サブタイが思い付かないでやんす。
シャッキー'S ぼったくりBARにて、2年間のタダ働き契約を押し付けられた俺ことライン。
させられているお仕事は、基本的には雑用である。
店の掃除、買い出し、花壇の手入れ、可愛がられ、入ってきた客をボコボコにしてのぼったくりと……まあそんな感じ。
働き始めてすぐに気が付いた事だけど、シャッキーくそ強ぇえ!!
「それじゃ、有り金、全部出してもらえるかしら?」
「は、はい゛……払いまず……」
店の中に入ってきた身長3メートルはあろうかという大男達。当然のように代金を踏み倒そうとしてきたんだけど、シャッキーパンチにより一撃で沈んでしまった。
俺が手伝って誰か一人をボコボコにしてる間に、シャッキーはその十倍の人数をボコボコにしてしまう。
……うん。よく俺、見逃されたよな……
逃げ出そうなんて二度と考えず、借金返済までの間は真面目に働こう。そう思った。
レイさんは基本的に店の事については我関せずだ。
コーティング? とかいう仕事をしているらしいが、今のところやってるところは見ていない。
新聞読んでたり、お酒飲んでたり、寝てたり、ギャンブルに出掛けたりと、基本的にはダメ人間生活をエンジョイしてるおじーちゃんて感じ。
でもこの人、恐ろしい程強いんだよな……
一回レイさんに、この島を案内してやると店の外に連れ出され、遊園地やら、酒場やら、賭博場やらを案内されたんだけど……
その時、突っかかってきた何やら強そうな雰囲気の海賊を、デコピン一発で戦闘不能にしてしまったのだ。
レイさん強えぇ!!
レイさん怖えぇ!! ってなったね。
初対面の時に威圧されたトラウマ含め、出来ればこの人とはあんまり関わり合いたくないな〜……って、そう思った。
「ところでライン。きみは若い娘は好きかね?」
「へ?」
……
レイさんにちょっぴりエッチなお店へと連れてってもらいました。
本番行為は無かったけど、大きなたわわをたっぷりと堪能させてもらっちゃいました。
「うおーー!! レイさん!! レイさんと関わり合いになれて俺、心から良かったって思いますよ!! だからまた連れてってください! ふへへぇへぇ〜〜!!」
「……現金だなキミも。だが、男はそれくらいでなくてはな。わっはっは!」
そんな感じで、借金生活が始まった時はどうなるかと思ったんだけど、なんだかんだで楽しくやれています。
レイさんに案内されたり、シャッキーに教えてもらったりで、俺が今いるこの島についてもそこそこ詳しくなった。
俺が今いるこの島の名は『シャボンディ諸島』。島っていうか、でかいマングローブの木の集合地帯なんだって。
海から飛び出た大きな木の根っこの上に、皆住んで暮らしている。そんな感じ。
木の根からは定期的にシャボン玉が発生しており、それがシャボンディ諸島の名前の由来なんだって。
「でもまさか、木の根が島になってるとは。世界は広いなぁ……こういうでっかい木を、トンタッタ族として一回は育ててみたいものだね」
シャボンディ諸島はそれぞれの木に番号が割り振られていて……
1〜29は無法地帯。
30〜39は繁華街。
40〜49は観光。
50〜59が造船。
60〜69は海軍の駐屯地。
70〜79はホテル街。
みたいな並びになっている。
ちなみに我らが、シャッキー'S ぼったくりBARは13番
……そんな場所に店建てるって、シャッキーもレイさんも一体何者なんだよ……
深くは考えないようにしよう。
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シャッキー'S ぼったくりBARで働き始めて、約1年が経過した。
もうすっかりシャボンディでの暮らしにもなれた今日この頃。
俺は今、41番
いつも通り、欲しい商品を目にも留まらぬスピードで取っていき、それにより空いたスペースにお代を置いて帰っていく。
「ふへへへ、今日は新鮮な野菜がたくさん入荷してたな」
この島でも小人は珍しい存在なので、シャッキーの店以外では、基本的には人に見つからないように行動している。
うっかり捕まって奴隷市場行きなんて絶対嫌だからな。
物売り達の間で、俺は『
お金はちゃんと払っているのに、怪盗とは失礼な。
まあとにかく買い出しは完了したので、後はシャッキーの店へと戻るだけ……と、そんな時だった。
「んぁ? あんな所に……ウサギ?」
「……」
町外れのちょっとした広場にて、ウサギが一匹、ポツンと佇んでいるのを見つけてしまった。
かなり小さいウサギだな。20cmそこら。俺とほぼ変わらないサイズ感だ。色はリンクス(白に近い薄いオレンジグレー)で、めちゃくちゃ可愛い。
だれかのペット? それとも野生? なんにせよ、こんな所にウサギなんて、珍しい。
「よ〜しよしよし、怖くないぞ〜」
俺は興味本位でそのウサギへと近付いていった……と、次の瞬間──
「えっ!? こ、小人!?」
「は……?」
俺の姿を見たウサギが、びくぅっとその場で跳ね上がった。
いや、てか……え?
「ウサギが喋ったーー!!?」
「小人が喋ったーー!!?」
えーーっ!? っと、俺とウサギは、お互いの存在に驚きあうのであった。
……
「……なるほど、悪魔の実か……」
「は、はい……小人さんは、普通にそれが正常な大きさ……なんですね……」
俺が見つけた喋るウサギ、その正体は、『ウサウサの実(モデル・ネザーランドドワーフ)』を食べた、人間の女の子だった。
今彼女は獣型の変身をといて、普通の人間の姿に戻っている。リンクス色の短い髪をした可愛い女の子だ。中学生……くらいかな?
しかし、しくったな……
てっきり本物のウサギだと思って、姿を見られてしまうなんて……
まあいいか。とりあえずは自己紹介だ。
「という訳で、俺は
「よ、予定……? え、えっと、私の名前は、エスネ……です。年齢は11歳で、好きな物はカルボナーラ。身長は150cmです」
150cmか……
前世の俺よりもデカイじゃないか。くそっ。
話を聞いてみると、エスネの両親はシャボンディ諸島で料亭を営む、ごく一般的なご家庭らしい。
エスネも普通の女の子として暮らしていたが、つい先日、ウサウサの実を食べてウサギ人間となってしまったんだと。
ウサギ人間になってしまった事は、知り合いや両親には内緒。だからこの場所で、一人こっそりとウサギ変身の練習をしていたんだってさ。
「なるほどね〜」
「気を抜いたりした時とか、ついうっかりウサ耳が生えちゃったりするんです……」
「俺の知り合いにも悪魔の実の能力者が何人かいてさ、最初のうちは同じようにコントロールに悩んでたな」
「そうなんですか!? あの……その知り合いの方っていうのは……」
「あ〜、この島にはいない。ドレスローザってとこだから」
「そうですか……」
シュンと落ち込むエスネ。
まーまー、そのうちコントロール出来るようになるだろうから気にするなよ。
「なんならウサギ変身のその練習、俺が付き合ってやってもいいからさ」
「!! 本当ですか!」
「おう。普段はBARで仕事してるからいつでもって訳にはいかないけど、暇な時間が出来たら付き合ってやるよ。……その代わり、俺を見たって事は内緒にしておいてくれよな……」
「はい! ありがとうございます! ラインさん!」
素直な良い子だ。
とりま買い物の途中なので、俺はシャボン玉で出来た買い物袋、ボンバッグを背負って、シャッキー'S ぼったくりBARへと帰っていったのであった。
「ただいまー。シャッキー」
「おかえりなさい。ラインちゃん。何か良い事でもあった? 機嫌良さそうだけど」
「ふへへ、ちょっとな。友達になれそうな奴と出会った」
「それは良かったわね」
シャッキーは優しく微笑みながら、ウサギの形にカットしたリンゴをおやつに出してくれた。
ウサギの友達が出来たすぐ後に、ウサギリンゴって……いや、まあ食べるけど……
美味し。
……
それから俺は、休みになるとちょくちょくエスネと会っては、約束通り能力の練習に付き合ってやった。
「じゃあまずは人獣型になる練習だ。ほれ、やってみぃ」
「は、はい! お兄さん!」
最近のエスネは、俺の事を“お兄さん”と呼んで慕ってくれている。悪い気はしない。ふへへ。
「う〜ん……はぁっ! あ、ウサ耳生えて、太ももがモフモフになりました! 手もモフモフ!」
「おー、人獣型だ。身長は人型の時と比べたら、3分の1くらいか?」
獣型、人獣型、人型。
「えへへ、見てください。お兄さんと同じ大きさ!」
獣型になると、俺とほぼ身長が変わらないという事で、俺と会う時のエスネはだいたい獣型に変身していた。
見た目はまんまウサギ。うん。可愛い、癒やされる。もふもふだし、撫で回したくなる。
「そぉりゃ、もふもふもふもふ!」
「ふぁっ!? お兄ひゃ……ふぁ……ふぁあぁあ〜♡♡」
特にほっぺたを撫でられるのがエスネは好きだった。
「お兄さんはデカデカの実っていうのを探してるんですか」
「そ。デカデカの実を食って、小人ボディとはおさらばして、高身長イケメンになってモテまくるんよ俺は!」
「な、なるほど?」
「故郷のドレスローザで爆乳美女達が俺の帰りを今か今かと待ってるからな。彼女達のためにもデッケェ男に俺はなるぜ!」
「な、なるほどぉ……」
平日はシャッキーの店で働き、休日はエスネと遊んだり、デカデカの実を探し回ってたりと……
なんだかんだで、シャボンディの暮らしをエンジョイしまくっている俺なのであった。
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そんなこんなで、さらに1年が経過した。
シャッキーの店で働き始めて約2年。……とうとうシャッキーへの借金が返済される日がやってきたのである。
「うおー!! 借金返済! とうとう俺はやりきったんだー!!」
「ウフフ、おめでとラインちゃん。よく頑張ったわね」
「ありがとうシャッキー! ありがとおー!」
俺は泣きながらシャッキーにお礼を言った。
1食分にもならない食い逃げ代程度で、2年もタダ働きさせるなんて鬼かよ! と思わない日がないでもなかったが……
今思えばアレは、行く当ての無い俺の為にシャッキーが住む場所と働く場所をそれとなく提供してくれたんだと理解出来る。
色んな一般常識を教えてくれたし、それとなく修行もつけてくれてた。
本当、この人には頭が上がらないな。
「それで、晴れて自由の身となったラインちゃんだけど、これからどうするの?」
「そだな……島を出てまたデカデカの実探しの旅に出掛けようかなって思ってる。2年間色々探し回った結果、シャボンディ諸島にはデカデカの実は無いっぽいって分かったし」
「そう。ラインちゃんの夢が叶うように、私も応援してるわ。頑張って」
「ありがとシャッキー。レイさんもお世話になりました! ありがとー!」
「ああ、またいつでも来るといい」
さて、島を出るに当たって、もう一人さよならを言っておかないといけない奴がいるな。
この1年ですっかり仲良くなってしまったウサギの女の子。俺は彼女が住んでいる41番
前話でアンケートに答えてくれた方、ありがとうございます。
結果を見るに、皆様がこの小説に1番求めているものは『おっぱいに潰される主人公』だという事が分かりました。
2番目が、こざかしい主人公。
3番目が、小人ならではの戦闘シーン。
4番目が、のんびりほのぼの。
5番目が、残酷シーン。
なるほど了解です。安心してください。全部やる予定ですから!
ちなみに次話で待っているのは、『残酷シーン』です。