中禅寺少年の事件簿   作:ターオン

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雪夜叉伝説殺人事件⑧

山方「は…犯人が、この中に…!?」

 

 

吉門「そ…それは誰のことだ…!?」

 

 

龍斗「その前に、青沼達雄殺しについて説明するよ。まず、犯人は、青沼さんに毒入りコーヒを渡したんだろう。そして、死んだ彼に右手にペンを持たせ、鍵を掛けたんだ。そして、ここからが本番だ。明川警視が彼の死体を見つけ、皆んなもそれに注目した。その間に犯人は実は、持っていた鍵を床に放ったんだ。単純なトリックだが、死体が目の前にあったからこそ、通用したんだ。明川警視、要するに、あんたは賢いからこそ、この単純なトリックに気が付かなかったんだよ!」

 

 

 

明川「……」

 

 

 

江村「だが、そのトリックを実行できたのは誰なんだ?」

 

 

龍斗「それは、よく思い出せば分かることだ…。あの時、俺たちは青沼さんが死んだのを見て、誰かがこういった。『刑事さん!これ!』と…」

 

 

歌音「っ…!聞いたわ、私!」

 

 

響野「待ってくれ、それじゃ…」

 

 

剣待「犯人は…」

 

 

江村「あぁ…」

 

 

龍斗「思い出したみたいだな…。そう、4人を殺害した雪夜叉…それは、あんただ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竈辻真里子!!」

 

 

竈辻「っ!?」

 

 

美早希「竈辻さんが…」

 

 

竈辻「な…何を言っているの中禅寺君…こんな時に、冗談はやめて…」

 

 

龍斗「冗談じゃないさ。よく考えてみれば、あんたは明川警視と剣待のおっさんに、鍵の場所を知らせた。自作自演にしてはいい芝居だったよ。偶然見つけたように見せかけるためにね。しかも、このトリックができるのは、最後に部屋に入ったあんた以外しかないからな」

 

 

 

竈辻「仮にそうだったとして…私が4人を殺す動機は何かしら?」

 

 

 

響野「確かに…彼女はあの4人と特に大きなトラブルは…」

 

 

龍斗「その答えは10年前にある。この記事のことだ」

 

 

吉門「飛行機事故だな」

 

 

 

龍斗「ああ、だが、注目して欲しいのは文中にあるキーワードだ!この事故で生還できたのはニセ氷川を除けば1人だけ。救助隊は当時8歳の女の子を救出。そして、剣待のおっさんに調べてもらったら、その子は親戚に引き取られ、『久本』 (ひさもと)から『竈辻』に変わったことのことだ。この久本は、君が家族を失う前の名前だよな?父親と母親はこの事故で死亡。兄は死体こそ見つからなかったが、死亡扱いとなった。そして、これは、保護してもらった当時の女の子…10年前のあんただ!!」

 

 

龍斗は10年前の竈辻真里子の写真を見せた。

 

竈辻「……そうよ、その写真は私、それと私が久本というのが旧姓。竈辻は親戚の苗字。それと、私はあの飛行機事故の唯一の生還者であり、兄と両親がいるのも事実。もう死んでるけど…偶然が重なっただけよ」

 

 

龍斗「偶然ね…」

 

 

竈辻「それと、忘れてるけど加津井さんが殺された時の私のアリバイはどう説明するの?彼女が殺された時、私は車で移動していたわ。どんなに急いでも20分はかかる」

 

 

響野「そうだね。その20分後に彼女が別館に着いたのをモニターで確認してるし」

 

 

 

竈辻「そうよ、そのモニターと時間が何よりの証拠。…まさかとは思うけど、ロープを使いましたなんて言わないよね?」

 

 

山方「確かに、それじゃ、車を置いて行ってしまう。殺害できても20分を超えてしまうよ…」

 

 

明川「その通りだよ中禅寺君。君はこのことをどう説明するんだね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍斗「あるさ、そのトリックを皆んなに協力して再現してもらうんだよ」

 

 

吉門「お、俺たちが!?」

 

 

龍斗「吉門さん、もう謎は解けているんですよ…」

 

 

吉門「…分かったよ…」

 

 

歌音「それだったら、私も協力するね」

 

 

龍斗「おっさん、彼女を外に出ながら監視しててくれ」

 

 

剣待「もちろんだ、すまないが君の動きを監視するぞ」

 

 

竈辻「……」

 

中禅寺たちは、外に出て、あの谷川にやってきた。

 

 

明川「やはり、狭い幅ですね」

 

 

江村「ここで何をするんですか?」

 

 

龍斗「まあ、見ててください。まず、このロープを対岸とこちら側の支柱に何本も渡した」

 

 

龍斗はロープを渡し、皆んなも1本ずつやった。

 

 

龍斗「ただ、これは、手間のかかる作業だから前日にやっておいたんだろう。そして、次に小枝や飼い葉をこの上に乗せて…次は、スコップで雪を掬い乗せる。次に、谷川の水を汲むんだ…うっ…重い…」

 

 

龍斗は水を汲む作業がこれほどキツいことを改めて思い知らされた。

 

 

 

龍斗「この水を、雪にかけると…」

 

 

バシャ!!

 

 

かけられた部分がなんと凍っていった!

 

 

歌音「凍ったわ!!」

 

 

響野「なるほど…マイナス20℃の気温でこうなるんですね…それがこの、氷橋 (すがばし…)」

 

 

 

龍斗「その通り!竈辻さん、あんたはこの背氷村の出身だから、このことも知ってるからこそのトリックだよな?」

 

 

竈辻「……」

 

 

龍斗「続けるぜ、この作業を繰り返すんだ!吹雪が止む前に!」

 

 

 

そして、みんなが作業していくと対岸まで着いた!

 

 

 

 

山方「だけど、この作業を女性一人で…」

 

 

 

龍斗「…俺の想像だが、この作業を明島さんにも手伝わせたんじゃないかな?」

 

 

 

竈辻「……」

 

 

 

歌音「そうなの?」

 

 

 

龍斗「おそらく、彼女は真っ先に明島さんを殺さないといけないじゃなかったかな?」

 

 

 

吉門「どうしてそう言えるんだ?」

 

 

 

龍斗「…響野さん、明島さんは過去に何か問題事はありましたか?」

 

 

 

響野「あるとしたら、過去に隠しカメラが見つかって、それでトラブルに…あっ!」

 

 

 

龍斗「そう、もし、彼を後々生かしていたら、殺人事件が起きたのを知ってしまった時に、見つかりにくい所に隠しカメラを設置されるかもしれないからね。なぜなら、彼はカメラマンだからさ。そのため、そのような行動をされる可能性を無くすために明島さんをトリックの実行のために手伝わせた。手伝わせる際、こう言ったんじゃないかな?『この作業は、日田さんから金をもらってるから、手伝ってくれたら取り分はあなたが多くなっていいよ』ってね。もちろん、額は高額とも言ったんだろう。ただし、そのお礼が『死』だとも夢だと思わずにね…。そして、この橋を完成させた後、油断した彼を…」

 

 

 

明島「これで終わったな。じゃあ、お礼の金だな」

 

 

竈辻「そうね、金は、その鞄の中よ」

 

 

明島「どれどれ〜?」

 

 

竈辻 (今だ…!!)

 

 

スッ…

 

 

 

明島「…あれ?おい、金なんて」

 

 

 

ガッ!!

 

 

明島「えっ……」

 

 

ドサッ…

 

 

 

竈辻「はあっ…はあっ…」

 

 

 

「「「「「…」」」」」」

 

 

龍斗「さらに、この殺人計画にも大きな問題があった!」

 

 

剣待「大きな問題?」

 

 

龍斗「問題?」

 

 

龍斗「天候さ。もし、この吹雪が止んだら、警察がなだれ込んでくる。そしたら、計画は中止しなければならない。つまり、青沼達雄犯人説自体が破綻してしまう。そのことが、彼女を焦らしたんだ」

 

 

 

明川「しかし、加津井が殺された時、彼の死体は見つかっておらず、むしろ、生きていたと思われていましたよ。むしろ、彼の死体を発見されないよう隠し続ければ都合がいいのでは?」

 

 

 

龍斗「そもそも、その時点で彼が犯人だという話の流れになってしまった。そうなると、青沼達雄犯人説は破綻してしまう。そのため、死体を雪だるまに隠した後、タイミングを見て、死体を雪だるまから出して、あたかも自分が第一発見者のように振る舞えばいいからね。今回は日田さんが見つけたが、どちらにせよ都合が悪いことはなかった。補足するが、もし、加津井殺しのトリックの実行の前に、明島の死体が見つかれば、撮影は中止となり、トリック自体が実行できなくなるからな」

 

 

 

山方「そこまで彼女は計算を…」

 

 

 

村の住人「なんの騒ぎかと思ったらこんなのを作っていたのか…」

 

 

 

明川「あなたは…!」

 

 

 

村の住人「氷橋ね…冬場に川を越えて荷物を運ぶのに作られたのをよく聞いたわい…」

 

 

龍斗「竈辻さん、あなたは氷橋を作り終えた後、明島さんを始末し、雪だるまに隠した。そして、何食わぬ顔でスタッフと共にドッキリの撮影…つまり『雪夜叉伝説殺人事件』を実行したんだ!あの時、本館に移動する時、俺たちは知らずに氷の橋を通ったが、あの猛吹雪や暗さだとまず、気がつくことはない。そして、本館に着いた後、コーヒーを配る際、青沼さんに睡眠薬のコーヒーを入れたんじゃないか?彼のアリバイを曖昧にするために」

 

 

 

竈辻「……」

 

 

 

龍斗「そして、4時55分にドッキリTVの撮影が始まった。その時、5分前にあんたはワゴンで本館を出発した。そして、運転中にトランシーバーの電源をOFFにし、この氷橋を渡ったんだ!そうすれば、5分もかからず別館に着くことができる!」

 

 

明川「しかし、車の重さに耐えられるのか?」

 

 

吉門「途中で崩れてしまう可能性があるが…」

 

 

 

龍斗「それは見て確かめるんだよ。おっさん!準備できたか!?」

 

 

 

剣待「おうよ!」

 

 

剣待警部は車を走らせた。そして、氷橋は車の重さに耐え続けている!!

 

 

山方「わ、ワゴンが丸々乗っている!」

 

 

 

江村「崩れる様子がない!!」

 

 

 

竈辻「っ……」

 

 

 

村の住人「そりゃ、昔は数トンもある荷馬車が行きかったんじゃぞ」

 

 

明川「こんな…」

 

 

 

龍斗「驚くのは早いぜ、明川警視!これから、最後の仕上げに入るんだよ!」

 

 

 

明川「最後の仕上げ?」

 

 

 

龍斗たちは飼い葉を氷橋の上にたくさん置き、ガソリンを導火線上に垂らして、残りを飼い葉にかけた。次にライターで火をつけると…。

 

 

 

歌音「ガソリンの導火線上を伝って、飼い葉に火がついたわ!

 

 

 

龍斗「みんな、よーく見とけよ!これが鬼火の正体だ!」

 

 

氷橋は、燃えている火によって、溶けてゆき最終的には…

 

 

 

 

ミシミシ…

 

 

メキメキ…ガクンッ!

 

 

 

 

歌音「橋が重みで崩れるわ…!」

 

 

 

龍斗「こうして、竈辻さんは用済みとなった橋を消した。この瞬間こそ鬼火の出来上がりってわけ。証拠は消されるってことだ。氷や飼い葉、ロープは激しい川の流れで見つかることはないからね。ただし、今回は不安にもロープ1本や焦げた飼い葉は少し残っちまったが…」

 

 

 

山方「橋を始末した後、彼女は早々に彼女を殺害したのか…」

 

 

 

龍斗「そう、対岸についた後、カメラに映らない所でワゴンを止め、雪夜叉の衣装に着替え、彼女を殺害。その後、ワゴンに戻って時間を見計らい、さも今着いたかのように姿を現せばいい!」

 

 

 

明川「しかし、どうやってこのトリックに気がついたんだ?」

 

 

龍斗「ヒントは、まいた水が一瞬で凍りつく、この寒さと明島のポケットに入っていた飼い葉さ。明島のポケットに入っていた飼い葉、川の中に残っていたロープ、真冬でも凍りつくことない川、そして、カメラに偶然にも映っていた『鬼火』、そして、寒い気温。この5つの要素がアリバイトリックを解く鍵となったんだよ」

 

 

美早希「でも、本当に竈辻さんが4人を…!?」

 

 

 

龍斗「全ては10年前のことだろう…。なぜだ?なぜ、あんたがあの4人を殺さなきゃならなかったんだ?10年前の飛行機事故で何があったんだというんだ…!?」

 

 

 

 

竈辻「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竈辻「当然よ…」

 

 

 

 

 

竈辻以外「「「「「?」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

竈辻「あんな外道共は、あの凄惨な殺され方をして当然の連中よ!!!」

 

竈辻以外「「「「「!?」」」」」

 

 

竈辻が発した言葉、それは被害者に対し、何も後悔もない発言だった。

 

 

竈辻「ねえ、中禅寺君。地獄の夢って見たことある?」

 

 

暴かれた雪夜叉の正体…10年前の彼女にいったい何があったのだろうか…。そして、4人が彼女にしたこととは?

 

 

 

 




原作 (アニメ・ドラマ版も含む)との違い

・犯人の10年前の顔写真が提示される

・犯人の家族に兄がいることが追加されている

・明石ポジは1番目に殺すことを最初から決めている
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