死神代行が渋谷事変で刃を払う   作:浮世ばなれ

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陀艮の領域内部へと突入した一護と伏黒。一護の刃が陀艮ニ襲いかかる。衝撃の第四話!


第4話 死神VS呪霊VSフィジカルギフテッド

 あの少年。

 領域を展開している。

 今、私と彼は領域の綱引きをしている状態。

 改めて必中効果を得るにはまず彼の領域を潰さねばならない。

「容易い」

 陀艮は伏黒に狙いを定めた。

 二体の魚のような呪霊が陀艮の腹から出てくる。

 そして、海の上で領域を展開している伏黒に向かって二体の魚は動いた。

「甘えよ」

 横にいた一護が斬月でそれを切り裂く。

 一瞬で二体の魚は真っ二つになった。

 そこに蛙に飛び移って七海が近くにやってきた。

「君が誰だか聞いている暇はない。だが、こちらの味方という認識でいいかな?」

 七海が問うた。

「もちろんだ。それからおっさん。随分な怪我だ。もう一人の方も。あとは俺がやる。全員下がってろ」

 一護は斬月を構えた。

 陀艮の後ろには片腕を失った直毘人が構えながら待機している。

 およそ一分の間、死累累湧軍(しるるゆうぐん)に耐えて七海も直毘人もボロボロだった。

「伏黒くん。なるべくその領域を維持してください。攻撃を私が守ります」

 この黒装束の少年。

 何者かは分からないが、間違いなく強い。しかし、今は伏黒くんが領域の引っ張り合いをしているだけ。

 再び必中になればこの少年でも危うい。

「……時間はかけられませんよ」

「そうか、なら先手必勝だ!」

 一護が動いた。

「…なっ!」

 一瞬で正面にくる。

 陀艮は動くのが遅れた。

 それは一護の身体から発する異様な力に魅せられたのが原因だった。

 その正体は霊圧だ。

 常時解放型の斬魄刀である斬月の圧倒的な霊圧に押されているのだ。

 しかし、陀艮は霊圧を知らない。故に、正体不明の力としか認識できなかった。

 バシュン!

 身体がほぼ真っ二つに切れかける陀艮。

 間一髪のところでかわせた。

 

 何だ⁉︎ 呪力ではない!

 未知の力!!

 陀艮は慌てて、大量の式神を繰り出す。

 しかし、一護の斬月の前にむなしく切られるだけだった。

 ならば…

 ボボン!

 さらに出現した2対の式神。

 これは硬度も攻撃力も今までの式神とは違うぞ!!

 2対の式神が一護を襲う。

 

「渋谷を見たぜ。いつもあんなに人もいるのに、今日来た時は人っこ1人いなかった。お前らがやったんだろ。絶対に許さねえ」

 一護は再び斬月を構えた。

「くるぞ少年!」

 直毘人が心配して術式を発動しようとしている。

 心配は要らねえ。

 一撃で決める!!

 

『月牙天衝』

 

 巨大化した斬撃が2体の式神を切る。

 刃は衰えずそのまま陀艮に向かった。

 陀艮には避ける余裕すらなかった。

 咄嗟にガードしようとするが無駄だった。

 真っ二つになる陀艮。

「クソ…」

 最後に出た言葉はそれだった。

 

 陀艮は死んだ。

 その瞬間、繰り出されていた領域展開が解け、黒い球体が弾け飛んだ。

 バシュウウウ

 七海、真希、直毘人、伏黒、一護は現実世界へと強制的に帰還することになった。

「領域が…!!」

 呪術師としての経験が浅い真希が驚いた。

 この黒装束のオレンジ頭。マジであのタコを1人で祓ったまった……!

 

「はあっはあっはっ!」

「おい、大丈夫か伏黒! だいぶ疲れてやがるな」

 一護は伏黒のことが心配で駆け寄って来た。

 その時。

 別の入り口の方面から突如現れた人間。

 その男を見た時、そこにいる誰もが、ぞくりっと背中に冷や汗をかいた。

「こんどは誰だ?」

「呪力がない…?」

 真希と七海がそれぞれ構えた。

「………!! 甚爾か!!」

 直毘人だけは知っていた。

 その男がどんな人物でどれくらいの強さなのか。そして、死んだはずの男が何故か殺戮人形として生き返ったことを恐怖した。

 甚爾は本能のままに戦い続ける。

 その牙は常に強者へと--

 

「逝ったか……陀艮」

 その声は真希の後ろから、どこか寂しげな声が聞こえて来た。

 真希は振り返る必要すらなかった。

 呪霊がいる。

 いつのまにか陀艮を火葬して、その燃えかすを拾い上げていたのだ。

 漏瑚だった。

 そしてその姿を認識した瞬間、七海と直毘人は全てを理解した。

 自分たちはこの戦場にいるべきではない。

 漏瑚という呪霊は陀艮より、格段に強い。

 それでも最初に動いたのは甚爾だった。

 目にも止まらぬ速さで真希に近づく。

 特級呪具「游雲」を真希から奪いとった。

 対する真希は甚爾との力比べに負けて、吹き飛ばされる。

 

「真希さん!!」

 伏黒は考えていた。

 この状況。

 先ほどの陀艮戦よりも混沌としていて、とても収集がつけられない。

 頼りになるのは…。

「一護…こいつら呪術世界の中でも異質の強さだ。用心しろよ!」

「そうかよ。なら、コッチも全力で行かなきゃならねぇな」

 一護は斬月を構えた。

 死神には頂点を極めた者だけが使える、斬魄刀戦術の最終奥義がある。

 それが卍解。

 常時解放状態である一護はいわば始解の状態であり、そこから卍解に至ると、強さが変化する。

 卍解は始解の5倍ほどの強さがある。

 それは死神にとって常識であると同時に、他の者にとっては、信じられないほどの上昇幅でもある。

 故に一護の卍解もそれに匹敵する。

 

『卍解 天鎖斬月』

 

 その瞬間、一護から溢れ出る霊圧が渋谷駅中を巻き込んで衝撃波を飛ばす。

 ドドドドドドドド!

 

「--何だ…それは?」

 まるで五条を相手にしている時に近い。そして呪力ではない別の力だ。

 漏瑚は冷や汗をかいた。

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