デカデカの実を求めて!   作:ナットーごはん

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でっかい傘下〜ちっさい出発

 さて、マリージョアから救い出した元奴隷達の “これから” についてだけど……

 

 “家族”や“帰る家”がある者は、クマえもんのニキュニキュの能力で故郷へと飛ばしてもらう事となった。

 んで、“帰る家”が無い者は……このままスリラーバークで居候させてもらうんだってさ。

 

「ふへ〜、いいの? モリア。お前んとこの海賊団すっげぇ大所帯になるけど」

「キシシシシ! いいんだ。同じ奴隷だったよしみだ! それにこいつらの面倒を見るのはおれじゃなくて(天竜人の影が入った)ゾンビたちだしな! キ〜シシシシ! 精々こき使ってやるぜ!」

 

 行く当ての無い元奴隷達をどうするか……実はずっと考えてたんだけど……

 元七武海であるゲッコー・モリアがこのまま匿ってくれるのなら安心だな。

 スリラーバークは海の上を漂うゴースト(アイランド)記録指針(ログポース)にも引っかからないらしいので、世界政府から隠れ住むにはまさにうってつけの島だと言えるだろう。

 ふへへへ!

 

 マリージョアから助け出した奴隷の数は、およそ10万人。

 そのうち、故郷に帰る事を決めたのは約8万人。

 スリラーバークに残る事を決めたのは約2万人。だいたいこんくらいの割合だってさ。

 

 一部の元奴隷達は、モリアじゃなくて俺について行きたい! なんて言ってきたんだけど……

 残念! 世界一デカいスリラーバークと違って、うちの船にはお前らが乗れるようなスペースはありませんので!

 言ってて悲しくなってきた……

 

「はぁ……モリアはいいよな〜、身長だけじゃなくて船までデカいんだもんな〜。……俺んとこのリストラック号なんて、たぶん世界で一番小さい船だぞ」

「キシシ、ラインが望むならスリラーバークを譲り渡してもいいんだぜ?」

「いや、遠慮しとくよ。この船はお前のだろ。元奴隷達の為にもこの船はモリアが所有すべきだ。……それにこの船、デザインがあんま好きくないし」

「ひでェな! キシシシシシシ!」

「ふへへへへへ!」

 

 頂上戦争じゃ色々あったけど、なんかモリアとはすっかり仲良くなってしまった。

 2年前は出会い頭に、カゲを寄越せ〜! とか言ってくるヤベー奴だったけど、2年も奴隷やってたせいかだいぶ性格変わったよな。めちゃくちゃ俺の事をヨイショしてくれる。

 仕方ないので俺の事を“短小”って言った罪は許してやるか。

 

「キシシ、ところでライン。お前、傘下はいるのか?」

「産科?」

「子分とか、部下とか……そういうのだ」

「あ〜……確か、一人いたな」

 

 インペルダウンの一件で、確かアーロンが俺の舎弟になってたはずだ。

 あいつ……今はどこで何してんだろな? 元気でやってるといいけど。

 

「キシシシ! そうかいるのか。それじゃあライン! スリラーバーク海賊団もお前の傘下に入れてくれ!」

「…………は?」

 

 傘下? モリアんとこの海賊団を? 俺の?

 

「いやいやいや! 待て! そもそも俺、海賊じゃないぞ!? ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)なんて目指してないし…… 俺の夢はな、“デカい男になってモテモテウハウハ性活”だぞ!?」

「キシシシシ! そんなもん関係ねェ! 元奴隷軍団(おれたち)がお前の下につきたいんだ! いつかきっと役に立つ! だからどうか、“親子の盃”を交わしてくれ!」

「……」

「イヤそう!!」

 

 ……はい……正直言って、めちゃくちゃ嫌です。だって親分になるって、すんげぇ責任重そうじゃん。そんなのヤダよ〜。

 だけど、う〜ん……元奴隷達の面倒も見てもらうし……これも助けちゃった責任の一つなのかな?

 全く気乗りはしないが、しゃーなしか……

 

「分かったよ。傘下にしてやる。……だけど基本的にはお前らの事は我関せずだからな?」

「キーシシシシ! それでいい! ありがてェ!」

 

 モリアが二人分の酒を小皿へと注ぐ。それをカツンとぶつけあって、それぞれ自分の口へと運ぶ。

 

「ごくっ」

「ごくごくごくごくごくごく……! 多いわ!!」

 

 モリアからすれば一口にも満たない量なのだろうが、俺からすれば結構な量であった。

 

 

 ……

 

 

 とまあ、そんなこんなで宴したり、傘下が出来たりと、色々あった訳だけど……

 

 これにてマリージョアから奴隷を全員救い出すという寄り道ミッションは完全クリア!

 そろそろメインミッション。ドレスローザに戻ってドフラミンゴをボッコボコにして故郷を救う! に戻りたいのだが……

 

「うえ〜〜ん! ライン〜!! もう行っちまうのかよ〜!!」

「ふへっ!? ペローナ! おっぱぱっぱ!?」

 

 現在俺は、ギャン泣きするペローナの胸の谷間に、全身を閉じ込められ中なのであった。

 

「ぺ、ペローナ! 離して……! 暴発するぅ……!」

「うう……でもラインは、胸の谷間にさえ閉じ込めておけば、ここから出ていきたいとは思わないんだろ……?」

 

 それはまあ、そうだけど……!

 

「ペローナさん! そのままこねくり回すように胸を中央に寄せるんです! 上下、左右、ギュ〜ッと搾り込むように! 回し揉むように! そうすればお兄さんはすぐにビュービューしてくれますから!」

 

 いらんアドバイスすんな! エスネ!

 

「う〜……」ぐにんぐにん

「実践せんでいい!!」

 

 ポロポロ涙を零しながら胸を揺すり始めるペローナ。

 まったく……普段なら、スケベはやめろー! って真っ先に言い出すこいつが、まさかここまでするなんて……

 どんだけ寂しがりやなんだよ。

 

「ペローナ。そんな泣くな。別にこれが後生の別れって訳でもないだろ?」

「でも……でも……私は……ラインが……」

「スリラーバーク海賊団は俺の傘下になったんだし、生きてさえいりゃまたすぐに会えるさ! だから笑って送り出してくれよ。ふへへ!」

「……う、ううう……ホロホロホロ……」

 

 涙を流しながらも、無理矢理笑顔を作ってくれるペローナ。

 

「ありがとな、ペローナ」

「うん……」

 

 納得してくれたみたいだ。良い女である。

 “じゃあな、また会おう” そう言ってカッコよく別れようと思った、その瞬間──

 

「ん゛!? やば……待……ッ!?」

「えっ……?」

「……」ビクビク

「……」

「……………………じゃあな、また会おう」

「台無しだぞ。ライン」

 

 カッコよく決めたかったのに、思いっきり暴発してしまいました。せっかくの良い場面だったのにぃ。

 

 

 ……

 

 

 パンツも履き替え、出発の準備は万端。

 俺、エスネ、デンスケの三人は、とりあえずクマえもんにシャボンディ諸島まで飛ばしてもらう事となった。

 

 クマえもんの能力なら、直接ドレスローザまで飛ばしてもらえるんじゃないかとも期待したのだが……どうやらそれは無理らしい。

 ニキュニキュの能力はワープじゃなくて、あくまでも対象を弾き飛ばす力なので壁は越えられないんだと。

 つまり、ドレスローザに向けて飛ばしてもらったとしても、途中で赤い土の大陸(レッドライン)の崖にぶつかっちゃうんだってさ。*1

 

「ドレスローザを目指すなら、普通に魚人島ルートで行かなきゃって話か」

 

 スーパードンキーコングのようなショートカットは許されなかったのだ。

 

「それじゃあライン、色々世話になった」

「ん。こちらこそ。クマえもんには体の疲労取ってもらったり、マリージョアから脱出させてもらったりと、色々助けられたよ」

 

 握手をして、クマえもんとも別れの挨拶。

 

「……おれはもしかしたら、ラインがニカなのかもしれないと思ってる」

「にか? なんそれ?」

「太陽の神・ニカ。人々を笑わせ、苦悩から解放してくれる伝説の戦士の名だ」

「いやちげーし! 太陽の神とかチビッコ神様とか、お前ら人を勝手に祭り上げ過ぎだぞ! 俺はただの一般人! ラインだ! それ以上でも以下でもない!」

「………懸賞金40億を超えて、ただの一般人は流石に無理があると思うが……」

 

 その辺は考えないようにしている。なんで政府は俺なんかの首に40億3232万ベリーもの大金をかけたんだろな?(すっとぼけ)

 ……つか、端数の3232万て、もしかして“ミニミニ”の語呂合わせか? 誰がミニサイズじゃ!!

 ま、とにかく。太陽の神ニカとか、そんな大層な名は俺はいらないよ。他の誰かにお譲りします。

 

「てかクマえもんはさ、今後どう生きていくのさ? 七武海はクビになったんでしょ? このままスリラーバーク入りするのか、それとも革命軍に戻るのか」

「ああ、おれは一度革命軍に戻って、それから……娘を探す旅に出ようかと思ってる」

「娘」

 

 そういやクマえもんが天竜人の奴隷になったきっかけは、娘の病気を治す為だったか。

 それは是非ともお互い元気な姿で再会してもらいたいものだな。ふへへ!

 

「ところでさクマえもん」

「ん?」

「お前の娘ってさ、年齢いくつ? 可愛い? 美人? おっぱいボインボイン?」

「…………娘はまだ12歳だ」

「なーんだ。じゃあストライクゾーンの範囲外だわ」

「…………やはりラインはニカではないのかもしれない」

「露骨に呆れんなよ!!」

 

 

 

 

 

 という訳で、クマえもんのニキュニキュビンタによって帰ってきました。シャボンディ諸島。

 

「もうついちゃった。くまさんの能力は本当に便利ですね」

「本当だな〜。一家に一台欲しい便利さだよな。クマえもん」

『ジーー! デンスケだって便利だよ! いつかくまののーりょくよりも速く飛べるようになるから! ご主人を運ぶのはデンスケだもん!』

「……何に対抗心燃やしてんだよ、デンスケ……」

 

 そんな会話をしながら、俺、エスネ、デンスケの三人は、シャッキー'S ぼったくりBARへと帰還した。

 するとそこで待っていたのは……

 

「わっはっはっは!! また凄いことをしでかしたな! ライン! エスネ! デンスケ! もしも私がお前達くらい若かったとしても、ここまでの事は流石に出来なかっただろう!」

「まさかマリージョアの奴隷を全て逃がすなんてね。ふふ、流石は我が子達」

 

 持っていた新聞をテーブルに置いて、レイさんとシャッキーが優しく出迎えてくれた。

 豪快に笑い、頭をぐしぐしと撫で回してくるレイさんと、三人まとめてギュッと抱きしめてくれるシャッキー。

 ……なんだろ、凄く温かい……

 血は繋がってなくとも、やっぱりこの人達は俺らの“両親”なんだな〜と、分からされてしまう……

 

 ふへへへ。

 

 ……でも、俺達がシャボンディ諸島に帰って来たのは、何もレイさん&シャッキーに甘える為ではないのだ。

 ドレスローザを目指す旅の“出発準備”をする為だ!

 

「レイさん、シャッキー。帰って早々だけど、俺……」

「ああ、言わなくても分かってる。ドレスローザに向かうんだろ?」

「故郷の皆を救わないとだものね。分かっているわ」

「!! うん……!」

 

 俺の言葉を聞いて、二人は少しだけ寂しそうに……しかし、笑顔で頷いてくれた。

 

「そう言うと思っていたから、もう既に船のコーティングはすませてあるぞ」

「ホント!? レイさん!」

 

 流石はレイさん。仕事が早い。

 

「ああ、船はうちの裏庭に置いてある。念の為に3重コーティングにしてあるぞ」

 

 ちょっぴり親バカも発動。いや、ありがたいけどね?

 

 裏庭に出てみると、そこには3重のシャボン玉に包まれた俺の船、リストラック号がポツンと置いてあった。

 

【挿絵表示】

 

 1200万ベリーで買った、懐かしの我が船である!

 

『ジーー! これがご主人の船? すごぉい! かっこいい!』

「お? そういやデンスケは見るの初めてだっけか」

 

 どちらかと言えば可愛い寄りのデザインだと思うが、デンスケからすればかっこいい寄りのデザインだったらしい。

 ハイテンションで写真を撮りまくっている。……またモルガンズに送ったりするなよ……

 

「ふへへ! それじゃあエスネ、デンスケ、出発の準備だ! 必要な物を船に積み込んでいくぞ! 積み込みしだい出港だ!」

「はーい!」

『ジーー!』

 

 一旦店の中に戻って、自分の部屋から荷物をまとめる。

 持っていく物は、え〜っと……

 

「着替え、タオル、ティッシュ、歯ブラシ、スペシャルポップグリーンの種、ぱふぱふ屋のポイントカード……」

 

 ポイポイポイとトランクの中に荷物を詰め込んでいく。

 

「着替え、勝負下着、妊娠検査キット、お金の入ったキャリーケース(約100億ベリー)、それと……毎日つけてる、お兄さん日記♡」

 

 エスネもトランクに荷物を詰め込んでいってる。

 

『ジ! 荷物、荷物、えっと、えっと〜……ニヘヘ、デンスケ荷物なかった』

 

 デンスケの荷物は、着替えと(ダイアル)

 だけどそれらは基本的にデンスケの背中、“殻の中”に入れっぱなしになっている。

 なのでわざわざトランクに入れていくような荷物は無かった。

 便利な奴である。

 

「えっほ、えっほ」

「えっほ、えっほ」

 

 荷物を積み込み、食料を積み込み、勇気と情熱を積み込み……これにて出港準備は完了である!

 俺はリストラック号を片手で持ち上げると、そのまま海へと運んでいく。

 

「えっほ、えっほ……ザブ〜ン」

「いよいよ出港ですね」

「ふへへ、思えば買ってから一度も乗らず、ずいぶん長い事放置してしまったな」

 

 サイズ的に、この船は普通の人間には乗れないようになっている。

 俺はそのままの姿で、エスネは獣型(ウサギ)になって、デンスケは電伝虫モードとなって、皆それぞれミニサイズで船へと乗り込む。

 見送りに来てくれたレイさんとシャッキーが外から手を振ってくれている。

 俺達もそれに目一杯両手を振る。

 

「レイさん! シャッキー! それじゃまた! いつか絶対に親孝行しに帰ってくるから〜!」

「レ゛イざァん! シャッキーざァん! お゛、お、お世話になりました……! お二人は私の、第二のお父さんとお母さんでず! 大好きィーーッ!!」

『ジ! ご主人パパ! ご主人ママ! ご主人とエス姉のことはまかせといて! デンスケがまもるから!』

 

「ああ、行ってこい!」

「体に気をつけてね」

「「我が子達……」」

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
原作の1071話参照




ラインの傘下となった、スリラーバーク海賊団。
船長、ゲッコー・モリア。
幹部、ペローナ、ホグバック、アブサロム。
元奴隷の船員(クルー)、約2万人。うち戦闘員、約6000人。


ラインの船のリストラック号。船底からマストのてっぺんまで、たぶん4メートルくらいの高さかな?
【挿絵表示】
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