ふと気づく、視界はボヤけロクに体が動かず、激しい耳鳴りも止まらない、自分は何か液体の様なものに包まれているのか少し浮遊感を感じる、一体何が、とそんな混乱が続くなか突如、激しい衝撃が身を襲う。
どうやら自分は四方を透明度のある何かに囲まれている様で激しく壁に身体を打ちつけるが、不思議と痛みを感じない、まだ揺れの続くなかよく周囲の様子を伺うと遠くから何か、人ならざる物の雄叫びと硬いものを破壊する様な音と更に、けたたましく響く電子音とそれに続く様に連続して破裂音が鳴る、そんな音が暫く続くと、次第に破裂音が減っていき最期には電子音も止んだ。だが化物の様な雄叫びはなおも続いている。
それから少したち、何者かが2人ほど部屋へと駆け込んできた、そのものたちは早足に目の前へやってくる。
ボヤける視界でなんとか見ると、1人は研究者の様な白衣着ている。もう1人はボロボロで黒いベストその上に鉄の様なものが仕込まれたコートに同じ様に鉄が仕込まれたズボン血だらけの右脚、本来左腕がある場所は肩の部分から消失している、右手には黒光する何かを握り締めている。
2人は私の前まで近づくと白衣の男が、備え付けられているパソコン?の様な端末に何かを打ち込んでいく。
声が聞こえる、
「おい!クルート主任、本当にソイツ動かせるのか!」
「馬鹿を言うな、動かせるに決まっている!あぁせっかくの試験機が、」
少しの会話の後ボロボロの男が右手に持った物を近くの机に置くと左胸に手をかざす
「こちら研究所警備部隊長オルカ、誰か応答を、、」
「繰り返すこちらオルカ、聴こえていたら誰か応答してくれ!」
「もし聴こえていたらよく聞け、クルート主任は保護している、無事の者は警備室で集合だ!」
すると突然ボヤけた視界と激しい耳鳴りのしていた聴覚が正常に戻る。それに応じて四肢の感覚も戻っていく、
「良し起動シークエンスに入った!」
「まだ身体構築度は95%だがこの状況だ致し方あるまい」
「動かせるんだな!」
「ああ、まだ完全には起きていないが、2分もすれば完全に動かせる」
そんな会話を聞きながらふと気づく、私を囲っていたのは硝子の様な筒でまるでホルマリン漬けの様に中は液体で満たされている、そして目の前の硝子に反射し、己の姿を目にした、おおよそ人の形からはかけ離れており全身が金属でできている様に見える、頭部は細長く尖っており瞳は緑色に光っている、腹部は短く頭部と脚部を繋げる様に筒状になっており両脇には両腕を留めるための金具が付いている、両腕は手の代わりかの様にまるで鎌のように反った刃が備わっており、脚部に至っては一つにくっ付き、丸く伸びておりいったいどの様に動くのかまるで見当もつかない。
「良し、あんたはこの部屋にいろ、俺は警備室の長距離無線通信で本部と連絡をとっ、グジャ!
ボロボロの男がそう言いながら扉へと向かうと突如鉄の扉を突き破りクリーム色の巨大な腕が男の頭を握りつぶしその脳髄を撒き散らす。呆気に取られた様に白衣の男は後ずさる。
「な!は、早すぎる、足止め用のタレットをもう突破したのか!」
そう言った白衣の男は焦る様に先ほど置かれた拳銃を手に取ると扉に向けて無闇矢鱈に射撃する。
だが巨大な腕に当たりはするもののまるで意に返さない。
「クソ、この化物め!」
そう言いながら射撃を続けると、突如巨大な腕は引っ込んでいき代わりに黒い棘が扉から覗かせる。
それを見た白衣の男は更に焦りだす
「ま、まずぎゃ、ドス、ドドド、
その黒い棘は男の眉間と喉、腹部、脚部に勢いよく突き刺さりその臓物を撒き散らす。
たった今白衣の男を殺した化け物は大きく開いた扉の穴に顔を突っ込みこちらの部屋を覗き込む。
ググググ、、
唸り声を上げながら、生存者を探す様に部屋を見まわし居ないとわかると否や、その化け物は扉から離れ、不思議なほど音を立てず何処かへと去っていった。
残ったのは2つの骸だけ、そんな惨事を見ていた私の脳内に声が聞こえる
『全システムチェック完了、、問題発生、身体構築度が100%ではありません、このままでは長期間の活動に支障をきたし、身体の強度も低下します。』
『、、、、管理者権限を確認、強制排出します』
その声が聴こえると時を置かずして自分を包み込んでいた液体が吸い出されていき、やがて全てが排出されると前方のガラスが左右に開放される、自身を吊るしていたケーブルは自動的に切断される、押し出される様に地面へ降り立つとまた脳内に声が聴こえる
『緊急事態、メカニターの信号が急激に減衰』『オペレーションシステムが機能不全を
その声を最期に脳内から声が途絶えた。
実のところ私は今起きたことの半分は理解できていない、余りにも非現実的すぎるうえに事態が急展開すぎる、この容器から起きる前のことも思いだせないと言うのに。
そんな混乱で満たされていると、突然、遠くから射撃音が聴こえる、あの化け物が行ったさきだ。
今は脱出を優先しよう、そう決めた私は慣れない歩行?に悪戦苦闘しながらなんとか穴の空いた扉に近付く。
扉は半ばからひしゃげており、とてもでは無いが正常に開きそうにはなかった、どうしたものかと手?を顎に当て思案するとふと気づく、この手の鎌が使えないかと。
、、、試してみるか そう考えて両腕の鎌をいき良いよく扉に向けて振りかざす、するとどうだろう鉄の扉はまるでバターの様にスルリと切れた、断面図を見るとまるで怖気を感じる程滑らかに切れいる、私は思わず後ずさってしまう。恐ろしいなこの腕は、そんなことを考えるも気を取り直して壊れた扉から外の廊下へと出る。
廊下は酷い有様でそこらじゅうに罅や大穴がいる、私は慎重に先ほどの化け物が進んだ方向とは逆へと進む、すると少し進んだ所で固定砲台の様なタレットが2つあった、そのどれもが破壊されていた、あの時白衣の男が言っていた足止めはこのことかと気づく、そこからいくつかの角を曲がると私と似た姿をした機械と3人の骸と遭遇した、機械は全身に大きく凹んだあとや黒い棘が刺さり、骸の方は胴体から頭部に掛けてぐちゃぐちゃになっており相当な力で叩き潰されたのが見て取れる、地面にばら撒かれた薬莢の数からその壮絶な死闘が見て取れた、そんな残骸と対面する様にあの時見た化け物が2体ほど倒れておりその全身には数え切れないほどの弾痕と、鋭利な刃で傷付けられた跡から、少なからず彼等は抵抗に成功していたことを示していた。
そんな戦闘の跡を通り過ぎて更に進んでいくと大きく開けた広場へと出る、どうやらあの時聞いた戦闘音はここから響いていた様だ、上下に開閉する出口と思われる大きな扉を囲む様に土嚢が積まれており、そこには数え切れないほどの機械の残骸と肉片が散乱していた、その様相はまるで地獄の様な光景だだった、そして出入り口の前にはまるで腐った様な死体がいくつもあった、その死体の中には人間以外の野生動物の死骸も混ざっていた。
そこでふと気づく、自分はこの様な地獄の光景を見てもほとんどなんとも思わないのだ、その事実から自分もまたあの化け物の仲間入りとなったのではと、言いようもない恐怖に包まれそうになるが、がソレもまた私のココロにはなんの影響を示さない。
すると突如背後から。
グギググググ
と唸り声が聞こえた、私は反射的に出口へ向かって走るものの、そのすぐ頭上を黒い棘が射抜き、まるで狙った様に開放済みの扉に突き刺さる、その衝撃で開閉システムが破損したのか上部の扉がズリ落ち出口を塞いだ、私はその光景を見届けると脚を止めて振り返る、廊下の出入り口にはあの時見た化け物が立ち尽くしている、激闘を繰り広げたのか全身から空いた弾痕から赤い血を垂れ流し、硝煙の匂いと更に両腕から赤黒い液体を滴らせながら鎮座している、先ほど発射した棘は少しずつ伸びており、再度射撃するのには時間がかかる様だ。
あの威力、当たればひとたまりもない、クールタイムは見た所およそ1分、背後の扉はここまで見てきた扉とは比べ物にならないほど分厚い、破壊して脱出するにしてもかなりの時間が掛かる
、、、、、覚悟を決める、化け物は土嚢を蹴飛ばしながら走りよってくる、その巨大な両腕を振り上げながら。
ガアアアア!
いき良いよく振り下ろした拳を横へ避ける。ドォン!、床を破壊し、その破片が顔に掛かる。横に回避すると化け物の足に向けて鎌を振りかざす。鎌はなんの抵抗も受けず脚に傷をつける、だが
浅い。化け物は拳を振り下ろした体制のまま全身を私の方へ向けて突進する。私はトラックに轢かれた様に弾かれる。腕部からいくつか細かな破片を飛び散らせながらなんとか鎌を地面へ突き立て転倒を回避する。化け物は片腕を薙ぎ払う様に振る。それを私はなとか伏せて回避する。そして伏せの体制のまま突進して化け物の腹部を切り付ける。化け物の腹部は半ばから切れるも致命傷には至らない。
グオオオオ!
叫びながら化け物は振り返り、両腕を4連続の叩き付け。ドドドド
余りの衝撃に回避し切れず最後の一撃を右腕が掠める、当たりどころが良かったのか刃の部分が半ばから弾け飛ぶだけで済んだ。間髪入れず私は地面を叩きつけた体制の化け物の腕へ飛び乗る。そのまま頭部へ向けて切り付けるが、
ギギギアア!
化け物はソレを察知してか全身を振り回す。余りの勢いに腕から振り下ろされ、刃は化け物の右眼を掠めるだけで終わった。なんとか着地し体制整える。化け物と私は完全に膠着状態になった。その静寂を破ったのは、黒い棘の再生だった。
ググ
と化け物の唸り声が響くと同時に、化け物は肩に生えている棘をこちらに向ける。その意図に私は気づくと化け物へ向かって突進した。あのまま回避しようとしても土嚢までは距離がある、ならば棘を発射しようとしているあの体制の隙を突こう。私は化け物の斜め前へと突き進む。化け物のとの距離が半ばまで迫ったところで棘が発射される。破損した右腕を盾に進み続ける。被弾した数は計三発、一発は右腕の刃をおおよそ全損させながら逸れ背後の壁に、二発目は残った右腕とその周りの胴体が削り取られる。最後の一発は頭部へと飛んでくる、顔を左に傾ける、棘は右眼を抉り取ったがなんとか致命傷は回避した。全て凌いだ私は残った左腕を、射撃体制のままの化け物の脇へと飛び込み顔面へと叩き込んだ。恐ろしいほど鋭い鎌は化け物の頭部を斜めに両断した。
ドサ
化け物は断末魔一つ挙げずに崩れ落ちた。
残った左眼で化け物の死に様を見届け、私は暫く呆然としていた。
、、あぁ、生きてる。 その事実を受け入れるのには暫く時間が掛かった。
暫しの休憩のあと、私は残った左腕で出口に穴をくりあける、少し時間が掛かったがなんとか外へと出るとそこには、真っ白の大地が広がっていた、どうやらこの施設は雪の降る大地に立っている様だった、だが、そんな事実よりも私は空に広がる満点の星空に夢中になっていた。
私はその時、 本当の意味で自由になった
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