シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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ナイトレイントロコンしたしそろそろ執筆するか……え? 常夜の王?


暴徒と報酬

バリッ

 

「えっ」

 

 レイドボスの撃破に喜ぶNPC達を横目にこれからどうするかを考えていると、三つ首ティラノの皮膚が突然破けて剥がれ落ちる。

 この世界の恐竜は脱皮する生き物なのかと一瞬思ったが、どうやら違うっぽいぞ? 落ちた皮の下から出てきた新しい皮膚は陽炎を放ち、その傷は真っ赤に染まっている。

 

「進化した……のか?」

 

 手元に戻って来たファントムが僅かに震える。

 そう言えば、ファントムの深化素材の"伴葬(レクイエム)"も戦闘終了時にこんな感じで変化していたような……ヤバくね?

 

「お、おいサンラク……」

 

「待て、武器は構えるな……ここは俺に任せろトットリ」

 

「本当に大丈夫か……!?」

 

 サンラクがどんどん筋肉が膨張して大型化してゆく三つ首ティラノに近付いてゆく。

 アレを飼いならしている訳じゃないよね? 本当に大丈夫なのか?

 

 やはりモンスターにも経験値は入るものなのだろうか?

 "伴葬(レクイエム)"も"独勝(アリア)"に自らトドメを刺すことで経験値を得て進化していたのかもしれない。

 

「「「グルルルル……」」」

 

「お、おう……オレタチ、トモダチ、ユウジョウ……ダイジ」

 

「「「ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」」」

 

 ねぇこれ本当に大丈夫なの? NPC達が気絶寸前って感じの表情しているんだけど?

 

 その後、サンラクの交渉? が成功したのか、三つ首ティラノは大きな咆哮を上げた後、ズシンズシンと音を立てて樹海の中へと消えていった。

 

「……助かったけど、今ので樹海の攻略難易度がヤバいことになったのでは?」

 

 樹海を真面目に歩いて攻略しようとしているプレイヤーの皆様には申し訳ないが、俺はこれからも空を歩いて行くことにしよう。

 

 三つ首ティラノの問題は後回しにするとして……

 

「やっぱ、あれ気になるよな……」

 

 さっきの……(むさぼ)大赤依(だいせきい)とかいう奴の討伐地点に大きな血溜まりが出来上がっている。

 血溜まりの中には光る四つのエフェクトが見える。ポジティブに考えるのであればあれが討伐報酬なのだろう。普通に直接インベントリに入れてくれてもいいんだぞ?

 

 じゃんけんで腕を突っこむ順番を決めることになったが、俺は途中参戦なので最後で良いとみんなに順番を譲る……順番関係なく一人一つランダムにアイテムが貰えるやつだと思うし、そもそもアレに率先して腕を突っこみたくないからな。

 

 一番手ディープスローター。

 引き抜いたのは宝石型のアクセサリーの「渇望の手(ハンド・オブ・グレイブ)」。

 なんと装備すると腕が一本増える。しかも両手武器をあの真っ赤な腕一本で装備可能らしい。

 その代わりにアクセサリー欄が二つ消費される上にピンチになると腕が叛逆して来るデメリット付き。

 

 二番手トットリ・ザ・シマーネ。

 引き抜いたのは猛禽類の爪を思わせるメタルパーツが付いている足装備の「屍肉喰らいの鉤爪(ネクロファジィ)」。

 死亡して消える直前のモンスターを蹴るとアイテムを通常ドロップとは別に追加で入手可能。そして足場が不安定でも爪で体を固定できる。

 ただし時間経過で自動的に防御力と耐久値が低下するデメリット付きなので通常の防具としては扱い辛い。

 

 三番手サンラク。

 引き抜いたのは……何かしらの生物の大きな頭蓋? 「暴血赤依骸冠(ブロード=クロゥネ)」。

 細かい効果は教えて貰えなかったが、黒き死に捧ぐ嘆き(レクィエスカト・イン・パーケ)と効果は似ているらしい。アイテムらしいので同時使用は可能だと思われる。

 使いすぎると人間に戻れなくなるようなデメリットがあるのだとか。

 

 四番手俺。

 

「うわきもちわる」

 

 生温かい血溜まりの中で何か硬い物を掴み、それを引き抜く……おっとこれは?

 

「ダブりあるんだ……」

 

 俺が引き抜いたの物はディープスローターが引き抜いた物と同じ渇望の手(ハンド・オブ・グレイブ)だった。

 効果は悪くないんだがなぁ……しかしなぁ……アクセサリー枠がなぁ……もう七つ潰れているんだよなぁ……!

 

「装備……できない……!」

 

「あー……ドンマイ?」

 

 屍肉喰らいの鉤爪(ネクロファジィ)なら戦闘終了直前に装備してファントムの効果で残っている死体を一つ一つ蹴り飛ばして追加アイテム大量ゲットを狙えたのに……! 絵面があまりにも最悪過ぎるけどさ。

 これ加工できないかなぁ……こう、装備前の状態なら宝石なわけだし強引に釘にして……

 

「ハァ……帰ろう……」

 

「あ、お疲れ様でーす」

 

「えっ、ちょっと待ってくださいよぶんぶん丸さん! 空を飛ぶ方法を……」

 

「すみません今急いでいるので……」

 

「うわぁ本当に飛んだ!?」

 

「飛ぶスピード上がってんなぁ……」

 

 そういやトットリ・ザ・シマーネってどこかで聞いたなとは思っていたけどアレか。エルフと遭遇して一緒に行動していることで話題になっていた人か。

 マッピングを重視するクランのメンバーなんだっけ? 空を飛べたらマッピング楽そうだもんな。俺は面倒だから最低限しかやらないけど。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 戻って来たぞ前線拠点!

 久しぶりの帰還だがどうなっているかな……お。

 

「完成しているじゃん」

 

 サンディさんの書店は無事に完成したようだ。骨まみれの城になっていたらどうしようかと思っていたが、流石に普通の木造建築だった。

 まだ開店準備中のようだが、俺は関係者なので裏口からこっそりと店の中に入る。

 

 中身も完成しているのならばラメリンさんもサンディさんもこっちにいる筈……

 

「ただいま戻りまし……た?」

 

「おかえりなさい」

 

「おかえりなさーい!」

 

「おかえりぶんぶん丸くん。アオザイ姿でどこへお出かけしてたのかな?」

 

 席に座って談笑していた三人(・・)が帰って来た俺におかえりと言う。

 ラメリンさんとサンディさんと後もう一人、その後ろ姿は……!

 

「久しぶりだねぇ……随分と新大陸を満喫していらっしゃるようで」

 

 

 

PN:二十六

 

 

 

「リーダー!? なぜここに!?」

 

「深海からの帰りの船で直接こっちに来たんだよ。餓死者続出の地獄の船旅だったねぇ……」

 

「えぇ……」

 

 新大陸って専用の船以外でも気合いで到達可能なんだ……

 

「ああ、NPCは無事だよ? その話は置いといて……新しいホルダー称号確保に赤竜ドゥーレッドハウルの討伐、更にはレイドモンスターまで討伐。私が船で死と蘇生を繰り返している間に随分と派手にやってるねぇ……!」

 

「……………はい……………」

 

 だが待って欲しい。

 別にホルダー称号を取ること自体は一人でやっても悪いことではないだろう。取ろうとした訳でもないのに取れちゃったんだから仕方が無い。

 赤竜は……アレだ。名乗らない上に一人に倒される方が悪い。

 レイドボスは別のパーティが倒す直前のところに偶然遭遇しただけなのでこれはむしろファインプレーだろう。

 

「へー、赤竜一人で倒したんだ。どのくらい強かった?」

 

「どのくらい……真上から焼き払われるのさえ対策すればそこまで苦戦するような相手ではないですかね。対策できていなかったら延々と真上に居座られて死にます」

 

「真上に居座る……飛ぶの?」

 

「飛びますね。スクショありますよ」

 

「どれどれ……ブフッ!?」

 

「この全身の突起から炎を噴射して飛びます」

 

「待って、ツボった……」

 

 まあ凄くシュールな見た目だよなこれ。アメンボジェットドラゴン……

 

「この赤竜が住んでいた火山の地下にドワーフが住んでいまして、その地下都市の奥には勇者の試練とかあったんですけど、俺は勇者じゃなかったので試練の報酬の黄金のマグマだけゴリ押しで取ってきました」

 

「待って、凄く重要な情報が沢山出てきた気がする!」

 

 もう俺も何が重要で何が重要じゃないのかよくわからない。

 リーダーに細かいことは任せるとしよう。丸投げとも言う。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 旧大陸に戻って来た俺は呪啓者ギルドを通して新大陸で集めてきた鉱石の一部を納品し、次はムンクさんの所へ。

 そろそろ武器の強化が終わっているだろうし、新しい武器の依頼も……あ。

 

「おう、来たか」

 

 ムンクさんの目の前の机に置かれている細長い箱。

 お札を貼られ、鎖で縛られ、幾つもの鍵がかけられた……

 

「……それ、搗星(かちぼし)ですか?」

 

「そうだ。こいつもまた竜となったのよ」

 

「……先に色々と準備したいんですけど大丈夫ですかね?」

 

「ああ。しっかりと封印してあるからな。好きなタイミングで挑むといい。まあお前さんは敗北したところで何度でも蘇れるだろうがよ」

 

 ファントムに続きお前もそうなったか……ファントムは相性で何とかなったが、今度もそう上手く行くとは限らない。しっかりと準備してから挑もう。

 

「じゃあ先にこれ、新大陸で見つけた素材と、黄金のマグマをがぶ飲みしたルインヴァルなんですけど……」

 

「その黄金のマグマというのはよくわからんが……なるほど確かに、この輝きは……」

 

 ムンクさんがルインヴァルを見つめて、動かなくなる。

 

「ムンクさん?」

 

「……真なる竜……未だ現世に姿を見せず……まだ、その時ではない……」

 

「何て?」

 

「……ああ、すまん。夜遅くまで作業していたのでな。少し寝不足のようだ……」

 

 真なる竜……ファントムのこと? 現世に姿を……どういうことだ?

 

 ムンクさんがルインヴァルから何か変な電波を受信していた気がするが、それはそれとしてルインヴァルをもっとパワーアップさせることが出来るそうなので預けることにした。

 黄金のマグマを沢山飲ませたからな。あれはフレーバーテキストからしてなんか凄い素材らしいし、完成を楽しみに待つことにしよう。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「うーん……」

 

「どうですか?」

 

 ラローリーさんに渇望の手(ハンド・オブ・グレイブ)を見せてみた。

 これを釘に加工できればと思ったのだが、どうだろうか?

 

「できなくはないけど、常時腕を生やすようにするとぶんぶん丸くんが完全に人間を辞めることになりそうだねぇ……」

 

 現時点で大分人間を辞めている気がするのだが、これ以上人間を辞めたらどうなってしまうのだろうか? 俺も黄金のマグマをがぶ飲みするようになるのか?

 

「見た目は宝石だけど材質は普通の鉱石じゃない……知らない属性……性質的には……血液? ならいっそのこと……」

 

 長くなりそうだなぁ……




勇者トットリ作戦に主人公を入れたら色々と大パニックになりそうなので先に帰還させることになっちゃった。動かしづらいよこの主人公!

主人公に屍肉喰らいの鉤爪(ネクロファジィ)を装備させてみたかったけどあまりにも絵面が最悪だったのでやっぱりやめました。死体蹴りする主人公はちょっと……

主人公のパワーアップはまだまだ続く……

因みに二十六はクターニッドからダメージ反転の聖杯を貰った。効果時間中は自爆し放題だねぇ!
性別反転は面白そうだったけどクターニッドとの戦闘中に使われて見た目も声も全く変化しなかったのでスルーした。アバターの見た目を中性的にし過ぎたかなとちょっと後悔している模様
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