シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

17 / 113
存在感はあるのに戦闘シーンが特にないモンスター達


暴徒とユザパ

 無果落耀の古城骸は去栄の残骸遺道のようにそこらに神代とやらの物と思われる残骸が転がっている草原エリアだ。ただ、去栄の残骸遺道が工場跡地なのに対してこちらは戦場跡地らしく、巨大な生物の腕が要塞のような建築物に突き刺さってたり、巨大な剣が地面に刺さっていたりと、兎に角何か凄い戦いがあったんだろうなということはわかる。俺は考察とか苦手なのでそれ以上のことは考えることをやめた。

 

 ここまで血が出ない相手や呪いが効かない相手とばかり戦っていたので色々と便利程度に思っていた黒蝕の喪白剣だが、その呪いの本当のヤバさをここに来てようやく理解することができた。

 

「こんなにあっさり倒せるものなのか……」

 

 ズシンと地面に墜落する四枚の翼を持つワイバーン。その首にはドス黒い闇が纏わりついている。まだ息はあるが、ワイバーンが起き上がるよりも早くその時は訪れた。

 

 スパンと刃物で肉を切るような音が響く。ワイバーンの首から黒い斬撃エフェクトが発生し、少し遅れて出現した傷口から赤いポリゴンが噴き出す。ワイバーンの頭がボトリと地面に落ち、少し遅れて胴体が崩れ落ち後、ポリゴンとなって砕け散った。

 

「今のところ即死成功率50%以上じゃないか?斬首の呪い強すぎるだろこれ……」

 

 血液ゲージを攻撃するだけで簡単に補充できるので「ヨコセ」と「ハキダセ」の維持が楽な上に高い攻撃力を維持し続けることができる。そして攻撃は弾かれることなくヒットして呪いが蓄積され、そのまま殴っていれば首に破壊が発生。確率で即死する。即死しなくても首へのダメージがかなり大きくなるようで、そこを攻撃すれば簡単に倒せてしまう。

 

 確かにデメリットの大きさを考えればこのくらい強くないと困るが、ギリ二桁のステータスでレベル99をさっくり倒せるのは本当にこれゲームバランス大丈夫なのかと疑いたくなる。

 この即死の成功率はVITとLUCで決まるらしいが、このエリアに出てくるハードラッグ・ライノとかいう犀みたいなやつは硬いが動きが分かりやすいので破壊属性の蓄積が楽で即死判定の回数を稼ぎやすいし、マジョリティヘルハウンドとかいう群れで出てくる犬は速いけど柔らかいので適当に斬ってるだけであっさり即死する。飛んでて中々攻撃が当たらないストーム・ワイバーンが若干面倒なくらいで大体楽勝だ。

 

「多分首の破壊でHPに割合でダメージ入ってるんじゃないかなこれ……」

 

 ほんとにとんでもない性能だ。ありがとう鍛冶屋のおっさん加減しろ鍛冶屋のおっさん。

 

 サクサク倒せるからどんどんレベルが上がるし、リーダーが買ってきてくれた秘伝書のおかげで新しいスキルも結構習得出来た。どうやって一日で全ての街を回ったのか聞いてみたらフィフティシアから逆走して自殺してフィフティシアでリスポーンするのを繰り返して戦闘を一度もせずに走り抜けたらしい。クランリーダーって大変なんだなぁ。

 

「えー、これで何体目だ?」

 

 モンスターをサクサク倒せるのが楽しくて狩り続けること一時間、異変が起きた。

 

「ん……?」

 

 突如ドス黒い闇が広がり、そこから現れたのは……大鎌を携えた黒い死神?

 

「レアモンスターか?アンデッド系っぽいが──」

 

 死神がこちらへ向けて手を伸ばした瞬間、俺の視界が急に切り替わる。なんで俺首を掴まれて──

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「なるほど、過度にモンスターを狩り過ぎると出現するお仕置きモンスターか……」

 

 一旦ログアウトして攻略サイトを確認してきた。どうやら一つのエリアで短期間に大量のモンスターを狩ると出現する理不尽な性能のモンスターらしい。しかし、確かに結構狩りをしたが、そんなに大量に殺したわけではないと思う。俺が居ないところで大規模な狩りをしているプレイヤーが他にもいたのか或いは……

 

「アンデッドとの遭遇率に補正……まさかこいつの出現率もアップするとかある……?」

 

 出現する度にそのエリアのプレイヤーを虐殺して回るというこいつの出現条件が緩くなるって下手すると他プレイヤーからも恨まれるのでは……?いや、この剣の呪いで詰まないように色々と対策を考えている運営だ。多分俺の側に出現して俺を殺したら即消滅するようになっているだろう。多分。

 

 一応攻略掲示板とか確認してみたが、直近で無果落耀の古城骸であの死神に襲われたという書き込みは特に見当たらなかったので大丈夫だと思う……多分。

 

 お仕置きモンスター呼ばわりされているだけあって討伐されたことも無いっぽい?どんな攻撃でも恐らくノーダメージ。最高級の聖水でも若干怯むだけ……となると、アホみたいにHPが高いか、特殊なギミックでの勝利と考えられる。この呪いを背負い続ける限り今後頻繁に遭遇する可能性があるのなら、倒せるなら倒しておきたい。

 現在分かっている情報は影が重要だということだけだ。あの掴みは影を掴んでいるらしいし、あと影を切り離す瞬間移動もあるんだとか。

 

 見るからに死神、そして影となると、光が効きそうな気もするが、あらゆる攻撃でノーダメ、良くてちょっと怯むだけだというあいつに弱点属性の攻撃を当てただけで何とかなるとは思えない。当たっているということは実体はあるはずだから実体化させないと攻撃が通らないタイプでも無いだろう。

 

「まあ色々と試してみるしかないか」

 

 またあいつが出てきたら色々と試そう。というか本当に運悪く遭遇しただけで、この剣が悪いとは限らないじゃないか。決めつけるにはまだ早い。レベル上げの続きをしよう。

 

 

 

 

 

 四十分後、ランタン片手に影の向きをコントロールして頑張って耐えたけど、普通に鎌でぶった切られて死んだ。シンプルに強くないかこいつ。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

「回復したら逆にダメージが入るタイプだったか……」

 

 アンデッドの倒し方と言えば伝承やゲームによって様々だが、何度も死にながらできる範囲内で可能性がありそうな方法を試していたところ、回復が逆にダメージになるパターンを思い出して試してみたところ、安い回復ポーションでもガッツリ怯んだのを見て確信した。こいつは死神というか死そのものというかなんというか、兎に角マイナスな存在なのだ。恐らくHPかダメージを受ける条件も逆で、回復でダメージ、或いはマイナスのHPを0まで回復することで倒せるモンスターだったのだろう。

 弱点がわかればなんか結構あっさりだった。影の掴み攻撃や移動はランタンで制限できるし、鎌は大振りなので先に回復ポーションを当てれば怯んで中断される。でもクランに入った時にもらったハイエスト・ポーションが無かったら癒しきれなかったかもしれない。またニトロ製薬に助けられることになった。

 

 消滅した死神は黒死の怨涙という強化素材やアクセサリーに使えそうなものをドロップした。なるほど、あれ黒死の天霊(トゥルー・クワイエット )というモンスターなのか。

 もしかしたらあの鎌を落とすかもしれないし、回復ポーションを補充してレベル上げを再開しよう。使える使えないじゃなくて、かっこいい武器は持っているだけで嬉しくなるものなのだ。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

————————————

PN:ぶんぶん丸

LV:93

JOB:傭兵(片手剣)

69,267,400マーニ

HP(体力):10

MP(魔力):1

STM (スタミナ):550(165)

STR(筋力):10

DEX(器用):10

AGI(敏捷):10

TEC(技量):10

VIT(耐久力):10(1250)

LUC(幸運):10

スキル

断頭刃(ギロチン・チョップ)

・如意自在Lv.2

・紫電五閃

・蜂巣装甲

・穿孔発条Lv.7

・全力全壊

・遠当て

・ブルズアイ・スロー

・剣舞【紡刃】

・壊刀乱魔

・戦極武頼Lv.3

瞬刻視界(モーメントサイト)

・活殺自在

・フルスロットル・レーシング

・ブリンクLv.MAX

・フォーミュラ・ドリフトLv.2

・クーガーステップ

・回避術【走兎】

・回避術【登猿】

・回避術【隠狐】

・遮那王憑き

・フリットフロート

・ソニックブレスLv.7

・ダートソニック

・抗害の息吹

・鹿遠音

・ダイナブレスLv.7

・活力湧出

・完全燃焼

・ハイエスト・エンデュランス

・ロスタイム

・リセット

自己報酬(トリート・マイセルフ)【絶品】

・パーシスタンド

・アクロバットLv.MAX

・メロスティック・フット

・ホバリング

・ジャイロバランサー

・デュエルイズム

・フィドラー・シザーズ

 

装備

右:黒蝕の喪白剣

左:無し

頭:歓喜の女帝犬面(VIT+350)

胴:女帝蜂の胴衣(VIT+350)

腰:女帝蜂の腰帯(VIT+300)

足:女帝蜂の細袴(VIT+250)

アクセサリー:飛竜装:吹き荒らす顎

アクセサリー:女帝蜂の梵天飾り

アクセサリー:大黄玉の腕輪

アクセサリー:大紅玉の腕輪

アクセサリー:大黄玉の首飾り

————————————

 

 

 ステータスはそこまで大きく変化していないが、スキルが一気に増えてかなり戦いやすくなった。

 今まで攻撃スキルと回避スキルが少なくてリキャストタイムに入ってしまうと無駄にスタミナがあるだけの一般人になっていたのが大幅に改善された。スタミナ切れで強制的に効果が終了してしまうスキルのリキャストタイムが開けるまでの時間を稼げるようになったのはかなり大きな進歩だ。

 

 装備の方はニトロ薬局を通してより強いアクセサリーを用意してもらったし、黒死の天霊からドロップした大鎌と防具?が新しく増えた。まあ鎌も防具?も装備条件満たせていないのだが。というか防具?の方は女性キャラじゃないと装備不可能なのでマジで意味がない。即死判定補正とかステータス強化とか強そうなんだけど、どうにかして今から女になれない?

 

 というわけで、これだけ強くなれば最後のボスも一人で何とかできるはずだと思いボスエリアに突撃したのが昨日の午後九時。

 

「しかしなんというか、ビックリするほど面倒な相手だったなユザーパー・ドラゴン……」

 

 現在時刻は午前三時である。攻略に合計六時間もかかってしまった。あいつずっと飛んでるし、たまに降りてきても直ぐに飛んで逃げるしで恐ろしく面倒な相手だった。安全地帯から一方的に火球を吐いてくるのやめろ。

 

 何とか跳びついて張り付いても暴れまくって俺のステータスでは張り付き続けることができないし、「ホバリング」でむりやり空中戦をしてもスタミナが持たないしで何度も再挑戦することになった。

 

 最終的にあいつを倒すために特技剪定所に土下座しながらずっと居座るという力業でなんとかスキルを合体させてもらった。カルマ値がガンガン溜まっているような気がする。

 特技剪定所もNPCの施設ということを忘れていた。どこかに俺みたいな人でも普通に対応してくれる特技剪定所が無いものか……

 

 暴れるあいつの体の上で回避スキルを連打してむりやり上に立ち続けながら戦うという曲芸みたいなことをしてようやく勝利することができたのだ。

 

「もう二度と戦いたくねぇ……」

 

 めちゃくちゃ疲れたしライオットブラッドの飲みすぎで精神状態がちょっとヤバいことになっているが、これで無果落耀の古城骸もクリアだ。

 

「最後の街、フィフティシア……ようやく辿り着いたぞ……!」

 

 さて、まずはリスポーンポイントを更新して……寝る!!!!!




信頼値低すぎて衛兵を呼ばれるかどうかのギリギリのラインの主人公。衛兵も特に犯罪をしているわけじゃないし関わりたくないしで捕まえるか迷っているので本当にギリギリのところにいる模様

黒蝕の喪白剣はここまで戦った相手との相性が悪かっただけで、実際は相当ヤバい武器です。普通に筋力にポイントを振ってたらハミング・リッチも瞬殺でした

この黒死の天霊(トゥルー・クワイエット )は主人公だけを狙い、主人公が死ねば消滅します。また、一部のレイドボスやユニークモンスターとの戦闘中などのギミックとして多くのモンスターを倒さなければいけない場合などは出現しません。ただし、主人公があまり狩りをしていなくても、周囲で別のプレイヤーがスローターしていたら直ぐに条件が満たされて主人公の側に出現して狙われます

お気に入りのモンスターなのでオリジナルのエクゾーディナリーを出してあげたいと思っているのですが、出番はいつになるんでしょうかね……設定だけは固めてあります

まさかの二連続ユザパです。こいつら原作でも戦闘シーンが無さすぎてね……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。