死神代行が渋谷事変で刃を払う   作:浮世ばなれ

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突如渋谷事変に参入した浦原。それは一護にとっても想定外の出来事だった。浦原は夏油の皮をかぶった羂索と戦うことになり…⁉︎


第十三話

「アタシがこの卍解を出した時点で、準備は整いました」

 女神がは裁縫でもしているかのような素振りを見せる。

「それはやってみないと分からないだろう。千年続く人と呪の戦争を、出てきたばっかりの死神もどきに終わらせられてたまるか」

 夏油の領域が発動する。

 その直後。

 必中の術式が浦原を襲った。

 卍解で出現した女神像はそのままに、浦原だけが重力によって潰される。その衝撃で地面が割れる。浦原は地面の底に身体ごとめり込んでしまった。

 

 周囲は必中の術式を食らったことで身体から吹き出た血が散っている。その姿を見た周りの呪術師や一護は、あまりにも悲惨な光景に息を呑んで固まってしまった。

「あっけない最後だったな。浦原喜助。お前が死神の世界の人間だということは分かっている。こちらの世界を監視しているのか? まぁそうだとしても、呪いは人の恐怖から生まれる。決して死神ごときに根絶やしにされるほど甘くはない--」

 夏油は気づいた。

 女神像が消えていない。

 すなわち浦原の卍解は続いている。

「イヤー素晴らしいですね。これが領域展開というものの力なんですね」

 夏油は危機感を感じて、後退りした。

「驚かられるのも無理はありません。ワタシの卍解は触れたものを造り変える能力なんスよ」

 浦原はむくりと起き上がった。全身から吹き出ていたはずの血も治っている。皮膚の表面には傷が縫い付けられた跡がある。

「今回は致命者の攻撃を受けたワタシの身体を治しました。と、同時に、今の領域展開の攻撃を受けても今後一切ダメージが入らない身体に作り変えました。よってアナタの攻撃はもう効きません」

「…⁉︎」

 その瞬間、夏油は左腕に違和感を感じて視線を向けた。

「何んだ……これは⁉︎」

 左腕が外側からパッカリと開き、中は異空間が広がっていた。にもかかわらず痛みはない。その奇妙さと恐ろしさに、1000年以上生きている夏油の中身、羂索ですら理解するのが遅れた。

 慌てて浦原とさらに距離をとる。夏油は浦原を見守る呪術師や一護のさらに後ろに移動した。すると、夏油の腕は元に戻る。

「…冷静ッスねェ。大抵の人はビックリして腕を切ったりしちゃうんスけど…、読み通りアタシの卍解は範囲っスよ」

 領域展開をしてから呪力を回復するには反転術式を使っても僅かに時間がかかった。

 夏油は再び呪霊操術を使えるようになり、特級呪霊2体を繰り出した。

「1000年かけて来たんだ。そう簡単に潰されるとつまらない」

「そりゃスミマセンね。でも戦いッスからね。手加減はできません」

 刹那。

 浦原の姿が消えた。

「!!」

 気づくと夏油が繰り出した特級一体が切られている。

「マジか」

「よそ見してんじゃねぇ! 月牙天衝!」

 さらにもう一体の特級も一護によって切られる。

 ならば、もう一度領域を展開して……。

 夏油は手をかざす。

 なんだコレは。

 領域が展開できない。

『ワタシの卍解は触れたものを造り変える能力なんスよ』

 夏油の脳内に浦原の言葉が蘇る。

 どうやら夏油が領域を展開できないように作り変えられたようだ。

「………ムチャクチャだな……」

「何がです?」

 浦原が目を見開いて問うた。

「戦いですよ。負けたら死ぬんス。死なない為に死ぬほど準備することなんてみんなやってる事でしょ」

「!」

 夏油の上空に何者の気配を感じた。

 それは真人が死んでいないことに気がつき、ここまで追ってきた夜一だった。

「やはり来ておったのか喜助。じゃが、時間のかけすぎだな」

 バチン!

 夜一の身体に稲妻が走る。

「瞬閧・雷神戦形!!!」

 背中に雷神の太鼓模様が浮かび上がり、手刀に雷を纏わせる。

 夜一は振りかぶってから片手を振った。

 ガガッ!

 夏油に向かって一筋の雷が落ちる。

 ドドォ………ン

 その衝撃は凄まじく、渋谷の他のビルたちも崩れてしまった。

「まったく。あまり呪術師の前でこういう技は使いたくなかったんじゃが」

 夜一はいつのまにか浦原の横に来ていた。

「いいじゃないスか。私なんて卍解まで披露してしまいましたからね」

「お主に釣られてしまったようだ。さて、奴の死体を拝みに行くとするかのう」

「それは彼らに任せましょう」

 浦原の目線の際には夜一の攻撃によって生じた土埃の中にて、二つの影があった。

「俺がいない間にこんなことになっていたとは…恩にきる」

 数時間前、脹相によって気絶させられ、伏黒たちによって家入のいる後方陣営まで運ばれた虎杖だった。復活を遂げてここまで来ていたのだ。短時間で回復したのは、家入の反転術式のアウトプットのおかげに他ならない。

「恩とか別にいらねーよ。俺もお前もきっと何かを守る為にここまでの道を歩んできたはずだろ。だったら、あとはそれを信じて突き通すだけだ。相手はもう虫の息だ。別れの言葉が必要なら、見守ってやるよ」

「…そうだな一護」

「気にするなよ悠仁」

 一護と虎杖の二人はお互い向かって微笑んだ。

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