスケだけ“慣れない自撮り”みたいな感じで映ってるわこれ……

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
エロサロム




当初の予定では、冒頭はラインが谷間の中で15連発させられてる場面からスタートする予定でしたが……さすがに自重しました。
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