シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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ナイトレインが遂に発売されたのでリムベルドに行ってきます


暴徒とマグマ

 ……なんか思いっきりやらかしたような気がする。

 

 【最大耐傷(ダメージホルダー)】とかいうどこかで聞いたことあるような称号。そして討伐時に態々流れるアナウンス。

 

 というか赤竜ドゥーレッドハウルってアレだ。なんか急に始まったEXシナリオのクリア条件になっていた奴の内の一体だ。

 

「あー……しーらね! コレに関しては一人に倒される方が悪いだろ。うん」

 

 連結スキルはじゃじゃ馬揃いだったが、あのパワーが無ければどうにもならなかっただろうな。

 しかしこれにばっかり頼っているとスキルが育たない。後で全部解除してザコ敵相手に使って育てておこう。

 

 あーもうめちゃくちゃ疲れた……死ぬほど怠い。ログアウトしたい……どこかにセーブポイントないかな……あ、そうだ。

 

「忘れていた。地下に行こうとしていたんだった」

 

 頭があんまり回らないが、人とかいるっぽいし、まあ多分セーブポイントとかあるんじゃない? よーし突撃ー!

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「……まーたやらかしたような気がするぞ?」

 

 地下トンネルの入り口を見つけ、通った先に広がっていたのは文明を感じさせる地下都市……まあそんなに広くはないし天井も低いけど、地下都市と呼んでもいいんじゃないかな?

 

 ソナーに反応は無し。近くには誰も居ない。

 まあ表であんなドッカンドッカンやってたらみんなどこかへ避難するよな。

 

 避難場所でもどこかにあるのか、別に存在する地下トンネルから逃げたのか……わからないけど、ルインヴァルは俺をこの都市の外縁にある奇妙な建物へと誘導している。

 

「若干神聖な雰囲気があるし、明らかに何かありそう……」

 

 これで実はここが一部の人しか入ることが許されない本当に神聖な場所で、不法侵入罪とか不敬罪とかで裁かれることになったら俺はどうすればいいのだろうか。

 門は開いているし、入っても大丈夫と信じるしかない。

 

「おじゃましまーす……」

 

 門を潜り、長い回廊を歩く。

 

 回廊の壁には抽象的な壁画が幾つか描かれており、それらには何かしらのストーリー性があるように見える。

 スクショしても大丈夫かなコレ? 撮影禁止の看板は無いし別にいいよね?

 

「剣、槍、弓、鎚……杖か。どこかで見たような組み合わせだな……」

 

 なんかこう、凄く重要なメッセージのような気がするのだが、俺にはサッパリわからない。

 ニトロ製薬を通してライブラリに聞いた方が良さそうだなこれ。

 

 気になる壁画が沢山あるが、今はスクショだけして考察は後回し。

 それよりも今は……

 

「輝ける槍を携えし者よ。このホルヴァルキン大祭殿に何の用かな?」

 

 穏やかではあるもののそれと同時に強い警戒の意思を感じさせる声音で俺に問いかける者が一人、回廊の奥で待ち構えていた。

 

 背は低いがそれなりの年齢であることを思わせる顔付きで、髭と髪は剃っているようだ。

 髪の無い頭の上には冠が乗っており、その両腕は黄金に輝いている。腕が金ピカな理由はわからないが、地位はかなり高そうだ。失礼のないようにしなければ……頭装備は外そう。

 

「私の名前はぶんぶん丸。この火山の奥より感じる黄金の気配を辿ってここに辿り着きました」

 

「その顔は……波濤を超えて来たりし者でしたか」

 

 波濤を超えて? 海を越えてきたプレイヤーのことを指しているのかな?

 

「申し遅れた。僕は鉱人族の王。当代の「ミダス」だ。いや、ミダス28世と言った方がいいかな……」

 

 王様だった。なら跪いた方がいいか?

 

「そのままで構わない。貴公は我々鉱人族の……いや、この地に住まう全ての人々の恩人なのだから」

 

 え、俺また何かやらかしている? 恩を売るようなことしたっけ……あ。

 

「あの赤い竜……ドゥーレッドハウル? アレと敵対していたとか?」

 

「敵対と呼べるほどの立派な立場ではない。我々は赤竜に虐げられていたのだ」

 

 なるほどね。アレは探索を邪魔するお邪魔キャラであるのと同時に、この火山地帯に住む亜人関係のイベントのボスでもあったと。

 

 良かった。これで本当は良いドラゴンでしたとかそういうオチだったら最悪鉱人族との全面戦争に発展していた可能性があったからな……その時はどうするのが正解なんだろうな?

 

「貴公が求める黄金は確かにこの奥に存在する……しかしその黄金は勇者に届けねばならぬものであり、そして星を救う者(セイヴァースター)への試練でもあるものだ。多少取っても無くなるものではないだろうが、そう容易く取れるものでも、僕から渡せるものでもない。それを承知の上でそれでも黄金を欲するのであれば、試練に挑むといい」

 

 なるほど、取れるものなら取ってみろと。

 なんか重要な情報が幾つか出てきたような気もするけど、俺には関係なさそうだな。一応録画しているけどさ。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 ホルヴァルキン大祭殿最奥にて。

 

 黄金とはどんなものなのか? 試練とは何なのか?

 

 その答えは……

 

「黄金……の……マグマ?」

 

「そうだ。この「黄金の泉」では通常のマグマで囲われたその中央に黄金のマグマが湧き出ている。試練とはこのマグマを超えて黄金に辿り着くことだ」

 

「液体なのか……」

 

 俺の眼前にでっかいマグマの泉が広がっている。しかしそれはただのマグマの泉ではない。

 

 直径百メートルはありそうな泉の中央、通常のマグマと混ざることなく金色の輝きを放ち続けるマグマが湧く場所が存在しているのが見える。直径一メートルくらいかな?

 

 ルインヴァルセンサーは間違いなくアレこそが自分が求めているものだと反応している。で、どうやってあそこまで行くか。

 

「まあ俺は勇者じゃないので……強引に突破させてもらいますよ」

 

 マグマの温度は凄まじく、触れたらまず即死するだろう。触れなくても近くにいるだけでスリップダメージが発生する。

 正しい攻略手順はわからないけど……熱対策して飛べば楽勝じゃね?

 

「【馬修羅埴(ヴァジュラパーニ)】」

 

 頭装備を戻して、影の装甲を纏って巨大化。これで多少の熱には耐えられる。

 「宇宙の旅(ツィオルコフ・トラベル)」も発動。これで空中を走って一気に泉の中央へ!

 

「この程度のマグマで死ぬなら赤竜の炎でとっくに死んでるわ!」

 

 半径五十メートルくらいこの巨体なら一瞬だ。一歩で何メートル進んでいるのかなコレ?

 

 泉の中央の上空で一時停止。

 ……で、ここからどうするの?

 

「浸せばいいの?」

 

 ルインヴァルを最長サイズで出現させ、真下にある黄金のマグマゾーンに穂先を浸してみる。

 

 ……おお? 黄金のマグマが激しくボコボコと……コレもしかしてルインヴァルが黄金のマグマを吸っているのか?

 あ、ルインヴァルのインベントリの中身がどんどん黄金のマグマで埋まっていく……というか本当にアイテム名「黄金のマグマ」なんだ。

 

 マグマに突っ込んだことで流石にルインヴァルもダメージを受けているようだが、ダメージを受けたそばから黄金のマグマを飲んで回復しているようだ。

 これ無限にルインヴァルの価値を稼げるのでは……? と思ったがどうやら上限が存在していたようで、ルインヴァルがブルブルと震えてもう引き上げろと要求してきたので回収。

 ルインヴァルに黄金のマグマを全部飲み干されたらどうしようかと心配していたが、割と量はあるのか涸れてはいないようだ。

 

 黄金のマグマを吸ってキラキラと輝くご機嫌なルインヴァルと、ルインヴァルのインベントリの中に保管されている大量の黄金のマグマを持ってミダスの元へ帰還。

 

「ふぅ、無事に回収出来ました。ルインヴァルも喜んでいます」

 

「……」

 

 ミダスが口を開けたままこちらを見上げて動かなくなっている。

 あ、この姿のままだと威圧感ヤバすぎるかな。人間と小動物レベルのサイズ差があるもんな。ルインヴァルも消しておこう。

 

 さて、ルインヴァルも大人しくなったしこれからどうするか。

 ……あ、そういえば当初の目的は鉱石採掘だったな。でもその前にログアウトして休みたい……

 

 ミダスにどこか一晩休める場所は無いか聞いてみると、鉱人族達が怯えてしまうので地底で宿泊するのは難しいが、火山の地表に地底に逃れる前の鉱人族が残した建築物や坑道が残っているかもしれないので、残っていたらそれを使っても構わないとのこと。

 

 ……さっきド派手に火山の表面の一部をブレスでぶっ飛ばしたんだけど、残っているかなぁ……

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 火山の探索を始めて三十分。もうこのまま自殺して前線拠点に戻った方が良くね? と思い始めた頃、ようやく集落のような場所を発見した。

 鉱石人が地下にいるとなると大音量でソナーするわけにもいかんからな……

 

「しかし……もう住める場所は残ってないんじゃないか? これは……」

 

 上から巨大な何かに潰されたかのような建物に燃えたどころか一度ドロドロに溶けてから冷え固まったような建物。

 恐らくあの赤竜が蹂躙したのであろう跡があちこちに……おのれ赤竜め。死してなお俺の邪魔をするか!

 

「ギリ住めそうな家無いかな……ルルイアスのボロボロの家だってセーブ可能だったんだから最低限壁と屋根があれば……お」

 

 滅びた集落の端、不自然に塞がった大きな洞窟の横……ギリギリ小屋と言えなくもないオンボロな建物を発見する。

 風が吹いたら倒壊しそうなくらいボロボロで壁も焦げているが……いけるか?

 

「おじゃましまーす……」

 

 扉も残ってねぇや。どこかから代わりのやつ持ってくればいけるかな……

 ベッドは……無いな。これ人が住む場所じゃなくて物置とかなのか? 無事なベッドも他から持ってくるか……

 

「こんなことに【魔勁修羅(マヘーシュヴァラ)】を使うことになるとは……」

 

 灼毒馬釘(ソーマ=スタング)(スペリオル)は熱と毒で周囲にダメージを与えるからな。繊細な力仕事をする時はこれに頼ることになる。

 

 あれやこれや足りない物を他の倒壊した建物から持ち込み、拾った金槌も使って出来る限り家っぽく見えるようにしてみると、セーブ地点として使用可能になった。

 一からセーブポイントを作るには大工になる必要があるとは聞いていたが、軽く修復するだけなら素人でもいいらしい。

 

「ようやくログアウトできる……」

 

 このボロ小屋の隣にある洞窟……恐らくミダスが言っていた坑道だと思われる場所も気になるけど、今は休もう。おやすみ!




ルインヴァル「満たされた」

勇者の試練をゴリ押しで突破する主人公。黄金のマグマをがぶ飲みする槍。開いた口が塞がらないミダス

ミダスからすれば頭が燃えている赤竜以上の化け物が地下都市にカチコミに来たようにしか見えないので、自分の命と引き換えにしてでも黄金のマグマと民を守るためにワンチャン話が通じることに賭けてあの場所で待機していた。最低でも両腕を切り落とされると思っていたら普通に話が通じる人でミダスは内心かなり困惑している
どう見ても化け物だし生理的嫌悪感を覚えるレベルのどす黒いオーラを放っているのに普通に会話ができるという恐怖

勇者に関する重要な情報を手に入れたり、竜災大戦前にドワーフと接触したことによるドワーフ参戦フラグなど、主人公のせいで割とデカい影響が出ています。
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