ウマ娘 Meteor Oscillates Between   作:別れました

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3話 トレーニング

 メニューを組んだ次の日から早速トレーニングに取り掛かることになった。

 デビュー戦までは半年ほどあるため、基礎の基礎から積み上げて行っても十分に間に合うらしい。幸か不幸か猶予はまだあるようだ。

 

 メニューは筋トレと水泳がメインで、今日から2週間はその2つを交互にこなしていくという内容だ。自主練は禁止されていないが、メニューを見た限りトレーニング量は限界ギリギリで、とても自主練などする余力はなさそうだった。

 限界ギリギリだと言うのは私に限った話で、同じ空間には私以上の質と量のトレーニングをするウマ娘で溢れかえっている。時が来ればここにいる人達と戦うことになるのかと考えれば10kgのダンベルも20kgに感じる。

 

 とは言っても最初から諦めるつもりもなかった。この学園はエリートのウマ娘が集まる場所だと言われているものの、実際に名前を聞いたことがあるウマ娘は学園全体で見てもほんの一握り程度なのだ。私のような無名のウマ娘でもチャンスは十分にある。

 

 大衆のイメージするトレセン学園といえばジュエリーショップのような華々としたものだが、実態は宝石加工の工場と形容した方が適切で、そこで入念に検品している状態というのが正しい。

 

 イメージの乖離の原因はさしずめGⅠをはじめとする重賞とウイニングライブだろう。

 

 正しく認知されていない事は必ずしも悪いことばかりではない。それが一種の箔となっている為、卒業後の活動が保証されやすい。故に入学時点で競うことを諦めてトップのウマ娘に気に入られようと振る舞う者もいるが、手放しに賞賛する側に回るということは自身の能力に見切りをつけるのと同義である。私にはその道を選べそうもなかった。

 とにかく今はひたすら練習を続けるしかない。

 

 メイクデビューまではまだまだ時間がある。あわよくば勝利、たとえ勝てなかったとしても善戦したと思われるくらいの結果は残すべくトレーニングに励む。

 

 

 トレーニングの間、トレーナーは隣にはいるものの、文字通り隣にいるだけで口を出したりはしてこない。それどころか焼きそばパンを食べたりとかなり自由にしている。ここでの飲食は禁止されている訳ではないが部屋に充満する汗と制汗剤の入り混じった匂いの中で物を食べようという発想になる人はそういない。

 まったくおかしな人だと感じる反面、そのおかしさに助けられているのだと思うと少し複雑な気分だった。

 

 最初は私が逃げ出さないかを見張る為に隣にいるのかと思ったが、たまに興味を持って近付いてくるウマ娘との会話を聞くにどうやらヒマらしい。ウマ娘たちは愉快な冗談を言う奴だと好意的に解釈しているようだが、ユーモアなどでなく言葉通り暇を持て余しているだけに見える。

 

 本当にこの人で大丈夫なのだろうか。という不安は…一方的に抱けるものでもないか。暇になるかどうかは今後の私が決めるものなのだから。

 

 1日2日と経っていき、日を追うごとに練習後の疲労度が軽減されていくのがわかる。

 

 その後も順調にトレーニングが続き、あっという間に2週間が過ぎていった。

 

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