シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~ 作:葛饅頭
え、俺一人で新入り二人の教育と三人分の仕事を同時進行しなきゃいけないんですか!?
「戻ってきたか。ダメだったようだな」
「専用の対策が必要ですねアレは……」
無対策だと挑戦権すら与えられないタイプだアレは。
銃弾が降り注いでいるかのようなあまりにも理不尽な範囲攻撃。ステータスだけでどうにかなる相手じゃない。
「傘とか……いや、盾が必要かな……」
「盾か。お前さんには一度も作ったことが無かったな」
「重い盾は持てませんし、左手に装備するとその装備が弱体化してしまうので……あ、待てよ……?」
背中から三本目の腕を生やす。
もしかして……いけるんじゃないか?
……
…………
………………
今の俺に必要なものは二つ。
より強力なアクセサリーと頑丈な盾だ。
いつも使っている
しかし、
一応同時に使わない前提で戦闘中にメニュー画面を操作してこの二つを細かく付け替えるという手もあるのだが、やはり隙を晒すことになる。それに操作ミスで入れ替えじゃなくて釘を外したりしたら即死するからな。
他のアクセサリーは可能な限り外したくない。じゃあどうすればいいのか?
簡単な話だ。単体でもっと強いアクセサリーを探せばいい。
「
「便利だなこの腕。採掘効率もアップだ」
三本目の腕にツルハシを持たせて蠍の居ぬ間に採掘を行う。
この腕、両手武器を片手で持てるというだけでもかなり優秀なのだが、独立したステータスが存在していて少し特殊な計算でステータスが決められているようだ。
正確な計算式はわからないが、ムンクさんに協力してもらって検証したところ、恐らくSTR、DEX、AGI、TEC、VITがそれぞれ200くらいはある。
勿論そこに筋力バフなどを乗せられるので貧弱な俺でも結構なパワーが出せる……ただしその根元には俺の体があるので調子に乗って重い物を持ったりすると俺の体が潰れてダメージを受ける。完全に潰されなければ短時間ならリジェネで耐えられるが、あまり無理はしない方が良いだろう。
そして、このアクセサリーで生やせるのは腕だけではない。
「来たな蠍共!」
新大陸の強者と比較すると流石に一匹一匹の強さはちょっと劣るけれども、一番恐ろしいはその団結力なのでレベルキャップが解放された今でも討伐報告が未だに無い水晶群蠍が押し寄せて来る。
あいつら情報共有でもしているのかファントム対策にお互いの距離を少し開けたり小隊に分けて回り込んだりとどんどん賢い動きをするようになってきているんだよな……だからといってそう簡単に討伐を諦めたりはしない。お前達の素材は俺の重要な資金源だからな。
三本目の腕を引っ込めて、首の斜め後ろ辺りから代わりに生やすのはもう一つの頭。
とは言っても人間の頭ではなく、首が少し長い大きな角が生えた真っ赤な竜の頭である。
因みに生やせる部位は種類がやたらと細かく、ドゥーレッドハウルの頭とかやたらと長い腕も生やせるし、翼や尻尾も何種類か生やせる。
ただしサイズは俺に合わせて調整されるし見た目も若干デフォルメされる。翼や脚は片方しか生やせないので本来の用途では活かしづらい。
当然頭が二つあれば……
「【
俺の口からは蒼雷を纏う黄金が、竜の口からは真っ赤な炎と黄金が二重螺旋となって放たれ、押し寄せる蠍を薙ぎ払う。
二倍息を吸って二倍息を吐ける。しかもスキル無しで炎の息が吐ける。ちょっと俺にもダメージ入るけど。
こんなのアクセサリースロットを三つ埋めたってお釣りが来るわ。
「殲滅力大幅アップだ。このまま狩り尽くしてやってもいいが、今は採掘だな」
まだまだ採掘するぞ。琥珀はガチャだからな。回せ回せ。
……
…………
………………
「うーん、これも悪くは無さそうだけど……」
盾の素材を探しに新大陸にやって来た。できれば用途や属性に合わせて使い分けたいので何種類か用意しておきたいところだ。
樹海を歩いていたら木々を薙ぎ倒して突進してきたパキケファロサウルスみたいなモンスターを倒して盾として使えそうな頭蓋をゲットしたが、できればもっと大きな盾も作りたい。
鉱石素材で盾を作るとどうしても重いし雷属性に弱くなるからな。モンスター素材で何かいいの無いかな……
「革を重ねた盾とか……でもそんなに頑丈なモンスターいるかな……」
あの時の進化した三つ首ティラノも候補の一つだけど、あれは確か午後十字軍が狙っているんだっけ?
クラン同盟相手だし勝手に倒したらマズいかな。別のヤツにするか。
「砂漠に行ってみるか」
その場から飛び上がり、空を駆けて砂漠へ向かう。
そう言えばリーダーが砂漠に
「確か聖槌の所有者がいるとか何とか……」
砂漠をひたすらに飛び回る……いや広すぎるわ。上から見ても周囲に何も見えないんだが?
砂嵐もあって拓けているのに視界が悪い。凄く遠くに火山や謎の赤い光は見えるのだが……
「……あの赤い光は何なんだ?」
よく考えたらなんで光っているんだ? あんな赤い光自然界には多分存在していないだろう。
ちょっと気になるし、里も見つからないし、先にあっちに行ってみようか。
……
…………
………………
「これは……」
夜空を照らす真っ赤な光。
その明かりの正体は……赤く発光する巨大な水晶の集まりだった。
なんで光っているのかはわからないが、採取してみればフレーバーテキストで何かわかるだろう。
しかし問題はその水晶の手前……水晶がある場所をぐるりと囲うように巨大な谷が存在している。
水晶巣崖は崖登りする必要があったが、ここでもそうなのか?
その谷を近付いて観察してみる。崖の斜面はそれなりの角度で昇り降りはそこまで難しくなさそう。こう、ドーナツを半分だけ埋めて取り除いた跡みたいな形状だ。
谷の底には特にモンスターは見当たらない……いや……
「……いるな。埋まっている」
最初は何もないと思っていたが違う。斜面にはおびただしい量の何かが埋まっているし、多分あの巨岩はモンスターが擬態している。
谷の底にはものすごく長い何かが何層にも重なって大量に埋まっている……魔力の反応が多すぎて重なり合って地形全体が光って見えていたからそういう土地なのかなと勘違いして見落としかけた。
「セーブしておくか……」
今回はちゃんとセーブ用のテントを用意してある。
使用回数に制限があるしインベントリの容量を結構圧迫するけれど、有るのと無いのとでは安心感が違う。
下に降りたら間違いなくヤバいことになる。モンスターの量もサイズも桁違いだ。
でも今の目的は優秀なモンスター素材の確保だ。どんなモンスターなのか確認しておきたい。
「挙動を確認」
適当に拾った石ころを谷底に投げ込んでみる。
これだけで反応するのかどうか……お。
「うわキモっ」
斜面を転がり落ちる石ころに反応して人間大の蜘蛛が次々と飛び出してくる。
侵入者(石ころ)を排除すべく次々と襲い掛かり、その数と質量で味方ごと押し潰す勢いだ。
群がる蜘蛛の音に反応したのか、谷底から湧きだしたのは巨大な百足。砂漠で見かけたワームもビックリな巨体が蜘蛛を撥ね飛ばす。
更に巨岩に擬態していたモンスターも動き出す。恐らく蜘蛛たちの親玉と思われる要塞の如き超巨大な蜘蛛だ。
小蜘蛛(人間サイズ)は百足に張り付いてどういう原理かは不明だが次々と自爆。
大蜘蛛(要塞サイズ)は背中から飛び出している筒状の突起に潜り込んだ小蜘蛛を次々と発射。
百足はその巨体と機動力で爆発に耐えつつ暴走機関車の如く全てを撥ね飛ばして爆走している。もしかしてお前もその背中の巨大な筒状の突起から何かを打ち出すタイプ?
「水晶巣崖とは別方向で地獄だな……」
お互いに攻撃力も攻撃範囲もヤバすぎる。ドロップアイテムが争いに巻き込まれて一瞬で粉砕されているから走り回って素材の回収だけするのも難しそうだ。
あ、百足がヤバそうな色の液体を背中の筒から発射した。恐らく酸か毒……なんだろうけど、スリップダメージとかの前に掠りでもしたら即死しそうな威力だ。
あれだけの勢いでぶつかり合っても余裕で耐えるとなれば、間違いなく百足も大蜘蛛もかなり優秀な素材をドロップするはず。小蜘蛛も何故か爆発するし錬金術方面で面白い素材になりそうだな。
問題はどうやって素材を回収するかだが……まずはこのまま暫く放置で良い感じに弱らせるところからだな。
「先に採掘してこようかな」
あの真っ赤な水晶も気になるからな。谷を飛び越えて先に中央に行ってみるとしよう。
真下からドッカンドッカンと爆発音が響き渡る。生き物が出す音じゃないだろと思いつつも空中を駆け……
「あれ、なんかひか──」
急に視界の全てが赤色と碧色の二色となって俺は死んだ。
蠍がいっぱい
主人公のようなゴミカスステータスでもレベルさえ上げれば最低限の強さは発揮できる親切設定
因みに肉を削ぎ落しまくっているドゥーレッドハウルの部位はステータスの倍率が低め。でもその分リーチが長いし突起から炎の噴射もできます。そして炎の噴射力はスタミナ依存なので……
因みに
仮に主人公が暴走したら八つの首から同時にブレスを吐く化け物に……