シャングリラ・フロンティア~コミュ障ゲーマー、スタミナ全振りで神ゲーに挑まんとす~   作:葛饅頭

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最近仕事が変わって肩こりがヤバい
残業も増えましたが地道に執筆しています


暴徒とガチャ

 フィフティシアに用があるのだが、マップ埋めも兼ねてサードレマから栄古斉衰の死火口湖ルートを通り、火山や大穴や地下などの暗いエリアの数々を超えてフィフティシア手前の街の一つ、「トゥエルレムス」にやってきた。

 

 このルートを選んだもう一つの理由があるのだが、この街に存在する魔法関連のアイテムを販売しているお店の店主が呪啓者ギルドに所属しているのだという。

 俺は魔法を一つも覚えていないが、アクセサリーのおかげでMPはあるしMPリジェネもある。そしてお金もある。ならば使い捨て魔術媒体(マジックスクロール)をいくつか持っておいた方が戦いの幅が広がるだろう。というわけでそれを俺に売ってくれるお店目当てにやってきたわけだ。

 

「今回は裏路地じゃないのね」

 

 呪啓者ギルド関係のお店は全部裏路地にあるのかと思っていたがそうとは限らないらしい。まあ街の外れであまり目立たない場所ではあるのだが……あの店か?

 

「うわ、そこそこ人が居るな……まあいいか」

 

 店の中に入ると、杖や巻物、本、ポーションなど、確かに魔法に関係していそうな物が並んでいる。しかし、この店に訪れているプレイヤーの視線の殆どは商品では無く、店番をしている女NPCへと向けられていた。

 

「……ナンパ?」

 

 男性プレイヤー複数に囲まれて明らかに商売と関係ない話を聞かされているあの女NPCの名はラメリンという。呪啓者ギルドの歓迎会で会話したことがあり、物静かだが優し気な女性だったと記憶しているのだが……なんというか、今のラメリンさんの表情は虚無。無表情どころか感情も感じさせない虚無であった。

 

「NPCをナンパするプレイヤーもいるんだなぁ……そういやコナツが幼女NPCにしてたわ」

 

「……あ、ぶんぶん丸君。いらっしゃい」

 

 こちらに気が付いたのか、ラメリンさんは俺の名前を呼び──店内の全ての視線が俺に集中する。

 

「ぶんぶん丸!?」

 

「あのユニークモンスターを倒した……!」

 

「ラメリンちゃんに名前を呼ばれるだと!?」

 

「お話を聞かせてください!」

 

「うわ見た目怖っ!?」

 

「兎ちゃんの情報を!」

 

 あ、ヤバいこれは……逃げろ!!

 

「逃げた!」

 

「追いかけろ!」

 

 追いかけろじゃないよ初対面の人を追いかけないでくれ!?

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 あれから三十分ほど街中を走り回り、なんとか群がるプレイヤーどもを撒くことに成功した。やっぱりスタミナよ。

 ぐるりと回ってラメリンさんの店に戻って来て、中にプレイヤーが居ないことを確認してから入店する。

 

 表を歩けない理由がまた一つ増えてしまったな……変装とかしても首から血を吹き出しているのはどうにもならないし、名前も隠せないからなぁ……

 

「戻ってきた。君も大変だね」

 

「下手に有名になってもいいことがないですね……」

 

 また人が来ても面倒なので、適当に選んだスクロールを纏めて購入する。

 

「そうだ、呪啓者にだけ売ってる特別な魔導書があるの。買ってく?」

 

「魔導書?俺でも覚えられるんですか?」

 

「うん。魔力さえ足りていれば呪啓者なら覚えられる。その釘で増やした魔力でも構わない」

 

 何となく思っていたが、瑠璃天(ラピステラ)(まじな)い釘、これぶっ壊れアクセサリーなのでは?60レベル分の魔力を得られるのゲームバランスとか投げ捨ててないか?

 一応+300じゃなくて300にする効果だからそこでバランスが……やっぱり取れてないだろこれ。純魔ビルドなら兎も角、魔法戦士なら装備しない理由が殆ど無いのでは?それとも俺が知らないだけでシャンフロはこんなぶっ壊れアクセサリーだらけなのか?

 

 というわけで魔導書も購入……二冊で計1億2500万マーニで。

 呪啓者ってお金持ちじゃなきゃやっていけないのか?いや確か呪啓者ギルドで受けられるクエストがかなり高額報酬だったはず。それで稼ぐ前提なのか。

 

 店から出ようとしたタイミングで店に戻ってきたプレイヤーどもにまた追いかけられたが、参姿翠冥の地底迷宮の地上部分を突っ走って振り切った。ショートカット防止のためか足場最悪毒塗れの地獄のような場所だったが、装備の毒耐性と浮遊スキルで乗り切った。一度普通にクリアしたらこのルートを使えば次回以降楽できそうだ。

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 参姿翠冥の地底迷宮を超えて、フィフティシアに到着した俺は裏路地を通り、ムンクさんの工房に足を運ぶ。目的は勿論セツナメタルの加工だ。

 

「コイツは……お前さん、またとんでもないものを持ってきおったな……」

 

 俺は鍛冶師じゃないからよくわからないが、鍛冶師だと一目見ればその素材の凄さとかそういうのが分かるんだろうか?具体的はリソース値とか。

 

「墓守のウェザエモン……ユニークモンスター……七つの最強種と言ったか?それを倒したら貰えたんですけど、なんかいい使い道ありませんか?」

 

「七つの最強種か……信じ難いが、こいつが嘘じゃないと言っておるわ」

 

 NPCにはユニークモンスターは七つの最強種という名前で広まっているらしい。まだ判明していないユニークモンスターが何体か居るのに七つと広まっているのはなんでなんだろうか?

 

「そうだな……お前さんは呪啓者だ。呪いを持つ武器ならどんな武器種でも扱える。こいつは刀にするのが良いだろうよ。本当は鎧にするのが一番だが、量が足りねぇ」

 

 まあ元々は鎧の一部だし、材質的には鎧にするのが一番なのはわかる。しかし刀か、幕末とかいろんなゲームで扱ったことはあるが、そこまで扱いが得意なわけでは無い。最低限振り回せるくらいだ。

 でもまあ職人のオススメをわざわざ断ってでも作って欲しいものがあるわけでは無いのでそれでいいか。

 

 しかしそうなると気になるのは装備条件……必要ステータス不足だ。

 スキルで一時的に誤魔化しは効くが、一時的だし装備変更でスキルが強制解除されたりと地味に不便なんだよな。ステータスを一時的にでも引き上げる方法があればいいのだが。

 

 え?スタミナ以外にポイント振ればいいだろって?嫌だが???

 

「それじゃあ刀でお願いします」

 

「おうよ……しかし、刀にすんなら一つ用意してもらいてぇもんがある」

 

「なんでしょうか?」

 

「こいつは元々は防具に使われていた鋼だ。そのまま武器に使ってもいいが、少々性質が噛み合わねぇ……「致命的な一撃」……それに特化した武器を真化させる素材として使うのがいいだろうよ」

 

「致命的な……」

 

「急所に当てる、或いは理想的な当て方をする……そういった場面で発揮される力を持つ武器だ。それを使って経験を積みな。そしたらそれをこいつで真化させてやる」

 

 おそらく攻略サイトで見かけたクリティカルで耐久消費軽減やクリティカルで追加ダメージを与える武器、或いはヴォーパルバニーがドロップするクリティカル威力がアップする武器などのことだろう。もう壊してしまったが、火山鉄鞭(ボルケーノ・ケイン)もそのタイプの武器だ。

 

「元にした武器によって真化後の性能って変わりますかね?」

「それもあるが、お前さんがそれをどう使っていたかの方が重要だ。それが「真化」というもんだからよ」

 

 なるほど。だとしても元にする武器から真剣に選んだ方が良いだろう。ここ最近黒死の抱擁(ノリ・エイ・タンゲレ)に頼りがちだが、状態異常のスリップダメージで削る武器である以上どうしても相性が悪い相手というのが出てくる。そういう相手に有効に働く武器にしたいところだ。

 となるとやはり火山鉄鞭(ボルケーノ・ケイン)のような俺のステータスがどれだけ低くても押し当てるだけでダメージが発生するような武器が理想的だ。今になってあれをその場の勢いで叩き壊しちゃったの後悔してきたぞ。でも壊すくらいの勢いで挑まなきゃ金晶独蠍(ゴールディ・スコーピオン)には勝てなかっただろうしな……

 

 あれに近いものをもう一本作ってもらうとして、素材をどうするか。また火山に採掘しに行ってもいいが……

 

 

……

 

…………

 

………………

 

 

 ローエンアンヴァ琥珀晶。それは水晶巣崖で採掘できる宝石の一つだ。

 琥珀の中に太古の時代の虫がそのままの姿で入っていた、なんて現実でよく聞くロマンある話の一つだが、それのファンタジー世界バージョンである。

 

 この宝石の中には時々古代の何かが封じ込められていることがあり、一部の優れた職人はそれを現代へと蘇らせることを可能とする。

 しかし残念なことに琥珀は宝石カテゴリーなのでそのまま武器に加工するのは困難であり、基本的にアクセサリーに使用するものとなっている。

 

 ならばその逆、武器として加工できる古代の素材が存在するのではないか?その答えの一つとして有名な物が四駆八駆の沼荒野で採掘可能な沼棺の化石である。

 なお、採掘される化石は基本的に長い時間の中で成分が鉱物に置換されてしまっているので、素材としては元がドラゴンの骨であっても現代では変な形の岩でしかなく、武器や防具の素材にしても見た目がそれっぽい装備になるだけだと言われている。だがしかし──

 

「ファンタジー世界なんだから少しくらいロマンを信じてみてもいいんじゃないかな」

 

 俺が知る中で最も深い場所……神代の鐵遺跡の地下深くに存在する隠しエリア、涙光の地底湖にて俺はひたすら地面を掘っていた。

 このゲーム、沼棺の化石以外にも地面を掘ると化石が出てくることがあり、化石を見つけることを専門に活動しているクランが存在するくらいには地下まで作り込まれている。

 

 サードレマを中心として各地で活動していて、裏社会や呪啓者ギルドなどとも密かに取引を行っている「青の金剛石商会」でゲットした採掘道具一式でひたすらに掘る。

 これ絶対に一人でやる作業では無いと思うのだが、人に頼んで一緒にやってもらえる作業かと言われると大体の人はやりたがらないと思う。

 

 たまにレベル上げにやってくるオイカッツォになんだこいつという目を向けられながらもひたすらに掘り続ける。オイカッツォがサーペントを釣り上げてもザリガニを釣り上げても、邪魔されない限りノンストップで掘りまくる。スタミナ万歳。

 

「だいぶ掘れたな」

 

 俺に化石の知識は無いが、そこは良い感じにゲームらしく、探せば割と直ぐに化石が見つかるし、壊さないように掘り出すのも適切な道具を用いれば器用と技量が初期値でもそこまで難しくない。ちょっとしたミニゲームのようだ。システムによってただの石と化石を簡単に見分けられるのもありがたい。というかこれだけで大分楽しいな。化石発掘クランがあるのも納得だ。

 

 途中地底湖の水が掘った穴に流れ込んで来るトラブルはあったものの、よくよく考えたらこのスタミナなら息継ぎを殆どせずに水中でも採掘できるじゃんと気が付いて続行し、湖の底に眠る化石もいくつか掘り出すことに成功した。

 さて、この中に当たりがあればいいのだが、ムンクさんに見て貰ったらわかるだろうか?十分数は集まったと思うので、後はこのまま窒息死するまで掘り続けるとしよう。




しれっと攻略されるエリア。原作での描写が少なくてどう書けばいいのか悩んで結局すっ飛ばしました。今の主人公だと大体のエリアは叫びながら剣をブンブン振り回しているだけで攻略できるので……

ラメリンは呪啓者ギルドに所属しているNPCで、実は転移魔法持ちなので好感度を上げると移動がめちゃくちゃ楽になるし戦闘面でもかなり頼れる魔法使いのお姉さん
なお、身内には優しいお姉さんだが、身内以外には基本的に無関心で呪啓者ギルドのメンバー以外が好感度を上げることは困難。どれだけ話しかけても商売に関係すること以外は全スルーで本を読んでいたりする。その態度が逆に一部のプレイヤーから人気を集めており、一部のプレイヤーが好感度を上げる方法を頑張って探しているが、結果は芳しくない模様
呪啓者ギルドのメンバーにのみ販売している魔導書で習得できる魔法はどれも少し癖が強いがその分強力なものが揃っている

青の金剛石商会は黄金の天秤商会ほどではないがそれなりの規模を持つNPCが運営する商会。実は裏社会やニトロ製薬と裏で繋がっているという噂が……
呪啓者ギルドのメンバーは基本的に呪われていて信頼値が低いので、金があっても普通の人間らしい生活を送るのが中々大変だったりする。金はあるから売ってくれ!金があるなら売ってやる!というとてもシンプルな関係で呪啓者ギルドと繋がっている
実は不動産も取り扱っているのでその気になれば主人公は全ての街に家を建てることも可能であり、ニトロ製薬に在籍し続ける理由が結構薄くなってきている。しかしそこはシャンフロ最高クラスの錬金術師クラン。特殊合金や特製の非売品ポーションで主人公を繋ぎとめている

かっこいいオリジナル武器って考えるの大変だけど楽しいですよね。
今オリジナルブリューナクとか考えているのですが、ブリューナク関連は台詞回しが独特で書くのがめっちゃ大変です。焼燬(キャール)のキャールって何語……?
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