異世界先生ユメセンセー   作:七日 八月

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まさかの本日5話目です。だが話は全然進まないっていう……


通じ合うココロと思い出の味

「その、さっきから誰と喋ってるんですか……?」

 

「――――えっ?」

 

 

 

 私がサクサクとスイカを切り分けていると、ホシノちゃんが変な物を見たような目で変な事を聞いてきた。

 

「誰って、さっきからこの端末、シッテムの箱から聞こえてるでしょ? あ、紹介がまだだったね! こちらシッテムの箱のメインOSの『ユメ先生……』……ん? どうしたのアロナちゃん?」

 

『先生、私の声は生徒さん達には聞こえないし姿も見えないんです……正確には、先生以外誰にも……』

「えぇっ!? そうだったの!?」

 

 ここにきて驚愕の新事実、私は傍から見たら何も映ってないタブレット端末に話しかける変な人になっていたらしい……ひぃん……

 

「えーと先生? アロナちゃん? って子がそこに居るんですかー?」

「う、うん、そうだよ」

 

「えっと、それもファンタジー的な物なの?」

「ううん、これは連邦生徒会長さんが私にって残していったオーパーツなんだって」

 

「連邦生徒会長が……うん、胡散臭いですね」

「ホシノちゃん!?」

 

 一応アロナちゃんがここに居るっていうのは信じてくれそうな雰囲気だけど……そっか、アロナちゃん、私以外誰ともお話出来ないんだ……それってなんだか寂しいよね。

 

「うーん、上手くいくかなぁ? よし、これからみんなに魔法をかけます!」

 

「ん!? おへそからスイカを生やされる……!?」

 

 シロコちゃんがおへその辺りを両手で隠して後ずさった。いやいやいや、確かに今スイカは出したけどなんでよりによっておへそから生やさないといけないの? 絵面が恐いよ……?

 

「いやシロコ先輩、まだスイカ食べてないし、そもそも種ごと食べたらってヤツそれ迷信だから……」

「でもでも、先生なら本当におへそからスイカを生やしたり出来るんじゃないですかー?」

 

「出来るけどやらないよ!?」

「い、一応出来るんですね……?」

 

 あぁっ、アヤネちゃんがドン引きしてる!? もうっ、みんな自由過ぎるよ! そういう所もみんな可愛いなって思うけど、今はアロナちゃんの事が最優先!

 

「今からかけるのは最初に言った一般魔法、その中でもちょっと離れた相手とお話しする為の魔法で【念話】の上位魔法、【並列念話】だよ」

 

「へえ、無線要らずな魔法ですか、便利ですね!」

 

「えーと、使えるには使えるんだけど……私の【念話】ってこのお部屋の中くらいの距離までしか届かないんだ……」

 

「つっかえないわね!?」

「ひぃん!?」

 

 私の魔法の才能は植物属性魔法に特化し過ぎてて、他の系統の魔法はどんなに頑張ってもライターの火レベルとか、痛めた所をほんのり冷やすとかそれくらいしか出来ない。

 例外は水属性の魔法だけど、それも初歩的な水を出すのに限ってまともに出来るだけで、攻撃に使えるような出力の魔法は一切使えなかったし。

 

 異世界で魔法に関して色々と教えてくれた人に「お前の魔法の才能尖り過ぎ!! いくら異世界人でも限度あるわ!! ……いやその、それだけ真剣にやっててソレならもう諦めた方がよくね……?」って言われちゃったっけ……あ、涙が。

 

「と、とにかくちょっと試してみるから! ……えーっと、も、もうちょっとみんなこっちに近寄ってもらっても良いかな……?」

 

「ほんっとに範囲狭いのね……」

「この距離でギリギリなら普通に話した方が早そうだね……」

 

「ん、でも内緒話には使えそう」

「うんうん☆でも私たち間で内緒話なんて誕生日のサプライズくらいでは?」

 

「うへ~ノノミちゃんがその案を出した時点でサプライズの存在が露見しちゃったねぇ」

「あー、じゃあこの案はボツですね☆」

 

 なんとなく使い道を模索して慰めようとしてくれてる気がするんだけど、結果的に傷口に塩を塗られてる気がするよ……ひぃん……

 

「こほんっ、それじゃあ始めるね? 【並列念話】!」

 

「お、おぉ??」

「ん……! …………ん?」

「あら?」

「えーと……」

「ねぇ、これ本当にちゃんと発動したの……?」

 

 この魔法、発動したからといって何か派手なエフェクトみたいなものが出たりはしないからすごく絵面が地味なんだよね……数年ぶりに使うから上手く発動できるか不安だったけど、一応ちゃんと発動した手ごたえを感じた、多分大丈夫かな。

 

(さて、これで私の声が聞こえると思うんだけど、どうかな?)

 

「うわっ! 耳じゃなくて頭の中からこもった声が聞こえる! 気持ち悪っ!?」

「セリカちゃん……! いくらなんでもストレート過ぎだよ……!」

 

「ん、これは面白い、銀行強盗の時に無線でやりとりするのと違って電波を傍受されたりジャミングされないのが良い」

「はいはいシロコちゃん、犯罪に使おうとしちゃ駄目だからねー? おじさん怒るよ?」

「ん……」

 

「えーっと……」(こうでしょうか?)

 

(わ! ノノミちゃん上手上手! 私、これのコツを掴むのに丸二日もかかっちゃったんだよ!)

 

 早速ノノミちゃんが念話で言葉を送ってくるのに成功した。すごい、これはとても優秀な才能を発掘してしまったかもしれないね!?

 

(うへー、やるねノノミちゃん。ちなみにユメ先輩? 平均は大体どのくらいでコツを掴むんですか?)

(ホ、ホシノちゃんも!? えーと平均は……2時間くらい、です……)

 

「いやいくらなんでも才能無さすぎでしょ……」

(ひぃん……)

 

 まあ言われても仕方ないよね……未だにクリアな念話は送れないからこもったような音で出力されちゃうし、いろんな人に匙を投げられちゃったし……ひぃん……

 

「え、えっと、ここからが本題で……アロナちゃん! 何か喋ってみて?」

 

 

 

『あの、ユメ先生、先ほどから何を……?』

 

「「「「「!!?」」」」」

 

 あ、どうやらちゃんとみんなに聞こえたみたい! よかったー、大成功だね!

 

「い、今の声、誰!?」

「ひょっとして、今のがアロナ?」

 

『え!? 私の声が皆さんに聞こえてるんですか!?』

 

「ん、聞こえてる」

「先生、これは一体何をどうしたんですか?」

 

 みんな驚いた顔で私に注目してる。さて、当のアロナちゃんもすごくビックリしてるみたいだし、ネタバラシの時間だね。

 

「えっとね、今回みんなに【並列念話】の魔法を使ったんだけど、当然アロナちゃんには使ってません。じゃあどうしてみんなにアロナちゃんの声が聞こえるかっていうと……」

 

「……なるほど、ユメ先輩が聞いたアロナちゃんの声をユメ先輩の念話を経由して全員に送ってるわけか。考えましたね、ユメ先輩」

 

「うん! 大正解だよホシノちゃん! ……私経由だから若干こもった声になっちゃうのは許してね?」

 

 本当にクリアな念話を送れないのが悔やまれるよ、でもいくら練習してもここまでが限界だったからなぁ……でもでも、完全に出来ないよりはマシだよね?

 

『わぁ……私が生徒の皆さんとお話出来るなんて……ユメ先生! ありがとうございます!』

「いいのいいの! 気にしないで! アロナちゃんは私の秘書であると同時に、大事な生徒(こども)でもあるんだから! 仲間はずれになんかしないよ!」

 

『せ、先生……!』

 

 ふふ、アロナちゃんとっても喜んでくれてる、よかったぁ。確かに私とはお話し出来るけど、寂しくないはずないもんね?

 何より、アロナちゃんだって一緒に頑張ってくれてる仲間なんだもん、縁の下の力持ちって言えば聞こえはいいけど、それじゃああんまりだからね。

 

「ん、一緒に頑張ってくれてるならアロナも仲間、よろしく」

「よろしくお願いしますね☆アロナちゃん!」

「どうぞよろしくお願いします! アロナちゃん!」

「ちょっとビックリしたけど……よろしくね! アロナちゃん!」

「うへー、ユメ先輩共々よろしくねーアロナちゃん」

 

『みなさん……はいっ! これからもよろしくお願いしますっ!』

 

 うんうん、コミュニケーションの基本は会話から。やっぱりみんな仲良くお話出来るのが一番だよね。何よりお食事の時は一人よりも人数が多い方が楽しいもん。

 

「さ、それじゃあスイカがぬるくなっちゃう前に食べよっか! お皿に置くから隣の人に回してねー! あ、アロナちゃんはスイカのスキャン出来たかな?」

 

『はい! 出来ました! すごく美味しそうなスイカですね……!』

 

 ふふっ、アロナちゃんったら目をキラキラさせてよだれを垂らしちゃってる。さて、みんなに渡ったかな? それじゃあさっそく……

 

「いただきますっ!」

 

「「「「「『いただきます!』」」」」」

 

 

 

 この日食べたスイカは、みんなの食べたスイカの中でも一番の美味しさだったんだって。

 そして、アロナちゃんの目の端に見えた輝きは、私とアロナちゃんだけの秘密。




アロナ『このスイカ、とっても甘くて美味しいです!』

セリカ「いや何これ甘っ!? おいしっ!?」

シロコ「ん! 白い所まで甘いスイカは初めて……!」

ノノミ「とっても美味しいですー☆」

アヤネ「こんなスイカ食べたことが無いです!」

ホシノ「うへー! こんなの食べ慣れちゃったら普通のスイカが食べられなくなるよー!」

ユメ「この品種を作った農家の人に感謝だねー♪」
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