シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
後書きに重要な情報を載せたかったけれど、まだ先の方の設定が全然固まっていないので代わりにささやかなゲロを載せておきます。オエーッ!
巨大カメレオンの冷却装置になっていそうな尻尾を切り落としたらどうなるのか?
正解は……
「体温の上がり過ぎで死ぬ。が正解だったか」
のたうち回るカメレオンを見てそう呟く。
見た目は熱に強そうだけど、思い切って更に過熱してやるのも有効だったのかもしれない。
このまま死ぬまで待っていたら次が来そうなので、奴の口の中でファントムに暴れて貰ってさっさとトドメを刺す。
「コンバスティッカーメレオン……中々面白い奴だったな」
へー、冷えると硬くなるのねこの素材。逆に熱すると柔らかくなると……
冷却して棍棒にするか、加熱して鞭にするか、どうにかしてその二つを切り替えられるロマン武器にするか……生産職も楽しそうだなぁホント。
もう雑魚敵が雑魚と言えないレベルになってきたな。
一々戦っていてはどこかで事故死しそうだし、駆け抜けてしまおうか。
あまり高く飛ぶとさっきのカメレオンみたいな奴に見つかってしまいそうだし、そもそも足場が悪い訳でもなく、邪魔な木が生えていたりもしないので、普通に地面を蹴って走る。
目的地までもうすぐだ。あの火山、中に入れる洞窟とかあったりするのかな?
……
…………
………………
火山にちょっと登ってみたり、降りてみたり、採掘してみたり……暫く繰り返して分かったことがある。
「俺が求めているものは……この火山のもっと奥深くにある」
シャンフロ……というかフルダイブVRというものは良くも悪くも脳に電気を流してあれやこれやが理論上可能なのだ。
恐らく今の俺はこの火山にある何かに強い興味を持つように思考を誘導されている。
そして、その元凶にも心当たりがある。
「ルインヴァル。お前が探しているものはここにあるのか?」
左手に出現させたルインヴァルが微かに震えている。
なんとなく、こいつからなんかこう……アレが欲しい! みたいな電波を受信しているような感覚があるんだよな……
幾つか採掘できた希少そうな金色の鉄をルインヴァルに喰わせてみたりもしたのだが、これでは満足できないようだ。
しかしどうやってこの火山の奥に行けばいいんだ?掘ればいいのか? それとももっと上へ登って火口を覗いてみるべきか?
洞窟とか探してみたけど入り口が全然見つからないんだよな……あ、そうだ。
「モンスターが寄って来る可能性もあるけど……」
スタミナバフも声を大きくするバフも全て乗せて……!
「「
ソナー兼硬直妨害効果を持つスキルを最大音量で放つ。
あまりの音量に周囲の降り積もった火山灰が綺麗サッパリ吹き飛んで地面に少しクレーターができたが、ちゃんとソナーとしての役割は果たしてくれたようだ。
僅かな時間を置いて俺の頭の中に周囲のマップ情報が表示される。
超大音量のソナーによって明らかになった入り口が隠された洞窟……どうやら何かしらの生物によってある程度整えられたトンネルのようだ。
その奥には広い空間と……これは、人工物か?
それに二足歩行の子供のようなシルエットがあちこちに……
「人が住んでいるのか……驚かせてしまったかな?」
どうしよう。性転換して威圧感を隠して正面から会いに行くか、それともバレないようにコッソリ侵入を試みるか、いっそのことこの格好のまま突撃して威圧的に行くか……
というか火山に住んでいる人の情報とか聞いたことが無い。下手したらこれが新発見の亜人と開拓者のファーストコンタクトになる可能性もある。下手なことして開拓者全体に最悪な印象を持たれたらマズい。
いやでもゴブリンとかの可能性も……ああでも喋るゴブリンとかワンチャンあるよな。先ずはコッソリと行くべきか……あれ?
思考が火山の下の方の洞窟に向いていたから気づくのが遅れた。
火山の上の方……そこから何かが──
『ウルセェエエエエエエッ!!!!! 俺様の眠りを邪魔するウジ虫はどこのどいつだぁああああッ!!!?!?』
上空より、炎を撒き散らしながら現れたそれは……それは……何アレ? あの……何!?
「うわぁああ気持ち悪っ!!?」
つい声に出してしまった。
何と言うべきか……真っ赤な四足歩行ドラゴン……の、胴体と手足を思いっきり引き延ばして肉を削いだかのような……アメンボにドラゴンの首と尻尾がついているような……
しかも口じゃなくて体のあちこちに生えている突起から炎を噴射しており、反作用で飛んでいるようだ……本当に何なのアレ……?
『テメェかああああああああ!!!!!』
「こっちに来た!?」
あのカメレオンよりもさらにデカい。とんでもなく巨大なモンスターだ。
しかも喋る……喋る? え、じゃあこいつは普通のモンスターではない……?
よくわからないが、敵対しているのならば対処しなければならない。しかしあの巨体……恐らくユニークモンスター級のスペックは持っているだろう。一人で倒せるのか?
死ぬとここまで戻って来るの面倒だし、逃げた方がいいのか? いや、一回死んで戻って誰か連れて来るべきか?
「じゃあ……一回死ぬ気で挑んでみるか」
なるべく多くの情報を持ち帰ってニトロ製薬に報告。討伐メンバーを組んで再度挑戦……よし、これで行こう。
ジェット噴射で火山の斜面に沿うような軌道で突っ込んで来る赤い竜は、更に肩の突起からも炎を噴射し、前方を焼き払いながら飛翔している。
メインの攻撃手段は炎か。シンプルに体当たりされたり踏まれたりしてもアウトだろうが、その巨体から放たれる炎は広範囲を一瞬で火の海へと変えている。一番警戒しないといけないのはアレだ。
空気を蹴り、余裕をもって空へと飛び上がる。
まずは奴の旋回能力や飛行速度を確かめておきたい。
『ああ? テメー、羽虫みてぇに飛ぶのかよ。俺様よりも高く飛ぶんじゃねぇ!! 生意気だ!!』
器用に炎の噴射位置を変えて軌道修正。
流石にあの巨体で一瞬で方向転換はできないようだ。炎の噴射方向を良く確認すれば進行方向は簡単に読めるな。
暫く空中で追いかけっこをしながら炎を噴き出す突起の位置を確認。あとついでにスクショ。
背中と腹の突起の数が多い。真下と真上は危険だな。当然真正面も危険。真後ろも噴射に巻き込まれる。同じ高さを維持しつつ側面に張り付くのが一番安全か?
多分これ飛べなかったらあの長い脚で頭上に居座られて真下を焼き払われて瞬殺されていたんだろうな……
『しゃらくせぇ!!!』
「うおおっと!?」
全身から炎を噴き出しつつ、その場で浮遊しながら独楽のように回転を始める赤竜。
全方位に撒き散らされる炎に危うく巻き込まれかけたが、流石に回転しながら正確に狙いをつけることはできないようで、なんとか炎を避けて範囲外に逃げ出すことに成功する。
近付いて殴れる時間は短いな。基本は遠距離で行くべきか。
「ファントム!」
呼びかけに応じてインベントリから飛び出したファントムが回転を終えた赤竜へと飛翔し、その鱗を貫く。
浅いが、少しでも刺さるのならダメージは入っている筈だ。このまま隙を見せるまでチクチクと行かせて貰おう。
『あああウゼェ!! ウゼェ!!! 虫が俺様に楯突くんじゃねぇ!!!!!』
「うるさ……」
ファントムを振り切るほどの速度で飛翔し、俺に向かって真っすぐ突撃して来る赤竜。
こっちもスピード上げて行かないとダメそうだな。まだ慣れていないんだけど……!
「「
落下方向の変更と落下速度の強化、そして抵抗と慣性の制御。非常にシンプルでありながら扱いが困難なスキルを同時に発動。
一瞬で火山に激突しそうになるほどに加速し、そこから斜め上にぶっ飛んで雲を突き抜け、また雲を突き抜け地表へ……
「あああああああああ!!!?!?」
安全装置が無い絶叫マシンという表現でも生温い、あまりのスピードと急カーブの連続で頭がおかしくなりそうだ。
落ち着け、空気抵抗を増やして減速すればあばばばば……
『虫がちょこまかと……!!』
「ホァァァァアアアア!!!?!?」
赤竜がなんか言っているが風の音でよく聞き取れない。
思考加速スキルに加えて「
スピードは十分すぎる程出せる。後は遠距離攻撃手段だ。
あいつが大きな隙を見せるまで近距離攻撃は危険だからな。しかし今は咆哮スキルやブレススキルを殆ど連結してしまっており、これも大きな隙を見つけないと当てられない。となれば……
「ルインヴァル!」
人類が遥か昔から有する最も単純でありながら非常に効果的な遠距離攻撃手段と言えば……そう、投擲だ。
ルインヴァルは軽くて重いから投げれば遠くまで届くしその威力は絶大。そしてどれだけ遠くへぶん投げても俺の手元に一瞬で再出現する。投げるのに丁度良い武器となっている。
「せー……のっ!!」
赤竜はジェット噴射で飛行している関係で移動先の予測はそこまで難しくない。
アクセサリーで全身の関節を全速力で回転させつつ、一瞬だけ投擲方向へ最速で落下して速度を足して……放つ!
『おぐぁ!!??』
「ヒット!」
赤竜の背中にルインヴァルが深々と突き刺さり、激しくダメージエフェクトが飛び散る。
竜特効が効いているのか予想以上の大ダメージだ。あのアメンボドローンを竜と呼んでいいのかはちょっとわからんが。
『テメェ……!!』
「二投目!!」
『ガッ……!!?』
ハハハ、これ別に必殺技でも何でもない通常攻撃だからな。どんどん投げてやるよ。
しかし少し気になることがある。ルインヴァルやファントムが刺さった場所以外にも初めからダメージを受けているっぽい赤いポリゴンで覆われた場所があるんだよな。俺の前に誰かと戦っていたのか? かなり大きい傷のようだが……
まあ初めからダメージを受けているのなら倒しやすくて丁度良い。傷口への攻撃は大体クリティカルになるからな。
ルインヴァルを投げる度に奴の動きが鈍り、そこを逃さず追い付いたファントムが追撃する。
ファントムの攻撃一発一発はあの巨体にはそれほど有効ではなさそうだが、どんな生物にだって弱点はある。
ファントムの内一本が奴の背中の突起の中へとすっぽりと潜り込んで……
「弾けろ」
ズドン!!
『ギャアァアアアアアアアアッ!!!!!?!?!?』
奴の内側でファントムが弾け、背中の突起から勢いよく炎が噴射される。
それは奴にとっての抗えないくしゃみのようなものだったのか、噴射の反作用を制御できずに奴の巨体は勢い良く地面に叩きつけられた。
落下ダメージは体がデカい奴ほど効果的だ。空中戦で俺にそう簡単に勝てると思うなよ!
マウスの様子がおかしくて勝手にダブルクリックするようになったので買い換えました。あとついでにキーボードも買い換えてみたのですが、まだ慣れていなくて違和感がヤバいです
龍王に勝負を挑んだ赤竜が返り討ちに遭い、火山に戻って休んでいたタイミングで主人公がやってきた模様。なので初めからある程度ダメージが入っている
ルインヴァル・リビルドの一番エグイ使い方は投擲。一瞬で手元に戻って来るのでノーリスクで投げ放題の最強の投擲アイテム。初見でいきなり最大サイズのこれをぶん投げられると殆どの相手は理解が追い付く前に死ぬことになる最凶の初見殺し
ここから先は100話記念のちょっとしたゲロです(ネタバレ注意)
「ウルティマ・スターミナ」
『原典』に設定上存在していたが、創造神さえも存在を把握していなかった「ウルティマ」の名を冠するスキルの一つ
シャンフロサーバーが現在進行形で増やし続けている莫大な量のスキルの中にしれっと紛れ込んでいたことで割と最近になって存在が発覚した
ウルティマシリーズはそれぞれが対応するステータスへのポイント全振りを前提条件として、更にそこからありとあらゆる手段でそのステータスを尖らせ続けた者のみがレベル150に到達したその時に習得に至る。その性質上二号人類にしかこのスキルは習得できず、場合によってはベヒーモスでレベルを1まで下げてからの初期ステータスの振り直しまで要求されることになる
ウルティマ・スターミナはその中でもスタミナに対応しているスキルである
自身のスタミナを全て消費し、消費したスタミナに応じたリソースを持つ輝く糸状の素材をその場で生成し、それを編んで装備を生産する。この装備は戦闘終了時に消滅し、このスキルは一回の戦闘で一度しか発動できない。また、発動後は一時的にレベルが1まで下がり、元のレベルに戻るまで1レベルにつき1秒かかる
このスキルを習得しているプレイヤー自身がその装備の素材という扱いとなるため、リソースを割り振って付与可能な性質はそのプレイヤーのビルドやプレイスタイルの影響を受ける
因みに生産した装備の名前やデザインは自分で決めることもできるし、AIに任せることもできる。凄く雑なイメージでもAIが良い感じにかっこいいデザインにしてくれるが、素材の関係でどうしてもピカピカ光る
例えば普段から飛んでいるようなプレイヤーがこれで服を作れば、身に着けることで空を飛べる防具を作り出せる
敢えて特殊効果を付与せず、耐久値も削って全てをダメージ補正に特化させた武器を作り出せばそれは必殺の切り札となり得るだろう
勿論作った装備は他のプレイヤーに渡せるので、マッシブダイナマイトにこれで作った服をパスして無敵の飛行要塞にすることも理論上は可能。筋力極振りプレイヤーが空をヌルヌルと飛び回ってハーキュリー・ブラスターを当て逃げするクソゲーが始まる