「それは....」
「アズサちゃん自身は、最初からその目的でトリニティに来た。ということですね?」
「アズサちゃん...」
「最初からナギサさんを守るために、ナギサさんを襲撃する任務に参加した....言わば二重スパイ」
「ああ、そうだ。」
「....どうしてナギサさんを守ろうとするんですか?誰の命令で?」
「.....これは誰かに命令されたわけじゃない。私自身の判断だ」
「アズサちゃん自身の...」
「桐藤ナギサがいなければ、エデン条約は取り消しになってしまう。そうすればまた、アリウスのような学園が生まれるかもしれない....だから....」
「平和の為....ですか....」
アズサちゃんは頷いた....平和の為....か....顔も名前も知らない「誰か」が、自分と同じにならないように.....か...
「自分じゃない誰かのため....すごく...優しくて、綺麗な言葉です....でも...叶える為に...何かを裏切り続けるのは...すごく辛いです。だからこそアズサちゃんは強いと思います....」
「私は強くなんてない。私のせいで、みんなを巻き込んでしまった、そらやみんなに無理をさせてしまった....私のせいで...みんなが退学になってしまう....私の...」
「違います。それ以上は言わせませんよ。アズサちゃん」
俺はアズサちゃんの手を掴んで、無理やり、後の言葉を言わせないようにした。
「そら....?」
「確かに....確かに、アズサちゃんの言ったふうに受け取ることもできるかもしれません....でも....でも!私は、そんな答えにしたくありません。なので、違います。これは、アズサちゃんのせいじゃありません。ですよね?先生。」
俺は先生に返答を尋ねる....こういうことを言うのはきっと、「大人」の仕事だ
「うん。そうだね。元々の原因はきっと、「信じられなかったこと」の方。ナギサがもっとヒフミを、ハナコを、アズサを、コハルを信じていたら....あるいはミカがもっと、ナギサのことを信じていたら。もっとお互いがお互いを深く信じられていたら....こんなことにはならなかったと思うな。」
「ですよね。先生。それにアズサちゃんはいつも言ってるじゃないですか」
「私が....?」
「はい。Vanitas vanitatum et omnia vanitas.それでも、最後まで諦めるべきじゃないって。私達はまだ最後じゃないと思います」
俺がそう言うと、今まで座って静かに聞いていたハナコちゃんが立ち上がった
「そうですね、アズサちゃん。私から質問いいですか?」