さて、あれから少し経ち周囲が明るくなり始めた、今一度自分の状態を把握しておくべきだろう。
まず頭部、被害は右眼とその周囲が抉り取られている、近くの水溜りで自分の頭部を見ると内部が露出し、滴ってきた青白い人工血液が水を汚している、素人目に見ても頭部の部品が損傷すると不味そうだ、先の戦闘で内部まで傷付かなかった幸運を喜ぶべきだろう、後で何かしらの応急処置をしなければ。
次に両腕、左腕は無事だが、右腕は脇の胴体ごと削り取られている。胴体に関しては比較的丈夫なのか右脇の傷跡からは内部は露出していない様だ。一番被害が少ない脚部、目につく範囲には損傷は見当たらない、この脚での移動もかなり慣れてきた、頑張ればかなりの速度が出せそうだ。
良し、自分の容態は確認できたし、これからのことを考える。
まず最優先は周囲の安全確認、あの化け物がまだ何体もいる可能性があると考えると体が震える。
次点で頭部損傷の修復、ここ以外にも建物はあるだろう、そこで何か修復部品を確保できると良いが。
あとは現在地の確認、ここがいったい何処なのかを調べないと。
ひとまずはこんなところか、先ほど脱出した施設を見ると大型扉の横に大きな文字で、
と書いてあった。出てきた時は気にならなかったが、扉の両脇には土嚢が積まれていた、土嚢の内側には何体もの機械と人間の残骸が散乱し、反対側には夥しい程の腐った死骸と数十体もの化け物の死骸が転がっていた。
ーこの身体の嗅覚が機能してないのが今はありがたい。
そんな惨事から目を逸らし周りを見渡すと、おおよそ2人分の高さの壁がぐるりと周りを囲っているのに気づく、そんな中一軒大きめの灰色の建物が視界に入る、その建物はサイト02の出入り口と道路で繋がっていた、まずはその建物へ向かう事にした。
灰色の建物へと向かう途中、道路には幾つもの更に大量の死骸と大破した車両を見つけた、大破した車両は戦車が1台と、上に車載機銃が付けられた装甲車が1両あり、戦車は砲塔が半ばから叩き折られ、車体には夥しい数の棘が突き刺さっていた、装甲車は側面に大きな穴が開いており、そこから見た車内は人間の物と思しき肉片が散乱していた。
そんな光景を横目に建物へと近づくと気づく、どうやらこの建物は、壁に囲まれた辺り一帯の検問所の役割をしていた様で。道路を辿って行くとやがて外壁へと続くゲートへと辿り着いた、想像通りゲートは完全に破壊されておりもはやその機能を失っている。
そこで隣の建物に目が入る、どうやらこの灰色の建物は、外と内の中継地点を担っていた様で、大きな搬入口があった、だがそれもシャッターが完全に破壊されており、そこから検問員のものと思しき死体が見て取れる。
ー入ってみるか。
中へ入ると暗く長い廊下が見えた、先へと進むと3つの扉が見えた、そのうちの1つは完全に破壊されており、中には腹部に穴が空いた人間の死体があるのみ。残った扉を調べると、扉上部に看板が配置されており、片方は資料室、もう片方は倉庫の様だった。
少しの思案の後ひとまず資料室へと向かったが、中に入るのに扉を破壊する必要があり、少し手間取ったが特に問題なく入ることが出来た、中は大きな棚が並んでいる、中を見て回ると一つ気になるものを見つけた、テーブルの上にばら撒かれた資料と電源が入ったままのパソコンを見つけた、その中にあの化け物が写っている。
ーーこの報告書は⚫︎⚫︎年××日に更新しましたーー
存在名ーゴアハルクー
脅威度レベル2
ー以下に記述する事は現在判明している事ですー
主要能力 ー背部に生えている黒い棘を射出する事により、遠距離からの強力な攻撃が可能、また近接攻撃に対する防御能力が極端に高い様です。
推定威力 ー常設守備隊の主力戦車マーシャル戦車の正面装甲を貫徹可能。
防御性能 ー遠距離からの攻撃には弱い模様です、そのため機械化カマキリを囮に左右又は背後からの射撃で撃破する事を推奨します。
概要 ゴアハルク含むその他『存在』が最初に確認されたのは ー検閲済ー この件以降各サイトでの目撃情報が上がっております。
また北平原付近で『存在』の目撃情報が上がっております、その為『存在』の大規模集団化の恐れがあります、該当地域の付近のサイトは警戒してください。
ー追記ー 存在に対抗して、とある装置を開発した、優先してそちらに送っておく、遠隔リペアラーとアポクリトンの蘇生機能を利用した装置だ、まだ実験段階だが有用だろう、使用後はデータを送ってくれ。
ーあの化け物ゴアハルクと言うのか、戦車の装甲を貫通するほどの威力、、よく右腕一本で済んだものだ。
ーそして『存在』か、ゴアハルク以外にも居る様だ。
そんな事を考えているとパソコンの右下に付箋がある事に気づいく
あの装置なら倉庫に置いてある、さっさとサイトに運び込め。また主任にドヤされるぞ
ー倉庫か、何か使えるものがあるか?。
ガラガラと扉の瓦礫を乗り越えながら通路に戻ると、違和感を抱く
資料室の外の通路は相変わらず薄暗く、調べていない部屋と、扉が破壊された部屋から這い出した様に死体が、、
ーん?なぜ死体が廊下に
廊下の中央に人の死体が倒れていた、
ーどう言う事だ?資料室に入る前は無かった筈だが。
少し警戒しながら近付くと、更に異変に気づく。
ーなんだ、この塵
それは黒い塵だった、その塵はまるで埃が被る様に死体に覆い被さっているが、やがて死体に吸収される様に消えた。
ーなんだったんだ今のは
すると突然
ドグン、ドグン
死体が激しく震え、大きな鼓動の音が聞こえ始めた、
ーな、いったい何が
動揺しながら後退る、その間も死体の震えは収まるどころか更にはげしくなっていき、皮膚がドロドロと溶けていき、やがて
「あ、あぁぁ」
うめき声を上げながら立ち上がった。
ー死体が動いたぞ、これも『存在』か。
起き上がった死体は周りを見まし、やがてこちらを向き、
「ギア、ァァ!!」
ーっっ!!
先程まで死んでいたとは思わせぬ程の俊敏さでこちらに近づく、
咄嗟に身構えるものの間に合わない。
「アアァ!」
ークソ!
自身の身体を全く考えぬ程の勢いで振られた腕が露出した胴体に振り下ろされる。その衝撃で壁に叩きつけられ、細かな部品と人工血液が周囲に飛び散る。
ーっっ、だめだ!止まるな動け!
即座に身体を起す。
「ギ、ギァアァ!」
相手も間髪入れずにタックルを掛ける。それを左へ回避する。
ドン
相当な力で突っ込んだのか壁を凹ませ、相手の動きが止まる。その隙を逃さず相手の頭部へ向かって鎌を振る。
ザン
殆ど抵抗を感じず、頭部を貫通し壁まで抉り取り。残った身体は崩れ落ちる、これで相手は正真正銘死体になった筈だ。
ー、やったか
そう、安心した束の間
ゴポブクプク
液体でこもった声を出しながら、死体は頭部の上半分を、脳を失ったにも関わらず。起き上がる
ーは?なんだ、この化け物
そう呆然とし、相手に先手を譲ってしまう。
死体は血液を撒き散らしながら両腕を振り上げる
ブン!
躊躇なく振り下ろされた両腕をバックステップで回避する。地面を破壊して止まった腕に乗り上げる。
ーいい加減死ね!
死体の胴体を縦に切り裂き。胴体を両断する。
後ろに下がり次に警戒する、両断された死体はそれからも暫くもがく様に動くも、
ー、、、今度こそ終わったか。
おおよそ2分後にはもう完全に動かなくなった。
ー、探索を続けるか。
死体を見届けると残った部屋、倉庫へと向かう。
資料室の時と同じく扉を破壊しながら中へ入ると
ー狭いな。
サイト内部と外界を繋ぐ地点の為相当な大きさがあると踏んでいたが、部屋は想像よりも狭く先ほどの資料室程の大きさしかない。
ー何か使えるものは、、ん?。
何か有用なものが無いかと探すと、気になるものを見つける。
木箱に書かれた文字には
ーーーメカニター専用装備、直接装着型。
時間差蘇生、瞬時修復、ナビゲートシステム
仮名[アポクリトンリペアラー]ーーー
と書いていた。
ーこれ、瞬時修復、私も使えるのか?
四苦八苦しながら慎重に木箱を開封すると、内部にはU型の小さな機械と手書きの紙があった。
やぁクルート、久しぶりだな、話は聞いたよ。サイトの研究主任になったんだろ?。少し遅れたがコイツは祝いの品と思ってくれ。
コイツの使い方はシンプル、機械化カマキリの目元に直接装着するんだ。
え?、何でそんな面倒な方法にしたって?。いやな、色々詰機能をつめ込みすぎてな、メカニターに直接付けると脳が持たないんだよ。
だから好奇心で自分に使うなよ。
ー目元、か、、はて、どうやって装着しようか。
見えたと思った活路は思わぬ障害により早くも潰えかけていた。
探索は続く
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11/10 投稿ミスにより最後の部分が未完成のまま投稿されていたのを修正しました。